過去記事“搾乳器あれこれ”で複数の搾乳器をご紹介しておりますが、ほぼ確実に搾乳をしなくてはならないお母さんが居られます。
それは赤ちゃんがNICUに在籍しておられるお母さんです。
お母さんの退院が赤ちゃんの退院に先行し、自宅に戻り、搾乳・冷凍母乳を届けるという大事な使命を持ったお母さんです。
赤ちゃんの退院時期は病状にもよりますし、主治医から説明を受けておられる通りですが、体重・週数待ちがメインであれば、退院されるのはほぼ分娩予定日前後になるかと思われます。
若しくは赤ちゃんの体重が2300gくらいになったらというのも一つの目安のようです。
まともな母乳育児支援をしている病院であれば、赤ちゃんの退院前に母子同室で慣らし入院というのをしてくれ、助産師が授乳介助をしてくれることが期待出来ますが、この段階で量的には「完母」であっても一気に搾乳ゼロに出来るレベルに吸啜機能が到達している赤ちゃんは私の見た限りでは10人に1人という割合です。(汗)
つまり、残念ですが赤ちゃんの退院=直母のみに切り替えられる=一気に搾乳生活から離脱できる・・・ではないのですね。
量や回数を減らすのも、赤ちゃんの吸啜力に依るので、それこそ蓋を開けてみないと、何も分からないというのが正直なトコロです。
で、これも私の見た限りですが、NICU卒業生の赤ちゃんで直母のみに切り替えられるのは、(特にご病気が無ければ)少なくとも2800gを超えてからというパターンが多いようです。(くどいようですが、あくまで搾乳で「完母」の状態の赤ちゃんという条件付きです。)
つまり、退院時から500g増えることが直母のみに切り替えられるのではないかという一つの目安なのです。
一般的に成熟新生児よりもたくさん哺乳しても体重増加度が少なめになってしまうのがNICU卒業生の赤ちゃんの特徴です。
退院時から500g増えるのに、最低2〜3週間はかかると見做した方が間違いないと思います。
そう考えると、ご自分の搾乳生活がどのくらいの期間になるのか、おおよその見当がつくかと思います。
さてそこで、搾乳器の選び方になるのですが、搾乳期間が短くても1カ月半を超える見込みならば、私はメ○ラ社の電池式または電動式を選択されることをお勧めします。
理由はひとつ、手動式や用手法ではお母さんが腱鞘炎(先に書きました、ド・ケルバン病)になられる危険性がとても高いからです。
経験的に手動式で1カ月半というのが、腱鞘炎発症のリミットのようです。
赤ちゃんのために毎日複数回の搾乳をしなくては立ち往かないお母さんが腱鞘炎になられて、万一、搾乳のドクターストップがかかっちゃったら大変です。
手動式や用手法では誰が代わりに搾ってくれるのでしょうか?
誰も無理ですよね?
ぢゃあ止めるのか?と言ったら、そんなわけには行きませんよね?
だから最初から電動式をお勧めする・・・のです。
反対に職場復帰が早くて、搾乳が長期化しそうでも、搾乳回数が1〜2回/日で留まることが確定していれば、手動式でも大丈夫でしょう。
値が張りますが、メ○ラ社のミ○という電池式の機種(ACアダプター付きなので、コンセントからも電源が取れるタイプ)の場合、部品を分けてもらえれば、手動式のハ○モ○ーに変換することが出来ます。
(ハ○モ○ーは部品が摩耗・破損した時を想定し、丸ごと買い直さなくて済むように部品も販売されています。)
ハ○モ○ーを使用している病産院では、部品交換して使用していますから、事情を話し相談したら実費で分けてくれるか、部品の取り次ぎをしてくれるかと思いますよ。
搾乳器を購入する際は、期間や使用頻度を考えて、ご自分に合ったものを選択しましょうね。