おっぱいとお薬/その64『フラジール』
(注)最強母乳外来・フェニックスにて「 おっぱいとお薬その64『フラジール®』(改訂版) 」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。
以下、過去記事
『フラジール』はトリコモナス膣炎や寄生虫に感染した場合に処方されるお薬です。
しかし、昨今は授乳中のお母さんがトリコモナス膣炎や寄生虫に感染することは稀ですからあまり処方されることは少なくなったお薬でもあります。
昨今はまた、別の目的で処方されることがボチボチ見られるようになりました。
何にでしょう?
それはピロリ菌の除菌目的のためです。
もちろんピロリ菌の除菌目的の際、第一選択になるお薬は①『タケプロン』等のプロトポンプ阻害薬と②『サワシリン』等のアモキシリン(=ペニシリン系抗菌薬)と③『クラリシッド』等のクラリスロマイシン(=マクロライド系抗菌薬)での治療をすることが前提です。
この第一選択薬の治療が不首尾に終わった場合、第二選択薬として①と②とこの『フラジール』が処方されるわけです。
但し『フラジール』は国立成育医療センターのホムペでは授乳禁止薬に入れられたいます。
アメリカ小児科学会(=AAP)でも、母乳中に移行する量が多いため赤ちゃんへの影響が懸念されるとしています。
では、全面的に授乳中は処方が出来ないのか?処方を受け入れたら、断乳か?といえば、そうではないようです。
『フラジール』は早産児が壊死性腸炎になった場合赤ちゃんに直接処方されることがあります。
これまで授乳中のお母さん60人に処方した時のデータによれば赤ちゃんへの影響は報告されなかったとのことです。
『フラジール』は赤ちゃんへの影響を懸念する最大の症状は下痢です。
赤ちゃんが下痢になったら授乳はNGですが、そうでなければ慎重に注意しながら服用は可能と言えます。
但し授乳中にピロリ菌の除菌を開始するのは時期的に如何なものかとも思います。
ピロリ菌の感染は山の水や井戸水を飲んで育った方はハイリスクということが判明していますし、それは周知のことと思います。
なので、健診等で感染が発覚しているならまずは治療を優先し、治療が完了したら妊娠・出産という風にしていただければと願います。
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