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2010年3月

2010年3月31日 (水)

離乳期の偏食。

偏食とは文字通り偏った食べ方をすることで、「好きな物」ばかリ食べて「嫌いな物」は徹底的に食べない…という意味です。

時々、離乳食早期に「ニンジンを食べません。」「ホウレンソウが嫌いみたいで・・・」というご相談を承りますが、この時期の偏食は固定的なものではなく、1~2週間お休みしてもう一度チャレンジしたら「食べました。」というお返事もしばしば聞きます。
調理法・味付け・切り方・盛り付け方が変っただけで、すんなり食べることは充分期待出来ます。

一度食べないくらいでは決してひるまず、「じゃあ、これならどうかな?」とお試し感覚でまずは苦手食材を変化をさせ、それでもだめならば暫くお休みして、もう一度チャレンジする・・・というスタンスでいいのですよ。

そうそう、先日「生野菜を食べない。吐き出すのです。」という1歳2か月(!)のお子さんのお母さんからご相談がありました。
1歳2カ月では、まだ奥歯が生え揃っていませんから繊維質の多い生野菜の咀嚼も嚥下も困難ですので食べられなくて当然です。
(ちなみに乳歯が生え揃うのは、2歳半から3歳半位の間です。)
「生野菜を食べない。吐き出すのです。」という1歳2カ月のお子さんの事象は好き嫌いではなく、赤ちゃんの口腔機能の発達に合わないモノを与えるから起こることなのですね。

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食物アレルギーの薬物療法。

赤ちゃんに食物アレルギーが発覚して、不安に思うお母さんは少なからず居られるかと思います。
食物アレルギーの薬物療法には予防療法と対症療法があります。

まず、予防療法ですが、症状が出ようと出まいと、継続して長期に内服する必要性があります。
しかし、現時点ではなかなかこれといったお薬が無いのが現状です。
食物アレルギーに関しては薬物療法での予防療法というのは期待できず、食事療法での予防療法は主体となります。

次に対症療法ですが、発現した症状に合わせて、最も適したお薬を選択することが必要です。
例えば蕁麻疹やそれに伴う痒みに対しては、抗ヒスタミン薬を使用します。
アトピー性皮膚炎やそれに伴う痒みに対しては、ステロイドが使用されるかと思われます。
一番恐ろしいアナフィラキシー(アレルギー症状が全身の蕁麻疹・嘔吐・呼吸困難・血圧低下・顔色不良・意識が朦朧とする・脈の触知不能など、複数にわたる場合)だったら、QQ受診して速やかな対処を受けてください。
生命に関わる大変危険且つ重篤な状態なので、QQ車を呼ぶ際も「食物アレルギーによるアナフィラキシーです。」とハッキリと伝えましょう。

いわゆる『エピペン』(アドレナリン注射)は2005年以降、蜂毒だけではなく、食物や薬物が原因のアナフィラキシーショックにも使用の範囲が拡大し、第一選択薬と位置付けられました。
病状を勘案され主治医から処方を受けたら、本人もしくは親御さんが肌身離さずのつもりで、常に携帯し、緊急時に備えてくださいね。

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2010年3月30日 (火)

乳腺炎で断乳はNGですよ!

0歳代を過ぎてからであっても、油断をしていたら、いきなり乳腺炎になることは、最近の過去記事にも書いたように・・・充分に有り得ることです。
乳腺炎になったら、取り敢えず母乳外来や助産院を受診して乳房マッサージをしてもらいます。
じゃがいも湿布や葛根湯の内服やお食事や飲ませ方に注意して、改善を促進するのは言うまでも有りませんが、時々、「ぢゃ、これを機会に断乳したら一石二鳥ですか?」などど聞いて来る方がおられるので、(本人は悪気がないというか、単に無知なんだと思いますが)私はがっかりします。

誰だって母乳育児していて、忘れた頃に痛い目に遭うのは御免です。
だからと言って、いきなりおっぱいを止めるのは、赤ちゃんの気持ちを無視して100%お母さんの都合だけで行動してしまうことですよね?
お子さんにに逆ギレしているかのような振る舞いは、あまりにも大人気(=おとなげ)なさ過ぎではないでしょうか?
母乳育児は母乳育自ですから、どうしてもの場合は断乳ではなくて、「言い聞かせ卒乳」をすることが当たり前なんですがね。

そもそも、乳房マッサージを受けてすっかりラクになったとしても、乳房のしこりは、1回の」乳房マッサージで完全に取り除けることは、なかなかに困難なことです。
しこりに繋がる乳腺組織に貯留したおっぱいは、そのほかの健康な乳腺組織に貯留したおっぱいとは異なり、排乳しにくいし、味も低下して、赤ちゃんが飲みたがらなくても止むを得ない状態です。
そこを曲げて赤ちゃんに飲んでもらって早く治そうという時に、あろうことか断乳だなんて・・・お子さんに後ろ足で砂を掛けるようなものです。 古いおっぱいが貯留した状態で断乳なんてしたら、しこりはそのままになってしまうことだってありますよ。
危険ですね。
ちっとも一石二鳥ぢゃないです。
何故そんな簡単なことに気が付かないのかな?
おっぱいは最後まで大切にしましょうね。

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後乳を飲ませるという考え方。

前乳は飲ませ始めのおっぱいで、カロリーが低く、サッパリしています。
前菜のようなものですね。
それに対し後乳は〆のおっぱいで、カロリーが高く、まったりしています。
ラクテーショんコンサルタントの先生方は、この後乳を飲ませたほうが、赤ちゃんの体重増加も良くなることから推奨されるようです。
なるほど、確かにこの考え方は理屈に合います。

しかし、胃の体積が極小の未熟児さんならともかく、ある程度の大きさの赤ちゃんであれば、そこまでしなくてもいいのではないか?・・・懸念されることがあります。

ひとつは、後乳まで飲ませるとなると、恐らく片方のおっぱいから30分間くらいは吸い付いている状態になるので、片方のおっぱいで満足してしまう恐れがあること。
そしたら、残ったほうはどうなるのかな?
搾って捨てるのだろうか?
分泌過多傾向のお母さんの乳汁分泌抑制であるまいし、後乳を飲ませようとすることは、実質、片方授乳となり易いので、トラブルへの注意が必要です。
フツウくらいの乳汁分泌状態の方でも、これをやると、うっ滞性乳腺炎になリ易くなるんですよ。
乳頭の皮膚もふやけて来ますよ。
そうしたら、キズがつき易くなりますわな。
乳頭が切れたら、メッチャ痛いですよ~。
痛いのは出産で充分ではないでしょうか?

そういう理由で私は後乳を飲ませるのには、あまり熱心ではありません。
左右こまめに切り替えて、左右差を少なくする、飲ませ方を勧めています。

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2010年3月29日 (月)

ミルクはお薬みたいなものと考えてください。

どうしても完母では難しいお母さんは、ごく少数ですが、おられます。
それは、私の経験から見ても、100人中2~3人という頻度かと思われます。
つまり、残り97~98人のお母さんは完母が可能であると思います。

ミルクはお薬みたいなものと考えてください。・・・というブログタイトルの意味は、ミルクで赤ちゃんの病気を治すという意味ではありません。
(流し読みして早とちりはしないでね。)
そうではなく、例えば授乳中のお母さんが偏頭痛で、体が動かないくらい辛い時、『カロナール』を頓服として内服したとします。
スッキリするまで、仮にドクターの指示を守りつつ、3回内服したとします。
でも、偏頭痛がスッキリと治ったら、『カロナール』がどんなに授乳中のお母さん向きの鎮痛薬であっても、何気に内服したりはしませんよね?

ミルクもそうなんです。
医学的理由があって止むを得ない場合、ミルクを飲ませてあげなくてはならない赤ちゃんはおられます。
おっぱいが飲めない病気の赤ちゃんや、お母さんの病気によってはおっぱいをあげられないこともあります。
量的にどうしても足りない(例えば完母状態では赤ちゃんが育ってくれない、ありとあらゆる工夫や努力をしても赤ちゃんの体重がドンドン減るようなことがあれば)のであれば、補足も止むを得ないと思います。
でも、そうではなく、例えば「赤ちゃんの体重はしっかり増えているのに、よく泣くから。」とか「赤ちゃんの体重はしっかり増えているのに、なかなか眠ってくれないから。」とか、明らかに母乳不足の疑いが無いにもかかわらず、赤ちゃんに手を焼いて安易にミルクをあげることは、キツい表現になりますが、「口封じ」ではないですか?
赤ちゃんのお母さんになるということは、少なくとも赤ちゃんの生理や特徴に対する勉強が必要ですね。
その勉強の内容もトンでも情報では意味がないし、多くの情報の中から正しい情報を取捨選択するチカラを身に付けることが、求められるかと思います。
『最強母乳外来』を通して、正しい情報の選択眼を身に着けてもらえたらと願っています。

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おっぱいの出ない体質ってあるの?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいの出ない体質ってあるの?(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

前回の出産の際、「おっぱいが出ませんでした。」という他院出産のお母さんにしばしば遭遇します。

では、ホントにおっぱいの出ない体質なんてあるのでしょうか?

あるとしたら、乳腺組織の欠損か乳腺組織の発育不全が挙げられます。

でも、これはレアケースではないかと私は思います。

 他に考えられることがあるとしたら、ホルモンバランスの異常でしょうか?

例えば出産の際大量出血(産科的には出血多量の定義は産後2時間までの出血量が500ml以上であればそうだとされますが、ここで私が申し上げるのはかつて病院で実際にあった20005000mlといった超大量出血のお母さんのことを指します。)であると、下垂体機能不全という状態になります。

そうすると、おっぱいを造るホルモンである「プロラクチン」やおっぱいを射出するホルモンである「オキシトシン」がさっぱり出てくれない状態になることがあります。

(もちろん、超大量出血になってもおっぱいの分泌が信じられないくらい良好な方もおられますからイコールではありませんが・・・)

 そんなアクシデントでも発生しない限り、大抵ナンとかカンとかしているうちにおっぱいは出てきます。

つまり、元々おっぱいが出ない体質ではなく、二次的な要因で分泌不全になることがあるということです。

具体的には新生児搬送による母子分離や病産院の授乳スタイルが母子異室で頻回直母が実践で出来ない、赤ちゃんが下手っぴちゃんで乳頭刺激が上手くいかない(=効果的な吸啜が出来ない)、お母さんがお食事をまともに摂取しない、乳汁分泌を抑制するようなある種のお薬を内服している、身体的・精神的ストレスがキツい・・・等が挙げられます。

なので、想像以上に出産する病産院選びは大事ですし、妊娠中の体調管理も大事なんですよ。

 

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2010年3月28日 (日)

おっぱいは吸わせれば出るんです。

おっぱいの分泌のメカニズムで言えば、「出るから吸わせる」ではなく「吸わせるから出る」なんですね。
吸うことでおっぱい製造工場が立ち上げられ、起動し、製造ラインが稼働するんですね。
赤ちゃんが吸えば吸うほどおっぱいの分泌は高まるのです。

これは極論ですが全てのお母さんは程度の差はあれ、最初は母乳不足なのです。
仮に生まれたての赤ちゃんのお母さんが生後1カ月頃の赤ちゃんの哺乳する量のおっぱいが分泌していたらどうなるか分かりますか?
胃の体積の数十倍のおっぱいを飲めるわけがないですから、赤ちゃんは吐き戻しを繰り返しつつ、お母さんは重症のうっ滞性乳腺炎になる・・・という結末になります。

「ほんの少しおっぱいが足りないかも?」という状態は、赤ちゃんとお母さんの持てる力を引き出すための原動力になるものなんです。
赤ちゃんは成長のスパートがかかる時はやたらとこまめにおっぱいを欲しがるのは、おっぱいの分泌量のギアチェンジ(もちろん加速)ですよという過去記事を書きましたよね?
赤ちゃんが泣いたら欲しがったら飲ませる・・・それが母乳育児の基本中の基本なのですよ。

また、成長のスパートがかかる以外にも赤ちゃんのキャラにより、やたらとこまめにおっぱいを欲しがることもあります。
思いつくままに挙げますと、(1)大食漢の赤ちゃん(いつもガツガツしている赤ちゃん)(2)1回量は少しでもいいから、ちょこちょこ飲みが好きな赤ちゃん(3)おっぱいを飲むこと自体が楽しいと感じる赤ちゃん(4)とにかくお母さんに抱っこされたがる赤ちゃん(5)ゆっくり飲みたい赤ちゃん等はお母さんが不安に陥り易いのですが、体重増加に問題が無ければ、決しておっぱいが足りなさ過ぎて泣いているのではありませんからね。
くれぐれも誤解しないようにしましょう。

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食物アレルギーによる皮膚症状の出方について。

食物アレルギーによる皮膚症状を時系列的に分類すると、即時型と非即時型に分けられます。
即時型の代表選手は蕁麻疹です。
非即時型の代表選手がアトピー性皮膚炎です。

即時型の代表選手である蕁麻疹を時系列的に分類すると、急性と慢性に分類されます。
急性の定義は1か月以内に症状が収まるものです。
乳幼児に多く見られる、卵・ミルク・小麦等のアレルギーや学童期に増えてくるエビアレルギー、最強アレルゲンとも言われる蕎麦アレルギーは人によってはアレルゲンとなるこれらの食物を、摂取してしまった場合に起こります。
アレルゲンを除去すれば、症状は収まりますが、蕁麻疹の範囲が全身だったり酷いかったり、喘鳴(ぜいめい)が強い場合は必ず受診しましょう。

急性蕁麻疹には食物によるものだけではなく、ウィルス感染の際も起こり得ることがあります。

次に慢性の定義を述べます。
これは1カ月以降も症状が収まらないものです。
食物が関与していると考えられるものは頻度としては数%らしいです。
食物そのものというよりも、いわゆる食品添加物が関与していると考えられているそうです。

非即時型の代表選手であるアトピー性皮膚炎は一言では語れないものですから、その中で食物関与について述べます。
赤ちゃん時代に検査を受けて指摘された食物アレルギーのある赤ちゃんはほぼ100%アトピー性皮膚炎を合併していると言っても過言ではありません。
しかし、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの100%に食物アレルギーが合併しているわけではありません。
統計によりかなりのばらつきがありますが、70%程度と言われています。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎で、食物アレルギーが関与していることが多いパターンは、生後数か月以内に顔面から始まって痒みの強い湿疹が2カ月以上も続く場合です。
食物アレルギー以外のものが関与しているアトピー性皮膚炎の原因物質としてはダニ・花粉等の吸入アレルゲンや細菌・ウィルス・カビ等の皮膚感染によるものもありますが、これらは単独でアレルゲンというよりも、食物アレルギ―の増悪因子と考えられています。

治療は除去食の必要性の程度と有無・普段のスキンケア・塗り薬・抗アレルギー薬の内服等がありますが、必ず主治医からしっかりと説明を受け、相談しながら進める必要性があります。

母乳育児中のお母さんに除去食が必要であると指摘された場合も同様です。

ちなみに妊娠中からの特定食物の除去については、日本小児アレルギー学会や欧米の小児アレルギー学会も勧めてはいません。
特にお母さんが素人判断&自己流で除去食に取り組まれると、おなかの赤ちゃんの発育不良を引き起こすことがあるから危険ですので止めましょう。
けれども、例えば上の子さんが重症のアトピー性皮膚炎で現に食物アレルギーがあり食事制限をしている(していた)場合や妊婦さん自身が幼少時にそうであった場合等、通常よりもアレルギーを発症するリスクが高いと予測される時は、予め産婦人科・皮膚科・アレルギー科のドクターに相談して、食事の摂り方(除去食が必要であれば、具体的にいつから何を除去すればいいのか?)について、指導を受けましょう。

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2010年3月27日 (土)

おっぱいとお薬/その58『レミケード』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その58『レミケード®』(改訂版)開中です
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事

『レミケード』は抗リウマチ薬の一種です。
抗リウマチ薬には様々な種類のお薬があります。
『レミケード』以外の他の抗リウマチ薬はあまり情報が無いので分かりませんが、このお薬はインフリキシマブなので、おっぱいをあげ続けることが可能です。
インフリキシマブは分子量が巨大ですから、お母さんの血管内に留まります。
それはつまり、母乳中に移行しない(=検出できない)レベルだから、母乳育児と両立出来ることを意味するのですね。

万一赤ちゃんのカラダに『レミケード』が入っても、赤ちゃんの消化管で壊されてしまうモノなので、赤ちゃんの体への影響は心配ないのですね。

 

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2010年3月26日 (金)

赤ちゃんは甘党です。

一般的におっぱい星人の赤ちゃんは離乳食の進みがゆっくり目です。
また、味覚的には甘党であることは確かです。
「甘党だから甘いものを与えれば食べてくれるのか?」という考え方が一瞬、お母さんの頭を擡(=もた)げるかもしれません。
しかし、甘党の赤ちゃんに甘いものを与えるということは、今まで以上に甘いものを好むようになるだけで、さらに離乳食を食べなくなります。
しかも、歯が生えてきたら虫歯の危険性が跳ね上がります。

時々、離乳食を「一口でも多く食べてもらうため。」に、お砂糖を使用されるお母さんがおられますが、それは止めておきましょう。
食品そのものが持つ、天然の甘味(例えば南瓜やサツマイモの甘さ。)を感じられるようにしてあげてくださいね。

離乳食以外でも果汁やイオン飲料、赤ちゃんのお菓子等もなるべくなら与えない方が良いです。
時々、おばあちゃんから「甘いものも栄養だから、あげたらいいのに。」「甘い物の美味しさを知らないなんて、赤ちゃんが可哀想。」とか、意見されることがあるかもしれません。
けれども、1回も食べたことが無いのであれば、赤ちゃんは我慢しているわけではなく、不満に思うこともありませんので、それは不適切で大きなお世話です。
不適切で大きなお世話は、あっさりと受け流してください。
変な栄養学(?)や同情心から甘いものを与えると、赤ちゃんといえども味をしめてしまいます。
そのような状態に赤ちゃんを仕向けておいて、「やっぱり駄目だよ。」と甘いものを禁止する方が100万倍「赤ちゃんが可哀想。」だということです。

危険人物が周囲にいらっしゃる場合はよ~く気を付けてくださいね。

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離乳食に油脂類を使用するのは、控えめにしてね。

知ってる人は知ってることではありますが、(特に離乳食開始早期からの)油脂類の摂取はアレルギー反応を引き起こし易くなる作用があります。
何故かというと、赤ちゃんは消化機能が未熟だからだと言われています。
『授乳離乳の基本ガイド』には離乳期に摂取する油脂量は記載されていませんが、以前の『離乳の基本』には、事細かに記載してありました。

油脂類が不足しては心配だというのであれば、大豆や肉・魚を食べさせていけば充分補給できます。
わざわざ、調理に油脂類を使用するのは、早くても10カ月を過ぎてからで結構です。
それも毎日ではなく、週に1回程度、ごく少量(1g/日)、植物性のものでお願いします。
ただ、どう考えても、家庭では1g/日なんて、計量困難だと思います。
油脂類摂取の大きな目当てはカロリーです。
しかし、油脂類は上記のように他の食品に含まれますし、そこから摂取出来なくはないですから、極論ですが無けりゃ無いでいいのでは?と私は思います。

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2010年3月25日 (木)

もうすぐ4歳のおっぱい星人であっても・・・

WHO/ ユニセフの調査によれば、卒乳の世界平均は4.2歳とのことですが、先日★病院の母乳外来に受診されたお母さんは、後10日足らずで4歳のお誕生日を迎えるおっぱい星人のお母さんでもありました。

3年半ぶりくらいの再会で、正直言って、ここまでおっぱいを続けておられるとは、受診時にお顔を見るまで存じ上げていませんでした。

「6日前からしこリが出来て、昨日まで乳房が痛かったんです。今日は痛みが無くなって来たのですが、やはりこれは乳腺炎なんですか?」と尋ねられました。
聞けば、授乳は2(~3)回/日。
おはようとおやすみの時だそうです。
どこからでも飲めるおっぱい星人です。
ちなみに体重は16kgを越え、骨太に元気に育っておられます。
いつも「美味しいね。」と飲んでくれるそうです。
しかし、痛くなったと・・・何故だろう?

ベーシックなことですが、「何かいつもよりも、美味しいもの食べましたか?」と聞きましたら、「お餅ですかね?普段より沢山一気に食べました。」とのこと。
「何個食べたのですか?」と聞きましたら、「6個です。」とのこと。

あちゃ~、それはいくらなんでもイケませんな。(汗)
もうすぐ4歳の“キング級”のおっぱい星人だったので、さすがにもう、食べ物に気を付けると言ったって、大したことないだろうと油断していたのですね。
「やっちゃた~。」というヤツです。
おっぱいに良くない食べ物を頻回若しくは一気且つ多量に食べるのは控えましょうね。

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2010年3月24日 (水)

おっぱいとお薬/その57『プリンペラン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その57『プリンペラン®』(改訂版)公開中です
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事

『プリンペラン』はメトクロプラミドというお薬の商品名です。
胃炎、消化機能異常(嘔気・食欲不振・腹部膨満感)、乳幼児の嘔吐症や妊娠悪阻の際等に処方されます。
評価については難しいのですが、赤ちゃんがおっぱいを通して摂取するお薬の量は少ないので安全と思われるという説と、赤ちゃんに影響があるという説もありますが、この警告を実証する研究は無いのです。
アメリカ小児科学会では「注意を要する。」とされています。

ただ、臨床的には長年、乳幼児の嘔吐症や妊娠悪阻の際処方されています。
特に妊娠悪阻では経口摂取が困難な妊娠初期の入院加療中の方の点滴内に混和して処方されます。

私の勤務先も含めて、いくつかの病産院は乳汁分泌促進という裏技を利用して、おっぱいの立ち上がりの遅いお母さんに処方することがあります。
私の勤務先では過去10年間で1人だけ、口唇の端がピクピクしたり手先が震えるというお母さんと、妊娠前に『プリンペラン』に対し、過敏症であることが判明していた数人の方は服用困難でしたが、それ以外の方は、怖い副作用には遭遇していません。(赤ちゃんへの影響が指摘されていますが、私の勤務先ではそのような事例には遭遇していません。アメリカで過去2例、子どもがおなかの不快感を訴えたというものがあるそうですが。)

ちなみに『プリンペラン』の半減期は2.5~5時間です。
しいて副作用を挙げるとしたら、私は聞いた分で最多(っていううか、殆どのお母さんが仰るには)胃がスッキリしてやたらとおなかが空いて、お食事がとても美味しく感じられることです。
食の細いお母さんであっても、わりとしっかり食べられたり、早喰い傾向のあるお母さんであっても、胃もたれが少ないという自己申告を受けています。

 

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赤ちゃんの貧血予防対策。

おっぱいの鉄分の吸収率は粉ミルクとは雲泥の差なので、基本的に貧血の心配は無いはずなのですが、時として、「検査をしたら赤ちゃんの貧血が発覚して治療をすることになりました。」というプチメを何人ものお母さんから受け取ったことがあります。

一般的に貧血(この場合は鉄欠乏性貧血)になりやすい(予測可能な)赤ちゃんは居られます。
お母さんが妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・鉄欠乏製貧血である時、生まれてきた赤ちゃんが早産児・低出生体重児であるときは、かなりの頻度で生後半年以内であっても赤ちゃんが鉄欠乏製貧血になりやすいことが判っています。
そのようなリスク因子が無いのに、なってしまうこともあります。

乳児の鉄欠乏性貧血は、徐々に進行していくことと、自覚症状を訴えることが出来ないのでお母さんが気が付きにくいのが難点です。
3ヶ月以上続いていると、赤ちゃんの胃の粘膜が縮んで栄養素の吸収が悪くなることと、精神運動発達の遅れが認められるという報告もあるので、注意が必要です。
しかし・・・では、どうすればいいのでしょうか?
上記のリスク因子の無い赤ちゃんの場合、好発時期は生後半年以降とされていますので、丁度離乳食を開始する時期でもあります。
その理由は、おなかの中でお母さんからもらった鉄分(=貯蔵鉄)が少なくなってくる時期であるからです。

予防が第一なので、離乳食が進めて行って、鉄分を多く含む食材を活用したメニューを取り入れることです。
動物性食品の鉄の方が吸収率は良いです。
植物性食品の鉄の方は吸収率が悪いですから、少しでも吸収率を上げるには、ビタミンCを同時摂取すると良いです。
検査結果(=貧血の程度)によっては、インクレミンシロップなどの鉄剤が処方されますから、ドクターの指示通りに内服させましょう。
精神運動発達の遅れが認められるというコメントには、お母さんとしては心を痛められるでしょうが、多くの場合気がついて直ぐに治療を開始すれば、心配ありません。
言うまでもないことですが、フォロミに切り替える必要性は全く無いです。

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2010年3月22日 (月)

おっぱいとお薬/その56『タケプロンOD』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その56『タケプロン®OD』(’改訂版)」公開中です
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以下、過去記事

『タケプロンOD』は消化性潰瘍治療薬の一種であるプロトポンプ阻害薬です。
プロトポンプを阻害することで、胃内pHを上昇させる働きがあります。
プロトポンプ阻害薬のうち、ランソプラゾールというお薬の商品名が『タケプロンOD』なのですね。
『タケプロンOD』は、授乳に際しては可能ではありますが、注意が必要なお薬でもあります。(半減期が1.5時間)
その理由は授乳中のお母さんに関するデータがまだ無いからです。

ちなみに、プロとポンプ阻害薬には、ランプラゾールの他にオメプラゾールというお薬があります。
こちらはプロトポンプを阻害することで、胃酸分泌を強力に抑制する働きがあります。
オメプラゾールというお薬の商品名が『オメプラール』なのですね。
こちらの『オメプラール』も授乳に際しては可能ではありますが、注意が必要なお薬でもあります。(半減期が1時間)

授乳中に服用可能であるという理由は、これらのお薬は半減期が短く、おっぱいに出て来る濃度がごく僅かであると考えられているからです。
何故おっぱいに出て来る濃度がごく僅かと考えられるのかといいますと、服用したお母さんの胃液の酸で分解されるからです。
尚、どちらがより安全なのかという点については、プロトポンプ阻害薬の処方が必要とされるなら、ランソプラゾールよりもオメプラゾールが優先というか第一選択とされています。
その理由は授乳中のお母さんに関するデータが僅かながらもあるからです。
オメプラゾールつまり『オメプラール』は、お母さんが毎日20mg内服したとして、赤ちゃんが摂取する最大量は3μg/kgに過ぎないということが判明しています。
(念のために申し添えますが、1gの1/1000が1mg。 1mgの1/1000が1μgですね。)

 

追記:2011年8月8日に元BFH認定病院で勤務された経験のある、くりむさんという方(薬剤師さん)から記事を補足するコメントを頂きました。
ご本人の承諾を得ましたので、ほぼ原文ママにて追記させていただきます。

たまたまですが、お薬の記事を読んでいて、気になったのでコメントさせていただきます。
PPI を服用しなければならないほど、胃の調子が悪いなんて、ママはとても苦しい状況ですね。
なぜなら、PPI は、胃薬のなかでもかなり強いランクにあたり、本文の通り、母乳移行のデータが揃っていないので、普通の胃炎であればもっとクラッシックなものを使うことが多いのです。
なので、処方医はママの症状をすごく心配されて処方されたか、母乳育児に興味がないかのどちらかだったのでしょう。
さて、本文中の記述で、誤解があるようなのでコメントさせていただきます。

何故おっぱいに出て来る濃度がごく僅かと考えられるのかといいますと、服用したお母さんの胃液の酸で分解されるからです。

ランソプラゾール、オメプラゾールともに、胃酸で失活します。
なので、製剤化するときに胃酸では溶けず、腸で溶けて腸から吸収されるように工夫がしてあるのです。
これらの半減期は短いですが、効果は長く続きます。
なぜなら、胃酸を押さえるためのスイッチ(受容体といいます)に結合して作用するのですが、その結合時間が長いからです。
なので、血液中からなくなるけど、効果は長く、強く続くのです。
また、一般的な話をしても、おっぱいには血液に入ったお薬が出てくるので(←内服薬は胃や腸で吸収され、血液に入ります)、胃酸によって一度上がった血中濃度が左右されることはありません。        (2011年8月11日22時44分)

 

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痛い乳房マッサージを受けるべきか?否か?

<ご相談内容>
1ヶ月と10日の娘をもつ、新米母です。
わたしは病院食が豪華だったこと、病院があまり母乳推奨ではなかったこと、そしてわたし自身が無知だったことから、出産後全く母乳が出ませんでした。

今はおっぱいマッサージに通い、食事も気をつけるようにしているので、頻回授乳ながらなんとか完母になりました。
体重も増えているし、おしっこもたくさん出ているのでおっぱいも少しは安定してきたかな、と嬉しく思っています。

わたしが通うおっぱいマッサージは助産師さんが行ってくれます。
特に○○式、というわけではなさそうです。
50年ほどの実績をもつ、近所ではそこそこ有名な方みたいです。
気になるのは、そのマッサージが激痛だということです。
シーツを握りしめても声が抑えられない程です。
SOLANINさんの記事の中で、「あまり痛いマッサージは…」とあったのを読み、少し心配になってしまいました。
その助産師さんいわく、「しこりがあるから痛いのは仕方ない」とのことでしたが…。
今まで5回通い、とりあえずおっぱいの状態が落ち着いたから、しばらくしてからまた来てと言われましたが、行こうか悩んでいます。
母にはもうおっぱいも出ているし、行かなくてもいいんじゃない?と言われましたが…。
母の意見に同意する反面、わたしはおっぱいの状態が悪くなっていないか心配だし、行った方がいいかな…と思ってしまいます。
おっぱいに腫れや赤みはないにしろ、しこりのようなものがあり、押すと痛い感じもありますし、なによりまたおっぱいが出なくなるのは嫌です。
また、おっぱいトラブルの自己判断の目安も教えていただけたら嬉しいです。

<SOLANINの回答>
まずは、入院中おっぱいがさっぱりな状態だったのに、退院後の努力が実って完母になられたことをお喜び申し上げます。

乳房マッサージには様々な流派があり、K式、H式、O式、S●C式、T式、B●ケア等々有名なものだけ挙げてもこんなにあります。
でも、ブランドだから全て良いとは断言できません。
誤解を恐れずに申し上げますが、いくら系統立てて理論や手技を学び、トレーニングに励み、終了試験に合格して、免許皆伝となっても、最終的に良いマッサージかそうでないかはその助産師個々のスキルによるものだからです。
なので、無印だから劣るとかそんな単純なものではないのです。

このお母さんのお住まいの地域の事情で、乳房マッサージをしてくれる助産院が他に無いのなら、どうしようもないのかもしれません。
しかし、もし、選択肢があるならば、痛くない乳房マッサージをしてくださる助産師に罹られることをお勧めします。
選択肢の範囲を何処まで拡げるかとなると、個人的見解ですが、自家用車や電車・バスなどで片道1時間くらいなら、選択肢の範囲に入れていいのではないかと思います。
そこまで拡げると、選択肢はあると思うのですが・・・
(ちなみに、SOLANINの住むまちは地方の小さなまちですが、★病院を起点にしても片道1時間圏内に、病院・産院・有床助産院・出張開業助産師等、乳房マッサージをしてくれる助産師の居るトコロは14箇所くらいあります。一部の産院はそこで出産した方でとないダメだったり、元々の予約枠が少なく、予約枠争奪戦のようになっている病院もあるらしいですが・・・)
同じまちに助産院は1箇所しかなくても、もしかしたら近隣にはあるかもしれません。
(そういう情報は保健所・保健センターが掌握していますから、土地勘の無いお母さんは問い合わせてみましょう。)

確かに誰が触っても痛いかもしれない状態の乳房は時としてあります。
しかし、いくら「しこりがあるから痛い。」と言われても、5回通院されて5回ともシーツの端をQdんでも声が出るというのは、どうなんでしょう?
同じ助産師に乳房マッサージされたお母さんのほぼ全員が、「あそこの助産師さんの乳房マッサージは痛いなぁ~。」という共通認識があるのなら、やはり罹りつけにするのはヤバいと思います。

普段からトラブらないための方法は過去記事を紐解いていただくとして、セルフチェックの方法を思い浮かぶままにあげますと、下記のとおりになります。
1.おっぱいの後に乳房全体を撫で擦り、しこりが歩かないかチェックする。
2.しこりがあっても、圧痛が無ければ大丈夫。
3.圧痛があるのなら、抱っこ(=ポジショニング)の工夫をして飲ませる。
4.しこりが痛くなくても、ドンドン大きくなるのはおかしいので、受診します。
5.熱発・ブラジャーが擦れても痛い・乳首の先に白い点が出来ている・搾り出したおっぱいがドロッとしている時は受診します。

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2010年3月21日 (日)

赤ちゃんに湿疹が!アトピー?(生後1カ月)

1ヶ月健診で黄白色のブツブツした湿疹がお顔に出来ている赤ちゃんに遭遇します。
大抵のお母さんは「これは、アトピーなのでしょうか?」と不安げな表情で尋ねて来られます。
実際はどうなのか?
小児科のドクターは「今からアトピーは出ませんよ。」と笑って答えておられます。
その殆どは、「脂漏性湿疹」というものです。
アトピーと「脂漏性湿疹」は異なる病気です。
従って母乳育児中のお母さんが除去食を食べなくてはならないというものではありません。
思春期の青少年の顔に出てくるニキビと同様の湿疹と考えていただいて差し支えありません。
簡単に言えば、自分のカラダが出す脂に自分の皮膚が負けてるってことですから。
対処法はとてもベーシック⇒石鹸洗顔です。
沐浴剤の取説には色々良さげなことが書いてありますが、沐浴剤には余分な脂分を取り除く力が殆どありません。
「脂漏性湿疹」は沐浴剤を使用しておられる赤ちゃんは出易いし、酷くなり易いようです。(なので、私は自分の赤ちゃんには使用したことはありません。また、統計までは取っていませんが、私が知る限りは、お母さん・お父さんのいずれか若しくはお二人とも思春期にニキビ真っ盛り経験のある場合は、親子で肌質は似てきますので、かなり派手に出易いようです。)

あぁでも、皮膚の【バリア】についての過去記事にもありますように、「脂漏性湿疹」であっても、皮膚の水分補給は必要です。
保湿ローションやジェル等を石鹸洗顔後に塗ってあげることはお忘れなく♪

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出産後お母さんのHTLV感染が発覚したら?

HTLVは成人T細胞白血病(ATLA)を引き起こす、ウィルスです。
感染経路は輸血・性行為・経母乳の3種類と言われています。
ならば・・・と、おっぱいを断念して出生時から人工栄養にされる選択も有りますが、人工栄養であってもHTLVの「感染率」は2.5~5.7%です。(最近、国内で得られたデータから引用。)
決してゼロではないのですね。
何故か?
これは胎内感染・出生時感染が存在するからです。
HTLVの「発症率」は「感染率」よりもさらに低く、栄養方法に関係なく、感染者1000人につき5人とされています。
これだけは、現代の医学では防ぎようがありません。

出産前に病産院で受けた感染症チェックの検査では、何故かHTLVの項目が無く、何らかの理由でお母さんが産後に受けた検査から、HTLV感染が発覚した場合、母乳育児中だったらどうしよう?という問題が発生します。
短期間の母乳栄養は、人工栄養との差が少ないことは、過去記事にも書きましたから、お読みいただいた読者さんは既にご存知かと思います。
何故か?
生後5~6か月迄は胎盤を通して移行したHTLV-抗体が存在することによる予防効果があるからだと推測されているからです。
なので、生後間もないうちに赤ちゃんがHTLVに感染しているかどうかを調べても移行抗体があるため、感染の有無の判断が出来ません。

直母については、「感染率」を考えて、短期授乳という選択肢を選ばれるお母さんもおられます。
長期授乳は「感染率」が高まりますから、やはり、心配かと思います。
でも、「直母以外の方法でも構わないからとにかくおっぱいをあげたい。」と思っていただけるのであれば、別の方法で続けることが可能です。
どうすればいいのか?
それはHTLVの性質を知ることで対処出来ます。
HTLVは生きたリンパ球の中でしか生きて行けないという性質があります。

そこで、搾乳し冷凍してそれを解凍して湯煎すれば、赤ちゃんに飲ませてあげることが出来ます。
但し搾乳の冷凍でHTLVを感染力を消滅させるには、マイナス20度(マイナス18度という文献も有る。)で12時間凍結させることが必要です。
家庭用冷凍庫はマイナス18度です。
なので、可能と言えば可能です。
しかし、12時間凍結が必要というのは、急いでいる時は適していません。

では冷凍以外の方法で、感染力を消滅させることは出来ないのか?
あります。
56度で30分間加温すればいいのです。
フレッシュな搾乳でも冷凍母乳で凍結12時間以内のものであっても、56度で30分間加温すれば、感染細胞は死滅し、感染力が消滅します。
やたらと手間がかかりますが、こうすれば安全なカタチでおっぱいをあげることができます。

ちなみに、赤ちゃんの感染の有無の最終判断は、小児科を受診し3歳くらいまで経過観察していただき、その時点でHTLV(-)であれば、大丈夫との判断基準となるそうです。

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2010年3月20日 (土)

親子の成長に必要な無条件の愛とは?

胎内記憶の池川明ドクターのご著書の中で感銘を受けたお話しをもう一つ。

「生まれてきてくれてありがとう。」
「あなたがいるだけで、幸せだよ。」
そんな風に、自分の存在そのものを受け入れられたとき、子どもの中に自分を肯定する気持ちがはぐくまれます。
そのような自己肯定感は、自分の力で人生を切りひらいていくための、大きな原動力になります。

反対に条件付きの愛というものがあります。
この指標となる代表的な表現は、「いい子だから、〜してね。」
「〜ができたら、ごほうびをあげる。」などです。
ここには、子どもの行動を評価し、それに対して報酬を与えることによって、子どもをコントロールしようとする心の動きが見られます。
そういった言葉の裏には、「そうでなければ、あなたは要らない子。」というメッセージがうかがわれます。
そうした裏のメッセージは、必ず子どもに伝わってしまうということを知っておいてください。
もしあなたの中に、わが子に無条件の愛情をそそいでこなかったという反省があるなら、今からでも充分間に合います。
どうぞお子さんに、無条件の愛をそそいでほしいのです。

また、おなかに赤ちゃんが宿っているなら、今からさっそく「来てくれて、ありがとう。」と、たくさん話しかけてください。
そして、言葉だけでなく、無条件の愛情を示しましょう。

人が人に愛されていると知るのは、無条件にぐっと抱きしめられたときです。
しっかりと抱きしめられ、愛を感じることができれば、それが生きる力となります。

わたしはこの文章を読んで、自分の子育てを振り返って、自問しました。
条件付きの愛情の全てが悪いとは思いませんが、「もしも私が自分の子供たちに条件付きの愛情しか与えていなかったら、私の子どもたちはどうなっているだろうか?」
無条件の愛情は無償の愛情とも言い換えることが出来ます。
何らかの見返りや世間体に束縛されない愛情をどれだけかけてきただろうか?
もしかして私には子どもが成長するにつれ、無条件の愛情が減っていたのではなかろうか?
急に子ども(それも自分の背丈を越えた)を抱きしめたら気持ち悪がられるかな?
でも、3人がおなかに命の宿った時の言葉では言い表せないくらいの嬉しさや、産まれて来てくれた時の感謝の気持ちが、ややもすると薄れてしまいそうな年月の流れをどうにかして逆走したくなる、子どもたちを抱きしめたくなる魔法の言葉でした。

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授乳中の予防接種について。

インフルエンザもピークを過ぎました。
インフルエンザはご存知の通り、不活化ワクチンの一種です。
インフルエンザワクチンは有効期間が短いし、毎年流行する型が微妙に異なりますから、毎年接種となります。

そうではなく、風疹・麻疹・おたふく風邪・水疱瘡は生ワクチンで、通常は抗体が付けば終生免疫と言って、何回も罹患することはないと言われています。
(最近はそうでもないことがあるので、子ども達には麻疹は追加接種の機会が設けられましたが。)

さて、授乳中のお母さんに予防接種、打っていいのか?悪いのか?
インフルエンザはOKであることは、読者のみなさんは既にご存知ですね。
では、生ワクチンであっても接種していいのか?
例えばお母さんが風疹・麻疹・おたふく風邪・水疱瘡に罹ったことがなくて、上の子さんが集団生活に入り、次のお子さんを妊娠するにあたり、これらの抗体が無いままではマズいとなったら、どのタイミングで接種すればいいのか?
(お母さん自身は幼少時から現在まで罹った記憶が無い場合でも、もしかしたらこれらの病気に不顕性感染しているかもしれません。しかし、それを言い出すとややこしくなるので、この記事では割愛し、まるっきり抗体がないものと考えて話を進めます。)

生ワクチンは授乳中でも接種できます。
授乳中の赤ちゃんに影響はありません。
但し、どうしても守っていただかないといけないことがあります。
生ワクチンを接種して抗体ができるのは8週間(2ヶ月とも言われる。)を要します。
なので、その接種したワクチンの抗体がお母さんのカラダに出来あがるまでは厳重に避妊して、絶対に妊娠は避けてください。
そうでないと、例えば風疹ワクチンを接種して、8週間以内に妊娠してしまったら、おなかの赤ちゃんは大変恐ろしい先天性風疹症候群になってしまう危険性がドド~ンと跳ね上がります。
お腹の赤ちゃんに抗体を分けてあげるどころか、感染させてしまうのです。
(先天性風疹症候群がどんな病気かは、みなさん、ご存知ですよね?)

お母さんに生ワクチン接種による抗体が出来あがってから授かったおなかの赤ちゃんには、胎盤を通してお母さんの抗体が確実に移行します。
確実に免疫のお守り札を持たせてあげることが出来るというわけです。
接種するタイミング、旦那さんにも協力してもらわないといけない避妊、ご夫婦で話し合ってくださいね♪

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2010年3月19日 (金)

虐待をくり返させる心の闇の正体とは?

最近私は池川明ドクターのご著書を読むことが増えました。
胎内記憶について、執筆・講演活動をしておられる、あの池川明ドクターです。
どの本のどの章を読んでも涙腺が緩んでしまい、「年のせいかな?」と負け惜しみを言いつつ、毎晩眠る前に少しずつ読んで、穢れたココロを洗っています。

最近ガツンと心に響いたことがあるので、それについて書きます。
以下、ほぼ原文ママで、ご著書から引用させていただきます。

親に愛されたくない子どもはいません。
同様に子どもを愛したくない親はいないと私は信じています。
愛し合いたいのに、それが何らかの理由でできない時、親が子に体罰を加え、言葉の暴力をふるい、ふれあいを拒否するという関係が生じるのです。
こうした悲しいゆがみをともなう親子関係は、世代を超えて連鎖していくことが多いと指摘する専門家が少なくありません。
ゆがんだ親子関係は何世代もさかのぼることができます。
親の愛を望みながらもそれを得られなかった子どもが、やがて親になり、わか子に同じことを繰り返していたのです。
しかし、胎内記憶の観点から言えば、人がこの世に生まれてくるのは、そうした悲しい親子関係を次世代へバトンタッチするためではありません。
むしろ、マイナスの連鎖を断ち切り、幸せにあふれた親子関係を自分の代でとりもどすという意欲に燃えた、たくましいたましいが、お母さんのおなかに宿るのです。
もしも、(あなたが)ゆがんだ親子関係の連鎖に巻き込まれているのなら、まずは自分が勇敢なチャレンジャーであることを誇りに思っていただきたいと思います。
あなたはご両親の悲しい生い立ちを見て、ご両親に幸せを届けようと立候補した、強さと優しさに満ちた、たましいの持ち主なのです。

虐待の記事、ここ最近止まることが無いという恐ろしい状況の毎日です。
人は言われたようにして育つのではなく、されたようにして育つという言葉がありますよね。
だから、虐待は続くんだ・・・と。
それにしても、勇敢なチャレンジャーの命を犠牲にしないと、虐待は止まらないのかと思うと、暗澹とした気持ちになります。
翻って、おっぱいが上手くいくと、赤ちゃんとの毎日が楽しくなるというお母さんは多いです。
ならば、そう思えるお母さんをひとりでも多くなるようにお手伝いすることが私の使命なのかな?と僭越ながら思った次第です。

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体重が2500g以上でも早産児は早産児です。

医学的に言うところの、早産児とは37週0日迄に生まれた赤ちゃんを指します。
低出生体重児とは生下時体重が2500g未満の赤ちゃんを指します。
37週0日から41周6日までの赤ちゃんは満期産児とか正期産児と呼びますが、生下時体重が2500g未満だったら、低出生体重児でもあります。
逆に33週なのに2700gとか、週数に対して大きな赤ちゃんが生まれることも有ります。
そのような赤ちゃんは低出生体重児ではないのですが、やはり早産児です。

一見して体重が大きいから、おじいちゃんやおばあちゃんは大喜びです。
「心配するほどでなかったわな。」とのたまう方も、ちらほら居られます。
しかし、コトはそう単純なものではないのですね。
消化吸収機能も腎機能も呼吸機能も体温調節機能も哺乳意欲も睡眠時間も黄疸の程度も何もかも、満期産の赤ちゃんとは異なります。
細胞外液が多いから、生後1日目で体重減少率が10%以上になる赤ちゃんも居られます。
なので、間違っても「ウチの子はカラダは大きかったのにヘタレ。」だなんて言わないでね。
発達や離乳食の開始は修正月齢で判断します。
生まれる時があわてんぼさんだったから、焦りは禁物。
生まれてからはゆっくりのんびり大きくなっていく子なんだなぁと考えてくださいね。
僭越ながら、早産児のお母さんに是非持っていただきたいスタンスです。

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長期化した乳口炎は慢性乳腺炎です。

乳頭に白い点が出来て・・・という経験をされた読者さんは相当数居られるかと思います。
それくらいポピュラーな病変なんですね、乳口炎って。
乳口炎はもちろん局所のケアは欠かせません。
急性の乳口炎は軽快するのも早いのですが、慢性の乳口炎は一気には軽快しません。
時々、1回のマッサージで、何とかしようとする助産師がいますが、多分過剰刺激になるだけなので、止めた方が良いですよ。
慢性の乳口炎に繋がる乳管は狭窄したり硬化しているものです。
そんな乳管に繋がる乳腺組織も委縮してきます。
つまり、おっぱいの分泌機能が低下してくるわけです。

こういう場合はかったるいかもしれませんが、少しずつ排乳していくしかありません。
硬結部の縮小には時間がかかりますが、少しずつでも排乳すれば、お母さんはラクになってきますよ。
症状を緩和して治癒につなぐのは赤ちゃんの吸啜が第一なのですが、埒が空かない場合は、助産院や母乳外来を受診しましょう。
また、忘れてはならないのは、「じゃがいも湿布」です。
記事のタイトルにもありますように、長期化した乳口炎は慢性乳腺炎の因子が残っていますから、効果があるわけです。

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2010年3月18日 (木)

完母の赤ちゃんは預かる時大変?(Byおばあちゃん)

今のおばあちゃん世代はミルク育児が主流でしたから、ご自分がなさっていない完母を実践しているお母さんの授乳スタイルを理解しがたい傾向があるのは否めません。

こんなことを言うのもナンですが、★病院の母乳外来に於いても、付き添いのおばあちゃんからトンでも発言がしばしば飛び出します。
例えば、「赤ちゃんを預からなくてはならない時、哺乳瓶が使えなかったり、ミルクが飲めなければ代わりに世話することも出来ないぢゃないですか。」とか「完母を勧めることは、お母さんのリフレッシュ機会を少なくする。(美容室に行けない、映画も観に行けない等の事例を引き合いに出されます。)」「完母ではお母さんにしか懐かない赤ちゃんになってしまい人見知りが助長される。」等の、おばあちゃんなりの心配や不安を真正面から受けている者としては、この誤解を解いていきたいと思います。

まず、赤ちゃんを預からなくてはならない時って、想像とは異なり、そうそうザラにはありません。
(お母さんが育児放棄しているなら別でしょうが・・・まさかそれはないでしょう。)
お母さんから赤ちゃんを切り離そうとするから問題が生じるのです。
「預かる。」のではなく「付き添う。」ようにすればいいのです。

哺乳瓶が使えなくても、スプーンやスポイドやソフトカップ等でも赤ちゃんは飲めます。

ミルクが飲めないなら搾乳や冷凍母乳を活用すれば良いのです。

仮にお母さんが体調不良の時は、赤ちゃんのお世話を肩代わりするよりも、赤ちゃんのお世話だけ専念出来るように洗濯物を干したり、ご飯の支度や片付けをしてあげたり、上の子の送迎を請け負ってあげたり、お風呂に入れてあげたりした方がより一層、感謝してくれるのではないかと思います。

美容室は美容師さんが実行確実な予約を入れるとか、過去記事にもあるように赤ちゃん同伴で行けるサロンを選ぶとかすればいいのです。
映画を観たければ、赤ちゃん連れでも行ける映画館(曜日・時間指定制)を選んで行くとか方法はあります。
(ってか、赤ちゃんが小さいうちは映画観る余力があるお母さんてあまり居られないという気がしますが。新作を大画面で観るのに拘らなければ、DVDをレンタルして、自宅で赤ちゃんがネンネの間に観る方が余程気楽ではないですかね?)

お母さんが入院しなくてはならないなら、月齢によっては赤ちゃんの同伴入院が可能な施設もあるのですから、予め情報収集しておけば、いざという時慌てずに済みます。

人見知りについては過去記事にもありますように、ある一定の月齢になれば発達段階のひとつとして発現してもフツーであること、いつまで続くのか?程度がキツイいのかユルいのか?は赤ちゃんのキャラにもよるトコロが大きいので、完母だから完ミだからと一概には言えないことをきちんと説明したら分かってくれます。

赤ちゃんがおっぱいだけの時期はせいぜい5~6か月。
やがて離乳食も食べるようになります。
赤ちゃんへ「餌付け」をしたければ、ミルクでなく、お食事の方が長い目で見て、色々食べさせてあげる楽しみが大きいと思います。
特に完母の赤ちゃんの離乳食はゆっくり傾向が強く、お母さんが食べさせると少ししか食べないけど、おばあちゃんだったら食べっぷりが良いことも多々あります。
ミルクに慣らさなくても、お母さんをサポートすることは充分可能です。

また、これはかなり個人的希望ではありますが、産後早急な仕事復帰とかの特殊事情がなければ、お母さん自身も出産前や出産直後から「いつでも気軽に赤ちゃんをおばあちゃんに預ける育児」を想定するのではなく「いつでもお母さんが傍にいるよと赤ちゃんを安心させてあげる育児」を目指して貰えたらと願います。

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おっぱいは離乳食の前?後?(10ヶ月)

<ご相談内容>
退院後は完母で現在10ヶ月の赤ちゃんがいます。母乳育児が順調だったのは最初の1~2ヶ月のみで3ヶ月目からはのけぞっておっぱい拒否するようになりました。
そのため体重増加が一気に落ちてしまいました。
嫌がる理由が不明で、だけどミルクはダメで何とか10ヶ月の今までおっぱいのみでやってこれました。

もともと分泌量は多いほうではないので分泌量を保つために授乳回数:8回/日は守ってきました。
おっぱいに興味がない上、キョロちゃんなのでこちらから頃あいを見ておっぱいの訪問販売です。
6ヶ月から離乳食を始めました。
一ヶ月経過して2回食にしてから離乳食後のおっぱいを飲まなくなりました。
離乳食の量は母子手帳に載っている「離乳の進め方の目安」より少し少ないくらいです。
このままでは授乳回数が2回分減り6回/日になってしまいます。
そこで離乳食前におっぱいを飲ませるようにしました。
おっぱいを飲んだ後でも離乳食は食べてくれるのでこの方法で10ヶ月までやってきました。
(10ヶ月になってから3回食にしました)

が、市の10ヶ月健診で正直に↑の方法を保健師さんに話したら
「もうこの月齢はおっぱいは寝かしつけくらいですよ~。それに空腹感を教えてあげるのも大事です。」
と言われました。
確かに空腹で離乳食を食べさせるのも大事なのではないかと思うのです。
なのでこのまま今のおっぱい→離乳食でよいものか?と疑問がわいてきました。

離乳食もそこそこ食べられているので分泌量維持のために回数にこだわる必要はあるのかどうか迷っています。
ただ、水分(白湯やお茶)はあまり飲みません。
なのでまだまだおっぱいで水分補給をとも思います。

個人差はあるとは思いますが、10ヶ月であればおっぱいの回数は赤ちゃんにお任せでよいのでしょうか。
そしてだんだんと卒乳していくものなのでしょうか。

<SOLANINの回答>
まず、おっぱいをあげるために人の何倍も頑張ってこられたことに敬意を表します。
離乳食が始まるまでの4ヶ月健診では不当な扱いにも屈せず、のけぞる&キョロちゃん&ミルクNGのわが子におっぱいをあげることはプレッシャーである日もあったかと拝察いたします。
幸いなことに、分泌の維持に努めてこられたのが効を奏して、今日もおっぱいをあげられるのですね。

10ヶ月の赤ちゃんの体重増加度は6~7g/日程度です。
おっぱいをちゃんと飲んで、離乳食もフツーに食べていて、6~7g/日なんです。
この体重増加度のペースは少なくとも1歳半くらいまで続きます。

今のままのおっぱい⇒離乳食の順番で続けても特に問題は発生しないと思います。
そこで、赤ちゃんの体重増加度はここのところどうなっているのか?を、念のためチェックしてみましょう。
6~7g/日未満のペースであれば、もう暫く、現状続行がベターかと思われます。
逆に順調であれば、離乳食⇒おっぱいの順番に変更してもいいと思います。

回数が減って気をつけることは過去記事にもありますように、お母さんのお食事量をコントロールしていくこと。(乳腺炎の予防と肥満防止ですな。)
眠る前はしっかりあげることかな?
ちなみに、1歳のお誕生日までに自然卒乳する赤ちゃんの割合は20%です。

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2010年3月17日 (水)

おっぱいとお薬/その55『アレグラ』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その55『アレグラ®』(改訂版)公開中です
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事

『アレグラ』は抗ヒスタミン薬の仲間で、第二世代のH1受容体拮抗薬の一種です。
催眠作用が少ないお薬です。
アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎等の際処方されます。
成分は違いますが近似のお薬としては『エバステル』が挙げられます。

注意点が三つあります。
『アレグラ』は、お母さんにQT延長症候群がある場合は、処方自体が禁忌とされています。
『エリスロマイシン』と併用すると、『アレグラ』の血中濃度が上昇するので、併用はするべきではありません。
『ミルマグ』や『マーロックス』等の制酸薬と共に内服すると、それらに吸着されて、抗ヒスタミン薬としての吸収量の減少が起こる危険性がありますから、どうしてもこれらの内服が欠かせない場合は時間を空けて内服した方が望ましいです。(具体的な時間についてはかかりつけの薬剤師さんに相談してアドバイスを受けましょう。)

『アレグラ』や『エバステル』は薬価が高いのがネックですかねぇ。
あと、半減期が20時間と長い方ですが、アメリカ小児科学会では授乳可能なお薬に分類されています。
というのも、『アレグラ』はM/P比が0.2と、小さいからです。

M/P比・・・憶えてますか?
これはすべてのお薬の添付文書に掲載されている訳ではありませんが、お母さんの血液中からおっぱいへの移行がしやすいかどうかを表している値ですね。
M/P比が低い(≒特に1.0以下)ということは、おっぱいへの移行が少ないから、安全性が高いことを意味します。
内服するなら赤ちゃんへの安全性を考えることが第一ですからね。
もちろん症状が治まれば、ドクターと相談して休薬出来るようにするのがベターです。

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喘息性気管支炎と気管支喘息の違いとは?

喘息性気管支炎と気管支喘息。
似ている名前で紛らわしいけど、実は別の病気です。

喘息性気管支炎は乳幼児に起こる喘息のような症状を来たす気管支炎のことを指します。
乳幼児特に1〜2歳代の乳幼児にしばしば見られます。
風邪すなわちウイルス感染が引き金になって起こるのですが、直ぐにゼィゼィ状態になります。
しかし、気管支喘息とは異なり、呼吸困難やチアノーゼやヒューヒュー状態が出現することは、まずありません。
治療としては対症療法です。
痰が絡めば痰を切るお薬、ゼィゼィが酷いようなら気管支を拡げるお薬、痰を出しやすくするために水分をしっかり摂取することも効果的です。
咳が出るのが酷くなる時間帯は夜中から早朝です。

ちなみに気管支喘息はダニやハウスダストなどのアレルゲンを吸入してしまい、気管支にアレルギー性の炎症が起こるというもので、発作時は呼吸困難やチアノーゼやヒューヒュー状態(専門用語でいえば呼気性喘鳴と言います。)になります。
採血してIgEを測定し高値であったら、状況証拠的に黒いと言えますかな。

喘息性気管支炎はその殆どが3歳くらいまでに治癒します。
しかし、1割くらいの子どもは気管支ぜんそくに進行すると言われています。

ちなみに、お母さんが喫煙者であると、そうでない方と比較して、喘息性気管支炎の発症率は約5倍に跳ね上がります。(受動喫煙の害ですな。)

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2010年3月16日 (火)

皮膚の【バリア】とスキンケアのあり方。

赤ちゃんのお肌はいつもツルツルすべすべ・・・だと思っていたら、「あら?」ということがありますよね。
ビックリして小児科や皮膚科を受診したら「赤ちゃんのお肌は【バリア】が云々。」というドクターのお話、聞いたことがないですか?
その場では「ふむふむ、なるほど!」と思っていてもお家に帰って旦那さんに説明しようと思ったら「あら?」ということはありませんか?

【バリア】とは何か?
皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織という3層構造になっているのですが、この皮膚の厚みは大人の半分以下という薄さでもあります。
その表皮の上に乗っかってる皮脂膜と角質のことを【バリア】と呼びます。
健康な【バリア】があることで、ホコリ・細菌・ダニ・花粉などの異物の侵入を防ぐことができるのです。

新生児期からおよそ生後4か月くらいまでは、皮脂の分泌が多めであることが多いので「乳児湿疹です。」とか「脂漏性湿疹です。」というような病名が付けられる赤ちゃんはかなりおられます。
毎日お風呂に入って綺麗に洗っているのに、気が付けば頭皮にフケのようなものが、苔状にびっしり生えて(?)きていることもあります。
特徴は赤ちゃんとは思えない“加齢臭”そう、頭の匂いを嗅ぐと、明らかにおっちゃん臭いのですね。

で、その時期を過ぎると、思春期くらいまでは皮脂の分泌が激減します。
皮脂が激減すると、皮膚の水分が蒸発し易くなり、乾燥してきます。
つまり、赤ちゃんの皮膚は途端に砂漠状態(=皮膚の乾燥)になるのです。
角質も隙間だらけになります。
そうすると【バリア】の機能がとても弱くなってしまいます。
ホコリ・細菌・ダニ・花粉などの異物が侵入し易い状態になるのです。
しかも砂漠状態(=皮膚の乾燥)が進行してくると、じっとしていても、皮膚が痒くてたまらなくなります。
大泣きした後やお風呂あがりなどカラダが温かくなると、皮膚の痒みはさらに増強します。
すると赤ちゃん、グズグズが激しくなります。
痒みに耐えきれず掻き壊したりすれば、さらに【バリア】にはキズが付き、皮膚の炎症は表皮だけにとどまらず、やがて真皮にまで進行し重症化してしまいます。

ちなみにアトピー性皮膚炎も乾燥肌が進行した状態で、【バリア】の機能が低下した状態と言えます。

想像している以上に赤ちゃんの皮膚の【バリア】の維持は重要なのですね。
では、毎日のスキンなケアはどうすればいいのでしょう?
基本的に4か月までの赤ちゃんにはオイルは必要ないと考えられます。
生まれて間もなくからしてあげられることは、お風呂上りともう1回別の時間帯に油脂分の含まれない無香料・無着色・低刺激性のベビーちゃん用保湿ローション・ジェル等をお顔から足先まで表も裏も全身に塗りたくってあげることです。
赤ちゃんとのスキンシップを楽しむくらいのつもりで、してあげてくださいね。

あっ、そうそう、家族旅行とかで赤ちゃん連れで近場の温泉に行く方もあると思いますけど、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの場合硫黄泉はほぼ100%NGですから、必ずドクターに「泉質は●●泉なんですが、大丈夫ですか?」と、確認してくださいね。

なお、湿疹が酷くなり、塗り薬を処方された場合は、石鹸で皮膚の汚れを落とす⇒塗り薬を塗る⇒ベビーちゃん用保湿ローション・ジェルを塗りたくる・・・の順番です。
前回に塗ったお薬や皮膚の汚れがある上から、塗り薬を塗っても効き目はイマイチですからね~気を付けましょう♪

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おっぱいとお薬/その54『アレジオン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その54『アレジオン®』(改訂版) 公開中です
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事

『アレジオン』は喘息やアトピー性皮膚炎や花粉症の治療薬です。
お薬の半減期が長い目(12~15時間)です。
おっぱいには出てくるのですが、小児用ドライシロップも発売されており、一般的に抗ヒスタミン薬の仲間ではあるので、そういう意味ではまず大丈夫であろうとは思われます。
但し『アレジオン』はまだおっぱいを飲んでいる赤ちゃんに対する安全性のデータが少ないようで、私も文献検索したのですが、正直言って数値的なものは見つかりませんでした。

なので、可能であればますは『ポララミン』のように妊婦さんでも内服可能なお薬を選ぶのが第一ですね。
また、過去記事にもありますように、似たようなお薬ですが『アレグラ』『アレロック』『クラリチン』は授乳可能です。
『ポララミン』で、症状が治まらない場合は『アレグラ』『アレロック』『クラリチン』等のいずれかの内服を検討するという二段構えがベターかと思われます。

また、長期連用でなければおっぱいの分泌低下の心配はしなくても大丈夫でしょう。

 

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2010年3月15日 (月)

おっぱいとお薬/その53『ムコダイン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その53『ムコダイン®』(改訂版) 」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください


以下、過去記事。

『ムコダイン』は去痰薬・気道粘膜修復薬です。
母乳育児中に於ける、このお薬の安全性に問題はありません。
『ムコダイン』は生後2カ月くらいの赤ちゃんであっても、処方することのできる穏やかなお薬だからです。

 

 

 

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2010年3月14日 (日)

おっぱいとお薬/その52『クラリス』『クラリシッド』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その52『クラリス®』『クラリシッド®』(改訂版) 」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

『クラリス』『クラリシッド』はどちらもマクロライド系抗生物質のうち、“クラリスロマイシン”という種類に属します。
強いてチェックすることがあるとしたら、マクロライド系抗生物質を選択するとしたら“エリスロマイシン”か“ロキシスロマイシン”が第一選択で、“クラリスロマイシン”は“アジスロマイシン水和物”と共に第二選択であるということですが、安全性としてはもっとも安全なお薬のひとつです。
半減期は5~7時間と比較的早い方です。
通常授乳中のお母さんが服用しても差し支えないお薬です。

なお、『クラリス』『クラリシッド』自体の副作用として気をつけることは、赤ちゃんの皮膚の紅潮と下痢と鵞口瘡です。

 

お薬の服用をせざるを得ない状況になると、毎日フツーにおっぱいをあげられることの有り難さをは忘れられがちです。
お母さんが健康で過ごすことは、実はとても重要なことなんだと痛感させられますね。

 

 

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自治体での4か月健診~トンでもスタッフに遭遇したら?~

4か月健診の記事、反響が大きかったのはみなさんもご存知の通りです。
沢山のご意見をいただき、私も色々考えるところがありました。
自分の育児経験を振り返っても、集団健診の日ほど気の重い日はありませんでした。
コテンパンに凹まされた経験がある私にとって集団健診はミケロバ(三毛猫とロバかい!By言霊工房さん)程度では済まず、やはり虎馬になってしまいました。

 

「そんな集団健診に行くことに意味があるのか?」「時間の無駄ではないか?」という疑問を抱く読者さんも居られるかと思います。

 

確かに現行の集団健診には問題点がわんさかあって、突っ込みどころも満載です。
「集団健診のスタッフとして不適格ではないか?」という方も残念ながらひとつの保健所・保健センターにはひとり以上居られるのが現実かと推定されます。

 

あちら側の主たる大きな目的は「成長発達の異常の早期発見」と「虐待の予防と早期発見」であろうことは判明しています。
(もちろん、それに伴う保健指導があるというのは言うまでもないですが。)

 

では、この、集団健診というモノは煮ても焼いても喰えないモノなのか?
私はそうではないと思います。
もちろん、現状では税金の無駄使いかもしれないことがあるのは否定出来ません。
だからこそ、受けて有意義な集団健診に改善していくために、お母さんの方から行政の一端を査察する意識で集団健診を受けてやってほしいのです。

 

例えば、離乳食の説明について、こんな体験談が寄せられました。

私も集団健診を受けてきて、なんだかな~という印象を受けました。
まだ授乳時間が2時間しかなくて、直前に授乳したものの3時間弱かかってしまって、最後の離乳食の説明の頃なんてぐずっちゃって聞けたものではありませんでした。
うちの子だけじゃなくて、泣いてしまうお子さんの多いこと。
連鎖反応で泣いちゃうのもあると思うのですが。その時期の赤ちゃんの特徴は分かっているはずなのに、一度に済ませてしまおうという行政側の都合で、というのはお粗末だなぁと思いました。

 

「私もそうだったなぁ~。」と、昔を思い出しました。
画面の前でうんうんと、肯いている方、多いと思います。
私の知人は完母でしたが、赤ちゃんの体重増加度が少なかったから、それだけでネグレクト疑いをかけられました。
大変失礼で酷い話です。
その頃の彼女は母乳育児の基礎知識がなかったばかりに、ミルク屋さんの走狗のようなスタッフから頑張ってきた母乳育児を否定され、言われるがままで反論が出来ず、悔し涙を流しました。

 

でも少なくとも『最強母乳外来』の読者さんは、そうでない方よりも母乳育児の基礎知識も有るし、その他の育児知識も有る筈です。
そんなことを考えていたら、或る方からタイムリーなご意見をいただきました。

 

集団健診をモニタリングしにいく感覚で行って、「なにかおかしい!」と思ったら行政に事細かに報告し、改善してもらうようにしていってはどうでしょうか?
話をし医師・保健師・栄養士等の名前や言われたことなどをメモにとり、コメントにもあったように、電話や書面で報告するのです。
書面に書くときも感情的ではなく、医療的におかしいことを指摘できるようにきちんと裏をとって、書いたほうが良いですね。
「おっぱいは5分以上吸わせても出ない。」とか「おっぱいの栄養分が薄いから、赤ちゃんが育たない。」とかは、事実誤認も甚だしいですね。
きっと今まで何も言われなかったから、医師をはじめ集団健診に携わるスタッフは気がつかないんでしょうね。
ですからこれ以上嫌な思いをお母さん達がしなくても済むように、SOLANIN(さん)から教えてもらったこの知識を使って、私たちが出来ることをしていけたらと思うのです。

 

もちろん、あまり身構えて集団健診に臨むのは如何なものかと思いますが、その昔、ホントに“か弱き母親代表”だった者からの忠告ですが、「モビルスーツ」は装着した上で、集団健診会場に赴かれた方が無難かと思います。
万一のコテンパン攻撃にさらされても、気を確かにして、帰宅できるようにするために。(自信のある方は肩から「はおる」くらいでいいと思いますが。)

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2010年3月13日 (土)

おっぱいとお薬/その51『メジコン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その51『メジコン®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

『メ
ジコン』は非麻薬系中枢性鎮咳薬の一種です。
風邪を引いたと時や、気管支炎・肺炎になった時等に処方される咳止めです。
『メジコン』の半減期は4時間程度で比較的早い方です。
通常の使用量ではおっぱいへの移行が懸念されるとは考えられないとされています。
また、『メジコン』は乳幼児にも処方される最も安全な鎮咳薬とされていますから、服用されるお母さんが、ドクターの用法・用量の指示を守っていれば、おっぱいと両立できるってことですね。

間違えないでほしいのは、『メジコン』は咳を鎮めるお薬であって、咳が出ないように病気自体を治すお薬ではないということです。
あくまで対症療法ということです。

 

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複数ワクチンの同時接種について。

厚生省(当時)はワクチンの接種率が低いのでその改善策の一つとして、平成6年から複数ワクチンの同時接種を認めています。
認可当初は海外赴任等でタイムスケジュール的に間に合わない方が利用されることが比較的多かったらしいのですが、最近は小児科のドクターも推進派の方が増えてきています。
その理由は「体調不良等の理由で予定通りに定期接種がこなせなくて、抗体を持たない乳幼児が増えることへの懸念。」「海外では複数ワクチンの同時接種が普及しているが、問題事象は無さそう。」等だがらです。

考えてみたら「三種混合」は百日咳・ジフテリア・破傷風の3種類のワクチンがミックスされてます。
「MR」は麻疹・風疹の2種類のワクチンがミックスされています。
少なくともこれらは、ミックスしても効果が減弱しないし、副反応が増強されることもないです。(一昔前に開発されて今は亡き「MMR」は別ですが。)

だったら、オール桶なのか?
理論上はそうなります。
しかし、上記以外の混合ワクチンは国内では製品としてありませんし、懸念されるのは混合ではなく、複数ワクチンの同時接種をしたとして、副反応が起こった場合、どれが原因ワクチンなのか、判断(診断?)が難しいことです。
(接種部位の発赤や腫張くらいなら判断が出来ますが仮に熱発だったら、分からないと思われます。)
そもそも極めて稀ではありますが、ワクチン接種をして万一重篤な副反応が出現し、健康被害が生じたた場合、ワクチンの取説に明記されていない方法(=複数ワクチンの同時接種)で接種を行ったという理由で救済措置が取れにくい可能性があります。
(例えば定期と任意の同時接種だったら、どちらの方法で救済するのか?といった問題も生じます。どのような扱いになるのかは私は知りませんが。)

そもそも、予防接種が集団ではなく個別に変更された経緯を振り返ると、場所や期日指定では少々の体調不良ならば無理して接種させることがあるかもしれないという実例があったからと伝え聞いています。
やはり予防接種を受けるには体調が万全の状態で、その乳幼児を普段から診てくれているかかりつけのドクターに接種してもらうのがベターではないかということが鑑みられたのですね。
(なので、通知の来る定期接種は、接種可能期間もかなり幅を持たせているのですね。中高生に来る、MRの追加接種も“誕生日から1年以内”だったですもん。)

乳幼児の体調コントロールは保護者がするしかないのですから、単独であっても複数同時であっても、予防接種は強行してするものではないことだけは肝に銘じて、納得して受けさせてくださいね。

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2010年3月12日 (金)

おっぱいとお薬/その50『ジスロマック』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その50『ジスロマック®』(改訂版)公開中です。
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以下過去記事


『ジスロマック』はマクロライド系抗生物質のうち、アジスロマイシン水和物という種類に属します。
1錠が
250mgのものと、600mgのものがあります。(但し成人の1日当りの最大投与量は500mgとされています。)
半減期が長いので1日1回の内服で桶と言われています。
「半減期が長いのは、母乳育児中には良くないのではないか?」という考え方には一理あります。
しかし、『ジスロマック』の利点は、おっぱいに出にくい部類のお薬であるということです。
具体的には赤ちゃんがおっぱいから摂取するお薬の量は約0.4mg/kg/日となります。
例えば体重5kgの完母の赤ちゃんであれば、約2.0mg/日摂取することになりますが、これは臨床的には問題ない量であることは確かなのですね。

「どういうことなのか?」と、申しますと、そもそも、この『ジスロマック』というお薬、小児用製剤があり、臨床的に汎用されています。
ちなみに小児の場合、体重1kg当たり10mgを1回/日で3日間投与し内服させるのが標準的な処方量なんですね。
例えば先ほどと同じ条件であれば(体重5kgの赤ちゃんであれば)50mg/日内服するわけです。
お母さんが『ジスロマック』を内服せざるを得ない状況とすれば、確率的に赤ちゃんも内服することになる可能性はあるわけです。(感染る病気だから。)
赤ちゃんの治療に使用される量よりもおっぱいから出てくるお薬の量が圧倒的に少量であれば、赤ちゃんのカラダに支障をきたさないと考えられます。

「『ジスロマック』をお母さんが服用していたら、おっぱいは禁止だ~。」なんてことを仰るドクターがおられたら、それは、このことを単にご存知ではないってこと。
つまり、残念ながら母乳育児支援する気持ちの稀薄な“お薬の添付文書棒読みドクター”ってことですな。
そういうドクターの仰ることを鵜呑みにされることは、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても得策とは言えないと思います。
おっぱいを禁止する意味のないお薬なのに、禁止の指示をするのはナンセンスですよね?
冷静に考えたら分かると思いますが。

 

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赤ちゃんが風邪をひいてからおっぱいが痛い!

赤ちゃんであっても風邪を引くことがあります。
鼻水や咳が出る時はしんどいですから、いつも通りにはおっぱいは飲めません。
すると、お母さんの乳房内にいつもよりはおっぱいが残り易くなります。
飲ませてもイマイチ乳房が軽くならないというか、すっきり感が少なくなります。

気にならない程度なら放置していいのですが、明らかに緊満している状態が続くようなら、月齢に関係なく、いつもよりこまめに飲ませてあげましょう。
それでも乳房が軽くならないというか、すっきり感が少ない場合は要注意です。
脅かすわけではありませんが、乳房にしこりが出来たり、分泌過多傾向のお母さんの場合、あっという間に乳腺炎になってしまうこともあります。

そんなことになったら大変ですから、対策としては赤ちゃんの体調が戻るまでの数日間、搾乳をして凌ぐことをお勧めします。
(もちろん赤ちゃんの風邪が治って、しっかりおっぱいが飲めるようになれば搾乳は中止しましょう。)
また、お母さんがその期間、若干お食事の量を減らすことで無用な乳房の緊満を防ぐことができますから、搾乳だけでは心配な場合はそのようにしてみてくださいね。

赤ちゃんの風邪、早く良くなりますように。

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2010年3月11日 (木)

おっぱいの色って?

おっぱいでも初乳は薄い黄色です。
フル―ツ牛乳のような色だと思います。
移行乳(徐々に色目が薄くなります。)を経て、成乳になってくると、うっすら青みがかった、透明感のある白色になります。
透明感のある白色というと、何だか栄養分まで薄いのかな?という気がするかもしれませんが、そんなことはありません。
心配無用です。
それどころか味的にはさっぱりしてほんのり甘く、赤ちゃん好みの美味しさなので、赤ちゃんが喜んで飲みたがるかと思います。

そうそう、ラクテーションコンサルタントの先生のご著書を読むと、前乳と後乳という表記が出てきます。
おっぱいを数分毎に搾り、試験管のような容器にずらりと並べた写真を見たことがありますが、前乳は薄く、後乳は濃ゆいです。

飲ませている途中におっぱいを搾って、もしもマットな白さのおっぱいが出たとしたら、後乳?かもしれません。
飲ませる前に、先搾りした段階でマットな白さのおっぱいが出たら、授乳間隔が空き過ぎていないか振り返ってください。
授乳間隔は前の授乳から2時間程度で、特に空き過ぎとは思えない場合は、トラブルの前兆かもしれないですね。
例えば気が緩んで、甘いものや脂っこいものを食べた時は、ずっとマットな白さのおっぱいが出てくることもあります。

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おっぱいの後にミルクをたくさん飲みます。母乳不足?

<ご相談内容>
生後1か月の赤ちゃんがいます。
産院を退院する時の1回の直母は20~30gくらいでした。
看護師さんから「おっぱいの後に毎回ミルク40ml補足してね。」と指導されました。
おっぱいは20~30分間左右ともきちんと吸わせています。
でも、今では中々40mlでは満足してくれなくなり、この間、あまりにグズグズ言うので試しに80mlあげたら、一気に飲みました。(ミルクの補足は日によって違いますが、平均で360ml/日にとどめています。)
ちなみに生下時体重3160g 6日目体重3070g 32日目体重4230gと順調に増えています。
それでもモノ欲しそうな表情です。
泣き止まないこともあります。
実母からも義母からも「もっとミルクをあげなさい。」とキツく言われます。
もう、どうしていいか分からなくなりました。(涙)

<SOLANINの回答>
体重の推移を見せてもらいましたが、退院時からの体重増加度が44.6.g/日もあり、大変良好です。
っていうか、ハッキリ言ってメッチャ増えています。

この『最強母乳外来』の読者さんなら周知の事実=WHO/ユニセフのこの時期の赤ちゃんの体重増加度の規準は、栄養方法に関わりなく18~30g/日ですから。(汗)

「おっぱいの後にミルクを与えても全部飲んでしまう。」「ミルクを飲んだ後でもモノ欲しそうな表情をする。」「おっぱいもミルクもあげたのに泣き止まない。」とてもとても多く寄せられる混合栄養のお母さんからの典型的なご相談です。
生後1カ月頃ではまだ、満腹中枢が未形成でですから、スタミナ次第で飲みっぷりが決まる時期ですね。
ガッツリ系の赤ちゃんにしてみたら、哺乳瓶で飲むのはラクチン過ぎますから、心地よい疲労感もヘチマもない時期です。つまり、成長に必要な量よりも、う~んとたくさん慣性で飲んでしまうのですよ。
なので、おっぱいの後にミルクを沢山飲むということだけで母乳不足とは断言できませんね。
毎回のミルク補足・・・要らないと思います。
但しミルクを一気に減らすのは危険です。
お母さんもギャップに対応できないでしょうし、赤ちゃんも理不尽な空腹感にイライラ・ギャンギャンになってしまうでしょうから。
信頼できる助産院・母乳外来で直母量や体重増加度を綿密に計算してもらいながら、徐々に減らしていきましょう。
一般的に1回量をへらすよりも、補足回数を減らしていくやり方の方が上手くいくようです。
当然ミルクをあげない時間帯はお母さんの乳房にぶら下がっていることは「想定内」としてくださいね。
しかし・・・退院時に20~30g/回は直母出来てたのなら、頻回直母していれば、分泌は増えてくるから、普通は完母でイケるんだけどなぁ・・・(汗)
退院後はミルクの補足が不用であろう赤ちゃんに対し、敢えてミルクの補足勧める看護師さんは、ミルク屋さんの陰謀に加担しているのかしら?
勘ぐってしまいますな。(汗)
もちろん、退院後~1か月健診の間、赤ちゃんの発育が順調かどうか、2週間健診等のフォローは必要なことは言うまでもないことですがね。

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2010年3月10日 (水)

おっぱいとお薬/その49『ノリトレン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その49『ノリトレン®』(改訂版) 」公開中です
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以下、過去記事

『ノリトレン』は産褥うつ・パニック障害・過食症・夜尿症・片頭痛等に処方されるお薬です。
このお薬は脳内のノルアドレナリンを増加させ、意欲を高めます。
また、セロトニンを増加させ、不安感を和らげ、気分をラクにしてくれます。
赤ちゃんに有害で有ると考えられる影響は今のところ報告されていないそうです。
母乳中にも検出量がごく僅かなので、おっぱいをあげることを中断しなくて済むお薬なのですね。

記憶に新しいところだと思われますが、私は先日『パキシル』という、産褥うつ・パニック障害時に処方される授乳可能なお薬について記事を書きました。
『パキシル』はセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)ですが、母乳育児中でも大丈夫なお薬です。
しかし、離脱症状がキツ過ぎて、それが怖くて服用できないという方がおられました。
『ノリトレン
』が『パキシル』よりもマイルドかどうかは別として、三環系抗うつ薬という、別のタイプのお薬ですから、もしかしたらこちらが合うかもしれません。

主治医の先生に確認し、必要であれば処方してもらうと良いと思います。
なお、私は産褥うつ・パニック障害の専門家ではありませんから、病状に関する質問にはお答えできません。
悪しからずご了承くださいませ。

 

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自治体での4か月健診~お母さんからのお手紙~

先日の~許せない対応!~の記事の反響はすごかったです。
読者のみなさんも思うところがあったのでしょう。(私も大いにありました。)
その後、この記事を書くきっかけになったお母さんから丁寧なメッセージをいただきました。

『最強母乳外来』の宣伝っぽいかな?という箇所もあり、こっ恥ずかしいのですが、ご本人の意向もあり、許可を得てメッセージの全文掲載をさせていただきます。

SOLANIN様

健診の出来事を早速記事にしていただき、ありがとうございました。
身に余るほどのお褒めの言葉をいただいて、恐縮するやらありがたいやらです。

皆さんのコメントも拝読しました。他にもつらい目にあったお母さん方がいたことや、反響の大きさに、SOLANINさんに掲載をお願いしてよかったと思っています。

私がこのドクターの発言をスルーできたのは、成熟しているのでもなんでもなく、一番はSOLANINさんから正しい情報を入手できていたからだと思います。また、すぐにSOLANINさんにメッセージをお送りさせてもらいすぐにご回答いただけたので、より平静でいられたのだと思います。

SOLANINさんのコメントにありましたが、確かに同席の保健師さんはドクターの発言をスルーしていました。注意できないヒエラルヒーがあるのかもしれませんが、腐ってますね(苦笑)

先のメールでは書きもれたことがあります。同じドクターに問診された友人は、お子さんの鵞口創の治癒具合を診てと問診票に書いたのに無視されたとのことでした。

あとから聞いたのですが、私が在住している市は行政医師が不足しており、眼科だろうと耳鼻科だろうと集団検診を行っているとか何とか・・・。
このドクター(ちなみに初老の女性だったんです!)は小児科専門ではないのかもしれないですね。とはいえども、専門に関係なくこのドクターは「トンデモ」なんだと思います。

医療の現場で競争原理が働きすぎるのもよくないですが、行政医師による集団検診はもっとも競争原理から遠ざかっている場なので、こんなトンデモの存在が許されてしまうのかもしれませんね。

勿論真っ当な行政医師の先生もいらっしゃるでしょう。しかし、こういったケースもあるから、私としても集団検診では最悪のケースを想定していたほうがいいよとお母さん方に警鐘を鳴らしていきたいと思います。

明日、市に苦情の電話を入れる予定です。どのような回答がくるか楽しみでもあります(ニヤリ)

さて、ご懸念いただいていた私の母乳の出ですが、おかげさまでストレスフリーで全く問題ありません!子どもも機嫌よく飲んでくれています。
(ご心配くださったSOLANINさんのブログの読者の皆様、お褒めくださった皆様、本当にありがとうございます、おかげさまで今日も順調です!)

それでは、今後もSOLANINさんのブログ心待ちにしています。また何かあったらお頼りさせてもらうかもしれませんが、なるべく独りでもがんばっていけるようにしたいと思います。そのためにはSOLANINさんのブログを拝読するのが一番ですね~。

お忙しいことと存じますので、お体などどうぞご自愛ください。本当にありがとうございました。

このお母さんのお話を聞けば聞くほど、お母さんと赤ちゃんへの対応だから何を言っても許されるような、どんな酷い対応をしても不問に付されるような淀んだ空気を感じます。(プンプン)
集団健診の受け手であるお母さんから抗議を受けたら、担当者さんはどんなリアクションするのかな?
集団健診は日本中のどこでもするものだから、きっと毎日あちらこちらでこんなやり取りが繰り広げられているのかもしれません。
集団健診に出かける前は、トンでもな大当たり(?)に遭遇しても慌てないために、ココロの準備はしておいた方が良いように思います。
何ともなかったらそれが一番いいのですが、その時にならなきゃ、分かりませんからね。

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2010年3月 9日 (火)

乳口炎の周囲が赤くなり、中央に黒点が出来た!

しつこい乳口炎と闘っておられるお母さん、重症化・慢性化すると、乳口炎の周囲が赤くなり、中央に黒点が出来ることがあります。
飲ませている間じゅう、ビリビリチクチク痛いだけでなく、飲ませ終わった後でもビリビリチクチク痛いのが続き、おっぱいをあげることに挫けそうになることでしょう。

乳口炎のケア(局所のケア)は地道にしてますか?
それでも治らない?う~ん。

では、一見関係なさげですが、慢性乳腺炎のケア(全身のケア)をしてください。
即ち、患側乳房にじゃがいも湿布を数日間続けてもらえまますか?
それと、その数日間はパン・乳製品・果物・お菓子・揚げ物・糯米・お肉の脂身は完全除去してもらえますか?
下半身は冷やさず、下腹部と仙骨部を懐炉等で温めてもらえますか?
靴下もレギンスも腹巻きも忘れずに身につけてくだいますか?
お風呂もシャワーではなく、湯船にゆっくり浸かってくださいますか?
早喰いは避けて、ゆっくりよく噛んでお食事してもらえますか?
可能であればお家の方に背中のマッサージをしてもらえますか?
それと・・・痛みが激烈で、搾乳に自信があるなら、1日間直母休止も止むを得ないかと思います。

(局部のケア)は欠かせませんがそれでもダメなら(全身のケア)をしてください。
きっと良くなってくれる筈です。

 

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2010年3月 8日 (月)

小児科選択のポイントは何だろう?

プチメでは様々な内容のことが寄せられます。
最近あるお母さんからご自分の体験談を聞かせていただき、思うことがあったので、この記事を書きますね。

小児科選択のポイントは何だろう?と。
小児科は15歳までの子どもを丸ごと診てくれる診療科ですね。
息の長いお付き合いになりますから、選択にはいくつかのポイントがあるかと思います。
ウチの子どもたちは3人とも小児科を卒業したのですが、かつて自分が転勤族だった頃、その土地で小児科を選ぶにあたり規準にしてきたことを、思いつくままに挙げてみます。
1)自宅から近いこと。・・・どんな名医でも車で1時間以上かかるのは、万一の緊急時を考えると一抹の不安があります。(万一の緊急時はQQ車という手段も有りますが、QQ車をタクシー代わりにしてはいけないのでね、。)
2)お母さんとの相性・・・どんなに名医でも、常にお母さんが気を遣わなくてはならないオーラの出ているドクターは、正直言ってしんどいです。
3)子どもが好きであること・・・俄かには信じ難いでしょうが、子どもが好きでなくても小児科のドクターになる方はおられます。
4)病状や検査やお薬の説明をきちんとしてくれること・・・「検査結果?異常ないよ。」「取り敢えずお薬出しときますからちゃんと飲んでね。」「この用紙読んでおいてね。」だけではNG.。
5)お話の時、全く目が合わない・・・シャイなのか?という気もしますが、人の目を全く見れないって、どこか変です。
6)えこひいきしない・・・好みのタイプのお母さんの子どもだけ優遇するのはイカンでしょう。(でも、結構この手の話、聞くんですよね~。まぁ、ドクターも人の子だから分からんでもないけど。でもやはりイカンですよね。)
7)ミソクソ一緒にしない・・・例えば一般診療と、健診・予防注射を一緒くたに同じ待合室・同じ診療時間にするのは、おかしいです。
待合室や診察室を分ける・時間帯で診療を分ける等の配慮が必要です。
8)病診連携ができている・・・入院の際の受け入れパイプが出来ているか?退院後のフォローを元のトコロでしてもらえるのか?
9)お薬を混ぜないこと・・・風邪の時、思うんですが鼻水は止まったけど、咳が残る時、お薬が全部混ざってたら、不要な成分を摂取することになる。分けてくれていたら少なくともその心配は無いし。
10)個人差を考慮してくれる・・・赤ちゃんの体重は標準よりも大きくなければならないと思い込んでいるドクターは、標準よりも小さめの体格の赤ちゃんを認めないというか、厳しい眼で見てしまいがちですね。
体重よりも運動機能や頭囲の状況を鑑みることをしてくれるかどうかは、重要です。

それから、少し話がズレますが、ドクターショッピングは決して良くないけど、セカンドオピニオンは聞いてもいいと思います。
特に現在受けている治療はこれでいいのか?という場合は。

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2010年3月 7日 (日)

おっぱいとお薬/その48『ペンタサ』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その48『ペンタサ®』(改訂版)」公開中です
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以下、過去記事

『ペンタサ』という名前のお薬、聞いたことがありますか?
これは「潰瘍性大腸炎」のお薬です。(但し重症化してない場合のお薬です。)
果たしてこのお薬を服用していて、赤ちゃんにおっぱいはあげられるのか?

アメリカ小児科学会ではこれまで1例ですが『ペンタサ』を繰り返し投与されたお母さんのおっぱいを飲んだ赤ちゃんが下痢をして、お母さんが服用中止したら赤ちゃんの下痢が止まったという報告があったことを鑑み、“注意が必要”としています。
ちなみにこのお母さんは【服用再開=赤ちゃんの下痢再発】&【お母さんの服用中止=赤ちゃんの下痢回復】という状態を繰り返し、お母さんの病状が進行・重症化してきたため、結局おっぱいは中止せざるを得なかったそうです。(涙)

その一方、「潰瘍性大腸炎」の授乳中のお母さんには第一選択のお薬とも位置付けられています。
お薬の安全性は中等度です。
赤ちゃんへの移行は、お母さんの服用量の0.1%程度と見做されます。
要は赤ちゃんの体に起こる症状について「注意しながら。」服用していけばいということですな。

 

 

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2010年3月 6日 (土)

ゼロカロリー甘味料と母乳育児。

ゼロカロリー甘味料おっぱいに影響があるのかどうかというお問い合わせがありました。
経験的には砂糖の摂り過ぎで乳腺炎を繰り返している方も、ゼロカロリー甘味料に変更してもらったら、繰り返す頻度も少なくなるように思われます。
また、飲食回数が増える産後は虫歯になり易いですが、ゼロカロリー甘味料は虫歯リスクもゼロなので、摂っても差し支えないですよと、私はお母さん方にお話ししています。
ただし、過剰摂取するとおなかが緩くなる方もおられますので、お茶代わりにゼロカロリーのコ―ラなどをガブ飲みするのは止めてねと釘を刺してはいますが。

で、実際はどうなんだろう?ということで、味の素さんに問い合わせてみました。
以下のような回答を質問翌日にお返事いただきましたので、転記させていただきます。

この「アスパルテーム」は、たんぱく質の成分から出来ており、通常の食品と同じように消化、吸収、代謝されますので、体内に蓄積されることはございません。
妊娠中の方や授乳中の方、お子様など、どなたでも安心してご使用いただけます。

「アスパルテーム」の安全性につきましては、広範で詳細な安全性の試験の結果を評価し、1980年(昭和55年)国連の国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機構(WHO)合同食品添加物専門委員会(JECFA)での許可をはじめ、1981年(昭和56年)米国FDA(食品医薬品局)が許可、日本では1983年(昭和58年)に食品衛生調査会の審査を経て、厚生大臣より食品添加物として指定されました。
以降、世界各国で使用が認められ、現在では欧米をはじめ、世界120ケ国以上で使用され、さらにその数は拡大しています。

1度に大量にとると、体質によりまれにお腹がゆるくなることがあります。これは原料に含まれるエリスリトールおよび還元麦芽糖水飴に緩下性がある為です。しかし、一過性ですから心配はありません。また、普通にご使用いただく分には、お腹がゆるくなることはございません。
なお、「パルスイート」の1日の摂取上限目安量は、JECFAが定めた、アセスルファムK(カリウム)の1日の許容量が基準になります。アセスルファムK(カリウム)の1日の許容量は、体重50Kgの人で0.75gです。
各品種の1日の許容量を下記にご案内申し上げます。
■「パルスイート」カロリー90%カット         ・・・約156g

■「パルスイート」カロリーゼロ             ・・・約300g

とのことです。
まさかゼロカロリー甘味料を1日に156~300gも摂取することは常識的に考えて有り得ないので、授乳中であっても通常コップ1~2杯程度の量の飲み物にちょこっと加える程度なら差し支えないと思われます。

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生まれた時から目やにが出ていて心配。

生まれて間もなくからの眼脂は、産道を通るとき、軽い結膜炎になったのかもしれません。
もしくは涙のう炎になっていると、産まれたときから涙目で眼脂が増えてくると、上下の瞼が眼脂でくっついてしまい、開眼することさえ困難になってきます。
取り敢えずは清潔なガーゼで拭き取るように言われるかと思います。
(一般的な清浄綿は消毒薬が含まれているので、眼の清拭可能と記載されていますが、眼科のドクターに言わせると、消毒薬自体がNGなので、使用しないでと指導されます。たまに滅菌水だけの清浄綿がありますが、それなら大丈夫ですが。)
それでも良くならないようなら、抗生物質の入った点眼薬が処方されます。
もちろん、涙のう部のマッサージも行います。
それで治ればいいのですが、なかなか軽快しないこともままあります。

それは恐らくただの結膜炎ではない可能性が高いです。
鼻涙管が狭窄(もしくは閉塞)しているために眼脂や涙が止まらないということが考えられます。
この場合点眼薬ではいつまで経ってもラチがあかないので、小児科ではなく眼科受診し、治療を受けることになります。

鼻涙管狭窄(閉塞)症と確定診断が付けば、眼科のドクターが金属の細長い棒で、ブジーされます。
そうすれば、眼脂も涙も軽快します。
実はSOLANINの長男も眼の周りの皮膚がザラザラになるくらい眼脂で、荒れてきていました。
点眼薬を続けてもラチがあかない状態が続きました。
思い切って眼科受診したら鼻涙管狭窄(閉塞)症でありことが判明し、ブジーしてもらったら、1回で貫通しました。
(友人の赤ちゃんは3回を要したそうですが、上手くいけば1回でクリア―することも多々あるそうです。)
長引く眼脂には眼科受診も検討してくださいね。

ちなみに故・山西みな子先生は飲み過ぎの赤ちゃんは眼脂が多いと指摘されています。
飲み過ぎが収まれば、眼脂は軽快すると。
ご参考までに。

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2010年3月 5日 (金)

おっぱいとお薬/その47『パキシル』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その47『パキシル®』(改訂版) 」公開中です
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事

マタニティーブルーはどのお母さんでもなる可能性のある病気です。
「私には関係ない!」とこの記事をスル―することだけは止めてくださいね。
仮にあなたが大丈夫であっても、あなたの身近な方(姉妹や友人)がなってしまうことも有るのです。
そのような事態が起こったら、この記事は大いに役立ちます。

マタニティーブルーは産後間もなくに罹ることが多く、1~2週間のうちに自然に軽快するものですが、そのままズルズルと長引いたり、一旦は収まっていた筈なのに、2ヶ月とか6ヶ月とかずいぶん後になってから、症状が出てくることも有ります。
こうなってくると、マタニティーブルーと呼べる段階ではなく、産褥うつということになります。
自分だけで何とかなるものではなく、心療内科を受診するなどして、適切な治療を受けることが必要です。
「でも、それではおっぱいがあげられなくなるのでは?」と危惧しているお母さん、聞いてください!

『パキシル』はセロトニン再取り込み阻害薬というお薬(いわゆる抗うつ薬)のひとつです。
産褥うつ・強迫神経症・パニック障害等の際に処方されます。
母乳育児中のお母さんが『パキシル』を内服されても赤ちゃんの血液中から検出されたという事例はないそうです。
また、副作用の報告も有りません。

強いて言うならお母さんの血中半減期が長い(20時間以上)ので、赤ちゃんが比較的長く眠ってくれるであろう時間帯の前に服用されたら、より安心ではないかと考えます。

 

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産科退院翌日に上の子がおたふく風邪であることが発覚!

おたふく風邪のウイルス(ムンプスウイルス)の潜伏期は通常16~18日と言われています。
また、感染経路は飛沫感染で、発症前からウイルスの排出がなされていますから、感染自体を予防することは事実上困難です。
つまり、産科退院翌日に上の子さんがおたふく風邪であることが発覚しても、恐らく、産科入院前に感染していたことが想定されます。

お母さんが子ども時代におたふく風邪に罹ったことがあるならば、胎盤を通して免疫が移行していますから、新生児がおたふく風邪に感染するとは考えられないので、その点は安心していいと思います。
ちなみに、お母さんからもらったおたふく風邪の免疫の有効期限はおよそ10カ月と言われています。
また、お母さんが抗体を持っておられたら、お母さんがおたふく風邪に感染しているわけではないので、おっぱいはフツーにあげられます。

上の子さんは退院されてきたお母さんに甘えたいでしょうが、お母さんも産褥早期は赤ちゃんのお世話で手一杯だと思います。
上の子さんの看病までは体力的にもキツいと思いますので、お家の方にも手伝ってもらいましょう。
上の子さんは赤ちゃんにも近付きたがるとは思いますが、「病気が治るまでは近付かないでね。」とお願いしましょうね。

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2010年3月 4日 (木)

生後間もなくから喉がゼィゼィしている。

生後間もなくから呻吟(=しんぎん)ではなく、喘鳴(=ぜいめい)のような音がする赤ちゃんがおられます。
喉がゼイゼイするというか、喘息の症状のようなハッキリしたノイズが聞こえてきます。
特におっぱいを飲む時はゴエゴエと激しさを増すこともあり、泣いている時も泣き声以外のノイズが聞こえてきます。
「もしかして、喘息の気(=け)があるのではないか?」と心配になってくるお母さんもおられるかと存じます。

このゼイゼイ・ゴエゴエという派手なノイズの正体は何なのでしょうか?
これは赤ちゃんのうちは喉頭蓋(=こうとうがい)という、気管におっぱいや食べ物が間違って入らないようにするパーツが柔らかいことから発生するノイズなのです。
おっぱい中にゴエゴエするのは、息を吸い込んだときに、気管側に喉頭蓋が吸い込まれるような格好になるので、喉頭蓋が震えるからこのようなノイズを発生するのですね。
柔らかさの程度には個人差がありますから、ノイズ自体全く聞き取れない赤ちゃんも居られれば、うるさいくらいにノイズが聞こえる赤ちゃんも居られます。

喉頭蓋は月齢が進むに連れてノイズを発生しなくなります。
大抵は、半年前後でノイズは聞こえなくなってきます。

なお、赤ちゃんが心臓病であるとノイズを発生させることもありますが、もしそうだったら、産科入院中の退院診察までに引っかかって来る筈です。
そうなると、個別でドクターから説明がある筈です。
それがないなら、その心配はしなくてもいいということになります。

また、急激に大きくなった赤ちゃんからもノイズが聞こえることがあります。
それは急激に大きくなったので、気道が圧迫されたみたいになって、空気の通り道がっだんだんと狭くなってきているから起きるノイズです。
心配であれば健診時にドクターに相談しておけば慌てなくても大丈夫です。

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食べたものがそのまんまうんちに出る。

<ご相談内容>
8ヶ月の赤ちゃん。おっぱいと離乳食は2回/日で育てています。
乳歯は3本生えていますが、離乳食を食べる時、あまりモグモグしていないようです。
と、申しますのも、うんちの中にニンジンでも饂飩でも刻んだそのまんまの大きさで出てくるからです。
丸呑みをしているから出てくるのだと思います。
量的には主食茶碗半分弱、主菜15g程度で、副菜は食べたり食べなかったりです。
消化不良ということでしょうか?

<SOLANINの回答>
赤ちゃんが食べ物を咀嚼するチカラがホントの意味で付いてくるのは、やはり奥歯が生えてきてからのことです。
前歯は噛み千切ることは出来てもすり潰せません。
歯茎でもすり潰せますが、限界がありますし。
刻んだそのまんまの大きさで出て来るのは、おっぱいを飲み込む要領で結果的に丸呑みしてしまうからだと思われます。
尾篭(=びろう)な話で恐縮ですが、オトナであっても早喰いの方は咀嚼が不十分ですから、かなりの割合で、そのまんま出て来ていることはあるものです。
諸般の事情?で、じろじろ見てないから気が付かないだけです。
確かに見た目は刻んだそのまんまの大きさで出て来てはいるのでしょうが、栄養分は吸収されていますから、消化不良とか異常とかではありません。
機嫌が良く、食べっぷりが悪くもなければ様子見で結構です。

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2010年3月 3日 (水)

これって母乳不足?(5ヶ月児・回答編)

<SOLANINの回答>
初対面?の方に対し甚だ僭越でありますが、この回答を読むにあたり、これまでに出会われた医療者のコメントと同列に扱わないで下さい。
私は母乳育児とその支援のためにこのブログをボランティアで開設している者ですから、そのあたりがこれまで貴女が出会ってきた医療者とは違うということです。

また、誤解を恐れずに申し上げますが、「ただ単に赤ちゃんの体重を増やしたい。」ならば、「貴女の精神衛生上良くない。」ならば、突き放したような表現になりますが、私は敢えて完ミにされてはいかがかと思います。
それで貴女の悩みが本当に解決するのであれば・・・ですが。

客観的に見て、日本人の5ヶ月の男児の体重でどんな栄養方法であっても、7325gというのはほぼ真ん中であって、小さい方というのは有り得ません。
断じて発育不良ではありません。

また、抜き打ちで哺乳量測定して250gも飲めているなら、それはメッチャ沢山哺乳しています。
(概算ですが、完母の赤ちゃんで順調に育っている赤ちゃんの場合、7kg台ならば140g/回も哺乳出来ていれば充分です。)

赤ちゃんの体重増加のペースは月齢により変化します。
常に新生児並みに増えていればきっとあなたの赤ちゃんは1歳のバースデーには軽く15kgを越えてきますよ。
それって3歳半くらいの幼児の平均体重なんですが。(汗)
抱っこするのも難渋するくらい、赤ちゃんの体重が増えたら嬉しいんですか?
将来角界に入門させる予定なんですか?
体重は分かり易い成長発達の指標ですが、同時に体重だけが成長発達の指標ではないのですよ。
それより優先するものがあるって、過去記事に書いてますが、ここまで体重増加に拘られるということは、きっとまだ読んではおられないのでしょうね。(涙)

赤ちゃんの成長発達の優先順位は赤ちゃんに詳しい小児科のドクターに言わせると運動機能>頭囲>体重>身長・・・の順です。
体重はメッチャ増えたけど頸も据わらない、あやしても笑わないような赤ちゃんだったらそっちの方が重大問題なんですよ。
(もちろん、貴女の赤ちゃんはそんなことは無いのでしょうが・・・)

また、体重増加はよそのお子さんと比較して、競争したり一喜一憂するようなものではありません。
月齢相当の増え方だったら良いんです。
最初に大きく生まれた赤ちゃんがそのまま良く増えるとは限らないし、最初は小さかった赤ちゃんであっても、後から巻き返すことだってあるのです。

それから、これも過去記事に書いてますが、1回に沢山飲んで授乳回数が少なめの赤ちゃんよりも、1回はそこそこの量でも頻回授乳の赤ちゃんの方が体重増加は大きい傾向にあります。
従って体重増加不良であれば、頻回授乳をお勧めしますが、貴女の赤ちゃんは体重増加に特に問題はないので、授乳回数は今のままでも差し支えはありません。

ただ、4ヶ月健診の栄養士さんのコメントは母乳育児を知らない方の典型的なコメントではありますが。(困)
10回/日の授乳回数が多いって?・・・大きなお世話ですね。
真に受けちゃいけないです。
当たり前の話ですが、貴女のおっぱいを飲むのは貴女の赤ちゃんであって、どんなに高名で偉い方であってもその方が貴女のおっぱいを飲むわけではないですからね。

おっぱいは栄養だけではないんですよ。
母と子の絆を大事に育んでいくためのものでもあるのですよ。

体重神話を自分本位に作って、それに赤ちゃんが当てはまらないから、がんじがらめになって苦しくなるのではありませんか?

肩のチカラを抜いて、笑顔で目の前の赤ちゃんをしっかり見つけて語りかけて抱っこしてあげてください。

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これって母乳不足?(5ヶ月児・相談編)

<ご相談内容>
5ヶ月の男の子のお母さん。
おなかにいる時から100人いる内で上から1~2番の大きさで産むと産婦人科のドクターに言われていました。
37週の出産だったのに、生下時体重は3404gでした。
里帰り中はお食事はご実家のお母さんがお世話してくださり、それもあって順調に育っていました。
現在では生まれた時にウチの子よりも小さかった子たちにどんどん抜かされ、パーセンタイルグラフの下の方になってきています。
自宅に戻り、ストレスで甘いものが止められなく、赤ちゃんが大きくならないのは私の食生活のせいかもと思います。
こんな母乳で完母にするなら、ミルクにしていればもっと大きくなっていたかもと思うと、どうしていいか、分からなくなります。
4ヶ月健診で授乳回数が10回/日と言ったら栄養士さんから多いと指摘され、今は6~7回/日です。
小児科のドクターはグラフ内なら問題ないと言われます。
医療者によって言うことが違うので混乱します。
先日デパートの授乳室のスケールで計ったら、250g飲めてました。
母乳不足の傾向があるでしょうか?
アドバイスをお願いします。
ちなみに体重の推移は以下の通りです。

生下時
身長50.0センチ、体重3404グラム、頭囲33.8センチ
1か月健診で
身長55.5センチ、体重4412グラム、頭囲37.5センチ
4カ月健診で、
身長63.2センチ、体重7025グラム、頭囲42.4センチ
5か月ちょうどで、
身長64.3センチ、7325グラム。

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2010年3月 2日 (火)

おっぱいのための背中マッサージ・実践編

まずは、質の良いキャリアオイルの準備をします。
キャリアオイルとはベースになるオイルのことです。
香料や着色料は含まれていません。
汎用される代表的な種類としては「スイートアーモンド」「グレープシード」「ホホバ」等があります。
キャリアオイルは基本10ml単位で計量・作成します。
変質防止のために1週間以内で使用しきれる量にすることが肝要です。

次にエッセンシャルオイルの準備をします。
エッセンシャルオイルトは、天然の芳香成分を含む精油です。
同じような匂いがしても、100均のアロマオイルと呼ばれるものは、合成香料の塊ですから、メディカルな効果はありません。
ここでは、「ラベンダー」と、「ローズマリー」を1滴ずつキャリアオイルに滴下してマッサージオイルを作成します。
研修では「ラベンダー」は“真性”で・・・と習いましたが、それだと香りが尖っていて、リラックスできにくいように感じます。
「ローズマリー」がキャリアオイルとして効果も香りも、キツいので、「ラベンダー」は個人的には“40/42”というソフトタイプの香りが良いと思います。
ちょっとマイナーな種類の「ラベンダー」かもしれませんが、とっつき易いことは確かです。

さて、それではされる方は上半身裸になり、机やテーブルに突っ伏してもらいます。
うつ伏せで寝てもいいのですが、母子整体研究会で販売されている乳房クッションでもないと、うつ伏せ寝は痛いと思うので、突っ伏しをお勧めします。

最初に手のひらにたっぷりのマッサージオイルを取り、温めがてら手のひらを擦ります。
その手で、ウエストラインから、背骨のすぐ横に沿って指先をオイルで滑らすようにして左右の手をシンメトリーに撫であげます。
肩まできたら、肩を揉むときのように、指先が鎖骨に触れるくらいに肩を丸く持つように滑らせます。
そのまま、左右外側にスライドさせ、肩甲骨の下を通って、ウエストラインまで戻ります。(=エルフラ―ジュ)
これを3の倍数だけ行います。
9~12回ずつ位が適しているようです。

次に肩甲骨の内側を右手を使用して、左右片方ずつ、撫であげます。
途中でオイルが無くなったら、手のひらに注ぎ足しながら、最初のようにオイルの付いた手を合わせて、行います。
これも3に倍数だけ行います。

最後に肩甲骨そのものを、左右片方ずつ下から上に向かって、包み込むようにして3の倍数だけ行っていました。
以上です。

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心配です!頭をぶつける癖が出てきました。

一時期、スキンシップの不足が原因でお母さんの気を引くためにヘッドバンキングと言って赤ちゃん自身が頭を壁や布団にリズミカルに打ちつける癖がクローズアップされました。

それなのか?と心配になりますが、スキンシップは問題ないと断言できるなら、それは別の癖ということになります。
その前に赤ちゃんのカラダについて知っておいてほしいことがあります。
赤ちゃんは抱っこして揺れるとご機嫌さんになったりウトウト眠たくなるのは、新生児のころからみられる特徴ですね。
それはリズミカルな揺れが赤ちゃんの基本的欲求というか、安心感を産むからなんですね。
特に眠たくなってくると、その傾向は増幅されます。
入眠儀式みたいな感じですかね。
そう、赤ちゃんは頭を前後左右に揺り動かすことで、自分の力?で眠ろうとしているのですね。

頭をリズミカルに打ち付けるのは大体6~8カ月頃から見られる癖です。
それ以外にも様々なバージョンがあります。
例えば、オウムやペンギンのように頭を左右に高速で振り振りするのもそうです。
早いと4か月くらいでも、眠たくなる前には頭を左右に高速で振り振りしている赤ちゃんがいます。

専門用語で表すと、この一連の動きは『律動運動性習癖』と言います。
心配ないものではありますが、打ちどころが悪かったら大変ですから、放置はせず抱っこしてユラユラしてあげたり、お布団の上からトントンしてあげた方が良いと思います。

 

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2010年3月 1日 (月)

おっぱいとお薬/その46『花粉症時の点鼻薬』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その46『花粉症時の点鼻薬』(改訂版)」公開中です
最新の内容は上記でご確認ください。

下、過去記事

 

さて、前日の『花粉症時の点眼薬』の記事で予告?した通り、『花粉症時の点鼻薬』について書きたいと思います。

花粉症になると、鼻水ダーダ―に出ることや、反対に鼻粘膜が充血して、鼻が詰まったりと不快症状が目白押しですね。
鼻の不快症状に応じた点鼻薬を選択しましょう。
以下列記します。

★硝酸ナファゾリン・・・血管を収縮させて、鼻粘膜の充血・うっ血を取り除きます。
速効性がありますし、お母さんの血液中に移行しません。
『プリビナ液』という名称のお薬です。

★塩酸フェニレフリン・・・血管を収縮させて、鼻粘膜の充血・うっ血を取り除きます。
『ネオシネジンコーワ液』という名称のお薬です。

★クロモグリク酸ナトリウム・・・抗アレルギー剤の点鼻薬です。
注意点としては開封後1カ月以上たったモノは使用しないよう、気を付けてください。
『インタール点鼻薬』『ノスラン点鼻薬』等の名称のお薬です。

★プロピオン酸べクロメタゾン・・・ステロイド点鼻薬です。
お母さんの血液中に移行する量が殆ど無いですから、母乳への移行は検出できないレベルです。
『リノコ―ト』『ベコナーゼ』等の名称のお薬です。

★プロピオン酸フルチカゾン・・・ステロイド点鼻薬です。
お母さんの血液中に移行する量が少ないので、母乳への移行が心配ない程度です。(上記の点鼻薬の方が母乳への移行が殆ど無いので、より安全なステロイドと考えられます。)
当たり前ですが・・・指示された回数以上は勝手に使用しないでください。
『フルナーゼ点鼻液』という名称のお薬です。

点鼻薬はこの他にも多数の種類があります。
しかし、授乳中ということを最大限考慮すると、このあたりから選択していただくのが無難ではないかと思われます。
最終的には主治医のドクターと話し合って決めてくださいね。

 

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