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2010年9月

2010年9月30日 (木)

片方から漏乳続きますが、対策は?(6か月)

<ご相談内容>
産後6か月、完母で赤ちゃんを育てています。
いまだに漏乳が収まりません。
以前ほどは大量に漏れなくなったのですが、3時間ほど授乳間隔が空くと、ツーンとしてポタポタと滴下してきます。
片方を授乳していると、反対側から漏れてきます。
過去記事で、「健康な乳房からは漏乳しない。」と書いてありましたが、漏乳しない方法というのはあるのでしょうか?
なお、漏乳でカブレないようにするためには、紙製の母乳パッドはNGなので、ガーゼを畳んで当てています。

<SOLANINの回答>
片方だけの漏乳ですね。
6か月か…長いですね。
恐らく、分泌過多でもあると思うのですね。
ですので、キホン的に乳房は冷やすものではありませんが、こういう場合、特例ですので、漏乳が起きる方だけを冷罨法していただいて、乳房を宥めてやりましょう。
乳汁産生を若干制御する必要があります。
いきなり漏乳ストップとはいきませんが、かなり効果があると思います。
若しくはペパーミントのエッセンシャルオイルをバス用乳化剤に規定量溶かし、さらにお水に溶かしたうえでガーゼを浸したものを搾り、ペパーミント湿布をするのも乳汁産生の制御に有効と言われています。

授乳間隔が空く時や、深夜プロラクチン濃度が高くなる時は、保冷剤の小さいのをガーゼに包んで乳房に当ててください。
溶けたら凍らせるまではOFFにしてもいいです。
もちろん24時間持続で冷やすまではしないでください。
漏乳による皮膚のケアは今やってらっしゃるのを続けてください。

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2010年9月29日 (水)

乳輪が硬いのは乳管の詰まり?

妊婦さんであっても産褥婦さんであっても、乳輪が硬くて伸びないのは、乳管が詰まっているのだと思われます。
完全閉塞だったら熱発したり、痛みもハンパないので、直ぐに母乳外来か助産院にGO!GO!GO!ですが、そこ迄症状が出ていなければ、気が付かない方も多いです。
乳房をお椀に喩えたら、乳頭・乳輪はいと底になります。
いと底から垂直に乳房の奥の方を指で探ると、いわゆる乳管洞の呼ばれる部分に到達します。(ラクテーションコンサルタントのセンセイ方は乳管洞というモノは存在しないと仰っていますが、直母・搾母の際に、赤ちゃんのお口・お母さんや助産師の指がここにフィットすれば、一番おっぱいが出てくるトコロです。)

この部位がゴリゴリしていたら、赤ちゃんは深く吸着出来ないのでまともに哺乳が出来ませんし、搾乳してもパッとしません。(産褥早期でうっ積とうっ滞が一緒くたになってるような時以外でも・・・です。)

触って明らかに硬い場合はその部位よりも若干外側から、マッサージをして、乳管開通を図りましょう。
慣れてくれば、お母さんがセルフですることも出来るかと思いますが、最初は訳が分からないと思われますので、必ず助産師にしてもらい、自分でする場合は何処をどう触ったらいいのか教えてもらってください。
きちんと開通してくれば、過去記事にも書きましたように、鼻の硬さから、耳朶位の柔らかさに変化しますし、その部位をグッと摘まんでも痛みや違和感(しこりっぽい硬さとでも言いましょうか・・・)が無くなってきます。
引っ張ってもビヨ~ンと伸びず、引き攣れた感じであれば、全線開通とは言えないのではないかと私は考えます。

特に巻き舌や舌小帯短縮症等で、上手く吸啜出来にくい赤ちゃんや、浅飲み傾向が強い赤ちゃんのお母さんは1週間に1回くらいは授乳後に自己チェックされた方が良いと思います。
チェックの上、必要に応じてケアをされると良いかと思います。

きちんと開通しないということは、乳管が細くなっているようなものですから、折角おっぱいが造られても、出難くなっているということですから、哺乳量が少なくなったり、赤ちゃんが嫌がったりすることが考えられます。
要するに、分泌量は乳管開通マッサージで増えることは無いだろうけど、哺乳量は増えることが期待出来ます。
赤ちゃんが吸啜しやすくなるので、潰し飲み・歪め飲み等も軽減することが期待されるので、トラブルも起きにくいことが期待できます。

 

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2010年9月28日 (火)

2回目のディフェンスライン突破!

9月14日の記事で書きましたように、ウチの長男は生後3週目の次男のお口に林檎を捻じ込みました。
コメント欄に寄せられた質問の答えですが、長男と次男は3歳3ヶ月離れています。
それくらい離れていると色々なことが思い浮かぶようになって来るのでしょうね。

さて、次男はそれから3週間は無事平穏な日々を過ごせました。
もちろん、長男の監視を怠らないように、充分気を付けていました。
しかし、連れ合いの実家から自宅に戻り、普段のペースで赤ちゃんのお世話や家事をこなすようになったある日、そう、次男が1ヶ月半になった頃、それは起こりました。

お休みの日だったと記憶しています。
隣接するリビングで遊ぶ長男をチラチラ監視しながら、私はキッチンで用事をしていました。
一段落着き、さておっぱいタイムだなと次男の眠っている筈のベビーベッドに近付くと、何やら香ばしい匂いがします。
辺りを見ると、ポテトチップスのカケラが幾つか落ちているではありませんか!
この間おばあちゃんからいただいたポテトチップス、さっき長男にせがまれて食べさせた。
でも、テーブルの前で小皿に入れて食べさせたのに・・・
小皿には残っていなかったのに・・・
何で、隣の部屋にポテトチップスのカケラが落ちてるの?まさか!

悪い予感は的中しました。
次男のお口を抉じ開けると、中にはポテトチップスのカケラが入っていました。
そんなことをする輩はウチには一人しかいません。

「あのね、お母さん言ったよね。赤ちゃんはおっぱいしか飲めないって。歯が生えるまであげちゃいけないって。おばあちゃん家で、赤ちゃんに林檎食べさせて叱られたよね?なんでポテトチップス食べさせるの?こんなの塩と油の塊なんだよ。喉に詰まったら、赤ちゃんは死んでしまうんだよ。もうお母さんは許さないからね!バカバカ!」と、長男を叱りつけました。
すると、長男は反論してきました。
「分かってる。知ってる。でもね、お口パクパクしてたし、「欲しい?」って聞いたら笑ったんだよ。それは欲しいってことなの!喉に詰まったら死んでしまうってお母さんが言ってたから、僕は手でポテトチップスをモミモミして小さくしたんだよ。これなら喉に詰まったりしないから。僕だって考えてる。僕はバカぢゃないよ。」と言い放ちました。

長男は長男なりに考えてはいるのです。
3週間前に叱られたことも憶えてる。
でも、やっぱり許せない!
私は半べそかきながら、次男の口を抉じ開けながら、頬っぺたの内側や、舌の上にくっついたポテトチップスのカケラを除去していきました。
そして長男に言いました。
「赤ちゃんは歯が生えるまでは、食べ物あげたら喉に詰まるだけぢゃなくて、おなかを壊してしまうんだよ。小さくしても食べられないモノを食べさせたら、病気になってしまうんだよ。お医者さんに行かなきゃならないんだよ。まだ赤ちゃんなのに注射したり、お薬飲まなきゃならないんだよ。可哀想でしょう?だから、絶対にあげたらダメなの。「欲しい?」って聞いて、笑ってもダメなの。お母さんが「いいよ。」って言うまでね。」と。
長男さすがにしょぼんと反省・・・

その後、うんちの確認もしましたが、幸いにも次男はポテトチップスのカケラを飲みこんではいなかったようでした。

しかし、その日以降、毎朝起きるなり長男は「おはよう!今日はごはんをあげていい?」と私に尋ね、「おはよう!今日は歯が生えた?」と次男の口を抉じ開けて猿のように確認するのが日課になりました。
気持ちよく眠っているのに・・・問答無用で長男に口を抉じ開けられる気の毒な次男の受難の日々が始まりました。
そんな毎朝の確認作業の成果なのか、次男の初の乳歯の萌出に気が付いたのは長男でした。

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2010年9月27日 (月)

おっぱいとお薬/その68『イミグラン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その68『イミグラン®』(改訂版) 」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。


以下、過去記事。

久々のテーマ「★おっぱいとお薬」です。
『イミグラン』は片頭痛治療薬です。
トリプタン系のお薬です。
妊婦さんの場合、内服は止めておいた方が良いお薬ですが、授乳中は概ね可能という分類になります。
痛くなる前ではなく、痛くなったら内服となります。
半減期は2時間程度とされています。
これまでに、赤ちゃんに何らかの副作用が現れたという報告は有りません。

ちなみに、同じ片頭痛治療薬でもバッカクアルカロイドの『カフェルゴット』はNGです。
片頭痛発作の前駆症状がみられたら、即内服することで効果を最大限に引き出せるのですが、半減期が8時間と長く、血中濃度が高濃度で持続する等の理由で内服しながらの授乳は止めてくださいね。

私の「★おっぱいとお薬}の記事の特徴は、キホン的に授乳中内服可能なお薬について書いています。
(今回のようにたまに対比としてNGなお薬も書いてますが・・・)
また、主に先発薬の名称を表示しています。
ジェネリック薬はとても沢山あるので、いちいち名称を書き連ねることは出来ません。
恐れ入りますが、成分について合致するかどうかは、ご自身で調べてくださいね。
それから、記事に取り上げられないお薬はまだ評価が無かったり、赤ちゃんに危険性が高いかのどちらかです。
ご自身の処方を受けているお薬が内服可能かどうかは、誰しも関心が高いことかと存じます。
同じ病気で同じ症状であれば、現在処方を受けているお薬とは違う名称であっても、マッチする可能性は有るのですね。

だったら、そこは主治医にお願いして、「○○は授乳中内服の可否の評価がまだ出ていないのですが、●●だったら授乳中内服可能という評価があるそうなので、可能であれば、変更していただけませんでしょうか?」という風にお願いしてみるのも、ご自身とおっぱいと赤ちゃんを守るための一手ではないかと、SOLANINは考えます。

 

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2010年9月26日 (日)

寝込みを襲う授乳スタイルについて。

大抵の方は赤ちゃんが眠っていたら、寝かせてあげなさいと言われます。
「起こしてまであげる必要はない。」とか、「起こされて可哀想。」とか。
でも、これを満腹中枢が未形成な時期の赤ちゃん(特に新生児)にやらかしたら、十中八九は体重増加不良に陥り、「おっぱい出てないんぢゃないですか?ミルク補足しましょう。」という結果に突き進みます。
「起こすの反対!」と言った人達は、赤ちゃんが体重増加不良に陥っても何の責任を取ってくれません。
寝る子は育たない・・・それが現実です。

また、月齢が進んでキョロちゃんになってしまった場合、眠たくなって今から長く眠る前ですよ~という時や、うつらうつらと寝惚けている時が真面目に飲んでくれる最大のチャンスです。
夜中に起きるのは辛いでしょうが、母子同室の病産院で過ごした方なら記憶にあると思いますが、2日目・3日目の深夜帯は殆ど寝かせてもらえなかったでしょう?
あの日の苦労を思えば、1~2回起きて飲ませるくらい、比較にならないくらいマシな筈です。
しかも、その頑張りで赤ちゃんの体重増加度は確実にアップしますからね。
結果が改善すれば、充分に報われるのではないでしょうか?

世間一般では寝込みを襲う授乳って何だかなぁって思われがちでしょうが、母乳育児のスタイルは十人十色なんです。
だから、私は他人さんが何と言おうが、そのお母さんと赤ちゃんに適しているのであれば、それで善しだと思います。
ごちゃいことを言われても、凹む必要なんか無いし、気にしたら負けだと思います。

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2010年9月25日 (土)

仕事復帰してもおっぱいを続けています。(9ヶ月)

<ご連絡いただいたこと>
わたしは、産後4ヵ月という早期に仕事復帰しました。(保育士です)
娘は職場とは別の保育所に入所しました。
現在、復帰後5ヵ月たち娘は9ヵ月になりましたが、SOLANINさんのブログに出会っていたおかげで、今も おっぱいを続けられています。
家庭では完全母乳、おっぱいトラブルも無しです!
離乳食も順調に進み、丸々と太った娘は本当に可愛くて愛しいです。
おっぱいを諦めなくてよかったと心底 思っています。
この幸せを教えてくださり、本当にありがとうございました。
お忙しいとは思いましたが、どうしても感謝の気持ちをお伝えしたくてメッセージを送らせて頂きました。
返信は不要です!
どうぞこれからも、お体を大切に がんばってください。
わたしたちも がんばります。

<SOLANINが感じたこと>
私の子どもたちは3人とも、未満児のうちから保育園にお世話になっています。
なので、保育士さんには足を向けて眠れません。(爆)
私が困難な家庭環境に中でも、まがりなりにも仕事を続けて来られたのは、私の子どもたちをお世話してくれた保育士さんが居てくださったからです。
居られなかったら今の私(=SOLANIN)は存在しませんでしたから。

昔ほどではないものの、仕事復帰までに断乳したらラクだよ的な発想、まだまだ多くて残念な中、頑張っておられるご様子をお知らせいただき、大変嬉しく思いました。

特に赤ちゃんから預かってくださる保育士さんというお仕事は、ご自分の育児体験がその後のお仕事の肥やしになります。
以前もカナハナさんという保育士さんが早期の仕事復帰をされるにあたり、私の尊敬する大下ユリ子先生にお知恵をお借りして、頑張っておられるご様子を教えていただき、希望を感じられたお母さんは多く居られました。

お仕事復帰されたら、時間的には一緒に居られる時間は短くなります。
それでも、おっぱいには、まだお母さんと多くのスキンシップを求めたいという赤ちゃんの欲求やお仕事復帰による時間のハンデを乗り越えられる魔法(≒絆を強める働き)があると思います。
1日でも長く、あげてもらえたら・・・と思いました。

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2010年9月24日 (金)

歩行器は使わない方が良いと思います。

最近は使うことが少なくなった歩行器。
でも、おじいちゃん・おばあちゃんから頂いた方も居られるかと思います。
「折角いただいたけど、どうしようかな?」「どのような使い方をしたらいいのかな?」という方も居られるかと存じますので、説明をしますね。

大抵歩行器は何処に行っても、「あまり使わないように。」と言われます。
何故だか分りますか?
おじいちゃん・おばあちゃんは安全に歩く訓練機みたいに解釈判断されているようですが、骨や筋肉の発達が不充分な時期に乗せてしまうと、股関節をはじめとする脚を形成する諸関節に負担を掛けてしまいます。
また、個人差がありますが、一般的に赤ちゃんの脚は短いので、月齢が若く、骨や筋肉の発達が不充分な時期に乗せると、つま先で蹴って進む癖が付きかねません。
一人歩きするにしても、つま先でバレリーナのように歩ける筈もなく、転びやすく危険です。(一人歩きは踵が床にくっつかないと、自分の体重を支えきれないからできませんね。)
調子よく動いていたものの、いきなり1cmに満たない段差でも引っかって転倒したというアクシデントはしばしば耳にします。

歩行器を使ったから独り歩きが早くなるというエビデンスはありません。
ちょっとしたチカラで動き回れるから赤ちゃんの機嫌は良いかもしれないですが。
私は無くても不便は感じませんでした。
場所も取るし、床にキズが付くし・・・要らないんぢゃないかな?
ユーザーさんに伺っても乗せるのは30分をめどにしているようですね。

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2010年9月23日 (木)

保育器に入った赤ちゃんの心理。

赤ちゃんが満期産で、健康に生まれてくれることは誰しもが願うことでしょう。
しかし、早産や満期産でも極端な低出生体重であったり、生まれた時に仮死状態や一過性多呼吸や無呼吸発作等の呼吸障害があったり、痙攣発作を起こしたり、前期破水で感染症になったり・・・といったアクシデントがが発生すれば、母子同室の病産院であっても赤ちゃんは保育器に収容されます。
開業産科では、赤ちゃんの容態に心配があれば,早目にNICUに搬送されることもあります。

もちろん、週数が進み、或いは容態が落ち着けば、人工呼吸器や点滴や酸素等はOFFになります。
保育器からも出してもらえます。
モニターも外してもらえます。
メデタシメデタシです。

でも、困ったことが起こり得るのです。
或る日突然、手のひらを返すように・・・です。
例えば早産だったら分娩予定日を過ぎる頃から、スタミナが付いてくるから、「抱っこしないと寝てくれない。お布団の上では眠ってくれない。」という現象が高頻度で起こるのです。
例えば満期産での感染症や呼吸障害等であれば、病状が落ち着いたら数日のうちに脱器してもらえます。
脱器してもらった直後はさほどでもないですが、もう一段階進み、充分な量がスムーズに哺乳出来るようになる頃から、やはり「抱っこしないと寝てくれない。お布団の上では眠ってくれない。」という現象が高頻度で起こるのです。

いつまで続くのかは個人差があり、私には何とも言えません。
でも、赤ちゃん自身が「生まれる時は僕も(私も)苦しくて大変だったんだよ。生まれてからは一人ぼっちで寂しかったんだよ。お母さんはそのことを分かってくれているのかな?」という気持ちが癒される頃に、解消されるようです。
先日出会ったお母さんは、「赤ちゃんの1歳の誕生日まで、毎日抱っこしたまま眠ってました。」と仰ってました。
別のお母さんは「10か月で、お布団で眠ってくれるようになりましたが、3歳過ぎまで、出掛けた時は、(お母さんの)太腿にかじりついて、離れようとはしませんでした。」と仰っていました。
とっても甘えん坊で寂しがり屋さんなのですね。
その対応はとても大変だけど、それにはこのような理由があるので、赤ちゃんの気持ちを忖度(=そんたく)して、受け止めてやってくださいね。

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2010年9月22日 (水)

ミルクナースって知っていますか?

ミルクナースって言葉、聞いたことがありますか?
ミルクナースとは、白衣姿のミルク屋さんの営業系社員です。
栄養士さんや看護師の資格を有する方たちが大半ですが、中にはそういう資格を持たない方も居たそうですよ。
一応、日本国内には、そういう名称の職業はありません。(近似値的な職業は有りますが・・・)、海外特にアジア・アフリカ諸国では、スタンダード化された職業でした。

ミルクナースとは、莫大な利益を生むと考えられた育児用粉ミルク市場を更に拡大させるための販売促進業務を担った人達を指します。
具体的な販売促進業務は、ミルクのサンプルの無償配布・調乳指導です。
産後間もないお母さんたちに、「おっぱいよりも、優れていますよ。」「簡単に準備できますよ。」「ミルクは先進国でも普及していて文化的なのですよ。」等の殺し文句を携えて、おっぱいの出方に関係なく、ミルクをどんどん言葉巧みに勧めます。
なにしろ、ミルクナースは貧しい地域の方に無償配布・調乳指導をするのですから、とても親切そうな善意の第三者に見えてしまいます。

ここで思い出してほしいのは、おっぱいはまともに吸わせないことが、1週間も続けば、おっぱいを作る「プロラクチン」の血中濃度は妊娠前のレベルにまで低下するということです。

貧しい地域のお母さんたちを、出産間もない頃から、さんさんミルク浸けにしておきながら、いよいよおっぱいが出なくなってきても、ミルクをそれ以降も無償で配布されることはありません。
そうです、購入せざるを得ない状況に追い込むわけです。

しかし、育児用粉ミルクはあまりに高価なので、貧しい地域のお母さんたちは長持ちさせようと、規定濃度よりも薄めてのませようとしてしまいます。
薄めると過去記事にも書いておりますように、栄養分の吸収率が悪くなりますね。
また、先進国のように上水道・下水道整備されておらず、泥や汚物の混じったようなお水で調乳し、結果乳児がバタバタと下痢で死んでしまうということも日常茶飯事に起こっています。
結果多産に拍車をかけ、さらに貧困化が進む・・・という悪循環があり、これを断ち切るのは母乳育児の推進しかないと、WHO/ユニセフも気が付き、WHOコードや10カ条がつくられるという流れになって行くのです。

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2010年9月21日 (火)

切迫早産でおっぱいケアが出来ない方必読!

<ご連絡いただいたこと>

切迫早産で入院のため、おっぱいのケアは全くできていませんでした。
生まれてからはとってもよく寝るお姫様で、カンガルーケアの間は胸の上で涎をタラタラしながら熟睡。
3時間後の初めての授乳でも、起きる気配はなく、お乳をくわえさせても吸い付くことなくスヤスヤ。
母子同室だったのですが、夜明けから、お昼近くまで6時間近く泣きもせずに眠りつづけた筋金入りの眠り姫ちゃんでした。
まわりの赤ちゃんは2時間くらいで泣いて授乳しているのに、「うちの子はよく眠るわ~。良い子ちゃんなのかな?」と思っていたら、授乳記録を見た看護師さんが驚いて、「3時間あけちゃだめ!起こしてでも飲ませて!」と指導が入りました
その後、妊娠中全くケアできなかった固い乳首のマッサージやおっぱいをあげるときの抱き方を指導されながらの授乳が続きました。

しかし、乳首が固いためかうまく吸えず、泣き疲れて眠ってしまうことが続き、黄疸の治療が必要になりました。
結果、起きるどころかますます長く眠るようになってしまいました。
授乳の合間は、乳首のマッサージを教わったようにしていましたが、びっくりするくらい痛くて、痛みの割に出ないいおっぱいと、上手く吸い付けず泣きつづける我が子を見て、産んだらおっぱいなんて誰でも出来ることという考えは吹っ飛びました。
プラス舌が上がっているため乳首が舌の上に乗らず、上手く吸いつけないことが判り、ミルクと搾乳の補足が始まりました。
直母20分→ミルク又は搾乳を哺乳瓶かスプーンであげる・・・というサイクルを、3時間毎に繰り返し、時間が空いているときには寝るかマッサージをかねて搾乳。
両胸に搾乳の指の跡が痣になるくらいつきました。
こんなに痛い思いをするのに、おっぱいからは飲んでくれない。
なのに、哺乳瓶やスプーンからはゴクゴク飲んでくしまう我が子を見て、おっぱいもうやめたい!と、寝不足と母乳をあげなきゃというプレッシャーでマイナス思考になってしまいました。
そう思ってしまった自分に更に落ち込み、切迫早産の兆候にも気がつかず、おっぱいも上手く飲ませてあげられない、なんてダメなお母さんなんだろう…と、脱水でシワが増えた我が子の小さな手足を見て泣いてしまう日が続きました。
その後、看護師さんや同室のママのフォローもあり、自分ができることをしていこう!とプラスに思えるようになり、携帯で母乳について調べるうちに、『最強母乳外来』に辿り着きました。
少し長引いて10日間入院しましたが、退院後は、O式マッサージとブログの情報で、退院時には「2、3ヶ月は哺乳瓶併用で頑張っていこう!」と看護師さんに言われていたのに、1ヶ月検診前に完母になりました!
(頑張った我が子が一番のお手柄ですが!。)

その後は一転、出過ぎて張るおっぱいの管理にブログ情報を活用させてもらっています。
食欲より睡眠欲の眠り姫ちゃんはいまだ健在ですが、直母が軌道にのってからの成長は加速度的で、3ヶ月と2週間で7kgを超えるトコトコちゃんです。
1ヶ月検診の時には、眠り姫っぷりをを知っている看護師さんが、60g/日の体重増加にびっくりしていました。
おっぱいは、調子が良くて5分1クール。
一日8~10回のペースです。
なるべく両方を飲ませるようにすると、3分1クールということも多いですが、体重の増え方やおしっこの量があるため、これがこの子のペースなのかな?と思っています。

<SOLANINのお返事>

切迫早産入院中の妊婦さんは兎に角無事で37週0日を迎えたい&赤ちゃんが2500g以上になってほしいと祈る日々かと思います。
安産を目指し、マタニティークラスを受講されても、おっぱいについては知識ゼロというのが有りがちな現実です。

固い乳首はそれだけで、吸いつくのに難易度が高いです。
おまけに赤ちゃんの吸いつき方が下手っぴちゃんだったら&眠り姫ちゃんだったら、普通の病産院ならば「はい。完ミにしましょう!」でチョンですわね。
母乳育児支援を頑張る病産院であっても、搾乳介助して、乳房に青タンを拵えてしまうことも確かです。
マイナス思考に陥ってしまい、楽しいなんて思えなかったことでしょう。

そこから這い上がるのは並大抵ではなかったと思います。
よくぞ克服されました。
良かったです。

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2010年9月20日 (月)

児が乳頸部亀裂の絆創膏拒否!紫苑さんの知恵(1歳3カ月)

<教えて下さったこと>
1歳3ヶ月になる息子の前歯が乳首に当たり、両方に乳首の乳輪との境目がパックリと切れました(涙)
絆創膏をどんなにちいさくして貼っても完全拒否。
オッパイの前で天を仰ぎ大泣き。
デスパコーワを塗るも毎回前歯が当たる(というかめりこむ)ので治らず…
そこで基本に戻り、息子に大きな口を開けてもらい、前歯の位置を乳輪にあたるようにしたところ痛みが軽減。
この月齢だと『あー』といえば真似をしてくれますし、そこに『ガポッ』といいながら乳首を入れました。
難点は面白がって何回も『あー』とやってきて真面目に飲まないことですが、今昼間の授乳はほとんど別腹の精神安定剤なので、母と子のコミュニケーションとしてそれもいいかな・・・と(笑)
以上、息子の可愛さ自慢になってますが、報告でした☆

 

<SOLANINからのお返事>
基本に立ち返るところが素晴らしい!
1歳を過ぎて、お母さんの真似をするのが大好きな年頃。
その習性(?)を活用され、痛みの軽減を図る道を編み出されたのですね。

なお、絆創膏(キズパワーパッド)は小さく切ってしまうと、食べてしまう恐れがありますから、切るのは半分の大きさまでにしてくださいね。
もう少し小さな月齢の赤ちゃんであれば、絆創膏(キズパワーパッド)を貼ってるのを先ず見せてから言い聞かせをしてください。
「お母さんは、おっぱい怪我しちゃったから絆創膏貼ってるの。貼らないと痛くて飲ませてあげられないの。怪我が治るまで貼ったままで飲んでちょうだいね。」と呪文のように唱えてくださいね。

最後に、お坊ちゃんの可愛らしさ、ご馳走さまでした。(笑)
ほのぼのして良い感じです。

追記:キズパワーパッドの添付文書には「動物や人の噛みキズには使用しない。」という注意書きがあります。
ですので、最終的に使用されるか否かについては、各人添付文書をお読みいただき、その上で判断してください。
これまで実際に見てきた限りでは、貼付前に患部に付着したよだれを拭きとったり洗ったりしてからという常識的な対処の後にされてますので、感染兆候の所見は見たことがありません。
キズパワーパッドは商品の性質上、剥がれるまで数日間貼付可能のようですが、私は赤ちゃんが咥えることを考え1日1回は貼り替えるようにお勧めしています。

 

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2010年9月19日 (日)

片乳しか飲まず、残った方がカチカチ。

<ご相談内容>
乳口炎になり、こちらのサイトに辿り着きました。
今ではすっかり良くなりましたが、私はおっぱいが過分泌のようです。
なので、今でも赤ちゃんは片乳で満足してしまい、残った方の片乳はカチカチに張ってしまい、困っています。
飲まなかった片乳は、搾乳した方が良いのでしょうか?
またトラブってしまいそうで怖いです。
どうしたらいいでしょうか?

<SOLANINの回答>
月齢が不明ですので、最大公約数的な回答になりますが・・・
過分泌の方でなくても1回の授乳で片乳で終了することが続くと、乳房トラブルに見舞われ易いです。
考えてもみてください。
仮に3時間片乳飲んで眠って・・・というパターンを繰り返しているのなら、片乳は6時間乳房中に貯蔵されるということが常態的に行われていることを意味します。

出来立て直送が美味しいのはスー○ド○イだけぢゃないのよね。
どうせなら、美味しいおっぱいをあげてほしいし。

乳房トラブルの原因として考えられる要素として、授乳間隔が空き過ぎているということが挙げられます。
まして、今回は乳口炎からの病み上がりでしょう?
例えば5分片乳で満足する赤ちゃんであれば、3分1クールに持っていけないかチャレンジして、どうしてもだめなら搾乳して乳房緊満をコントロールしましょう。
過分泌の方は果てしなく搾乳出来るけど、ほどほどにセーブしてください。
残った片乳の搾乳量の上限は50~100ml/日に留めておいてくださいね。

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2010年9月18日 (土)

切迫早産33週、今出来るおっぱいのお手入れは?

<ご相談内容>

現在33週に入りました。
私の乳首は自分なりに調べたら扁平と分かったので、以前から1日1回乳頭マッサージと、吸引器でお手入れしていました。
しかし、29週の頃、頸管長が短縮し、張り止め内服、自宅安静の指示があり、お手入れは休止となりました。
完母で行きたいのに、このままでは不安です。
おなかの張りでお手入れ休止状態のまま、臨月に入ってからのお手入れで間に合うのでしょうか?
何か今からでも母乳育児成功のため、準備しておくことがあれば教えてくださいませんか?
(乳頭の)日光浴は天気が良く、おなかの張りが軽い日にやっています。
生まれたら吸って吸って吸いまくってもらうつもりです。

<SOLANINの回答>

そうですね。
今から出来ることは…
乳房のマッサージだったら大丈夫です。
乳房の付け根(基底部)を左右の乳房それぞれ片手で下縁からリフトアップします。鎖骨が揺れるくらいしっかり動かします。
それと右乳房は右下から両手で斜め上に、左乳房は左下から両手で斜め上に揺らすのを10回ずつ動かすのを、1日1~2回行ってください。
(やり過ぎると、産後過分泌になるから、ボチボチにしておきましょう。)

局部のお手入れとしては、乳頭・乳輪をオイルパックして、乳カスを取り除きましょう。
これは乳カスが見えてきたらしてください。

おなかの張りにも、おっぱいのためにも、カラダの冷えはよくないので、起きている間はいつも靴下を履いてください。
アイスとかカラダを冷やすような飲みモノは避けてくださいね。
妊娠中からたんぽぽ珈琲飲むのも良いと思います。(もちろんホットで。)
それから…体重管理はOKですか?
増え過ぎも増え無さ過ぎも良くありません。
意外な盲点でしょうが、ココロも冷えもよくないです。
旦那さんや両家のご両親と喧嘩していませんか?
仲良くやってますか?
みんなで赤ちゃんを心待ちにしていますか?

もうひとつ大事なことが…
おなかの赤ちゃんにお話ししてますか?
おなか(子宮)に手を当てて意識して語りかけてください。
赤ちゃんはお母さんの手のひらの3cm下に居られます。
おっぱいを吸うときは大きなお口を開けること。
ビックマックを食べる位「今お母さんがお口を開けたくらいね。」と実際にやってみてください。
おちょぼ口では量は飲めず、お母さんの乳首が痛くなるから止めてねということ。
舌は下顎よりも前に出して、乳輪から巻きつけること。
咥えたら安心して眠たくなるけど、そこは頑張って、リズミカルに吸い続けること。
…などなど、赤ちゃんの耳にタコが出来る位、毎日何度も呪文のように繰り返してください。
赤ちゃんも初心者なんです。
イメージトレーニングは大事なんですよ。

赤ちゃんが週数相当に育ち、頸管長もあまり変化が無いなら、百歩譲って36週に入れば、AM11時~PM1時までの一番おなかの張りにくい時間帯にお手入れを復活させてください。
どうしてもおなかの張りが気になるなら、ゴロリと寝転びながらやってください。
もちろん、お手入れする時は、いつも赤ちゃんに「始めるよ~。」と声掛けしてからね。

あとは…37週に入れば怖いもんナシです。
それまで出来なかった分を挽回するのです。
短期強化練習のつもりで、1日10回くらいのペースで、乳頭・乳輪のマッサージをしてください。

毎回ホホバやスウィートアーモンドなどの植物性マッサージ用オイルでオイルパックしてから行ってくださいね。
お手入れをしていない乳頭・乳輪は鼻先くらいのの硬さです。

でも、頑張ってお手入れをすれば、耳たぶの柔らかさになってきます。
やれるだけのことをしたら、自分を信じて赤ちゃんを信じていくだけですよ。

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2010年9月16日 (木)

離乳食は食べない、ミルクは飲まない、体重増えない。(9ヶ月)

<ご相談内容>
こんばんは☆39w4dで産まれた娘の母です。
出生時2565g、身長46、2cm 頭囲31、5cm。
1ヶ月11日3720g、身長50cm 頭囲36cm。
1ヶ月24日4000g。
2ヶ月約4200g(自分で測ったため)。
3ヶ月21日約5100g。
4ヶ月11日5205g、身長58、5 頭囲39、5。
5ヶ月12日5665g。
7ヶ月3日約6000g。
8ヶ月3日約6200g。
9ヶ月16日6335g、身長65、7 頭囲42cmです。
検診の時、体重以外問題ないと言われますし、ズリバイ、つかまり立ち、伝い歩き、後追いと元気な娘です。
もちろん体重はそんな気にしなくていいのはブログで読んでいますし、9ヶ月16日の時に受けた健診までは気にしてませんでした。
健診の時に小児科の先生より栄養不足と言われ、母子手帳に体重増加不良のハンコが押され、体重を増やす目的じゃなく、栄養のためミルクを足すように言われました。
でもマグやスプーンであげてみても拒否されました。
離乳食は食べても全部で大匙3くらいで大抵はこれの半分くらいです。
9ヶ月半で体重が6kg台ってやはり成長によくないでしょうか?

おしっこも出てる方ですが、私自身の食事内容(栄養やカロリーなど)が、低いため飲んでも体重が増えないのでしょうか?
娘はキョロちゃんで一回に飲むのが片乳/3分です。
あとは飲まない事が多く、1時間起きで(昼寝は抜きです)1日に片乳を10回くらい飲んでます
8ヶ月か9ヶ月頃にスケールで飲んだ量を一度だけ測ったら100グラム増でした。
4ヶ月頃に母乳外来に行った時に助産師さんにお乳のトラブルも大丈夫そうだから一回の授乳を片乳だけにし、頻回にあげるよう言われました。
こんなにあげても増えずに横ばいするのは母乳の出が足りないんでしょうか?
長くなりましたがよろしくお願いしますm(_ _)m

<SOLANINの回答>
ちょっと分からないのですが、スケールで計った哺乳量は片乳だったのかな?その時は両乳?
ついこの間、「6kg以上の赤ちゃんで、離乳食開始前で800~1000ml/日は哺乳しますし、それだけ飲んだら増えますよ。」って記事、書きましたが読んでませんか?
離乳食は始まってても少食ちゃんのようですし、体重増加が喫緊の状態ですから、まずは必要とされる総哺乳量はそれ(=離乳食開始前)に準じて考えましょう。
一部の過分泌の方を除いて、1回の授乳が量的に片乳で充分ということは普通有り得ないコトは、ご存知ですよね?
ましてキョロちゃんなのだから、片乳10回は、贔屓の引き倒しで見積もっても5回相当しか飲んでいないことになるでしょう?
5回って言えば、離乳食をがっつり食べてる子の授乳回数と見做してもらって差支えない回数なんですね。
これはいくらなんでも回数的に少ないわね。

なので、お嬢ちゃんの体重が増えないのは、お母さんのおっぱいが低カロリーとか出方が悪いとか離乳食を食べないからとかそうではなくて、根本的におっぱいの摂取量(1日当りの総哺乳量として)が少ないからではないでしょうか?

満腹中枢が形成して来て、キョロちゃんでという条件であれば、腹8分どころか腹5分でOKって赤ちゃんは多いのね。
まして、運動機能が良く発達して活発なお嬢ちゃんでしょう?
通常よりも運動でエネルギー消費してることは間違いないわけです。
なので、通常よりも哺乳に配慮が必要なお嬢ちゃんなのですよ。
しっかり飲むのが8回/日くらいになるように計算して、飲ませてあげましょう。

それから・・・体重増加度を算出するには○ヶ月○日というのではなく、○●日目というように生まれた日を0日目として数えて書いていただかないと、正確な計算が不可能です。
私は計算だけはドンブリ勘定はしない主義なので、きちんと書いてやってくださいね。
取り敢えずそれで様子見して1週間後体重チェックしていきましょう。
それから、体重に懸念がある赤ちゃんは、せめて1か月に1回は体重チェックして、母乳をあげておられるのであれば、おっぱいのコンディションも診てもらった方が良いと思いますよ。

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2010年9月15日 (水)

ちょこちょこ飲みでおっぱいがスッキリしない。(生後1カ月半)

<ご相談内容>
はじめまして。
毎日チェックさせていただいて、母乳育児にチャレンジ中の新米ママです。
お忙しいと存じておりますが相談させて下さい。
赤ちゃん(ウチは男の子です)の体重の変化は・・・
出生時2845
生後6日目2645(退院時)
生後34日目3785(1か月健診時)
生後55日4600・・・です。
生後34日まで直母後40~60を1日7回ミルクを足していました。
(補足量350前後/日)
その後のミルクの補足量は160/日までに抑えています。
当初乳頭混乱で咥えてすらくれませんでしたが、今は少し改善しました。
しかし、泣いておっぱいをあげようとすると三回モグモグして、すぐに眠ります。
1日に16回以上授乳していますが、毎回おっぱいがすっきりした感じがしません。
寝込みを襲いたいのですが、口をあけてくれません。
どうしたらうまく口をあけて、モグモグしてくれるのでしょうか?
実母と義母のミルク攻撃に負けず、母乳だけで育てたいと希望しています。

<SOLANINの回答>
6日目~34日目迄の体重増加度は40.7g/日。
34日目~55日目迄の体重増加度は38.8g/日。
ミルクを多く補足していた頃も、半減させた後も、体重増加度は良いと思います。
34日目以降は直母で700以上/日のレベルで哺乳出来ているようです。
つまり、この月齢でこの体重であればミルクは不要ということです。
ただ、16回/日は直母していらっしゃるとのことですから、40前後/回くらいの1回量なのでしょうね。
これはおっぱいが出ていないのではなく、体力的にラクを憶えてしまっているから、真面目に飲むと疲れちゃうからです。
かと言って、毎回の授乳で、直母3回吸ってふぅ~と意識が遠のいていては、しっかり飲めないので困りますね。
相談者さんは寝込みを襲ってと書いておられますが、そのやり方が効果的なのはキョロちゃんに対してです。(困)
寝太郎さんの寝込みを襲っても、ハッキリ言ってあまり意味が無い・・・(汗)

そんなんだったら、過去記事にもあるように、冷たいおしぼりでお顔を拭くとか、足裏をグイグイと指圧するとか、立て抱きであげるとか、赤ちゃん自身がせめておっぱいの時は起きてくれるように、仕向けることです。

そんな哺乳状況なのに、飲まなくてもいいミルクをあげているから、余計におっぱいがスッキリしないのですよ。

ミルクを止めていき、どうしてもならば搾乳をしてあげましょう。
おっぱいを軽く搾って、赤ちゃんの口唇にチョンチョンと付けてあげます。
そうすると、雫のようなおっぱいが鼻薬になり、赤ちゃんは覚醒されます。
ハフハフしておっぱいを探しにかかりますよ。
そこが大事なのですよ

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2010年9月14日 (火)

赤ちゃんはおっぱいしか飲めないの。(上の子への説明)

下の子の母乳育児開始されたばかりのお母さんのお悩みに、「上の子が赤ちゃんの口に指や食べ物を突っ込むので困ります。」というものがあります。

どういうわけか困ったことに、幼児にとって穴という穴は、埋めていきたいという衝動があるようです。(目や耳や鼻にも突っ込みたくなるようです。)
何気に赤ちゃんの口に自分の指を突っ込んで吸わせたり、食べ物を無理やり突っ込んで、食べさせようとすることは、しばしば耳にします。
生まれたての赤ちゃんが居る兄姉の動きは、オトナの視界に留めておくのが事故防止の鉄則ですが、ディフェンスラインを突破しないように、普段から理解できるように注意することも必要です。

実はウチの長男は、自分は食が細いくせに、弟に何かを食べさせたいという情熱を抱いていました。
初めてディフェンスラインを突破したのは、生後3週目でした。
私は事情があり、長男・次男の出産後の生活の拠点は連れ合いの実家でした。
その日長男は、義母に貰ったおやつの林檎(八ツ切りしたもの)を弟の口に捻じ込んだのです。(その時私は授乳が終わって、WCに行き、階下に降りてお茶を飲み、次男は2階の部屋で一人で眠ってました。その隙に、長男は侵入したわけです。)

何も知らない私は、ひとやすみして2階に上がり、次男を見て仰天しました。
口から林檎の切り身が生えているではありませんか!
しかも次男はウグウグと苦しそうです。
ビックリして直ぐに引き抜きました。
次男にこんなことをする輩は・・・1名しかいません。
体中の血液が逆流しそうになる怒りを必死に抑え、「林檎、食べさせちゃったんだ。なんでかな?」と長男に聞きました。
彼は「おっぱいばっかり飲んでても、直ぐにおなか空くから、ちょっと林檎でも食べたら良いかなって思ったの。」と答え、「僕のおやつを分けてあげたんやで。僕って良い子でしょう?」と得意げに言いました。

さて、悪意のない危険行為にどう答えるか?

私は長男に、「あのね~。赤ちゃんは歯が生えていないでしょう?歯茎だけしかないから、ご飯も林檎も何にも食べられないの。おっぱいしか飲めないの。お口をパクパクしてても、ご飯や林檎をあげたらダメなのね。噛めないからウグウグしてて、苦しかったのよ。だから(次男に)御免なさいしてね。もっと大きくなったら、歯が生えてくるから。そうしたら、お粥や柔らかいおかずを食べさせてあげるからね。その時は手伝ってね。」と言いました。

個人差はありますが、半年くらいすれば、下顎の乳中切歯は生えてきます。
決して嘘はついていません。(←ここ、重要です。)
「そっか~。分かったぁ~。ごめんなさ~い。」と、にこやかに長男は答えました。
それから暫くは、次男は無事に過ごせました。
2回目のディフェンスラインを突破するまでは・・・(to be continued)

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2010年9月13日 (月)

授乳中夜間の飲食について。

特に昼夜逆転傾向の赤ちゃんにおっぱいをあげていると、深夜でもやたらとおなかが空きますよね?
そりゃあそうです。
お母さんは深夜勤務をしているようなものですから。
ずっと抱っこか、おっぱいか・・・って感じでしょうからねぇ。
時間帯によっては、人格が崩壊しそうなくらい、おなかが空くことだってあるかと思います。

もちろん、キホン的に夜間の飲食はされない方が良いと思います。
というのも、通常赤ちゃんがネンネされたら、お母さんはバタンキュ―になるでしょうから、食べて直ぐに眠るということは、それだけで太りり易くなります。
母乳でダイエットを目指しているお母さんにとっては、自爆行為だと思いますよ。
また、食べて直ぐに眠るということは、今流行(?)の逆流性食道炎になり易いし、消化も悪くなる恐れがあります。
自ら引き起こした病気による内服が待ち受けていますから、危険行為だと思いますよ。

なので、キホン的に夜間の飲食をしても止むを得ないという状況は、常にオ―ルナイトで、横になることなんて、有り得ない方限定ですね。
お茶や小さくかためのお握りを枕元に置いておき、良く噛んで食べるくらいなら、乳房トラブルや逆流性食道炎にはならないでしょう。
言わずもがなですが、深夜にお菓子は食べないでね。

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2010年9月12日 (日)

赤ちゃんとテレビの視聴について。

最近、赤ちゃんのお母さん方に人気の脳科学おばあちゃんは、積極的なテレビの視聴をお勧めしておられるようですね。
「時間制限なんかしないでジャンジャン観せなさい。」と出演中のエ○カの●で仰っていたのを聞いたことがあります。

でも、ホントにそうなんでしょうか?
しばしば、「ウチの子は0歳なのにテレビを集中して観るんですよ。」と誇らしげに仰るお母さんに出会いますが、私は「それは集中ぢゃないのですよ。」と申し上げます。
テレビの画面からは超刺激的な光や色や音の洪水が繰り広げられています。
瞬間瞬間変化するから画面から目が離せないだけです。
まして、中身を理解しているかと言えば答えはNOです。

DVDにしても、どんなに内容が優れていても、実体験には敵いません。
例えば赤いボールは赤い丸にしか見えません。
コロコロ転がったり弾んだりすることも、プニプニしていることも、触ってみないと画面からは伝わってきません。
目と手の協調運動は、実体験から身につくのです。
例えば犬が吠えるのも、至近距離で体験してこそ、迫力が伝わってきます。
特別なことでなくてもいいのです。
実体験することは、とても強いインパクトがあるし、心に残ります。
幼い頃、テレビで観たことが、人生の思い出になるでしょうか?
あるかもしれませんが、そんなに多くはないと思います。

赤ちゃんにテレビやDVDを観せるならば、お母さんやお父さんに抱っこされて、「これは○●でね~。」と、説明してもらったり、「クマちゃんは嬉しかったから笑ったのかな?」と、考えるきっかけを作ってもらうような働きかけが出来て、尚且つ短時間(30分間くらい)ならば、アリかもしれませんが、家事等の邪魔をされないためにとかの理由で、子どもたちだけで時間無制限で観せるのは、止めた方が良いです。
赤ちゃんよりももう少し大きくなって、歌やダンスが好きで、真似したがるから観せるのであれば、お母さんやお父さんも一緒に踊ってください。

テレビやDVD(≒実体験無しでバーチャル体験だけ)では、どんなに内容が優れていても、子どもの情緒や知能面で発達を促すことは殆ど無いです。
少なくとも、言葉が早くなることはまずないです。(遅れることは充分にありますが。)
テレビやDVDの全てがダメとは言わないけど、内容を理解できる年齢になるまでは出来るだけ観せない方が良いと思います。

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2010年9月11日 (土)

お風呂でおっぱいは変ですか?(1歳)

<ご相談内容>
お忙しいなかすみません。
毎日みています★
私の息子1歳はありがたいことに産まれてからずっと完母で特に問題なく育ってます。
現在も多いとき6~7回/日のペースです。
相談なのですが私の息子は毎回お風呂に入ると、すぐに飛びついてオッパイを飲みにきます。
私的には見れば、目の前におっぱいがあれば欲しがるのは当然で、あまり気にしていなかったのですが…実家の親や姉から1歳になったのでおかしいと言われてしまいました。
お風呂で授乳は避けるべきでしょうか?

<SOLANINの回答>
そうですか~。
ちっともおかしくないですよ。
赤ちゃんも成長されると、お母さんとお風呂に入れば、ある日ある瞬間、大好きなおっぱいが目の前にあることに気がつくわけです。
それで、お湯に浸かっていると喉も渇きますから、「ここらで一丁、飲んでみるか?」という気持ちになり、ぱくっと咥えてしまったのですね。
で、「こりゃあイケるなぁ~。」ということで、習慣化しただけです。
誰かに迷惑をかけているわけではありませんし。
スキンシップの一環ですよ。(笑)

また、赤ちゃんには暦は関係ありません。
もう1歳とか1歳半とか、そんなことを意識している赤ちゃんは居られませんよ。
それはオトナの都合というか、考え方。

気にしないで!おっぱい星人なんだもん♪
ちなみにウチもそうでしたよ。

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2010年9月10日 (金)

日により時間により母乳分泌は変わるの?(産後3週間)

<ご相談内容>
産後21日目(いわゆる床あげ)を過ぎないと、目が悪くなるからと家人に言われているので、まだ過去記事を読み切っていないから感じる疑問かもしれませんが、どうにも心配なので、教えてください。
今回の出産は2人目です。
ウチの赤ちゃんは出生時3266グラムで生まれました。
その後の体重の変化は次の通りです。

生後2日目3084グラム
退院前日(生後4日目)3150グラム
生後10日目で3336グラム
生後20日目で3755グラム

入院中は4日目にして母乳が出始めたので、それまではミルクを日に5~6回(1回量は生後日数×10ml)飲まるやり方の産院でした。
直母は1日10回以上は続けてました。
退院してからは直母を1日10~15回、ミルクを1日1~2回(一回量は直母後30~80ml)足しています。
昼間はよく出るときで2~3時間空きますが、平均1~2時間で欲しがり、出ない時間は30分以上咥えています。
離したと思えば10分程で泣くこともしばしばです。
とくに午後から夜寝るまでの時間が多いようです。
そのときに上の子にかかっていてすぐにあげられないと狂ったように泣き、顔を引っ掻き大変です。
夜中は母乳のみで3~4時間は空きます。

ご相談したいのは日によって時間によって分泌量が違うのではないか?ということです。
昼間の時間帯でおっぱいの最中にゴクンという音がまったく聞こえなくなり、しばらく咥えていた赤ちゃんが乳首を引っ張ったり暴れたり蹴ったりして泣きます。
(逆に眠たい時などは、ゴクンという音がして、おっぱいが出ているときにも同じように暴れるときもあります。)
それが時間帯でも違いますが、日によってもかなり違うようです。
最近は夜中の出てる時間に飲ませた後に、予め搾乳したものを80m補足しています。(搾乳が無い時はミルクを補足しています。)
出ない日や時間はどのようにしたら出るのでしょうか?
このままの与え方で良いのでしょうか?
とても不安です。
長くなりわけの解らない文になってしまいましたがよろしくお願いします。
ちなみに近くに母乳外来はありません。

<SOLANINの回答>

う~む。
質問の内容から察するに、1人目さんは完ミに近かったのでしようね。
出産された産院が「まず補足ありき」だったから、赤ちゃんが泣いたり授乳間隔が短かったり長くおっぱいを咥えると、何か補足しなくては!と思っちゃうんでしょうね。

そしてこの相談内容は、以前からの読者さんや、最近読者さんになられた方であっても、1人目は完母だったという方にしてみたら、状況的に「えっ、それで?何が問題なの?何でミルク足すの?」というものですよね?

そうなのです。
母乳育児を希望されるなら、母乳育児ってどういうものなのか?ということを、正しく知ってるのと知らないのとでは、毎日の子育ての楽しさが、全然違います。
もちろん、不安のない子育てなんてありませんよ。
その時々で、疑問は生じることでしょう。
大変だという時もあるでしょう。

けれども、正しい知識のある方は母乳育児に対するモチベーションが違うんですね。
相談者さんの疑問の解消は、まず、過去記事を読まれることです。
それに尽きます。

「WHO/ユニセフの体重増加度の規準」
「おっぱいとミルクの消化時間の違い」
「おっぱいの分泌量は昼間と夜間では異なるしくみ」
「昼間のちょこちょこ飲みの重要性(分泌アップのカギ)」
「この時期に夜間3時間眠ってくれることの有り難さ」
「松果体ホルモンの影響」
「満腹中枢形成時期までの赤ちゃんの飲み方の特徴」
「日により時間により分泌量に差があっても、きちんと体重増加がみられれば補足の必要性は全く無いこと」
「ミルクは医学的にどうしても必要な赤ちゃんが飲むもので、必要ない赤ちゃんにあげるものではないこと」
「赤ちゃんには飲みムラがあること」
「授乳間隔は規則的なものではないこと」
等々、全て過去記事さえ読んでおられたら、心配には及ばないことばかりです。

相談者さんの母乳育児は始まったばかり。
1日も早く母乳育児に関する正しい知識を身に付けましょう。
そうでないとこの先、同じところで悩み続けることになり、おっぱいをあげることがちっとも楽しめなくなりますよ。
どうせなら、毎日の子育てを楽しみたいですよね?
深呼吸して、肩の力を抜いて、赤ちゃんを優しく抱っこし、て見つめて、おっぱいをあげてください。
お忙しいかとは存じますが、過去記事を読みこなし、自分の知識として身に付けてくださいね。
そうすればこの先、母乳育児のトンでも情報を垂れ流す医療者に遭遇しても、某国の前総理のようにブレずに済みますからね。(笑)

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2010年9月 9日 (木)

妊娠と授乳の両立について、問題ないと言える根拠。

確か昨年の12月に発表された、日本で2番目にBFHに認定された静岡県の石井第一産婦人科の石井廣重ドクターの書かれた論文(毎日新聞等に掲載されましたね)を引用した記事を私は書かせて貰いました。
憶えておられる読者さんも少なくないと思います。

石井廣重ドクターは結論として、「授乳している・していないにかかわらず、院内の統計でも(海外でのデータでも)流産率に有意差は見られなかった。実際に切迫早産の恐れがあれば、回数を減らすなどの配慮は必要だが、そうではないならば、不必要な断乳は避けるべき。」と仰っています。

そもそも、妊娠中におっぱいをあげていたら流産し易くなって危険だから断乳を!という論調は何処から来たのでしょうか?

看護師さんだったらよ~くご存知だと思いますが、産後の退行性変化として、(1)「直母することで、オキシトシンが放出される。」(2)「オキシトシンは子宮を収縮させるホルモンで、脳下垂体から放出される。また、母乳を射出させる働きを持つ。」って系統看護学講座のテキストに書いてありましたよね?
どちらも医療者が大好きな(そういう視点が必要な)エビデンス(=根拠)のあることです。
エビデンスが2つも重複していたら、これは紛うことなく超強力なエビデンスに見えてきちゃいますよね?
でも、ホントにそうなのかしら?
真実を知るためには、「幾つエビデンスが重複していようが違うことだってあるのだ。」という視点、これって結構大事なんですよ。
まだ、分かりませんか?
では、具体的な例を挙げましょうか?

(産婦人科領域でお仕事したことがある方は、少なくとも知ってる筈なんだけどな。)

一生避けて通りたいことですが、世の中には中期中絶ということがあります。
いわゆる堕胎は初期中絶で、妊娠12週までに子宮外に胎児を出すことです。
その処置では、予めラミナリアというもので子宮口を開大させてから、金属のヘラで胎児を掻き出すというものです。(掻爬(そうは)といいます。)

それに対し、中期中絶というのは妊娠12週以降22週までの期間に子宮外に胎児を出すことですが、この時期はもう胎盤が出来ていて、急激に胎児が成長する時期なので、掻爬では胎児を出せないため、分娩と同じ方法で出すしかないのですね。
分娩というからには・・・そうです、陣痛を付けなくてはなりません。
しかし、胎盤が出来てくる、いわゆる安定期には通常、自然に陣痛は発来しませんから、人工的に発来させるのです。
人工的な陣痛発来のためには、予めラミナリアで子宮口を開大させた上で、プロスタグランディン製剤である『プレグランディン』という膣座薬を定期的に挿入するのです。

翻って考えると、「あれっ?」って思いませんか?
陣痛つまり、間隔が10分間以内の規則的な子宮収縮を起こすのに、何故オキシトシンを使用しないのか?
オキシトシンは汎用される商品名では『アトニンO』といいます。
陣痛誘発や促進には欠かせないお薬です。
(ここから重要です)実はオキシトシンは妊娠各期で感受性が変化するという特性があるのですね。
20週から30週にかけて徐々に感受性が高まりますが、まだ、さほど高くはないので、中期中絶の際に陣痛発来させようとして使用しても子宮収縮は有効レべルに至らないのです。
20週以前なら、感受性が無いに等しい・・・そう、『アトニンO』では有効陣痛は発来しないので使用されないのです。
ちなみに徐々に高まった感受性は34~36週頃までは、そのレベルから変化はなく、いよいよ高まってくるのは37週以降なんですね。
ちなみに『プレグランディン』には未熟な子宮頸管を熟化させるという、分娩になくてはならない作用機序を併せ持っています。
そしてそして、この『プレグランディン』は直母をしても、お母さんのカラダの何処からも放出されることはないのです。
このあたりの作用機序は、産婦人科のドクターや薬剤師さんがお詳しいと思いますので、一度聞いてみられたら良いかと存じます。

込み入った長文になりましたが、ご理解いただけましたでしょうか?

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2010年9月 8日 (水)

フォロミの6・9戦争って知っていますか?

あれは1988年頃だったかと思います。
 
それまではフォローアップミルクを与え始める時期(育児用粉ミルクからの切り替え時?)は9か月からとされていました。(これは今でもミルク屋さんのキャッチコピーだから、大抵の方は知っていますよね?)
 
あ、誤解無きよう申し添えますが、フォロミは不要ですからね。
 
この記事では故事として申し上げているわけです。

ところが、SAが、いきなり6か月から飲めるフォローアップミルクというのを販売し始めたのです。
 
それに引きずられて、M永、Y印が、早期化の波に乗り遅れまいとして、次々に6か月から飲めるフォローアップミルクを販売し始めたのです。

ただ、さすがにミルク屋さん主導のこのブーム(?)は、「フォローアップミルクは母乳や育児用粉ミルクの代替え商品ではない。」「そもそも離乳が順調であれば必要性のないものである。」「6か月からではかえって栄養バランスが悪くなる恐れがある。例えば育児用粉ミルクに含まれる銅や亜鉛といった微量元素が全く含まれていないし、たんぱく質は多過ぎて、離乳食がまだまだの6か月頃に切り替えるのはあまりに早過ぎではないか。」という意見が小児科ドクターや赤ちゃんのお母さんたちから多く噴出したそうです。

1995
年には、それ以前よりも乳児のたんぱく質所要量が減量されたため、フォローアップミルクを6か月から切り替えて乳児のたんぱく質摂取量をシャカリキになって増やそうという風潮も収まり、離乳食3回食開始となる(←恐らくこれは最短としてでしょうね。)9か月頃から使用するもの的な取り決めが世間のスタンダードみたいになって、現在に至ります。

しかし、1990年に日本小児栄養消化器病学会は、「フォローアップミルクには乳児期の栄養法としての必要性は認めない。」と宣言しています。
 
くれぐれも記事の読み飛ばしや早とちりして、「ええっ!フォロミって飲ませるべきなのか?」などと間違えないようにしてくださいね。

余談ですが、とある育児相談の場で「完ミですが、離乳食が進まなくて、困っています。」という赤ちゃんのお母さんからのご相談があり、よ~く聞いてみたら、フォローアップミルクのガブ飲みが原因だったという事例もあるそうです。


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2010年9月 7日 (火)

3歳児健診でおっぱい星人であることをカミングアウトすべきか?

母乳育児をしておられるお母さんで長期授乳(私的には1歳半以上若しくは、達者に歩けて、尚且つ2語文程度の片言が言える段階と考えます。)されている方は、一昔前よりも増えてきていると思われます。
SOLANINの住むまちでは3歳児健診は3歳半で執り行っていますが、確か事前に記入をしなくてはならない問診票には「授乳している・していない」の項目はなかったように記憶しています。
暫く前、私は★病院の母乳外来を受診されたおっぱい星人のお母さんから「(3歳児健診では)おっぱいを飲んでいることを言った方が良いのでしょうか?」という質問を受けました。

担当保健師さんにも依るのでしょうが、3歳児健診の場では恐らく「○●ちゃんはおっぱいを飲んでおられますか?」という質問をされる可能性は極めて低いと思われます。
多分、あちらさんは3歳児でおっぱい星人であるということは想定外だから。
問診の内容も、これまで以上に発達が主眼に置かれますし、おしっこや視力や虫歯や虐待の兆候の有無等のチェック項目も増えますから、あちらさんは確認事項の数が膨大になって来るのですね。

なので、「敢えてわざわざお母さんの方から言わなくても良いのではないですか?」と、申し上げておきました。

もちろん、3歳児健診を見事にクリアーされて、最後に一発、保健師さんへのサプライズとしてカミングアウトする分には異存はありませんが。(爆)

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2010年9月 5日 (日)

哺乳量の目安って?

<ご質問内容>
過去記事を読んでいて、1日の哺乳量の目安は、4kg台で600ml以上/日、5kg台で700~750ml/日は欲しいトコロですとのことでした。
ということは、6kg台、7kg台となれば、どの位になるのでしょうか?

<SOLANINの回答>
一般的にですが、6kg台、7kg台になられると、離乳食の始める月齢に絡んでくることが多くなります。
つまり、乳汁よりもカロリーの高い固形物を摂取しはじめるということですね。
離乳食の食べっぷりは、おっぱい星人の場合は無関心に近い赤ちゃんも居られる一方、欠食児童(←うわっ、メッチャ古い言葉!)のようにガツガツした赤ちゃんやそこまで行かなくてもスプーンをお口に近づけるだけでセンサーが作動し、自動ドアの如く口唇をパカッと開けて美味しそうに食べる赤ちゃんも居られます。
離乳食をどの位食べられるかで、1日の哺乳量もも変ってきます。
なので、1日に何mlとかは言えないです。

そうではなく、たまたまがっつり型のおっぱい星人の赤ちゃんで、離乳食開始の5~6ヶ月までにムチムチボディになられ、6kg台、7kg台になられたとして、その場合どの位になるかでしたら、およその値として分かります。
もちろん、パーセンタイルグラフからも分かるように、月齢が進むと赤ちゃんの体重には個人差が大きくなります。(上限と下限の幅が大きくなりますよね?)
おっぱいの飲みっぷりにも個人差が大きくなるし、恐らく個体差的に栄養分の吸収率が良い子とそうでない子のバラつきが出てくるのですね。
男女差も多少はあると思われます。
これはあくまで参考値ですが、離乳食をひと口も食べない月齢と仮定して、6kg台、7kg台であれば、少なくとも800l、多くて1000mlと考えてもらって間違いないと思われます。

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2010年9月 3日 (金)

残暑厳しいですが、冷えに注意!

先日の記事にも書きましたが、エアコンの効いていない部屋でうたた寝した友人の高校生のお嬢さんが熱中症になりました。
もちろん、湿度が低くて、エアコン無しでも涼しいお家もあるかと思いますが、一般的には9月に入っても暑さはなんら変わる気配がありません。
体調を崩しては大変ですから、エアコンは上手に使ってくださればいいと思いますが、一つだけ気を付けていただきたいのは、どんなにエアコンが進化しても冷えた空気は最終的には床や畳などの下の方に集まってしまうのですね。

足からの冷えを侮ってはいけません。
エアコンの効いた室内で素足だと、テキメンに冷えます。
しかも、暑さにかまけて、露出過多の服装になっていませんか?
一分丈の短いパンツや肩丸出しのキャミソール・ユ○ク○のブラトップ等で、家の中で過ごしていませんか?
しかもカラダを冷やすものばかり食べ続けていませんか?
冷たいそうめんのように、喉越しはいいけど、噛まずに食べられるものに偏重していませんか?
このような条件が重なって、暑さや疲れと相まって、乳房にしこりができたり、熱発したりというお母さんが★病院でも増えてきています。
服装面での対策は、エアコン使用時は露出過多を避けることです。
どうしてもの場合、上半身は目をつぶりますが、下半身は靴下必須です。
パンツ丈も足首までの長さが理想的です。

色気が無いと旦那さんが厭がるかもしれないけれど、寝る時は妊婦さんが使うような綿素材の腹巻きがいいです。

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2010年9月 1日 (水)

はぁ? 「卒乳しましょう!」ですって?

過去記事にも書きましたが、「断乳」の2文字は2002年4月交付の母子健康手帳から消えました。
SOLANINが赤ちゃんを育てていた頃つまり、10か月で断乳&離乳食は3回食しっかり食べさせる・・・のではなく、赤ちゃんとお母さんの二人が、他所のウチと比べるのではなく、個々のペースでおっぱいを飲み、食べられるようになればいいですよ・・・という考え方が根幹に据え置かれたということなのですね。

世界的にも同じく2002年に開催された第55回世界保健総会で採択された『乳幼児の栄養に関する世界的な運動戦略』に於いて、「6か月の完全母乳の推進と、2年以上の母乳育児の継続」が薦められているくらいですから。

しかし、残念なことにこのことを知らない医療者はかなり多く、『最強母乳外来』の読者さんの多くが、10か月や1歳半のの集団健診あたりで、「もうそろそろおっぱいを止めないとね。」「離乳食が食べられないのはおっぱいのせい。」「乳歯がボロボロの虫歯だらけになりますよ。」「甘えん坊になって自立できなくなっても知りませんからね。」「お母さんが子どもの要求に振り回されているだけですよ。」「お母さんがおっぱいを止めたくないからでしょう?」等々、酷いことを医療者から言われていることは、まだまだ多いようですね。

つまり、卒乳は結果として起こり得るもので、そもそも“しましょう”(=目指す)っていうことではないのですね。

なので、もしも集団健診の場で「もうそろそろ卒乳をしましょう!」「今が卒乳のチャンスです。」などと、医療者から煽られても、スル―してください。
くれぐれも、エコカー減税と補助金交付の打ち切りと卒乳を同列に論じるようなことはしなでくださいね。

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