早産児であっても、満期産児であっても、週数相当の大きさで生まれておられるならば、まだいいのですが、週数相当よりも小さい赤ちゃんは、体重増加が緩慢なことがあり、キャッチアップが難しいこともあるので、体重管理は慎重かつ確実にしていきたいものです。
先日出会った赤ちゃんは、その県を代表するMFICUで、33週で1700g台で出生されました。
58日目に退院された時は3100gまで増えていたのですが、118日目に小児科から母乳外来に紹介があった時は4560gとあまり増えていませんでした。
聞けば直母は全く出来ないままに退院し、後のフォローはこれまた全く無く、直母は自己流で3~4回/日にミルク140ml×3回/日という面妖な補足をしておられました。
何故1回の補足が140mlなのかと言うと、スープの冷めない距離に旦那さんの実家があって、毎日旦那さんと義父母の希望で夕食を食べに行っているそうです。
ミルクを飲ませるのが義父の趣味らしく、赤ちゃんにたらふく飲ませて眠りにつかせるととても嬉しいようで、いつも思い通りにミルクを飲ませてご満悦だそうです。
この話が事実なら、このお爺さんはかなり変な人だと私は思いました。
お母さんはお母さんでそんなわけで自分と赤ちゃんのペースで授乳・補足が出来ないと嘆いておられました。
お爺さんは育児には何の知識ない方なのに、不適切な介入をしておられます。
沢山飲ませたら、赤ちゃんの体重がバンバン増えると信じ込んでおられるようですが、希望とは裏腹に、赤ちゃんは12g/日くらいのペースでしか増加していませんでした。
明らかに発育不良です。
赤ちゃんはオトナのミニチュアとは違うのに。
納得できないのは意味不明なミルクの足し方です。
満期産で生まれていても、IUGRの赤ちゃんは体重が増えにくい傾向があるのに、修正月齢での計算をしなくてはならない早産で生まれ、なおかつ週数相当よりも小さい体重で生まれた赤ちゃんに対し、粉ミルクの缶蓋通りに与えても、消化吸収能力が小さいので、結局身につかないんですよね。
分からないなら、勝手に変なことはしないでほしいのですが、きっとご自分が?でもお爺さんだとは思いもよらないのでしょうね。(汗)
直母1回量はその時で32gでしたから、ミルクの補足は止むを得ないのですが、もっと赤ちゃんのおなかの負担にならない量に1回量を減量して、こまめに与えないと、成長にはつながりません。
私はその日の段階で、1日に必要な哺乳量を660mlと計算していたので、直母8回の後にミルク毎回80ml補足として(ホントは60ml位にしたかったのですが、あまりに増えなさすぎなのと、一気に1回量を減らすのも心配だったので・・・)1週間後の小児科再診までそのペースで授乳してくださいとお願いし、「言った、言わなかった。」にならないように、母子手帳に書き込みまでしました。
しかし、この1週間、義父母宅には行かず、自宅で自分なりの授乳ができる環境だったにも拘わらず、このお母さんは直母は7回には増やしてくれていましたが、赤ちゃんが良くネンネしていたり、機嫌が良かったのでという理由でミルクの補足は無謀にも80ml×1~2回/日に回数を減らしておられ、挙句赤ちゃんは4300gまで体重減少していたのです。
「このお母さんって、指導したことが入らない方なのか?」と私は不安になりました。
赤ちゃんが育たない(=病気でないのに短期間でゴソっと体重が減る)というのは、どう考えても尋常ではありません。
キツいようですが、このお母さんは此処だけ切り取って見たら[虐待]と言われても仕方ないことをしているのです。
先日のお話を聞かせてっ貰った際は、赤ちゃんの成長のブレーキ役になっているお爺さんは怪しからんと私は思いました。(もちろん、もうちょっとお母さんもしっかりして欲しいと思いましたが。)
そうして何とか無事育って欲しいと願いつつ迎えた、小児科の再診日。
実はこのお母さん、ちょっとどころか大概にしてほしいくらいの天然で、赤ちゃんの成長にはお爺さんと共にダブルブレーキ状態ということが発覚したのでした。(汗)
大事な赤ちゃんがこんな大変なことになっているのに、お母さんは全く切迫感が無く、小児科のドクターが「近日中に入院して授乳の仕方を助産師に診てもらいながらでないと、アナタの赤ちゃんはこのままでは年越すにはとても心配な状態ですよ。」というような諫言を受けたのに、「年末年始は忙しいから、入院するとしたら1月10日過ぎにしてもらえますか?」みたいなおとぼけ発言があり、診察に同席していた外来の看護師さんや私は思わず天を見上げてしまいました。(溜息)
済みません…私なんだか、真面目に考えるのがとてもしんどく、アホらしくなってしまいました。
(この母子の診察だけに1時間を要しました。)
お爺さんとお母さんに付ける薬が無いなら、赤ちゃんの発育を改善するためには、お父さんかお婆ちゃんに介入してもらわなければならないのか?と感じました。
何と言うか母乳育児以前の赤ちゃんの養育の段階で、大きな間違いが起こっているように思われました。