これは確率的に非常に高頻度に起こり得ることなので述べさせていただきます。
どんなににおっぱいの出方が素晴らしくても、入院中は頻回直母に努めていても、退院後片方ちょこ飲み&ぐっすり眠るタイプの新生児は、成長に急ブレーキが掛ってしまいがちで、そのままにしておくのは危険です。
普通に考えたら、片方3分の直母でクタクタになり、(おっぱいを飲ませた後の乳房のスッキリ感が得られず)その後ぐっすり眠る新生児は、碌におっぱいを飲んでいないであろうことくらい、分かると思うのですが・・・(汗)
もちろん、片方3分であっても、乳房がフニャフニャになるくらい勢いよくゴクゴク飲んでくれるのであれば違うかもしれません。
しかし、そういう新生児であれば、3時間以上眠りこけることは滅多に無く、自分から起きるし、ハフハフしておっぱいを欲しがると思われます。
先日、2週間健診を受診されたKくんも、ヤバかったです。
生まれた時の体重は3300gもありました。
生理的体重減少は2日目で7.4%と大過なく、生後5日目には3276gまで回復され、完母で退院されました。
1日の平均授乳回数は1回1~2クールで11回でした。
(ちなみにKくんのお母さんは以前も★病院でご出産され、1人目さんはもちろん完母でした。)
ここまでは問題無し。
ところが、生後13日目に2週間健診のため来院されたところ、体重は3312gしかありませんでした。
退院時から4.5g/日しか増加していません。
ハッキリ言うまでもなく、新生児で体重増加度が4.5g/日は論外です。
退院されてからは1日の授乳回数が9~10回/日に減り、しかも殆どが片方3分でクタクタになり、眠ってしまうとのことでした。
過去記事にも書いたかと思いますが、私の見る限り1クールで必要な哺乳量がほぼ毎回確保される新生児はせいぜい30%くらいです。
ですので、出来るだけ1回に2クールはしてくださいね~と申し上げているのですね。
Kくんは退院時から4.5g/日増加でしたが、こんな哺乳のし方では、退院時から体重減少しても不思議ではないくらいです。
Kくんの直母1回量は片方1回で26gでした。
いつも通り(?)クタクタになって眠り始めました。
そこから起こすのを手伝って、必死に促したら、反対側1回で36g、元の側に戻って追加で14g、トータル1クール半で76gも哺乳してくれました。
Kくんのお母さんは「久しぶりに乳房がスッキリしました。」と仰っていました。
そりゃあそうでしょう!2週間健診で76gも哺乳出来たら大変ご立派です。
しかし、困ったことに、里帰り先のご実家のおじいちゃんやおばあちゃんは、どうしても「寝る子は育つ。」教の信者さんが多いようです。
Kくんのおじいちゃんやおばあちゃんは、Kくんのお姉ちゃんのお世話に手がかかることもあったためか、「寝てるのに、起こしてまでおっぱいをあげる必要はないのでは?」と仰ることが多く、Kくんのお母さんも直ぐにクタクタになるKくんを起こすのに時間がかかるため、「まぁ、いいか。」と思ってしまったとのことでした。
そうそう、「寝る子は育つ」教の信者さんは、「寝てるのに起こしたら可哀想。」「おなかが空いたら勝手に起きるから、その時に飲ませたらええのや。」という“忠告”を繰り返して仰るようです。
それって、少なくとも新生児には何の根拠もないのにね。
確かにクタクタで直ぐに眠りこける新生児を起こすよりも、そのまま寝かせておいた方がラクチンだから(?)大抵のお母さんは親御さんのご意見を尊重されるのでしょうね。
でも、その結果がこれではねぇ・・・(泣)
幸いKくんのおじいちゃんやおばあちゃんは違いましたが、2週間健診で新生児の体重が増えていない場合、母乳育児が分かっておられない&冷静な判断が出来ない系のおじいちゃんやおばあちゃんであれば、「おっぱいが足りないんだから、赤ちゃんの体重が増えない!だからミルクを足しなさい!」と、お母さんにさらなる“忠告”されると思われます。
もしも、その“忠告”を真に受けて、お母さんがホイホイと我が子にミルクの補足をしたらどうなりますか?
私はKくんのお母さんには、「おっぱいの分泌には何の問題も無いのだから、体重が停滞していてもミルクの補足は不要ですよ。なのでせめて1回1クールはしっかりと飲ませてあげて、頻回直母で頑張りましょう!1週間後に再診ですよ。」とフォローしましたが、もしもそういうフォローがされなければその後はどうなると思いますか?
当ブログの母乳育児アドバイザーさんだったら・・・予測できますよね。
おじいちゃんやおばあちゃんの仰る“忠告”の全てがダメだとは言いません。
けれども、母乳育児が分かっておられない&冷静な判断が出来ない系の方々の“忠告”を鵜呑みにするくらい危険なことはありませんからね。
くれぐれも、母乳育児をされるお母さんは、何が正しいのか?という判断力を養ってくださいね。