おっぱいとお薬/その65『リン酸コデイン』
(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その65『リン酸コデイン®』(改訂版)」公開中です
最新の内容は上記でご確認ください。
以下、過去記事
『リン酸コデイン』は構造式的にはモルヒネに似ています。
こんな書き方をすると、ギョッとされるお母さんは多いでしょうが、慌てずに読んでくださいね。
モルヒネと異なるのは薬理作用が緩いということです。
例えば鎮痛作用は1/6で睡眠作用は1/4です。
しかし、鎮咳作用だけは強い働きを持ちますから、咳止めとして処方されます。
授乳中のお母さんの鎮咳薬としての第一選択は『メジコン』もしくは『麦門冬湯』だと思います。
しかし、それらが効果ない場合、通常の用法用量を守っているならば授乳は可能です。
ちなみに半減期は3.6時間前後と言われています。
これは『メジコン』とほぼ同様ですね。
おっぱいへの移行は少ないとされています。
追記:コメント欄にあさ月さんがご指摘されているように、新生児には危険度が上回る事例が発生しています。
新生児には虚脱・哺乳力低下・鎮静作用が見られることがあるので、ドクターは産褥早期のお母さんには処方は見合わせられると思います。
コメント返しにも書いていますが、WHOは授乳中投与概ね可能、アメリカ小児科学会でも可能と分類しています。
コメント
1 ■新生児の死亡例が
コデインの投与を受けた母親から授乳されていた新生児がモルヒネ中毒で死亡した事例が海外であった、そのためコデイン類について授乳婦への投与を禁忌とすることになったと少し前にニュースになった記憶があるので、検索してみました。
この辺りの話のようです。
” コデイン類服用中は授乳を避けるべし | アポネットR研究会・最近の話題:
http://www.watarase.ne.jp/aponet/news/091202.html
東京都医薬品情報 平成18年12月号(No.387):(※一番下 5 Codeineを処方された母親から授乳を受けた新生児におけるMorphine中毒の薬理遺伝学:死亡した1症例の報告)
http://www.taims.metro.tokyo.jp/eisei/iyakuhin.nsf/b8432706d2b448bd49256b7f0039194f/c4e64c17d9b789f749257259003491ae?OpenDocument
問題となっている、遺伝的にコデインを急速に代謝してモルヒネとしてしまう体質の人というのは、日本人では1%程度しかいないとのことですからさほど神経質にならなくても良いのかもしれませんが…。
投与期間や量にもよりそうですしね。
ただ念のためもし服用するなら赤ちゃんの様子には細心の注意を払った方が良さそうかと思い、コメントさせていただきました。
(添付文書上例の「有益性投与」ではなく「禁忌」に改訂されているので、処方されること自体が少ないだろうとは思いますが)
あさ月 2010-06-03 01:06:22
2 ■無題
息子の風邪で咳をいただいちゃいました…(泣)
リアルタイムな記事に感謝します。
明日、検診なので、咳止めをいただこうとおもっています(;_;)
花ミズ姉。 2010-06-03 10:23:41
3 ■Re:新生児の死亡例が
>あさ月さん
そうですね。
私も別ルートで、新生児の場合、虚脱・哺乳力の低下の恐れがあるというとをしりましたので、1カ月以降が望ましいということで、記事訂正します。
有難うございました。
SOLANIN 2010-06-03 23:09:06
4 ■Re:無題
>花ミズ姉。さん
安全性は『メジコン』の方がより高いです。
(新生児については死亡例のことをあさ月さんが指摘されています。)
授乳中の服用は可能とアメリカ小児科学会で、おおむね可能とWHOでも分類されていますので、記事化しました。
SOLANIN 2010-06-03 23:16:05
« フォロミを飲んだらアタマの良い子になる? | トップページ | マヌカ蜂蜜について。 »
「 ★おっぱいとお薬」カテゴリの記事
- 葛根湯を内服するタイミングとは?(2012.12.08)
- 処方された漢方薬が顆粒だから服用できない場合。(2012.10.24)
- 授乳可否データの無い点眼薬を使わねばならない!(5ヶ月)(2012.07.05)
- おっぱいとお薬/その71『サルタノール』『べネトリン』(2011.04.28)
- おっぱいに理解のあるドクターも居られます!(某病院呼吸器科)(2011.04.13)