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2010年6月

2010年6月30日 (水)

VBACについて。

<ご相談内容>

1歳になったばかりの娘が一人います。
帝王切開での出産でした。
そろそろ2人目を…と思っています。
1人目を帝王切開で出産しても2人目以降を経膣で出産される方がいらっしゃいますが(VBACって言うんですか?)以前助産師さんに「見てるこっちの方が(いつ破裂するか)怖くてドキドキする」って言われました。
SOLANINさんはVBACについてどう考えておられますか?
帝王切開の準備をしながらのお産になると思いますが、経膣に出来なくなる確率はどれくらいなのでしょうか?

<SOLANINの回答>

以前、帝王切開されたお母さんの妊娠間隔について記事化しましたが、それについては既読と見做し(つまり参考記事として知識がおありになると解釈して)書かせていただきます。

と言っても、恐らく厚生労働省の統計でも都道府県単位の統計でも、VBACの項目は無かったと思います。
BFHの申請書類の項目ですら、VBACの項目はなかったですし。
なので、統計的なことは私の勤務先のデータになります。
年により多少の変動はありますが、全分娩件数の4%はVBACです。
VBACを試みるも、医学的に困難となり、帝王切開に変更をせざるを得ない確率は過去4年間、全VBACの約2%です。

VBACなんてことがあるのさえ知らない(そういうことができることを想像だにしない)医療者(主に産婦人科領域以外の医療者という意味です。)は、かなり居られるのではないかと推察します。

また、国内の現状では、VBACは絶対しない主義の産婦人科ドクターの方が、割合としては圧倒的に多いのが現状だと思います。
それはやはり、大変申し上げにくいのですが、産婦人科領域は何かあれば直ぐに裁判になる確率が他科とは比較にならないくらい高率であるため、何故帝王切開に至ったのか理由を吟味せず、帝王切開=安全・無難・裁判回避という考え方が、幅を利かしているからなのでしょうね。

例えばですが、低身長の初産婦で、それが主な原因で児頭骨盤不均衡(CPD)で帝王切開となれば、次回の出産時も、条件(=児頭が骨盤を通過出来ない)が変わる可能性は低い(=但、よほど頭が小さな赤ちゃんであれば可能かもしれないので別ですが・・・)ですから、帝王切開が選択されても致仕方ないと考えます。
それから、2回以上反復して帝王切開している方は、最初からVBACは適応外です。

そうではなく、例えば初産婦で逆子であることを理由に帝王切開になったとしたら?
現状では、国内・海外を問わず、施設分娩が普通にある国であれば、初産婦の逆子は問答無用で帝王切開になるのがスタンダードでしょう。
でも、だから次回も無条件で帝王切開・・・ではないよというのがVBACですね。
ダブルセットアップといって、安全のため、予め手術前検査を済ませ、万一経膣分娩が不可能になれば帝王切開に切り替えることは申すまでもありません。

とは言っても、私自身がVBACされる方の分娩介助をしたことはございませんから偉そうなことは申せません。
ですので、勤務先(★病院)で、実際何件もVBAC}を介助した助産師に聞いたところ、やはり「ヒヤヒヤドキドキは通常とは比較にならないくらいある。」と率直に口を揃えて答えてくれました。
ただ、私の勤務先は産婦人科ドクターの方針(自然分娩と母乳育児)があるので、ドクターが妊婦検診中に該当者にはVBACの説明をされています。
そして、VBACの同意書を書いていただいた方にはVBACを試みる・・・という流れになっています。
もちろんというか、VBACの場合、通常の分娩よりもドクターは早くからスタンバイされるというか、殆ど産婦さんに張り付き状態です。
子宮破裂防止のため、最後は吸引分娩になりますから、吸引カップを設置する都合上、会陰切開は避けられないです。(稀に吸引間に合わず、スルリとお生まれになる赤ちゃんも居られますが。)

それから、産婦さんがVBACを望まれても、産婦人科ドクターや助産師の受け入れ態勢が整った施設でないと、VBACを取り扱ってはもらえないのでご注意くださいね。

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2010年6月29日 (火)

おっぱい分泌促進のハーブ販売終了?!

ハーブの研究については日本よりも欧米の方が進んでいると、過去記事に書きました。(憶えておられますかな?)
読者さんの鮎美さんからコメント欄にお知らせいただきましたが、なんとD〇Cさん、販売終了されるそうです。
え~!なんで?マジですか?とても残念です。

つい数日前に私D〇Cのオンラインショップで購入したばかりです。
でも、そんなお知らせは、荷物の中には入っていなかったなぁ。

マリアアザミは7月7日(水)で販売終了。(1207円/30日分)
コロハ(=フェヌグリーク)は8月10日(火)で販売終了。(1155円/30日分)

お手軽なお値段で国産で購入手続きも簡単なのに・・・
マイナーなハーブだから、あまり売り上げにつながらなかったのかな?
マリアアザミはウコンと同じように、肝臓を強くする作用もあります。
コロハは桑の葉と同じように、血糖の気になる方にも良いとされています。

でも、そういった代替のサプリメントが無い、母乳育児中のお母さんは大変困られるかと思います。
細々でも販売継続してくれたら有り難いのですが。
お近くに直営店のある方はそちらで、そうでない方はオンラインショップで購入できたのに・・・
駆け込み購入するしかないのかな?
みんなで販売継続を訴えるか?
さて、どうしましょうか?
D〇Cの関係者さん、この記事を読んでくれたら助かるけど・・・

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2010年6月28日 (月)

夜間断乳をしたお母さんに出会いました。

夜間赤ちゃんが頻回におっぱいを求めれば「添い乳」で対応することがスタンダードという風に私は考えていますので、夜間断乳というのは如何なものか?という見解でしたが、ふとしたことから、夜間断乳されたお母さんとお話しする機会がありましたので、その時にインタヴューしたこと(=体験談)を書きますね。

きっかけは?
「夜毎の30分~1時間間隔の添い乳が何カ月も続いて、体力的にしんどくて。
もともと虚弱体質で細身だったのが、産後さらに激やせしたこともあって、朝も起きられない状態で、家事をこなすにも支障をきたしている有様でした。
でも、おっぱいをあげること自体は楽しいので、止めるつもりは無いです。
子どもはおっぱいが大好きなので、自然卒乳が良いと思っています。
ずいぶん考えて悩んで、決行しました。」

お子さんは何カ月?
「1歳1カ月です。」

離乳食は?
「一応3回食べています。
食は細いですが、夜間断乳してから少し食べてくれる量は増えたようです。」

具体的には?
「その日の最後のおっぱいはあげます。
寝る前のおっぱいをあげないパターンもあるらしいのですが、私自身はそれは辛くなかったので、今もあげています。
堪能するまで飲ませてあげます。
で、寝かしつけは自分か旦那さんのトントンで寝かせます。
数日間号泣しながら寝付いていました。
自分の体力的なことで踏み切ったので、可哀想で。」

途中で泣いて起きたりしませんか?
「これも数日間、3~4回くらいは起きてきました。
必死にトントンで寝かし付けました。
その後は、夜間は大体1回しか起きなくなりました。
1回だけならトントンも苦になりませんし、体力的にも大丈夫です。」

おっぱいの状態は?
「朝イチのおっぱい(大体朝6時頃)の張りが凄かったけど、2週間くらいで、パンパンではなくなりました。
その頃から分泌量は徐々に落ちてきたと感じます。
分泌が悪くてミルクを補足しなくては・・・という段階まで低下したとは思いませんが。」

お昼間のおっぱいはどうしていますか?
「欲しがるままにあげています。
昼間のおっぱいの回数は増えました。
夜間眠ってくれてるので、昼間は夜間の埋め合わせだと思っています。」

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2010年6月27日 (日)

陥没側の乳首から飲めない。(新生児)

<ご相談内容>
6月16日に3408gの男の子を出産し、今日で生後9日です。
完全母乳育児目指してますが、片方のおっぱいが陥没で赤ちゃんがなかなかうまく吸えません。
入院中助産師さんがあの手この手で指導してくれたんですが、全くダメでした。
でも諦められず、退院後も保護器を付けて頑張ってるんです。
(もう少し大きくなれば吸えるかなと期待して…)が、やっぱり吸っても思うように出てこないのか、5分ほどしかもちません。
なので、反対側を15分あげて、足りなさそうな時は搾乳したものをあげる・・・の繰り返しです。
入院中にはあんなに張っていたおっぱいが、搾乳のせいか、今はほとんど張らなくなってしまい、搾乳量もあまり増えません。
いつか母乳が出なくなるのでは?と不安です。
今日の検診で体重は50g/日増えてると言われたんですが、これで大丈夫なんだろうかと心配です。

<SOLANINの回答>
極論ですが、お母さんが陥没乳首であっても、お母さんの生命の危険は全く無いし、日常生活に支障をきたすことはありません。
でも、こと母乳育児に於いては、正直言って最上級クラスの難敵です。
これは一般論ですが、妊娠中、陥没乳首のお手入れをまともにしない状態で、出産後、新生児に吸いつけ!と言っても多分無理です。
真剣に胎教を通してお願いして、かつ赤ちゃんが吸啜テクニックがテクニシャンであれば可能ですが。(汗)

なので、妊婦さん、特に陥没乳首の方で24週以降で切迫早産等の兆候がなければ、是非とも念入りにお手入れされ、「このやり方でいいのか?」をおっぱい方面に明るい助産師に定期的に確認してもらうくらいで丁度です。

だったら陥没乳首で直母は無理なのか?
そうは申しません。
でも、他人の何倍も大変ですし、赤ちゃんも大変です。
では、どうしたらいいのか?
赤ちゃんの体重や吸啜テクニックや(舌小帯短縮症であるため下手っぴちゃんであるとか・・・)開口度や乳房乳頭の柔軟性にもよりますが、乳頭保護器を使用しなければならないなら、それを続けるのは、新生児の今は仕方ないかもしれません。
問題なのは分泌の維持ですが、直接吸啜出来る方に比べたら、乳頭刺激が弱くなります。
なので、搾乳は必須です。
それも、張ってたら搾るとか、気まぐれに搾ったり搾らなかったりではなく、授乳前毎回5分間でもいいから搾乳することが分泌維持のポイントです。
乳頭保護器一本でするならば、乳房が張ってた方が直ぐに分泌してくれますから、赤ちゃんも嫌がらずに吸ってくれるので、搾らないほうが良いように思えますが、体重増加度が50g/日もあるのなら、急激に成長しておられるので、吸啜力はグイグイついて来る筈です。
ということは、乳頭保護器が外せる日が近いかもしれないということです。
その場合、赤ちゃんは乳輪の外周よりも大きくお口を開ける必要がありますから、却って乳房がパンパンに張っているとか、乳輪が硬いというのは吸啜する際に滑るばかりですから、大変難儀なことなんですね。

百歩譲って乳房の張りはともかく、乳輪の硬さ・ゴリゴリ感は致命的ですらあります。
なので、直母を目指すならば、ここを乳輪外周より1cmは外までほぐして柔らかくする必要があるのです。
乳輪からかぶりつくというか、おっぱいを吸うのではなくおっぱいを食べるんですね。
もちろん立て抱きは必須ですよ。
ギャン泣きしてる時は出来なくても当然だし、搾乳を多目にして補足する際も、「母〇相〇室®」以外のゴム乳首は下手っぴを助長するから止めてね。

で、直母の際は3分間が乳頭頂の皮膚強度の限界ですから、それ以上連続では吸わせないことが乳頭亀裂の予防です。

分泌の差については直母出来る方と、搾乳&保護器の方とではダブルスコアくらいは想定内だと解釈してください。
一人で立ち向かうには大変なことなので、信頼できそうな母乳外来を受診されるか、地域の助産師で母乳育児のエキスパート的な方を紹介してもらって、助けてもらっては如何でしょうか?
(この場合のエキスパートの定義は乳房マッサージが上手というのではなく、授乳介助が上手という意味です。両方上手な方も居られますが片方だけ得意な方も居られるし、分娩介助は神業級だけどおっぱい関係はからっきしとか・・・助産師にも色々なタイプがありますからね。)

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「上を向いて産まれた?」「引っかかった?」

<ご質問内容>

未だに謎なのですが、産まれてくる際 何か(赤ちゃんの顔?)が引っ掛かって なかなか出て来てくれませんでした。
ようやく何とか 出て来てくれてから産婦人科のドクターが「よく下から産まれて来てくれたねぇ~!上を向いて出て来たから引っ掛かってたんだね。」と言われたのですが 上を向いて…とは??顎を引かずに頭を上にあげて出て来た…と言うことなんですよね??
本当に 分かりづらい内容で すみません!
それはどういう意味なんでしょうか?

<SOLANINの回答>

経膣分娩では通常、赤ちゃんの頭が下向きになっています。(赤ちゃんの足はお母さんのあばらの下の辺りにあります。)
で、分娩進行したら赤ちゃんは産道をズボボボ―ンとフリーフォールするのではなく、じわじわとそして回旋しながら産まれてきます。
赤ちゃんの元々の背中の向きで右回り左回りどちらかになりますが、質問者さんの赤ちゃんの場合、逆回旋されたということです。
つまり、分娩にあたり、赤ちゃんの小泉門が先進するのが一般的なのです。
最終的に赤ちゃんのお顔はお母さんのお尻の方を見るようにして、下顎を引いてカラダを丸く縮めるようにして産まれてきます。
このポジションがお母さんの苦しみが一番少ないし、分娩進行もスムーズなんですね。
ところが、回旋異常といって、逆回旋する赤ちゃんが居られます。
最終的にお母さんのおなかの方を見るというか、顎をグイッと持ち上げるようにして(≒浅田真央ちゃんの決めポーズみたいな感じね。)産まれてくる赤ちゃんが居られるのですね。
原因は様々ですが、お母さんの骨盤の形によるというパターンが少なからずあるようです。
小泉門が先進しませんから、遷延分娩いわゆる難産になってしまいます。
「腰の骨が砕けそうなくらい痛いのに、ちっとも分娩進行しない。」ことになってしまいます。

近くて分かり易い比喩で表現するとしたら、そうですね~、タートルのセーターを着るのに、下顎を引いて頭を通すのは簡単ですが、顔面を真上に向けて通そうとすると、それこそ下顎が引っかって、なかなか通りませんね。

なので、赤ちゃんも分娩中にしんどくなることもあります。
途中で心拍低下し、赤ちゃんが危険な状態になることもあります。
「お母さんが酸素投与された。」「ドクターにおなかを押された。」「会陰部切開された。」「吸引分娩だった。」「陣痛促進剤を途中から使用された。」等の処置があってもある意味止むを得ないこともあります。
いよいよの場合緊急帝王切開ということもあるかもしれません。

でも、人の何倍も大変な痛みに耐え、それでも経膣分娩できたのだから、それはそれである意味凄いんです。

産婦人科ドクターの「上向いてた。」「引っかかってた。」というのは、恐らくそういうことではないかと推察します。

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2010年6月26日 (土)

体重増加が停滞したらミルク補足すべきか?(8カ月)

<ご相談内容>
初めまして。
息子(8ヶ月)を完母で育てています。
こちらのblogを拝見した時、悩んでることばかりだったので、とても助かりました。
完母に自信が持てました。
今回は「ミルクの補足判断」で、お伺いしたいことがあります。
息子は今、7100グラム。
8ヶ月では平均枠ギリギリです。
実は1ヶ月前から体重が変わってません。
7ヶ月健診で再健診と言われ、1ヶ月経った今日、担当の小児科ドクターからミルクを補足するよう指導されました。
授乳は1日6~7回、離乳食2回です。
1ヶ月で頭囲は、43cm→43.3cm、身長、67.8cm→69.3cmと伸びてました。
息子は機嫌が悪いわけでもなく、ハイハイや掴まり立ちなど、とにかく動き回っています。
私自身としては、母乳で育てていきたいのですが、体重が1ヶ月全く変わってないのならば、やはりミルクを補足すべきでしょうか?
宜しければアドバイスお願いします。

<SOLANINの回答>
6か月以降9カ月に入るまでの赤ちゃんの体重増加度の目安としては、さっくりと申しまして10g/程度日(つまり、300g程度/月)です。
この目安は過去記事にも何回か書いたことがあるので、ご存知の方も少なくはないと思います。

さて、体重が1か月全く変わらない場合、どうなのか?
月齢としては7~8カ月になっておられますね。
残念なことに、相談者さんはお坊ちゃんの出生時体重が未記載なので、そちらからのアプローチは出来ませんでしたが・・・

でも、運動機能の発達が良く、頭囲も正常範囲ないですし、身長は真ん中あたりを推移しているようですね。

赤ちゃんの発達で、優先順位はどんな順番でしたっけ?
そう。運動機能>頭囲>体重>身長でしたね。
また、体重増加は直線的なモノとは限らず、階段状に増加するタイプの赤ちゃんも居られますね。
パーセンタイルグラフをいきなり大きく割り込んできたならいざ知らず、一応小粒君なりにもグラフ内ですからね。(汗)

さらに、第一子の場合は稀ですが上の子さんが居られるご家庭であれば、保育園や幼稚園等からなにやかやを仕入れて来られることがありますよね?
でもって、熱発3日以上続けば200g程度、下痢嘔吐が1週間続けば500g程度体重減少することだって稀ではないのですね。
もちろん、元気になりがっつり飲んでガツガツ離乳食を食べてくれたら直に復旧しますが・・・
(でも、これは個人的な見解ですが、復旧には病気していた期間の3倍はかかるような印象があります。)

まして、相談者さんの赤ちゃんはこれまで完母で現在2回食実施中ですよね。
だったら、ミルク補足ぢゃなくて、おっぱいと共に離乳食をしっかり食べさせるのがスジではないでしょうか?
この月齢で発達に問題が無く、ただ単に体重が1か月停滞していたというのであれば、そんなに四角四面にならなくても、経過を見守っていくという許容範囲ではないかと思われます。
個人的には僭越ですが「この段階で目くじら立てないで~。」と言いたいですね。
もちろん、お母さんとしては気にはなるでしょうから、いつもより気合を入れて体重増加を促すようなおっぱいのあげ方や離乳食に取り組んでほしいなとは思います。
可能であれば、もう少し母乳育児に理解のある小児科ドクターにセカンドオピニオンを効かれては如何でしょうか?

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2010年6月25日 (金)

虹彩欠損症って?

「虹彩欠損症」は「こうさいけっそんしょう」と読みます。
私よりも読者さんのTiaRaさんの方が100倍以上お詳しいのではないかと勝手に想像していますが、僭越ながら、私に分かる範囲で記事を書きます。

この病気は赤ちゃんにも見られます。
その場合いわゆる先天的(うまれつき)な眼の病気ということになります。
虹彩って眼のどの部分か分かりますか?
いわゆる黒目の・・・瞳孔(ひとみ)の周囲の部分です。
周囲の茶色っぽい部分と言ったら分かり易いかな?
虹彩だけが欠損しているのであれば、視力の発達に影響は無いと言われています。
また、その場合は手術が出来ます。
しかし、眼底検査(確か20分毎に3回、赤ちゃんの眼に散瞳薬を点眼してから行う検査)の結果、ぶどう膜にまで欠損が拡がっていたら、将来弱視や白内障になる恐れがあります。
このような検査及び確定診断については小児科ではなく眼科受診が必要です。

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2010年6月22日 (火)

B群溶連菌の治療について。

B群溶連菌って聞いたことがありますか?
英語の略語だったらGBSですな。
妊娠中に膣分泌物(つまりオリモノ)の検査が何回かあると思いますが、一般的にGBSは妊娠末期に調べます。
GBS陽性の妊婦さんは全妊婦さんのおよそ20%程度と言われています。
B群溶連菌(以下GBSと表記します。)は弱毒性の常在菌(つまりありふれた菌)で、膣分泌物から検出されても妊娠中に何か問題になることはありません。

ただ、分娩進行中(つまり産道で)に赤ちゃんが感染すると稀に(GBS抗体を持っておられない妊婦さんは1%なので、その場合・・・ということです。)いわゆるGBS感染症になることがあります。
具体的には肺炎・菌血症・髄膜炎・脳炎等です。
いずれも赤ちゃんの予後にかかわる病気です。

ですので、妊娠末期の膣分泌物の検査でGBS陽性であれば、分娩開始で入院次第、抗菌薬の点滴をしてもらうことになります。
通常4時間毎に点滴を行います。(出産が4時間以内なら点滴は1回だけになるということです。)
抗菌薬の点滴をしてもらっても、滴下終了から30分以内に出産になると効果が無いと言われています。
「だったら何故、もっと早く治療しないのか?後手に廻ったら大変ぢゃないの!」って思いませんか?
思うでしょ?
でも、しないのですね。
何故かというと先にも書いたようにGBSは弱毒性の常在菌なんですね。
抗菌薬の膣錠なんかで簡単にやっつけることができます。
でも、またぞろ直ぐに復活しちゃうのね。
だったらそのたびに抗菌薬で叩けばいいって?
そんなことしたら、耐性菌が出来て、肝腎カナメの出産時に頼みの綱のお薬が効かなくなる恐れが大きいのです。
だから、妊娠中の治療ってしないのですね。

ちなみにGBS感染が無くて前期破水した場合は抗菌薬の内服を時間を決めてしてもらい、経時的にCRPの値が高くならなければ抗菌薬の点滴はしないものです。
GBS感染があれば前期破水をしていなくても抗菌薬の点滴をしてもらう・・・という段取りになるかと思います。

膣分泌物検査はこのような意味があるので、大抵の病産院はルーチン検査化している筈ですが、万一妊婦さん自身に検査を受けるかどうか決定権がある場合(おそらく海外?)は躊躇わずに受けてください。
間違っても断ってはいけませんよ。

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2010年6月21日 (月)

市販のベビーフードで離乳食スタートをどう思いますか?

<ご相談内容>
もう少しで5ヶ月になる男の子のママです。

出産した病院ではミルクをすすめていて、入院中はほぼミルクだったのですが、退院する頃には母乳も出るようになっていたので、退院してからは完母で育てています。

3ヶ月頃から首もすわり、よだれもよくでていて、ご飯を食べている所をうらやましそうによだれを垂らしてみていたので、5ヶ月になったら離乳食を始めていこうと考えています。
今、市販ではいろいろな種類のレトルト?の離乳食がありますよね??
やはり離乳食は、市販ではなく、作ったものを食べさせてあげた方がいいのでしょうか??
「最初は食べる量が少ないから市販のでいいんじゃないか?」という事で、実母が市販のを買ってきてくれました。
でも、私としては、何となく、市販のものをあげるのは抵抗があって…
市販のをあげる事に問題はないでしょうか??

<SOLANINの回答>
朝から晩までおっぱいLOVEの赤ちゃんのお世話で、毎日楽しさと大変さとの間で揺れておられるかと思います。
離乳食も最初のうちは一匙で「ごちそうさま。(汗)」ということも、充分想定されます。
手間暇かけて作っても、捨てる方が多かったりすると、勿体ないやら腹が立つやらという気持ちになっても致し方ありません。
きっと実母さんもそういうことを見越して、「娘が大変そうだから。」というお気持ちで、市販のモノを購入してくださったのだろうと思います。
親心・・・ですかな。
食べさせて大丈夫か?というご質問ですが、大丈夫と言えば大丈夫です。

しかし、メーカーさんには失礼な言い回しになるのでしょうが、どんな作り方をしているのか?という疑問符は付いて回ります。
例えば使用野菜は国産なのか?
オーガニックと書いてあるけど、中●産だったというジョークのような話も聞いたことがあります。(思わず「REALLY?」って聞きたくなりませんか?)
化学調味料はホントに不使用なのか?
ベビーフードの製造工場を見学することは恐らくできないでしょうから・・・
結局はどこまで許容できるかということになるかもしれませんね。

ベビーフードの一種で赤ちゃん用果汁ってありますよね?

つい数年前問題になったじゃないですか。
知りませんか?
(新聞にも掲載されましたよ。)
オーガニックって表記してあるけど違ったとか、品質保持剤(?)だったかとして、アルコールが入ってたんですよね。
そう、赤ちゃん用果汁にアルコールが添加してあったんです。
そういう信じられない事実が、つい数年前に国内でも発覚したんです。

ベビーフード=悪い・・・とは思いません。
ただ、たまに(稀に)信用できるメーカーのモノを食べさせることはあるかもしれないけど、常食させるのはどうかなぁ?
オトナだって毎日毎食フリーズドライやビン詰めやレトルトで満足できるかな?
私は個人的にはそういうのは味気なくて厭です。
手づくりと書いてあっても、コンビニやスーパーのお弁当やお惣菜、毎日購入して食べたいとは・・・思いませんよね?
最初のうちは物珍しくて買って食べても、そのうち飽きますからね。
同じものを何回か食べたら、食べる前に味が予測できるから、ワクワクしないし、つまらなくないですか?
その味が大好きな味だったらハマるかもしれないけど、今のトコロ、私は個人的にはハマる味のお弁当やお惣菜ってないのですね。

私もかつてベビーフード購入したことがあり、実際に食べさせたことはあります。
購入した理由は、昔は今ほどお出かけ先で乳幼児メニューが充実してなかったという(時代背景上)止むを得ずという時と、親元にしょっちゅう帰省したがる(つまり旦那側の親元に帰省するのが大好きな)旦那に合わせていたら、こちとらその度に疲れ果てて、離乳食を手づくりする体力も気力も萎えてしまった時のためってところです。
離乳食開始から食の細い長男のために手づくりはしてましたね。
ベビーフードはあくまで緊急避難的な活用法にとどまっていましたね。

経験上言えることは、某雑誌のグラビアに掲載されてるような凝ったメニューには見向きもせず、食が細いながらも私たちのメニューからの取り分けやシンプルな手づくりの方を好んだことです。
鼻の利く子だったせいか、フリーズドライもビン詰めもレトルトも、美味しそうに食べることは殆どなかったです。
離乳食は1週間分位まとめて作って、ホームフリージングしてました。
解凍温めってヤツです。

難しく考えず、一匙だからこそ、手づくりしてあげては如何でしょうか?
製氷皿って知ってますか?
あれに冷ました10倍粥とか野菜の茹でツブシたり裏ごししたのとかを入れて凍らせるんです。
ワンキューブ単位で解凍温めですから、経済的だと思いますし、安心して食べさせられますよ。
茹でツブシや裏ごしが面倒だったら、茹でたホウレンソウやニンジンをラップして凍らせて、食べる前にラップ外して、それをおろし金ですりおろしたらいいんです。
思ったよりも簡単にできるのが離乳食だと思います。
ちなみに我が家の3人の子どもたち、全員が一番良く食べたのがおじや(≒ねこまんま)でした。

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2010年6月20日 (日)

お食事見学会でよだれが出ないけど、離乳食開始して大丈夫?

<ご相談内容>
5ヶ月に入り、徐々に歯が生え、もう半分ほど乳歯が見えております。(下の前歯2本です)
唾液の分泌も多く、歯固めの代わりに、ミニ歯ブラシを与えております。(P社の歯磨きトレーニング)

離乳食も6カ月からで良いだろうと気長に考えていたのですが…
(完母です★哺乳瓶など知りません(笑))
先日、先輩ママに「これだけ歯が生えてるなら、離乳食食べさせないと!」とあおられました。

4ヶ月中ごろからお食事見学会をさせて興味をもたせてきました。
本人も不思議そうに目で追ったりして最近では、娘用の離乳食の食器やスプーン、マグカップの器を食事の際に与えてます(中身はからっぽ。しいてあげるなら、白湯)

歯が生えたら離乳食を与えたほうが良いのでしょうか?
よく、食事中によだれを垂らしたら離乳食開始と言いますが、うちの子は、食事見学の時に、よだれはまだ垂らしません。
過去記事でいろいろ探したり、検索しましたが該当する記事が見当たりません。
(もし、私の検索不足でしたら、すみません。)
アドバイス頂けましたら、よろしくお願いします。

<SOLANINの回答>
離乳食の開始は5~6か月頃からとされています。
「生後150日目だからGO!」とか「生後180日目まで待たなくてはならない。」とか、そこまで四角四面に考えなくても大丈夫でしょう。

相談者さんの赤ちゃんは、お食事見学会の時はよだれが出ないものの、普段は赤ちゃん用歯ブラシを歯固め代わりに使用しておられ、よだれも出てきて、しかも歯が生えてきつつあるとのこと。
しかもお食事見学会では、興味をお持ちのようですね。

だったら、試しに一匙与えてみては如何でしょうか?
実際に一匙与えてみて、美味しそうに食べたり、「もう一口!」と言わんばかりに、欲しそうにされるのであれば、赤ちゃんのカラダもココロも離乳食の受け入れ態勢が整いました!ということです。(笑)

逆に「何を口に突っ込むねん?」と、ガン見したり、吐きだして迷惑そうな様子であれば「あら?早かったのね?じゃ、もう少し後でもいいかな?」と大らかに解釈してくださいね。

しっかりおっぱいを飲んで育ってきた赤ちゃんです。
おっぱいを通して色々な味に触れてきておられます。
一般的におっぱい星人は離乳食の進みがゆっくりめです。
おっぱいを飲んでからじゃないと、離乳食は食べないことも、スタンダードとも言えます。(もちろん、すんなりパクパク食べてくれる赤ちゃんも少数派ですが、居られます。ある意味とてもラッキーなことですから、それはそれで粛々と進めていけばいいのですよ。)
でも、焦らず、決して無理強いせず、一匙食べてごちそうさまされても、のほほんと構えてユルユルと進めて行きましょう。

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2010年6月19日 (土)

陣痛はまだでも破水した時はどうすればいいの?(正期産)

ご存知のように、37週0日から41周6日までは正期産(満期産)の範囲ですから、何時陣痛が生きても、不思議ではありません。
そして、分娩開始兆候として、日本産科婦人科学会では「陣痛周期10分もしくは1時間6回の陣痛頻度をもって、臨床的な分娩開始時期とする。」・・・と定義されています。
当然、入院の時期としても、これほど分かり易い兆候はないわけです。
但し、経産婦さんの場合、仮に15分毎であっても、1時間もしないうちに一気に周期が縮まったりすることがあるので、10分毎になっていなくても、早めに病産院に連絡され、入院時期を何時にするか相談された方が良いと思います。
(もちろん、前駆陣痛であることも、可能性としてはありますが、間に合わないよりはマシだと思います。)

そうではなく、陣痛は一向に来る気配が無かったとしても、破水した場合は決して悠長に構えていてはいけません。
前期破水(陣痛が発来するまでの破水)は高位破水(子宮口よりも高い位置での破水)である可能性が高いのですが、赤ちゃんに膣からの感染の危険性が時間の経過とともに高まります。
あまりに少量しか出なくて、尿漏れか?と間違える方もありますが、自宅で診断することは無理なので、そういう場合は病産院に連絡して、破水の有無を確認してもらう必要があります。
(自覚症状が無くても破水していることもたまにあります。)
万一破水していることが確認されたら、直近の膣分泌物検査で引っからなかったとしても、ドクターの指示通りに抗菌薬の内服をすることになります。
そして、白血球値やCRPといった検査項目で感染兆候の有無をを確認してもらいつつ、陣痛の発来を待ちます。
(通常、おなかの赤ちゃんが元気で、感染兆候が無ければ、無闇に陣痛誘発はしないものです。)

絶対にしてはならないのは、「どうせ、破水だけだと、直ぐに赤ちゃんが生まれるわけが無いから、陣痛が来るまで、家で様子見したらいいかな?」という安易で自己中心的な考え方です。
確かに陣痛が来なければ赤ちゃんは生まれてきません。
しかし、その考え方にはおなかの赤ちゃんを気遣う視点か全く欠落しているのです。
先にも書きましたが、破水したら、おなかの赤ちゃんは感染の危険性が高まるのです。
破水したのに必要な対処もせずに放置すると、おなかの赤ちゃんは陣痛に耐えられないくらい衰弱することだってあるのです。
元気に生まれてくる筈だった赤ちゃんが、全身に細菌感染していわゆる「菌血症」になり、小児科入院⇒保育器収容&点滴施行&モニター管理&酸素投与・・・といった事態になりかねないのです。

これが横位や骨盤位の場合ですと、臍帯脱出という最悪の事態に突入することも想定されます。(QQ車で母体搬送され、迅速に緊急帝王切開が施行されても赤ちゃんの救命が叶わないことも高確率で有り得るのです。)

破水を軽く見てはいけないですよ。
絶対に。

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2010年6月18日 (金)

赤ちゃんのいびきについて。

赤ちゃんがいびきをかくのは何故なのでしょう?
そもそもいびきは、気道が狭くなることと、、気道粘膜が振動することとで起こりますす。
新生児から4か月くらいまでの赤ちゃんのいびきの原因はいくつか挙げられます。
(1)鼻腔が狭いのに鼻くそが溜まり易い=「鼻詰まり」とされています。(拙文“こぶたちゃんに気をつけて!」参照のこと。)
(2)まるまると肥えて、頸が太短い場合。
(3)もしくは風邪気味である場合。
それと、これは経験的に言えることなのですが・・・
(4)
舌小帯短縮症であると、かなりの高確率でいびきをかきますし、しかも、いびきの音が大きいようです。

睡眠時に苦しそうな様子(≒喉仏が陥没している様子)がなければ、酸素がカラダに取り込めない等の支障をきたすのではないか?という懸念はまずないと思われます。(口鼻周囲にチアノーゼが出るのであれば、いびきの有無に係わらず、直ぐに耳鼻咽喉科を受診して下さい。)
幼児期~学童期のアデノイド肥大によるいびきや、成人の睡眠時無呼吸症候群によるいびきと、赤ちゃんのいびきの原因(1)(2)(3)との関連性は無いとされています。
(4)については、関連性があるようですが、それを裏付ける論文は見つかりませんでした。

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2010年6月17日 (木)

栄養教諭・養護教諭の不適切対応。

食物アレルギーは年齢とともに徐々に克服できるものが多いのですが、小学校に入学されてもアレルゲンにより、また体質(なかなかIgEが下がらないとか、プリックテストしても5+とか・・・)により持続することがあります。
小学校で心配なのは、担任の先生の当り外れだけではなく、栄養教諭や養護教諭に対応に気を付けなくてはならないということです。

まず、栄養教諭ですが、いわゆる栄養士さんの資格をお持ちの先生です。
現段階では全ての小学校に配置されている訳ではなさそうですが、自校調理している中規模程度の小学校には配置されておられるようです。

私の患者さんのお坊ちゃん(以下Sくんと表記します。)は複数かつ重度の食物アレルギーを持つということで、入学時に学校の先生方と個別面接があったそうです。
学校側は校長先生・担任・栄養教諭・養護教諭が面接室に集まられたそうです。
最初に栄養教諭が「給食が原因でSくんにアレルギー反応が起きたら怖いからお弁当毎日持参してくださいますか?」とさらっと仰いました。
同席された校長先生が色をなして「これだけ食育が重視されているのですよ。」
(栄養教諭って、そもそも食育のために配置でされているのでもありますからね。最初から丸投げしてどうすんねん?)
「Sくんだって部分的でも食べられるものはあるだろうから、それだけでも食べられるように配慮出来ないのか?」と苦言を呈されたそうです。
まぁ、そう言われて栄養教諭は渋々受け入れてくれたようです。
お家の方も、献立表や使用食材をチェックして、NGのものは避けて、状況によってはおかず弁当持参させておられることは言うまでもありません。

なのに、栄養教諭の指導が徹底していないのか?調理師さんたちの勉強不足か?揚げ物なんかだと、衣に卵や牛乳を使うことがあるし、そういう食材を揚げる場合は別鍋にするのが鉄則なのに、同じ鍋で揚げてしまい、結果、Sくんは本人の意思とは裏腹に食べてはいけない食物を口にしてしまい、給食時間内に意識を失い椅子から崩れ落ちたそうです。(怖)

ひとまずは保健室だ!ということで、養護教諭がSくんを保健室のベッドに受け入れ、1時間ばかり「観察」していたそうです。
その間、S君は呼びかけに反応できなくなり、見る見るうちに顔もカラダも2倍くらいに真っ赤に腫れ上がり、呼吸も浅表になり、目を閉じてぐったりしていたそうです。
養護教諭もさすがにヤバいと思ったのか、「観察」の後、お家の方に病院受診が必要と判断されたらしく、電話連絡を入れられたそうです。
もちろん個人調査票や健康調査票でSくんが複数の重度の食物アレルギーを持っていることは養護教諭も把握されています。

しかし、1時間ばかり「観察」って、私には意味が分かりません。(汗)
ハッキリ言って、これは誰がどう見てもアナフィラキシーショックではないですか!
「観察」っていったて、寝かせてるだけで何にもしてない訳ですよ。
このまま「観察」してたら、決して大袈裟でなく、Sくんは死んでしまうかもしれない危険性がある状況だったのですよ。
養護教諭って小学校内で子どもの健康に一番関与する立場なのに、こんな対応ではお粗末極まります。
もしかして、その養護教諭の方、アナフィラキシーショックのお子さんを見たことが無かったのか?対応方法を学んでいなかったのか?そんなレベルの方が小学校で仕事していいのか?・・・様々な疑問が湧き起こりました。
連絡を受けたSくんのお母さんは速攻で★病院の小児科に運び込まれましたが、「なんで、こんなになるまで放っておくんだ!」とドクター激怒状態で処置されたそうです。

一命を取り留めたものの、今回、Sくんもお母さんも心臓が幾つ合っても足りない扱いを受けられました。
学校側には給食の調理の際は厳重にまな板やボウルや菜箸や鍋等全て徹底して別扱いしてもらうことになりました。
また、万一の事態に備えて「エピペン」を携行することになりました。
(小児科ドクターからもお手紙を書いてもらわれたそうです。)
「エピペン」の携行に消極的だった担任も養護教諭も迅速に対処することが可能になりました。

これはご存知ない方が多いと思いますが、養護教諭には2種類あり、短大や大学の教育学部で学び免許を取得された方(←このパターンが殆どだと思いますが)と、看護学校卒業後、教育学部の養護教諭特別別科に編入し、免許を取得された方と居られるわけです。

緊急時の対応とか、医療処置については、看護学校卒業後編入組の方が秀でているのではないか?と思うのは私の穿った見方でしょうか?

栄養教諭や養護教諭の対応に色々考えさせられた事件でした。

追記:この記事をアップしたから何人かの方のコメントで、「養護教諭としてのQQ時の対応は出身校(進路形態)の違いではないこと。」について説明を受け、私の疑念は誤解だということが理解できました。
当然採用にあたり、きちんとした初任者研修があり、救急救命法や処置について座学と実習があり、毎年のように定期的な研修に全員参加で研さんしておられることを知りました。
また、これに加えて、勤務してからの経験(どのような学校に勤務されたか?)や他の先生方からどれだけ学んだかといった、仕事への熱意というか、働き始めてからの学ぶ姿勢(個人的にセミナーに参加する等)の違いも力量に関係していることが分かりました。
看護学校出身の先生で職務に求められる以上の処置(!)をされる方も居られることも知りました。
ただ、誤解しないでいただきたいのは、私は決して養護教諭に求める資質の筆頭がQQ処置だという意味でこの記事を書いたわけではないということです。
アナフィラキシーは命取りになる恐ろしい状態だから発症しないように周囲の大人が細心の配慮をして、万一の際は安易に考えず迅速な対応を児童及び保護者は求めているんだということを知って欲しかったのですね。
もちろん養護教諭に求められる資質は保健相談活動や生徒指導等の教育的側面など多様性があることはご指摘通り承知しております。
しかし、きっと全国の養護教諭の皆さまにおかれましては、文言にご不審・ご不快な部分があったと思われますので、その点については心から謝罪します。

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2010年6月16日 (水)

おっぱいとお薬/その67『ポビドンヨード』(外用薬)

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その67『ポピドンヨード製剤』(改訂版) 」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。


以下、過去記事。

ポビドンヨードを主成分とする代表的なお薬は、『のどぬーる』や『イソジンうがい薬』があります。
言うまでもないことですが、ヨードアレルギーのある方や赤ちゃんに甲状腺疾患がある場合は使用されてはいけません。
そしてまた、言わずもがなですが、お薬の添付文書には妊婦・授乳婦は使用禁止と書かれています。
これは恐らく、「ヨード自体のM/P比が大きい」つまり、「おっぱいに出やすい」からだと思われます。
赤ちゃんがヨードの過剰摂取になってはいけないと。
では、絶対禁止なのか?

しかし、常識的に考えて、『のどぬーる』はゴクゴク飲むものではありませんし、使用回数も1日数回程度です。
また通常、喉がイガイガする時しか使用しませんよね。
さらに、1歳以上の幼児には直接的な使用も可能で、用法用量を守っていれば飲み込んでも問題ないとされています。

『イソジンうがい薬』に至っては原液ではなく、希釈した上でガラガラ(うがい)するものですね。

参考までに申し添えますが、出産時、帝王切開はもとより会陰切開や裂傷等で縫合する際、ポビドンヨードが『イソジンうがい薬』の1.4倍多く含まれる『手術用イソジン』が創部の消毒薬として汎用されていることをご存知でしょうか?

WHOの分類では授乳中のボビドンヨード自体の使用については「おおむね可能」とされています。
これはつまり、長期間・大量・広範囲の使用は避ける必要があるけれど、そうでなければ可能ということです。

ちなみに私は授乳中、どちらも使用したことがありますが、常識的な使用量でしたから、赤ちゃんに異常をきたしたりしませんでした。

 

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2010年6月15日 (火)

目玉焼きの白身でみみず腫れ?(生後6ヶ月)

<ご相談内容>
先日誤って赤ちゃんのの頬に目玉焼きの白身(少し半熟&醤油つき)を落としてしまいました。
ほんの少量ですぐにガーゼで拭いたのですが、みるみるうちにみみず腫れになりました。
完全に冷めていたので火傷ではないのですが、濡れたガーゼでもう一度拭いて、少し冷やしてあげると一時間後には跡形もなく消えました。
あせももなく肌はきれいな方で、私が卵などアレルギーの出やすい食材を食べた後(勿論量や回数は減らしてます)に授乳をしても今まで湿疹が出たこともないのですが、今後離乳食を進めていく上で、病院で検査をうけた方がいいでしょうか。
醤油の塩分でかぶれたのか、卵アレルギーなのかよく分かりません。
夫婦ともに食物アレルギーはないのですが、私がアトピーとアレルギー性鼻炎と喘息持ちなので心配です。
素人判断で離乳食を進めていくことに不安を感じています。

<SOLANINの回答>
火傷ではないみみず腫れが少し半熟の目玉焼きの白身がほっぺたに触れたら起きたということは、可能性としては卵白アレルギーかもしれません。
不本意ながらパッチテストをしたことになると解釈できそうです。(汗)

でも、この月齢の赤ちゃんで、半熟の卵白に触れたり食べたりしたら、何らかのアレルギー反応が出ても、おかしくはありませんね。
よく知られたことですが、卵のアレルギーの強く出る順は卵白>卵黄・・・です。
また、調理形態的にアレルギーが強く出る順はナマ>半熟(焼く)>固茹で(煮る・蒸す)・・・です。
そして卵は3大アレルゲンの一種です。

素人判断で離乳食を進めるのが不安とのことですが、基本的に離乳食は穀類やお芋やお野菜中心で開始します。
また、最近の傾向として昔に比べて動物性たんぱく質はゆっくり目にスタートするのがスタンダードです。
「1歳くらいまでは卵なんて食べさせないわよ。」というのが、フツウなんですね。
なので、あげなければ済むとお考えいただいたらいいのではないかと思います。
もちろん血液検査をすることもいけないわけではないのです。
けれども、これまで完母で、お母さんが特別に食事療法をしておられるわけでもないのに、肌質に問題が無ければ、敢えて血液検査はしなくてもいいのではないか?と思います。
1歳以降で卵解禁にするとしたら、不等号の小さい条件からスタートすればいいと思います。

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2010年6月14日 (月)

おしっこの回数や量が減ってきた?(生後6ヶ月)

<ご相談内容>
生後6ヶ月の赤ちゃんについてなのですが、夏が近付いてきたからか、月齢が進んだからか、おしっこの回数が減ることがありますか?
ここ最近、夜寝ている間まったくしなかったり、日中も三時間くらいしてなかったり、しても量が少なかったりなのです。
いままで完母です。
赤ちゃんの機嫌はよく、おっぱいもよく飲むのですが代謝や膀胱の機能が上手く働いていないのではないかと不安になります。

<SOLANINの回答>
おっぱいの成分の88%は水ですね。
なので、代謝や膀胱の機能が上手く働いていないのではないか?と心配なんだろうと思います。
NICUの赤ちゃんや光線療法中の新生児はおむつ尿測をしますが、正常な赤ちゃんのおしっこの量なんてフツウは計測しないから、お母さんが知らなくても不思議ではありませんよ。
正常な赤ちゃんのおしっこの量は25~50ml/kgと言われています。
例を挙げると、3kgの赤ちゃんのおしっこであれば75~150ml/日は出るということです。(仮に赤ちゃんの体重が6kg であれば、その倍は出るわけですね。)

ま、それは置いといて、月齢とともに若干おしっこの回数は減ると見て差し支えありません。
というのも、授乳回数が新生児の頃よりも減ると思いますし、赤ちゃんによってはお昼寝の時間が決まってきたり、夜間ぐっすり眠る時間が長くなってくることもあるでしょう。
また、少しずつですが、腎機能的におしっこを濃縮する働きが高まってきます。
それらの条件はおしっこの回数は減ってくる因子でもあるからです。

月齢とともにおしっこの量が減ってきたというのは、季節的に、例えば暑くなってきて発汗が著明であれば、当然おしっこの量は減ります。
また、熱発していて元気が無い時や胃腸風邪で嘔吐や下痢を繰り返している時も同様です。
そういうそういう条件が全く無いのに、おしっこの量が減ってきているとしたら、遊び飲みの割合が増えてしっかり飲めていないのかもしれません。
出来れば一度近いうちに赤ちゃんの体重測定をされて、月齢相当の増加度を維持しているか確認されたら安心かと思います。
ちなみに6ヶ月以降9ヶ月までの体重増加度は10g/日程度ですから、300g/月も増えていれば何の心配もありませんよ。

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2010年6月13日 (日)

おっぱいとお薬/その66『ドオルトン』『プラノバール』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その66『ドオルトン®』『プラノバール®』(改訂版) 」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。


以下、過去記事。

『ドオルトン』も『プラノバール』も卵胞・黄体ホルモン合剤で、月経周期や経血量の異常、機能性子宮出血の際等に処方されるお薬です。
あまり大きな声では申せませんが、1999年に低用量ピル(避妊薬)が認可されるまでは、その代替え品として処方された歴史もありました。(これら2つはいずれも高用量ピルの仲間です。)

産後6か月で母乳育児中に機能性子宮出血を来たし、このお薬を10日間処方されたお母さんが居られます。
産婦人科のドクターは授乳中であると伝えるも、特に何も仰らず、しかし、ホルモン剤であることが引っかかって、心配とのことでした。

『ドオルトン』も『プラノバール』もおっぱいに影響があるとしたら、分泌量が低下することです。(乳質の低下に言及している方も居られますが、確認はできませんでした。)
でも、緊急避難目的に2日間内服するのと同様、短期間であり、赤ちゃんへの影響は懸念される段階とは言えないようです。
また、10日間の治療中及び治療終了した後の授乳ですが、これまで通り可能であることは確かです。
仮に一旦おっぱいの分泌量が減少したとしても、内服終了後は吸わせていたら徐々に復活してくれます。

 

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乳口炎(白斑)の治療期間について。

<ご相談内容>
乳口炎(白斑)についてお聞きしたいことがあります。
1か月半、乳口炎(白斑)と格闘し、自分なりに色々と気をつけましたが治ることなく過ごしていました。
が、このブログを読み、口内炎の薬をつけはじめて10日、乳口炎(白斑)が出てくることが、初めてなくなりました。
(今までは、1週間に1~2度の割合で乳口炎(白斑)が出てきてました。)
これは、治ったと考えていいのでしょうか?
お薬の塗布を止めたらまた乳口炎(白斑)が出来るのではないかと不安があり、塗布を続けています。
もう塗らなくてもいいのでしょうか?
実は1人目からずっとおっぱいトラブルに見舞われていた私。
思い当たる部分がたくさんありました。
育児や家事をパートナーに分担してもらいにくい環境。
またそれに伴うストレス。
かなりの早食い。
しかも便秘症。

おっぱいトラブルを起こしがちなタイプに当てはまると気づき、まずはゆっくり食べることから心がけ、そしてゆったり過ごすように気をつけることにしたのです。
そんなふうに過ごしはじめてから、不思議と便秘も少しずつ改善され、おっぱいの調子も良くなってきた気がします。
この調子で、母乳育児を続けていきたいと思います!
薬を塗らなくてもいいと判断するタイミングだけ、アドバイスください。
よろしくお願いします。

 

<SOLANINの回答>
乳口炎には口内炎のお薬が良く効きます。
口内炎のお薬を塗布していても、あまりにも繰り返している場合は抗生物質の入った軟膏を口内炎のお薬の上に重ね塗りしなくてはならないこともありますが。

しかし今回は、口内炎のお薬の塗布開始10日にして乳口炎(白斑)が消失したのですね。
ひとまずはおめでとうございます。
で、肝心のお薬を塗布する期間ですね。
①仮に乳口炎(白斑)が2~3日くらいで消えた場合でも、最低7~10日間は、毎回の授乳後お薬の塗布とラップを欠かさない。(お薬の塗布の際は少しおっぱいを搾り出してから塗るのが効果的です。)
②肉眼的に乳口炎(白斑)が確認できなくなってから、3日間以上経過している。
③おっぱいの最中や飲み終わった後にビリビリ・チクチクするような乳口炎(白斑)に特徴的な痛みが無い。
④胃腸の調子は悪くない。(良くないものを食べ続けると胃腸の調子は悪くなる。)

・・・の条件が揃えば今直ぐに止めても、まず大丈夫です。

また、これまでの経緯を考えると、再発防止に備えごぼう子の服用か、そこまでしなくてもごぼう茶を飲まれるのも良いかと存じます。
最悪、再発しても重症化しないので。

 

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2010年6月12日 (土)

授乳中にヘルペスになったら?

<読者さんからのメッセージ>
質問ではなく、感謝の気持ちをお伝えしたてメッセージさせていただきます。
2840gの男の子を出産しました。
1ヵ月健診まではなかなか体重が増えず、毎日泣きながら授乳をしていました。
でも、このブログに出会って記事を全部読んでから、母乳も軌道にのって、小さめ君ではありますが、いま4カ月で6500グラムと成長曲線にそって増えてくれています。
先日行ったO式のマッサージでも「よく出ているし、おいしいおっぱいですね。」と褒められました。
ところが先週発熱の後に、持病のヘルペスが顔にできてしまいました。
近くの産婦人科医がやっている皮膚科を受診したら「バルトレックス
®を出すから2週間ミルクにしなさい。」とさらっと言われました。
しかし、過去ログで「大丈夫。」と書いてあったので、遠方の出産した病院にも確認をとったところ「大丈夫。」ということでなんとか母乳育児を続けることができました。
授乳時に完全に患部に蓋をして、消毒をして、息子に触るのも授乳時だけと家族に助けられながらの日々でした。
一年で職場復帰で、自由に母乳を与えられる時期に限りがあるため、おっぱい星人の息子との時間を大切にしたく、このブログに助けられています。
本当にありがとうございます。
これから離乳食も始まります。
楽しみながら、こちらのブログで勉強させていただきます。

<SOLANINのお返事>
ヘルペス、痛かったでしょう?
しかもお顔にできては頬擦りも出来ないし、それよりなにより、お坊ちゃんに感染ったらどうしよう?おっぱいは続けられるのか?と心配が山積みだったかとお察しします。
そんな中、お近くの産婦人科を受診されたのは、決して間違いではなかったのですが、残念なことにおっぱいとお薬に関してあまりお詳しくないドクターだったようで授乳可能な『バルトレックス』を2週間授乳禁止と指導されてしまったのですね。(汗)

この読者さんの賢明なトコロは、「あれ?ホントの授乳禁止だったかしら?何だかおかしいぞ。」とアンテナを立てて、過去記事を検索してくださったこと。
そして、念のためにとご出産された病院(恐らく母乳育児推進病院ではないかと推察します。)に確認を入れられたこと。

そうすることで、ご家族の協力を得ながら、治療しつつおっぱいを続けて行けました。
この読者さんの対応は授乳中に病気になり、服薬が必要になった場合の理想的な対処法と言えます。
素晴らしい対応に拍手です。

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2010年6月11日 (金)

お母さんが結核になってしまったら?

結核・・・病名は聞いたことがあっても、何となくピンとこないかもしいれませんね。
まず、症状から診て「結核では?」という疑いがあれば、ドクターは検査をされます。結核か否かの検査は喀痰の培養・塗抹・PCRの3つの検出検査やツベルクリン反応・レントゲン等があります。
それぞれに利点と欠点があります。
例えば培養は検出感度が高く、信用性も高いのですが、液体培地という早くできる方でも結果が出るのに1~2週間もかかります。
塗抹は1時間以内に結果が出るのですが、10000個以上の菌の数が必要なので、万一それ以下であれば?という危険性があります。また、結核菌は抗酸菌の一種ですが、結核菌なのか非結核性抗酸菌なのかの区別がハッキリしませんし、菌が生きているのか死んでいるのかの区別がつきません。(汗)
PCRは2日以内に結果が出ますし、結核菌か非結核性抗酸菌かの区別がつくのですが、菌が生きているのか死んでいるのかの区別がつきません。(困)

ツベルクリン反応は・・・みなさんご存知ですね?
レントゲンも分かると思います。

そして、もしも「開放性結核」である。と診断されたらどうなるのでしょう?
結核菌は空気(飛沫)感染をしますから、「開放性結核」というのは、排菌しているということを意味します。
赤ちゃんへの感染予防のため一時的に隔離ということもあるかもしれません。
詰まり、直母ができないということです。
但しそんな状況であっても、結核性乳腺炎のようなレアケースでなければ、おっぱいの中には結核菌は検出されないので、搾乳はあげられます。
(赤ちゃんに症状が無くても予防的に抗結核薬『イソニアジド
®』を投与することになり、その後母子同室・授乳再開…というのが標準的な治療方針のようです。)
もちろん、念のため家族も結核感染の有無を検査されることを勧められるかと思いますが、それは想定内だと自覚してくださいね。

結核に感染していることが発覚しても、排菌している「開放性結核」でなければ感染の危険性はありません。
ですから、闇雲にお母さんから赤ちゃんを隔離したり、授乳禁止にするエビデンスは無いですね。
「開放性結核」ではないという診断基準はお母さんがツベルクリン反応陽性でも胸部レントゲン所見に異常がない場合や胸部レントゲン所見に異常があったとしても喀痰培養等で感染性が無いと判明している場合です。
もちろん、「開放性結核」でなくても治療は必要です。
咳や微熱等の気になる症状が収まっても、自己判断で服薬中止だけは絶対にしてはいけません。
通常は、万一隔離になっても、2週間の治療を受けて、検査結果で感染性は無いと診断されたら、それ以上の隔離は不要とされています。
『イソニアジド®』等の抗結核薬はおっぱいに出てはくるものの、赤ちゃんへの影響は報告されていません。
っていうか、赤ちゃんにも結核感染の予防的として『イソニアジド®』が直接投与されるのですからね。
冷静かつ論理的に判断して、「大丈夫であろう。」ということはご理解いただけるかと思います。
私はかつて「開放性結核ではない。」と診断されて母乳育児を継続していたお母さんに出会ったことがあります。

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2010年6月10日 (木)

口腔アレルギー症候群

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「口腔アレルギー症候群。(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

口腔アレルギー症候群とは、原因物質を含む食物を食べた後、5分以内に起こるとされています。
具体的には口や喉のイガイガ感・ヒリヒリ感・口唇やその周囲の腫れ・喉が詰まった感じ等です。
これは、接触性蕁麻疹の一種でして、その80%以上が口腔内の症状に留まりますが、モノによってはアナフィラキシーを起こすことすらあるそうです。(発症確率は2%程度)

赤ちゃんというよりも、オトナ特に女性に多い症候群です。
原因物質は果物・野菜・ナッツ類です。
天然ゴムアレルギーを併発している方も稀ではありません。
また、花粉症を併発している方に多いという報告もあります。

確定診断は疑い濃厚な原因物質を含む食物を使ったパッチテスト・プリックテストや血液検査で行われます。

言うまでもないことですが、口腔内に症状が留まるにしても決して侮らず、原因物質は避けるべきです。

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2010年6月 9日 (水)

赤ちゃんと海水浴。

今年の夏、赤ちゃんと海水浴って考えてますか?
月齢にもよるのでしょうが、正直言って決してお勧めできないです。

私が新人の頃です。
余りのことに信じ難いでしょうが、こともあろうに生後2ヶ月の赤ちゃんを「上の子が行きたがるから。」という理由で焼け付くくらい熱い砂浜&カンカン照りの海水浴場に連れて行った家族がいました。
アトピー予防とかいう意味不明な理由(恐らく一種の民間療法でしょうか?)で生後2ヶ月の赤ちゃんを海水にジャブジャブ浸けて甲羅干し(?)させて、背部熱傷で他病棟に入院という事例を聞いたことがあります。
そのお母さん、出産当初からちょっと変わっておられました。
当時母子異室だった勤務先ですが、私が担当した初回授乳時に20カラットはありそうな巨大なガーネットの指輪を嵌めておられて、赤ちゃんに危険だから外すようにと注意してもなかなか聞いてはくださらず、周囲(スタッフも他のお母さん達も)の度肝をぶち抜いた方でした。
後日の赤ちゃんの背部熱傷の話を聞いて「あのお母さんなら有り得るかも?」と思ったものです。

閑話休題。
夏の海やカンカン照りの砂浜では、紫外線対策にも限界がありますし、日除けのパラソルにもどの程度効果があるか不明です。
赤ちゃんが熱射病にならないか、熱傷しやしないか、脱水にならないか、くらげに刺されないか等々、懸念の方が大きいです。
フツーは海に連れて行っても、0~1歳児は波を怖がるので、自分から海に入ろうとはしません。
ウチの長男はマタニティースイミングからベビースイミングに移行し、水慣れ万全で水大好きでしたが、海水浴デビューは満1歳まで待ちました。
しかし、父親に抱かれて海に入っても、喜ぶどころか最初から最後まで号泣で、早々に撤収しました。(汗)
きっと、海水浴を楽しみたいのは大人だけで、色々配慮はしたものの、赤ちゃんには「はた迷惑」な行為だったと思います。(反省)

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2010年6月 8日 (火)

おっぱいの免疫は月齢が進む毎に減っていくのか?

普通に考えて、免疫物質が最も多く含まれるのは初乳なのは、みなさんご承知の通りです。
様々なものがありますが、代表的なものとして白血球。
カラダの中に病原体が侵入してくると、撃退するために増加します。
基準値は検査手技や計測する機械によって、多少の変動がありますが、一般的には4000〜9000個/μlとされています。

それに対し、初乳の場合、100万もあるのです。
ちなみに6か月時点でも10万はあるそうです。
血液中の10倍以上の白血球がおっぱいには含まれます。
減ったとはいえ、感染防御に必要十分な量は含まれているのですね。

多く含まれるが月齢と共に段々減っていく。
それが免疫物質全般に言えることだとついこの間まで私も思っていました。
しかし、違うんですね。

リゾチームという免疫物質は細菌の細胞壁を破壊するという働きを持ちますが、何と1歳以上の方が増えてくるのだそうです。
確かに1歳以降ですと、保育園に通所している子どもの数は0歳よりも増えます。
何かしらの病気も貰って来ます。
でも、クラスに何人かいるおっぱい星人で、ビックリするくらい強い子がいますよね?
クラス全滅か?というくらいの感染る病気が流行していて、なのにピンピンしている子。
きっと、このリゾチームのお蔭ではないかと指摘されているとか。
長くおっぱいをあげることは、免疫学的にも意味があるのですね。

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2010年6月 7日 (月)

助産院の助産師が不適切発言。(8カ月)

<ご相談内容>
まもなく8ヶ月になる男の子の新米ママです。完全母乳でやっており、今後も完母でいきたいです。
今日、助産院の助産師さんより
「この月齢で授乳回数が8~12回/日とは多過ぎる。本来なら4回くらいよ。おっぱいを欲しがっても麦茶で代用しないから体重が多いのよ。離乳食の進め方を勉強しなかったの?失敗ね。勉強しなおしなさい。」
っと言われてしまいました。悔しくて、悲しくて涙がこぼれてきて息子を前に泣いてしまいました。
いつもお世話になっている小児科の先生はオッパイ先生と云われている方で、「水分補給もオッパイで良い。離乳食も欲しくなったら食べるから無理に食べさせることはしないで形状だけ進めていけばいい。」と言われてきました。

息子の体重は出生時2820g、1か月健診時4262g、現在8カ月で9200gです。
オッパイの分泌量も良く、息子の吸う力も強い為に体重増加が良すぎる事は悩んでいます。
離乳食は2回食で主食15g 副食15gです。
完食する事の方が少ないです。
アレルギーがある為にまだ蛋白質類・乳製品類は与えておらず野菜のみです。
授乳回数は12~8回/day、1時間おきの時もあります。
キョロちゃんで人が居たら飲みません。

云われた様に今日1日、麦茶を飲ませたりして授乳間隔を開ける様にしてみましたが、大粒の涙を流しギャン泣きしてオッパイを飲めばご機嫌になります。
私は今までのままで良いのでしょうか?
改善すべきなのでしょうか?
自信がなくなってしまいました。(涙)

この様な長文になってしまい、すみません。
お忙しい所、大変申し訳御座いませんが、宜しくお願い致します。

<SOLANINの回答>
何となく、完母の赤ちゃんってみんな体重増加が少なめな印象をお持ちの方が、多いと思います。
しかし、満腹中枢形成以降も、何故かビックリするくらいよく増えている赤ちゃんも居られます。
そう、赤ちゃんには色々なタイプがあるのです。

相談者さんの赤ちゃんは典型的なおっぱい星人です。
離乳食の進みがゆっくりで小食の部類に入る。
アレルギーの関係もあるけど、穀類と野菜中心の離乳食。
月齢が進んでもこまめに欲しがる。
キョロちゃん。
価値観としておっぱい>離乳食。

麦茶は離乳食の後に、飲めたら飲む程度のモノですよ。
体重が沢山増えているのに、離乳食にバンバン傾斜したら、もっと体重はバンバン増えますよね。
だって、固形物の方が液体よりもカロリー高いですからね。
でしょ?

何を改善するのか?
何を勉強し直すのか?
・・・なぁんて、考えなくて良いのですよ。
授乳の状況、離乳食との兼ね合い、今のままで充分です。
非の打ちどころなんてないですからね。
自信を持って堂々としていましょうね。

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2010年6月 6日 (日)

片方だけ2クール目を嫌がる。(生後3カ月)

<ご相談内容>
しっかり飲ませるために1回2クールで1日10回は飲ませています。
今まではさほど気にならなかったのですが、最近おっぱいの左右差というか好き嫌いがはっきりしてきて、2クール目は絶対というくらい嫌がって吸い付かなかったり、マシな時でも途中で乳首を引っ張ったりします。
チュパッという音を立てて乳首を外すこともあります。
乳腺炎になったことは無く、お食事もかなりストイックにしています。
右も左も同じように吸ってほしいのですが、上手くいきません。
嫌がっても頑張って吸い付かせようとするだけで、毎回汗だくになります。
どうしたらいいでしょうか?

<SOLANINの回答>
過去記事で利きおっぱいについて、書いていますがご一読していただいてますでしょうか?
左右差を無くして飲ませてあげるのが理想なのですが、なにぶんヒトのカラダは必ずしもシンメトリーではありません。
乳輪の大きさや乳首のカタチや開通状況に左右差があるのは悪いことでも珍しいことでもありません。
一応努力は続けてほしいのですが、嫌がるのを無理やりというのは、止めた方が良いです。
しかし、これ以上分泌に左右差が付くのは困るというのであれば、あまり飲んでくれない方のおっぱいは後から10ml/回でもいいから搾っておきます。
夜中寝ボケている時は比較的すんなり吸い付いてくれるようですから、一度チャレンジしましょう。

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2010年6月 5日 (土)

カメラフラッシュの光と赤ちゃんの視力について。

ご出産直後両家総出(?)で、面会に来られ、コットの新生児を取り囲み、芸能人の記者会見みたいにカメラフラッシュをバチバチ光らせながら記念撮影に励む方たちがいらっしゃる一方、赤ちゃんの視力にカメラフラッシュは良くないのではないかと案じておられるお母さんも居られます。

どうなんだろう?
可愛い表情をチャンスを逃さず撮ってあげたいけど、でも・・・と思いますよね。
視力低下についてはそのような症例は聞いたことがありません。
元来、新生児の視力は0.02~0.03程度と言われています。
(30cmくらいの距離だったら一番しっくり焦点が合う状態です。)
なお、明暗は感じています。

いつもいつも記者会見級のフラッシュならいざ知らず、お家でポートレイトとして撮影する程度ならば問題ないと思われます。
但し、くっきりハッキリだけが写真の命ではありませんからね。
乳幼児向けの撮影テクニックでは、敢えてフラッシュは焚かない方が仕上がりの風合いで、ナチュラル感がアップするというアドバイスが頻繁にされていますよ。
特に月齢が進むと、フラッシュの光にビックリするのか表情が固まってしまい、結果として「何だかイメージと違うなぁ~。」という仕上がりになるようです。(汗)
それ以前に、眩しくて目を閉じてしまうことはオトナにでもよくあることですし。
またこれは一般的な赤ちゃんに当て嵌まりそうなことですが、フラッシュを焚かなくてはならない時間帯の赤ちゃんは機嫌の悪いことが多く、とても写真撮影どころではないと思いますよ。

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2010年6月 4日 (金)

冷蔵したのに搾乳が変質?

搾乳の取り扱い(保存や運搬等)については過去記事をご参照いただきます。
今回お話しするのは、搾乳を速やかに冷蔵保存してさて飲ませようかという時に、ヘンな臭いがしたり、味が悪くなってるような気がするということを見聞きし、心配ですというお母さんの声があったから記事でお知らせしようと思いました。

ちなみに搾乳は24時間以内のモノです。

搾乳が変質してたら赤ちゃんには飲ませられないですね。
かといって「折角搾って冷蔵したのに変質したのかな?」
「捨てるのは勿体ないけど、捨てざるを得ないのかな?」って思いませんか?

それはですね、たまたま脂肪分解酵素のリパーゼが多く含まれると、搾乳中の脂肪を先に分解してしまうという現象が起こってしまったということです。
決して冷蔵中に腐ってしまった訳ではありませんからね。
なので、もちろん赤ちゃんに飲ませてあげて大丈夫です。

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マヌカ蜂蜜について。

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「マヌカ蜂蜜につい。(改訂版)公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

最新号のわかさという健康雑誌に掲載されていたのですが、ニュージーランドのマヌカ蜂蜜ってみなさんご存知でしたか?
他の蜂蜜には含まれない「UMF」(=マヌカ特有の要素)が豊富に含まれ抗菌効果が高いのですね。(ニュージーランド:ワイカト大学、ドイツ:ドレスデン大学等の実験結果より)
このマヌカ蜂蜜にプロポリスとティーツリーオイルを加えたデンタルペーストが虫歯予防や歯周病対策に効果的だそうです。
しかも、プラーク除去にも優れ、口臭抑制効果まであるのですね。
さらにさらにピロリ菌の除去にも効果的との報告もあるそうです。

但し早とちりしないでほしいのは、市販のフツーの蜂蜜にはこのような働きは期待出来ません。
ですので、くれぐれも、間違えて市販の
フツーの蜂蜜で歯を磨かないでくださいね。

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2010年6月 3日 (木)

おっぱいとお薬/その65『リン酸コデイン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その65『リン酸コデイン®』(改訂版)」公開中です
最新の内容は上記でご確認ください。


以下、過去記事

『リン酸コデイン』は構造式的にはモルヒネに似ています。
こんな書き方をすると、ギョッとされるお母さんは多いでしょうが、慌てずに読んでくださいね。
モルヒネと異なるのは薬理作用が緩いということです。
例えば鎮痛作用は
1/6で睡眠作用は1/4です。
しかし、鎮咳作用だけは強い働きを持ちますから、咳止めとして処方されます。

授乳中のお母さんの鎮咳薬としての第一選択は『メジコン』もしくは『麦門冬湯』だと思います。
しかし、それらが効果ない場合、通常の用法用量を守っているならば授乳は可能です。
ちなみに半減期は3.6時間前後と言われています。
これは『メジコン』とほぼ同様ですね。
おっぱいへの移行は少ないとされています。

追記:コメント欄にあさ月さんがご指摘されているように、新生児には危険度が上回る事例が発生しています。
新生児には虚脱・哺乳力低下・鎮静作用が見られることがあるので、ドクターは産褥早期のお母さんには処方は見合わせられると思います。

コメント返しにも書いていますが、WHOは授乳中投与概ね可能、アメリカ小児科学会でも可能と分類しています。

 

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2010年6月 2日 (水)

フォロミを飲んだらアタマの良い子になる?

 『最強母乳外来』の読者さんで、暫く前にかかりつけの小児科ドクターから「フォローアップミルクは飲ませてあげてね。アタマの良い子になるから。」とアドバイスされたお母さんが居られました。
 
普段掛かりつけでお世話になり、診断にも治療にも全幅の信頼を寄せておられるようで、それだけにこの発言には困惑されました。
 
「ホントでしょうか?」とプチメで聞いてこられたくらいです。(汗)

以前にも記事の一節で述べましたが、現代の医学部・看護学部で母乳育児について、真っ当な講義がある大学はほぼ皆無です。
 
元々そういうカリキュラムがないですから。

私が知っている小児科のドクター(つまりBFHBFHを目指している病院勤務)の方たちで大学は違えど、共通して仰ることは「小児科では病気のことは学んだけど、母乳育児に関することはほぼ皆無で、自分が持つ母乳育児の知識の95%以上は卒業後各種セミナーや文献や勤務先で学び、身に付けたことです。」ということ。

フォロミはあくまで離乳食における液状部分であり、育児用粉ミルクとは別物です。(つまり、育児用粉ミルクの代替え品に相当するものではありません。)
 
乳幼児の精神運動発達には鉄分は重要な役目を果たしますが、フツーに離乳食が摂取出来ていれば、鉄分が不足することはまず無く、また、おっぱいには吸収率の良い鉄分が含まれますから、おっぱいを止めたり減らしたりしてあげるものではないと申しておりますが、憶えておられませんかな?

こんなことを言うのもナンですが、病気の診断や治療のスキルが素晴らしければ素晴らしいほど、お母さんたちは小児科ドクターを万能化&神格化されがちです。
 
しかし、診断や治療のスキルと母乳育児に正しい知識を持っておられるかどうかは全く別の問題なのですね。
 
そもそもジャンルが違うから、イコールで結びつくものではないのですね。
 
第一、お薬でもないモノに効果効能をうたうことは、薬事法に抵触することなので、してはいけない筈ですね。
 
フォロミのCMのキャッチコピーでも「アタマが良くなる。」なんて、言わない(言えない)と思いますよ。

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2010年6月 1日 (火)

子宮腺筋症と母乳育児。

子宮腺筋症・・・聞いたことがありますか?
子宮筋腫とは名前が似ていますが、全く別の病気です。
子宮腺筋症とは子宮筋層内にできた子宮内膜症です。
(過多月経や月経痛がハンパなく酷い等、症状もほぼ同じ。)
鎮痛薬でだましだましでは、病状は悪化していくので、しっかりと治療をしていかなくてはなりません。

治療方法としては手術もありますが、『リュープリン®』(月に1回するホルモンの皮下注射)や『スプレキュア®』や『ナサニ―ル®』(月経開始日~する点鼻薬)がありますが、いずれも授乳中は使用禁止です。

子宮動脈塞栓術(UAE)は健康保険が適用されませんし、入院が必要です。

集束超音波治療(FUS)というものもありますが、比較的新しい治療方法なので、詳細な治療データはまだ集まってはいません。
日帰り・ほぼ無侵襲というのがウリのようですが、3~5時間うつ伏せ姿勢を取らばくてはならず、しかも授乳中は適用しない(涙)となっています。
しかも、治療できる施設はまだ限られているようです。

低用量ピルの『トリキュラ―®』は大丈夫だろうか?というお問い合わせが先日あったのですが、国内の授乳中の症例を扱ったものは見つかりませんでした。
あるとしたら避妊方法としてでしたが、「母乳分泌が抑制される恐れがあるので・・・」という視点からだけで、赤ちゃんへの影響を示唆するような表現は見つかりませんでした。
海外の文献では、産後6か月以降だったかは授乳中でも服用可との記載はありましたが、避妊方法としてのみの記載でした。

子宮腺筋症の治療に処方されるにしても、避妊目的に処方されるにしても、用法用量は同じようですが・・・
私もここ10日間くらい、『
トリキュラ―®』についての検索を必死に続けたのですが、中々これというのが見つかりませんでした。

セカンドオピニオンとしてしかるべきところ(例:虎の○病院)とかにお問い合わせしていただいた方が良いかと思います。
お役に立てなくてごめんなさいね。

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