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2009年10月

2009年10月31日 (土)

乳腺炎になったら授乳中止と言われた!

非常に稀ですが、未だに「乳腺炎になったから授乳中止ですね。」と言われるドクターがおられます。
そんなことはありませんので、どうぞ赤ちゃんに“おっぱいを飲んでもらって”ください。
いつものように“飲ませてあげて”と書かない理由はひとつ、不味いからです。

おっぱいを飲む行為自体が大好きなお子さんは不味くても不問に付してくれるのですが、舌が敏感で自己主張のハッキリしたお子さんは、「こんなモノ飲めるか~。」(☆一徹サンがちゃぶ台ひっくり返すのをイメージしてください。)と言わんばかりに拒否したり、そこまでいかなくても「ニヤニヤ笑う」「直ぐに口から離す」「手足をばたつかせる」「ため息をつく」「小言を言いながら飲む」「寝たフリをする」「ひたむきに飲まない」などのボディーランゲージでシグナルを送ってきます。

“飲んでもらって”ラクになったら、乳腺炎が再発しないように基本的なこと(授乳間隔・お食事など)に気をつけてくださいね。
そうそう、赤ちゃんに「有難う」を忘れずにね。

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豊胸術と母乳育児(つづき)

豊胸術をされたお母さんが2週間健診を受診されました。
懸案だった乳房の過剰な緊満は杞憂に終わりましたが、赤ちゃんが全く吸いつけていないことが判明しました。

昼間1時間毎のおっぱいに音をあげて、自己判断でミルクを60~80ml×2~3回/日補足しておられましたが、退院から2週間健診までの8日間の体重増加度が17.5g/日と少なく、直母1回量も14gと「どうなっちゃってるの?」という有様でした。
少なくとも前回出産のときは37.5g/日のペースで増加していたし、直母1回量も40g以上哺乳出来ていましたし。

赤ちゃんが小さめなのに斜め横抱き若しくは添い乳で飲ませているとのことでした。
フツーならばここは立て抱きなのですが、シリコンを入れるにあたり、乳輪の下縁を切開しておられ、その部分が引き攣れたようになっています。
瘢痕化しているというか・・・伸展性がほぼなく、以前は良く開通していた縦方向が今一つです。
恐らく赤ちゃんの月齢が進み、お口が大きくなってチカラが付けば、立て抱きOKになってくるのでしょうが、この段階ではNGだということが判明しました。

そこで、クッションで高さを加減して、赤ちゃんのお口が自然に乳輪に来るように調整して、真横抱き(=交差横抱き)にしてみました。
すると、お母さんは吸啜時の乳頭痛もなく、赤ちゃんはゴクゴクと飲み始めました。

この時期(生後12日目)と赤ちゃんの体重(2646g)ミルクの足し方は1回に80mlは多過ぎるので、MAXで60mlにとどめ、1日に200mlは補足してもいいから、今のラッチオンとポジショニングで次回再診時まで頑張ってもらうことになりました。
添い乳も今はNGなので、出来るだけ止めてくださいとお願いしました。

2009年10月30日 (金)

母乳パッドの記事が矛盾してるのではないかと疑問に思うあなたへ

ブログテーマ「おっぱいの神秘」の過去記事に【搾乳を常温で放置するとどうなるのか】というものがあります。
おっぱいは常温で放置しても5~6時間は天然の殺菌成分が活動します。
その間は落下細菌を退治するから当初よりも落下細菌が減少する旨を書きました。
ということは、母乳パッドに含まれたおっぱいであっても、殺菌成分が無くなるわけではないから、交換はこまめにというのは矛盾しているのではないか?と。

矛盾はしていませんよ。
着衣に覆われた皮膚温は常温よりも高くなりますよね。
落下細菌の繁殖は、あるところまでは温度が高くなるほど凄まじくなります。
殺菌成分の勢いを超えて繁殖することも考えられます。
ということは、やはりこまめに交換しないと、細菌感染などの不都合をきたす恐れがあるということです。
必要な手間は惜しまないでね。

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おっぱいマッサージが必要・有効な場合とは?

俗におっぱいマッサージと言いますが、様々な流派というかやり方があります。
厳密に言えばSOLANINは無印のマッサージですが・・・
研究所や道場があり、既定の理論や実習及び独自の試験をクリアした方が、お免状を授与されて実践できるものです。(ブランドマッサージとでもいいましょうか・・・)
正式には「○○式乳房管理術」とか「▽▽式乳房治療手技」とか「●●ケア」とか「▲▲式乳房マッサージ法」などが正式名称となっております。
乳腺炎などのトラブルを修復したり、乳質を高めたり、乳管の開通を改善したりというように、治療的な意味合いが強いものです。

産後の乳房の理想的状態を保つのは、第一に赤ちゃんに正しいラッチオンでその赤ちゃんに合ったポジショニングでこまめにおっぱいをあげることです。
それに加えてお母さんがお食事や授乳間隔に気を付けていれば、そうそう滅多にトラぶったりしません。
それでもトラぶってしまうなら、それは何か原因があるということです。
そうして、そういう困った時にこれらの高い技術を持っておられるセンセイの手はゴッドハンドになるわけです。

おっぱいは白い血液です。
赤ちゃんの大事な栄養源です。
そんな大事なものを、高いお金を払って、異常が無いのにやみくもに搾って捨ててしまうのは勿体ないし、おかしいのではないでしょうか?
これといった異常を来たしているのでもないのに、赤ちゃんがしっかり飲めているかについて確認することは軽視して、乳房マッサージばっかりにかまけるのって、どうなんだろう?って思ってしまいます。

過去記事にも書きましたが、くどいようですが、おっぱいは「搾り出してナンボ」ではなく、赤ちゃんが「飲んでナンボ」ではないかと私は考えます。

また、乳房がトラぶって治療的意味合いでおっぱいマッサージを受けられるとして、ブランドマッサージにするのか、無印マッサージにするのかという選択権はお母さんにあります。

どちらを選ぶにしても、痛いおっぱいマッサージは良くないと思います。
無痛とまではいかなくても、フツーに会話できるくらいのおっぱいマッサージなら受けて良いのではと思います。
ご参考までに。(笑)

 

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2009年10月29日 (木)

神様にお願い事を聞いて貰ったお兄ちゃん(驚)

Fさんの長男であるBくんは小学生です。
Fさんは不思議系の話が苦手な方なので、これまで信じられなかったけど、今回の赤ちゃんを授かるにあたり、お兄ちゃんがキーマンだったのかもしれないということを実感したので教えてくださいました。
Fさんはいわゆる2人目不妊というヤツで、長男のBくんからあとは、なかなか妊娠には至らず、妊娠しても流産が続いていました。
周囲の知人・友人が次々に赤ちゃんを出産していく中で、「何故ウチは2人目の赤ちゃんを授かることができないのか?」と悩んでおられました。
(もちろん、産婦人科受診はしたものの、これといった原因もなかったので、治療というわけにもいかず、困り果てておられました。)

ある日BくんがFさんにこう言ったそうです。
「ママは赤ちゃんが欲しいんでしょう?僕は今日、今度こそ赤ちゃんをお願いしますって、神様にお願いしてきたからね。絶対大丈夫だから安心してね。」と自信満々に言い放ったそうです。
FさんはBくんのお気持ちは有り難く受け止めておこう・・・という気持ちだったそうです。
いくつかの週が過ぎました。
学校から帰って来たBくんはFさんにいきなりこう言いました。
「赤ちゃんはお母さんのおなかに入ったからね。分かった?」と。
分かったも何も・・・ですよね。
でもFさんはその時何となくでしたが、「今度こそ上手くいきそうな予感がした。」そうです。
次の日早速産婦人科を受診したところ、6週相当のGSが見えたそうです。
嬉しくて帰宅してきたBくんにそのことを話すと「だから、僕が言ったでしょう?赤ちゃんがお母さんのおなかに入ったって。」

その後もBくんは「おなかの赤ちゃんは女の子。」「名前はあやめちゃんにして。そうでないと、神様と約束したから困るんだ。」「僕の運動会が過ぎないと生まれるのが早いって言っておいたから。」と、当然のように話していたそうです。

Bくんは赤ちゃんの生まれる前日の夜にも「明日出ておいで。」とおなかに向かって語りかけ、Fさんには「赤ちゃんは明日生まれるから、準備はOK?」と尋ねてきて、結果その通りになったそうです。

Bくんのの言うことが全て当るので怖くなったとFさんは仰いました。
ちなみにBくんの言葉の端々に「神様が・・・」出てくるので悩んだものの、赤ちゃんの名前はあやめちゃんに決定したそうです。

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2009年10月28日 (水)

おっぱいとお薬/その28『ウルソ』

胆石症になって内服を余儀なくされたお母さんからのお問い合わせです。
「ホントに授乳中に内服してもいいのですか?」と。
『ウルソ』というお薬は置き薬などでも有名な熊の胆の成分を化学的に合成したものですね。
コレステロール系の胆石の溶解に効果があるので処方されたのだと考えます。

『ウルソ』は消化管から吸収されて肝臓に入り、胆汁中に排出されます。
お母さんの血液中に出にくいお薬と言えます。

お母さんの血液中に出にくいということは、おっぱいの中にも出にくいということです。安心して治療に取り組んでください。
そして今までと変わりなくおっぱいをあげてくださいね。

内服治療が必要なのに、変に我慢して、疝痛発作が起きて、緊急入院にでもなってしまったら・・・大抵の病院は母子入院までは難しいですから、赤ちゃんと離れ離れになる方が、もっと困りますもんね。
赤ちゃんのためにも早く良くなるようにしていきましょうね。

出産後のおっぱいマッサージは要るの?

先日私は「開通すれば分泌は変わる!」という記事を書きました。
誤解されませんように補足の意味でこの記事を書きます。

★病院のように出生直後から24時間母子同室というスタイルであれば、産後のルーチンケアとしてのおっぱいマッサージは要りません。
もし、産後のルーチンケアとしておっぱいマッサージが必要だとすれば、母子異室の病産院で、3時間以上の授乳間隔を空けて、規則授乳をしているのであれば、乳房うっ積が重症化し易いから、欠かせないと言えるでしょう。

一般的にはご存じない方も多いのですが、そもそも、おっぱいの分泌を高めるには、赤ちゃんに頻回に吸ってもらうことが一番なのです。
赤ちゃんが吸ってくれることで、おっぱいを造る『プロラクチン』というホルモンの分泌が増加して、おっぱいの分泌が増加するというメカニズムになっているからです。

そうは言っても、「おっぱいマッサージをしてもらったら、おっぱいがビュービュー出て来た。」という話は耳にタコが出来るくらい聞いたことがありますよね?
それはどういうことなのか?
おっぱいマッサージをしてもらうと、先日の記事のAさんのように、乳管の詰まりが取り除け、開通が改善します。
乳頭・乳輪が柔らかく伸びやかになり、赤ちゃんの吸啜が効果的に出来るようになります。
また、おっぱいマッサージにはおっぱいを射出するホルモンである『オキシトシン』の分泌を増やすはたらきがありますから、勢いよく出るようになります。
そうすると、赤ちゃんは懸命に吸啜しようとしますから、おっぱいを造るホルモンである『プロラクチン』が増加して・・・という展開になるのです。
おっぱいマッサージをしてもらったからといって、おっぱいを造るホルモンである『プロラクチン』が増加するわけではありません。

そこのところを誤解しないように気を付けてくださいね。

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2009年10月27日 (火)

母乳パッドの交換のタイミングはどうしてますか?

特に一人目さんで、おっぱいの分泌が多く、時間が空くと直ぐにパンパンになるタイプの乳房ですと、おっぱいとおっぱいの合間にお乳が漏れてくることがあります。
お乳が漏れても下着や洋服が汚れないようにするために「母乳パッド」をあてるわけですが、交換のタイミングはどうしてますか?

汚れたら?
まぁ、そうでしょうね。
勿体ないから粘着テープ(ブラジャーに貼り付けるテープ)が吸いこんだお乳の重みに耐えきれなくなるまで使用します?
う~ん。
それは交換しなさ過ぎですよ。

確かに一旦吸収したお乳は逆流しませんが、人肌の温かさで、栄養分たっぷりのお乳が含まれた母乳パッドに細菌が繁殖し、不衛生になりやすいです。
つまり、開通している乳口から細菌感染を起こす恐れがあります。
産後は抵抗力が低下している方が多いので、保清の意味で、母乳パッドの交換は出来ればおっぱいの度に交換してください。
少ししか漏れなくても1日に1回以上は交換してくださいね。

もちろん、お乳の漏れは、月日と共に減少します。
でも、それはおっぱいの分泌が低下したのではないから心配無用です。
また、一般的に初産婦さんの方が経産婦さんよりも漏れやすいし、漏れる量も多いし、漏れる期間も長い傾向にあります。

普段殆ど漏れない方であっても、乳腺炎になった時は感染しやすいので、母乳パッドの交換を怠らないように注意してくださいね。

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コ○ビ社の新型シリコン乳首について

先日★病院にコ○ビ社の営業さんが来られました。
7月に発売された新型シリコン乳首のご紹介ということでした。
★病院はシリコン乳首は殆ど使用しないのですが・・・

普段から搾乳やミルクの補足はシリコン乳首を殆ど使用しないということもあって、意外とこの手の情報に疎かったSOLANINです。
説明文を読むと、現在聖マリア学院で教授をされている松原まなみ教授監修ということでした。
確か松原先生は吸啜障害について研究され、医学博士号も取得されていて、母子ケア研究会の重要幹部をされています。(山西みな子先生の後継者とも言われている方です。)
コンセプトは“おっぱいの形を真似るのではなく、赤ちゃんがおっぱいと同じ飲み方が出来るように研究しました。”とのことです。

これが事実ならば、吸啜障害の解決には画期的なことになります。
しかし・・・ホントなんだろうか?
吸啜パターンの波型グラフを書いたパンフを見せてもらいましたが、それによると確かに直母の吸啜パターンとほぼ同じではありましたが、しかし・・・。
実際を見たわけではないので、判断がつきません。(困)
哺乳スピードとか口の開口度とか舌が前に出る感じとか直母と同等の舌のうねりと巻きつけをどこまで再現できるのかとか・・・
逆にそこまで再現出来るのなら、「吸啜障害≒直母が上手くいかない」筈がないと思いますし、直母が上手く出来るのならば、このシリコンの乳首を使用する意義に乏しいのではないかという風に思えます。
(使用はあくまで哺乳量が足りない場合に限定されることになります。)
う~ん。
どうもよく分かりません。
何だか論理的に矛盾していませんか?

パンフレットの最後の方に、(今後は移行期間を経て)NU○のシリコン乳首は取り扱い中止になるようなことが書いてありました。
○UKのユーザーはどうなるのかということも気になりました。

もしかして、読者さんの中に搾乳かミルクをコ○ビ社の「赤ちゃん○○かぶりつき」というシリコンの乳首を使って飲ませておられる方はいらっしゃいますでしょうか?

 

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2009年10月26日 (月)

おっぱいをあげなくなったら出が悪くなった?(産後9カ月)

赤ちゃんが酷い風邪をひき、直接おっぱいが飲めなくなって、その間は、搾乳をコップであげていたお母さんのYさんが母乳外来を受診されました。
赤ちゃんは元気になられて良かったのですが、今度はお母さんが風邪をひき、しんどくて搾乳も出来なくて、同居する義母さんにコップでフォローアップミルクを飲ませてもらっていたそうです。
義母さんからは、あと3カ月で職場復帰だから、このままフォローアップミルクとご飯にしたらどうかと勧められたそうですが、踏み切れなくてどうしようということでした。

赤ちゃんは離乳食はともかく、フォローアップミルクはMAXで40mlくらい/回しか飲んでくれず、回数も3~5回/日では、いくらなんでも少ないし、無理強いすると目に涙をいっぱい溜めて拒むそうです。
おっぱいは1週間あげなかったのに奇跡的に出てくれる状態でした。

ちなみにフォローアップミルクは“あげなくてもいい食品”だということは、過去記事を読破された方は、理由をご存知ですよね?

まず、フォローアップミルクを止める方向で、お母さんの意向を汲んでおっぱいを復活させつつ離乳食を進めていくことにしました。

ただ、しんどくてどうにもならなかったことは分かるのですが、「お薬を飲んだから授乳は止めて。」と某公立系病院のQQ当番のドクター(産婦人科ではない)に言われたのを鵜呑みにされ、あげなかったのは、マズかったんだということをいうことは、申しておきました。
★病院に受診出来なくて、他院に罹られた時は、電話1本で済むから、必ず内服薬の名前を言って「ホントにダメなのか?」を確認してもらうように、念を押しました。

おっぱいのあげ方と離乳食のあげ方と、今後の体重増加の目安について説明し、1週間後に再診していただくことに決定しました。
きっと、何とかなると思います。

開通すれば分泌は変わる!

確実な頻回授乳をしていれば、本来乳房マッサージは無くても差し支えありません。
それが出来ない場合、例えば赤ちゃんの吸啜力が微弱で、搾乳を補足しなくてはならない状況ですと、乳管の開通が今一つでストップしてしまうことがあります。

Aさんの搾乳量は400ml/日で、懸命に搾乳を続ける日々でした。
搾乳依存型ということで、母乳栄養としてはまぁいいとして、直母が出来ない辛さがありました。
赤ちゃんのIちゃんは、吸啜力が微弱で3分1クールが精一杯という状態が退院後もずっと続いており、どうしたものかと困っていました。
お母さんの不安も強く、「おっぱいで頑張ろうと思っても、気力が萎えそうで。」ということで、退院後のフォローをきめ細かくしていました。
生下時 2214g(逆子・経膣分娩・36週)
9日目  2288g(退院日)
15日目 2402g
17日目 2488g
・・・という経過でした。
お母さんのAさんは乳房うっ積とうっ滞がキツくて、入院中は『柴苓湯』の処方や『糾励根』の湿布を貼りまくっていた方でしたから、おっぱいが出ないことはなかったのですが、どうしても直母1回量が10~20g以上哺乳出来なかったのです。

通常はIちゃんくらいの週数や体重があれば2週間くらいで直母にシフトすることは可能ですが、とてもぢゃないけど搾乳をストップするのは無理でした。

17日目の段階で、ある程度乳房のコンディションが整ったので、思い切って乳房マッサージをしました。
(入院中他の助産師が2回ほど乳房マッサージをしたのですが、時期尚早だったのか、収拾がつかなくなるほどの張り返しをきたし、恐ろしくて出来ない状態でした。)

乳房マッサージを開始して15分後のことでした。
いきなり「ぶちん」と弾けるような大きな音がしました。
それとともに、おっぱいがジャージャー出てくるようになったのです。
普通の乳栓数個分ではないかというくらいの大きな音でした。

その日から、Iちゃんのお口から溢れるくらいのおいっぱいが出てくるようになったとのことです。
問題はそのおっぱいを飲めているかどうかでした。
お口からダラダラ零すので、Aさんは「Iちゃんが飲んでるのではなくて、Iちゃんのお洋服が飲んでいるのではないか?」と心配だったそうです。
また、「ぶちん」の後は、大して乳房が張ることが無くなり、搾乳も搾りにくくなったので「もしかして出なくなったのでは?」と心配だったとか。

ところが、Iちゃんはやってくれました。
退院時から17日目までの体重増加度は25g/日でしたが、17日目から25日目の体重増加度は70.5g/日に激増していました。
直母1回量も94gと断トツのアップで私の方がビックリしました。
念のため乳房チェックしましたが、グッドコンディションを維持しておられました。
搾乳はここのところ200ml/日だったそうですが、補足ではなく、乳房コントロールのためにあと1週間100ml/日は行い、次回2週間後までにはゼロにしていこうとAさんにお話ししました。
Aさんはとても嬉しそうで、「自信が付きました。」と笑顔でお帰りになりました。
次回再診がメッチャ楽しみです♪

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2009年10月25日 (日)

局所麻酔をかけた後はおっぱいはNGなの?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「局所麻酔をかけた後はおっぱいはNGなの?(改訂版)」公開中です
最新の内容は上記でご確認ください

以下、過去記事

産後の生活の中で、縫合しないといけないような怪我はあまりしないと思いますが、上にお子さんがおられる方ならば、屋外の行事や遊びに付きあっているうちに怪我をすることはないとは言えませんね。

一昨年でしたか・・・授乳中のお子さんを含む家族で釣りに出かけて、岩場で転んで脚に怪我をして外科にかかって裂傷の縫合をしてもらったお母さんがおられました。
外科のドクターからは、「麻酔ナシで縫うような野蛮なことは出来ないから、局所麻酔をかけますが、おっぱいはしばらく飲ませない方がいいと思いますよ。」と言われて困り果てて、★病院にお問い合わせをされてきました。

昨日は「かかりつけの歯科で(お母さんの歯の)神経を抜かなくてはならなくなって、歯科のドクターから局所麻酔のお薬がおっぱいに移行するから授乳は出来ないと言われましたが、どう対応すればいいのでしょう?やはり搾って捨てなくてはならないのですか?ウチは双子なので搾ると言っても量がハンパないし、おっぱいが大好きなので、ミルクは飲まないし離乳食はまだの時期なんです。」という電話がかかってきました。

局所麻酔のお薬は確かにおっぱいに移行することはあります。
でも赤ちゃんの健康を損なうことは心配ないのです。
どうしてそう言えるのか?
出産された時のことを思い出してください。
会陰部が切れたり、会陰部に切開を入れられたお母さんはかなりの割合でおられるかと思います。
その時もしくは縫合の際には局所麻酔薬を使用します。
★病院に限らず赤ちゃんは生まれたら直ぐにカンガルーケアされている病産院は多いと思います。
赤ちゃんは生まれて間もなくお母さんのおっぱいに吸い付き飲みますね。
そんな段階でも大丈夫なんです。
「局所麻酔をかけたからおっぱいは飲ませられない。」ということはないのだということが、お分かりいただけましたね?

恐らく母乳育児に熱心に取り組む産婦人科や小児科以外の科のドクターは、ご専門領域が異なりますから、「お薬の添付文書棒読み」若しくは「なにかあっては大変だから」ということで、ダメダメと仰るのだろうと思われます。
『ホンマにアカンのかいな?(=本当にいけないのでしょうか?)』と心配なお母さんは、しかるべきトコロで是非確認をしてくださいね。

*もちろん産婦人科や小児科以外の科のドクターであっても、ご自身や奥様が母乳育児実践者であれば、(特に山あり谷ありを経験しておられれば)そうでない場合よりも持っておられる情報量が桁違いに多いですから、そういうドクターの仰ることは間違いないと思います。

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2009年10月24日 (土)

赤ちゃんがお母さんを選ぶというお話

不思議系のお話なので苦手な方はスルーしてくださいね。
★病院母乳外来で赤ちゃんのお母さんから聞かせてもらったお話です。

一人目のお子さん(男の子)が生まれて6年目で二人目のお子さん(男の子)を出産されたKさんの体験談です。
お兄ちゃんが3歳の頃のある日、二人で手をつないで散歩をしていたそうです。
丁度下校時間帯で中学生がワラワラと大勢歩いて来るのに出会った時、何の前触れもなく、いきなり「お母さんはいつも僕のことを生んだって言うけどね、僕がお母さんを選んで生まれてきたんだよ。」と、喋り出したそうです。
Kさんは軽い気持ちで「あぁ、そうなの?ふ〜ん。でもどうやって選ぶのかな?」と聞いてみたそうです。
そうしたら、お兄ちゃんが「僕はいつも飛んでいたんだよ。誰の子どもになるか、お母さん(になる人を選ぶために)、探してたんだ。」と答えました。
Kさんは「いつ頃の話?その時お母さんは何してたの?」と重ねて聞いたそうです。
お兄ちゃんは「お母さんがああいう(と、指さしながら制服姿の中学生の女の子を見ながら)服を着て、お友達と歩いていた時、見つけてお母さんの子になるって決めたんだ。」と、断言したそうです。続いて「でもね、お母さんって何回も呼んだのに、お友達とばかり喋ってて、僕のことが分からないみたいだった。」と言ったそうです。
Kさんは「どうしてお母さんに決めたのかな?」とさらに聞いたそうです。
お兄ちゃんは「だって一番可愛いかったから。」とぼそっと言ったそうです。
お兄ちゃんが3歳の頃、何回も聞かされてきたお話だそうですが、その頃は「変なことを言う子だな。どういうつもりなのか?」と、聞き流していたそうです。

時は流れ、二人目の赤ちゃんを出産した後、お兄ちゃんはこう言ったそうです。
「お母さんはお父さんと仲良くなかったでしょう?あれ、困ったんだよ。○○(←赤ちゃんの名前)ちゃんが生まれられなくなるかと思って、僕は困ったんだ。順番は決まってるのに、生まれられなくなったらどうしようって心配だった。」とも言いました。
Kさんは一人目出産後、二人目を授かるまで流産したり、旦那さんとは不仲になる一方で、離婚を考えていたこともしょっちゅうだったそうです。
二人目を授かった時は、「生みたいが生んでもいいものか?」と悩んでいたそうです。
実際には二人目を授かってから、旦那さんが気を遣ってくれるようになり、家庭内が上手く回ってくるようになったそうです。
旦那さんと言い争いになった時、いつもお兄ちゃんが、泣いたりおどけたり、悪さをしたり吐いたり熱を出したりしたのは、両親を別れさせないための「作戦だった。」と打ち明けられたそうです。
子どもの方が一枚「うわて」なのでしょうか?

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その名はMIペースト!

「MIペースト®」って聞いたことがありませんか?
CPP-ACP(=リカルデント)という牛乳由来成分を使用した口腔ケア商品です。
(乳製品アレルギーのある方は使用できませんから、先にお断りしておきます。)
ひとつ前の記事で「虫歯は簡単に言えば歯が溶ける(=脱灰する)ということです。」と書きました。
「MIペースト®」のコンセプトは「脱灰しても、強力に再石灰化すれば、修復できる。」ということだそうです。
望ましい使い方は年齢に応じたフッ素濃度のある歯磨きやジェルでお口の中をキレイに磨きます。
次にブクブク含嗽2回をしてから、MIペースト®を歯に塗りたくるのです。
そのまま眠ってしまっても全くOKです。
先にフッ素でケアをするのがポイントですね。
虫歯予防の効果がさらに高くなりますからね。

では、ブクブク含嗽が出来ない段階の乳幼児はどうするのか?
その場合は・・・そもそもフッ素入りの歯磨き粉やジェルは飲みこんではいけませんから、使用出来ませんよね。
止むを得ないので、お口の中をブラッシングして食べ物のカスを取ってからお茶かお水をゴックンさせます。
次に飲みこんでも大丈夫なフッ素濃度のレノビーゴ®をスプレーしてからMIペースト®を塗りたくります。
おっぱいを飲まなくてもネンネ出来るお子さんはそのまま寝かせてくださいな。
おっぱいを飲まなくてはネンネ出来ないお子さんは30分待ってから飲ませてあげましょう。
子どもを虫歯にさせない努力を惜しまないでね。
どう考えても助産師の領域とは思えない記事を書くSOLANINでした。(笑)

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唾液のはたらきを知っていますか?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「唾液のはたらきを知っていますか? (改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

唾液には様々なはたらきがあります。
その中で、口腔ケアの面ではどのようなはたらきがあるのかということを是非知ってほしいと思います。
この記事では2つのはたらきについてお話しますね。一つ目は「中和作用」です。
唾液は、お口の中で細菌が産生する酸を中和してくれます。
「中和作用」には状況により強さが変化します。
一番強いはたらきをするのは、お食事を摂った時に出る唾液です。
従ってお食事とお食事の間に分泌する唾液はそれよりもはたらきが弱くなります。
注意すべきは眠っている時です。お食事を摂った時よりもはたらきが弱いのに加えて分泌自体が少なくなりますからさらに輪をかけてはたらきは期待できないくらいになります。
お口のケアに興味が無いのか無頓着な方が時々おられますが、そういう方は信じ難いことに、寝る前に糖分をたっぷりと含む甘いものを飲食して、歯磨きをしないで休まれます。
そうすると、「歯が痛い」「虫歯が進行した」となります。
虫歯へのアクセルをグイグイ踏んでいることになりますからね。
こういう行為は論外ですな。
また、「中和作用」には個人差があります。
元々のはたらきが弱い方もおられます。
そういう方は、そうでない方よりも虫歯になり易く、虫歯の進行が早い傾向にありますから、適切なケアが必要ですね

唾液のはたらきの二つ目は「緩衝作用」です。
唾液はお口の中が酸性に傾きにくくする作用があります。
「緩衝作用」にも個人差があるとされています。

そうしてこれらのはたらきは、困ったことになかなか簡単にアップすることは難しいのです。
虫歯は簡単に言えば歯が溶けてしまう(=脱灰する)ってことです。
では、唾液のはたらきが弱い方には、虫歯予防対策として救いはないのか?
それがあるのですね。
記憶力の良い方は初期の過去記事で「キシリトール」について書いたことを憶えておられるかと思います。
虫歯菌自体の数を減らし、虫歯菌が「酸を出しにくくする」というはたらきを持つというあの「キシリトール」です。
でも、それ以外にもいいものがあるんです。
知ってる方は知っているけど、知らない方は全く知らないモノが・・・
気になりませんか?
長くなりますので、次の記事で続きを書きますね。

2009年10月23日 (金)

段々と乳房が張らなくなったけど大丈夫?(産後3ヶ月初産婦)

初産婦さんで「おっぱいが出過ぎるのではないか?」「新生児期の体重増加度が、完母で50g以上/日だった。」という傾向のある方は、3時間くらい経てば乳房がパンパンになって「早く飲んでくれないかな~」という張り方であることが多いようです。
そういうリズムが約3ヶ月くらい続きます。

丁度、赤ちゃんの満腹中枢が形成し、頸が据わってくる頃までです。
その時期を過ぎると、段々と乳房の張りが少なくなってきます。
3時間経てば、張ることは張るのですが、MAXだった頃と比較すると、「なぁんだ。大したことないなぁ。」というレベルです。

心配になって、助産院や母乳外来で診てもらっても、担当助産師からは
「張ってなくはないし、分泌はありますから大丈夫ではないかな?」
「これくらいの張り方で、充分ですよ。」と言われて拍子抜けしたり、何となく納得が出来なかったり・・・

何故なのかということは、まだ解明されていませんが、時が経てば乳房はさほど張らなくなってきます。
張らないのですが、赤ちゃんに吸ってもらったら、湧き出すようになってきます。
よく出る時間は30秒~1分くらいです。(赤ちゃんはその間ゴクゴク飲み下します。)
短時間で切り替えるとたくさん飲ませてあげられます。

してはいけないことは、「乳房がパンパンになるまで待つことです。」
赤ちゃんがおっぱいを欲しそうにしたらためらわずにあげてくださいね。

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フッ素ケアはどうしていますか?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「フッ素ケアはどうしていますか?(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

虫歯予防にフッ素がいいことはみなさん既にご存知かと思います。
以前、お家でのケアとクリニックでのケアのどちらも大事で併行してやっていくと、効果があることもお話ししましたね。

さて、お家でのフッ素ケアに使用される歯磨き粉やジェルの類は薬事法という法律で
『1000ppm以下の濃度とする。』と規定されています。
6歳以上向けの製品としてはフッ素濃度950ppm以上のもの、6歳未満向けの製品としてはフッ素濃度500ppm以上のものが推奨されます。

フッ素濃度の確認は重要です。
中にはフッ素濃度が1ppmと、海水(1.3ppm)程度の超低濃度の製品もありますから、購入の際は製品の裏面をよ~く確認してくださいね。

フッ素をケアの使用される製品としては、洗口剤もありますが、ブクブク嗽が上手く出来ないうちは難しいかと思われます。

歯磨き粉でもジェルでも濃度が同じならば効果も同じと考えて差し支えありません。
研磨剤や発泡剤が含まれていないものの方が、使用しやすいようです。

クリニックでのケアに使用されるフッ素濃度は9000ppmもあります。
そう、歯科衛生士さんが塗ってくれるものです。
「こんなに濃度が高ければ、1回塗ればいいのかな?」とは思わないでくださいね。
フッ素を塗ると言っても、フッ素で歯をコーティングするのではなく、歯質を強くするというはたらきですから、おおよそ3か月毎には、塗ってもらうのを繰り返していきましょう。

お家でのケアでもクリニックでのケアでも、フッ素塗布後少なくとも30分間は飲食禁止です。
フッ素塗布後にお子さんがお菓子をおねだりしても、お茶が飲みたいと言っても折角塗ったフッ素がパーにならないように、気を付けましょう。
お家の方の対応として、これ(=塗布後30分間は飲食禁止)は躾のひとつです。

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2009年10月22日 (木)

おっぱいとお薬/その1+α『タミフル』

(注)タミフルについては、最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その1『タミフル®』(改訂版)」が公開されています。
最新の内容は上記にてご確認ください。

以下、過去記事。

新型インフルエンザが大流行になりつつある今日この頃です。
お家の方や赤ちゃんのお母さん自身が新型インフルエンザに罹ったり、罹られたので『タミフル』の予防投与を受けられたりされてる方が相当数おられると思われます。

最新のラクテーションコンサルタント協会のコメントとしては「母乳育児中であっても『タミフル』を内服しつつ、授乳をしても差し支えない。」という見解を表明しておられるようです。
乳児には影響がないということなんでしょうか?
アメリカ国内ではデータがあるのでしょうが・・・日本での裏付けは未だのようですね。
「えっ、ホントに授乳中に内服出来るのか!」と、私も色々調べたのですが、生憎、目当てのものが探し出せませんでした。

私が“その1”の記事を未だ全面訂正しない理由は、『タミフル』というお薬の内服による各種の因果関係の調査結果が釈然としないからです。
副作用か?と指摘されていた内服した若年者の「高所からの飛び降り」を始めとする不穏症状について、クロではないとの調査結果が出されましたが、同時に全くシロとは言い切れないモヤモヤしたものが残ったことを忘れてはいけないと考えるからです。

百歩譲って、乳児への影響は無いとしても、例えば赤ちゃんのお母さんの中には若年者も含まれます。
そういう方が母乳育児中に内服されて、お母さん自身の安全性といいましょうか、果たしてホントに大丈夫と言いきって良いのでしょうか?
頭が硬くて申し訳ないのですが、SOLANINはそのあたりが納得しきれないのです。
もちろん、救命上、『タミフル』の内服しか手が無い場合もあるでしょうし、ドクターの指示もあるでしょうし、それに従うこともあるでしょうけどね。

もしも一時的にミルクに切り替えるのならば、必ず赤ちゃんに事情を説明してくださいね。
乳頭混乱や哺乳ストライキにならないように、真剣に語りかけてくださいね。
もしも内服しつつおっぱいをあげるとしたら、何に気を付ければいいのか、ドクターの見解を聞かせてもらうのも良いかもしれませんね。

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2009年10月21日 (水)

豊胸術と母乳育児

私は美容整形をどうのこうのと申し上げるつもりはありません。
生死に関わる医療ではないですが、顔やカラダの手術を受けることで、明るく前向きに毎日が過ごせるようになる方も居られることでしょう。

実は私はこれまで、豊胸術を受けてから妊娠・出産された方に出会ったことは、数えるほどですがあります。
しかし、いずれも都会で暮らしておられ、里帰り出産された方で、産後間もない時期しか対応したことがありません。
最近出会ったMさんも、1人目さんを出産されてから2人目さんを妊娠されるまでにシリコンバッグを入れられたそうです。
(立ち入ったことは聞けないので、理由は分かりませんが・・・)

シリコンを入れても母乳育児は出来ます。
乳腺組織に切れ込むわけではないし、乳管も切ったりしないので、ちゃんとおっぱいは出てきます。
ただ、豊胸術をするのですから、元々の乳房は小さいわけで、シリコンで乳房が大きくなった分、当然術前よりもかなり皮膚が伸びています。
それに加えて、妊娠中から乳腺組織が拡張してきますから、出産前から乳房の表面を走行する静脈が浮き出してきますし、産後は早くから乳房がパンパンになり易いです。
乳房が四角くなるような感じかな?
シリコンを入れるには、乳輪の下縁あたりを切開するので、授乳が始まると若干乳輪の皮膚が引き吊った状態になります。
なので、先ほぐしをしないままですと、赤ちゃんはかなり飲みにくくなります。

乳房自体はうっ積が収まってくれば、緊満による痛みも軽減してきます。

唯一心配なのは、乳腺炎になった時です。
豊胸術を受けていない方よりも、症状が緩和するのに時間がかかる恐れがあります。
マッサージをする助産師も、おっかなビックリですることになるでしょうから、どの程度の圧をかけていいのか分からないですからね。

お母さんには母乳育児を大事にしてほしいので、どうしても豊胸術を受けるとしたら、できれば赤ちゃんを産み上げてからにしてもらいたいですね。

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姉妹で言い聞かせ卒乳中・最終報告

件のお母さんが再診されました。
二人のお子さんの様子を伺いました。

お母さんに言わせると、「おっぱい依存症ではないか?」というくらい、おっぱいを中心に世界が回っていたお姉ちゃんのYちゃんは、ライバルの妹ちゃんが飲まなくなったせいか、「おっぱい飲みの神様が離れて行った。」みたいに大人しく機嫌良く過ごしておられます。
3歳8カ月にもなると、(あ、9か月になられましたかな?)口が達者になり、お母さんがガ~ンとくるようなことを、のたまったそうです。
何だと思います?
「ママのおっぱい、しわしわになって、ばぁちゃんみたいになったなぁ。」
だそうです。(ひっ、ひどいっ!)

妹さんは小さくなったおっぱいを見て、「(妹ちゃんが)いっぱい飲んだから(なの)?」
「パイパイごめんね。」と、申し訳なさそうに言ってるそうです。
妹ちゃんの言葉はまだ拙いのですが、お母さんとしては胸にぐっとくるそうです。
お触りの「卒乳」はまだのようで、相変わらず、お家の方のおっぱいを摘まんだり引っ張ったりしているそうです。
それは仕方がない、もう少し長く妹ちゃんには飲ませてあげたかったのに、お姉ちゃん案件で“言い聞かせタンデム卒乳”に巻きこんでしまったのだから・・・とお母さんは納得しておられます。

言い聞かせがしっかりと出来ておられたので、チックや夜泣き、爪かみ、拒食、情緒不安などの気になる諸症状はみられないそうです。
乳房のコンディションも落ち着き、無事フィナーレを迎えられました。
ほっ。

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2009年10月20日 (火)

2週間健診までは大丈夫だったのに・・・

Sちゃんは出生時の体重が2674gと若干小粒ちゃんでした。
でも、おっぱいをゴクゴク飲みまくり、6日目退院時には2674gと、生下時体重にリカバーするという離れ業をやってのけるくらいの赤ちゃんでした。
(通常、おっぱいが順調であれば生理的体重減少から生下時体重にリカバーするのは10~14日目あたりです。)

生後14日目に2週間健診を受診され、その時の体重が3028g。
退院時からの体重増加度は』44.3g/日と順調そのものでした。
この時の直母1回量も50g以上あったそうです。

ちょっと早めに生後27日目に1か月健診を受診されました。
ショッキングなことに、その日の体重は3200g。
2週間健診からの体重増加度は13.2g/日でした。

通常、2週間健診まで順調だったら、何か変わったことでもなければ、こんなに急激に発育不良になる筈がありません。
小児科のドクターのアドバイスもあり、翌日母乳外来を再診されました。

「健診の後はショックで、とにかく必死におっぱいを飲ませました。
特におしっこの回数が減ったわけではなかったし、グズることもなかったから、こんなものなのか?と思ってました。」
「うっかりしていたのですが、昨日貰ったK2シロップを飲ませるのを忘れていました。
どうしたらいいですか?」との言葉がお母さんから聞かれました。

生後28日目の体重は3242gに増えていましたが、直母1回量は48gと、横ばいでした。
その日は乳管が部分詰まりしていることが発覚したので開通マッサージをしました。
ポジショニングは横抱きでしたが、ラッチオンが浅いので、立て抱きに修正しました。
頻回授乳を実行していただきました。
特に2週間健診以降、おっぱい後にうんちを押し出した後、あやして次のおっぱいまでの間隔を空けるようにしておられたのもネックだったような気がしたので、うんちを押し出したら、即お口パクパク・舌ペロペロだったので、ためらわずにおっぱいをあげてもらうようにお願いしました。
お母さん自身、2週間健診時、ビックリするくらい体重が増えていたので、「おでぶになったら困るなぁ。」という意識があったとのことでした。
おっぱいだけだったら、何も気にしなくていいのに、勘違いをされていたのかな?
(実はSちゃんが2週間健診を受診された日は、私は代休だったので、カルテ以外の詳細は分からなかったのです。お話していくうちに、上記のようなことが、分かって来たのです。)

生後33日目に再診していただいたところ、体重は3404gになっていました。
生後27日目からの体重増加度は34.0g/日にアップしていました。
直母1回量も74gにアップしていました。
哺乳後に乳首を離した後も、歪め飲み・つぶし飲み・浅飲みいずれもなっていませんでした。
乳管のコンディションもバッチリでした。
Sちゃんのお母さんはとても嬉しそうかつ安心された表情でした。

もう大丈夫だとは思いますが、保健センターでの集団健診は4か月まですっ飛んでしまいますから、不安だったら・・・出来れば・・・念のため2週間毎くらいに受診されてはどうかと勧めておきました。
きっと、受診予約が入ると思います。

 

 

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2009年10月19日 (月)

自己流断乳は止めましょう!

お母さんサイドの都合だけでおっぱいを止めることを断乳といいます。
今日★病院の母乳外来にお見えになったKさんもそうでした。
上の子さんの時も断乳したけど、特に問題はなかったので同じノリで前日の朝から飲ませてないとのこと。

しかし上の子さんのときとは違い、乳房が異様にパンパンに張って痛くてどうにもならないから、マッサージしてラクにしてほしいとの希望でした。
おっぱいのフィナーレは兄弟姉妹だからといって、同じ経過を辿るとは限りません。

しかし、「何したら1日でこんなにパンパンになるのかね?」と聞きたくなるほどの乳房の緊満でした。
腕は腋窩リンパの流れが悪化しているので、挙上が不可能でした。

そうしてあれこれ聞きましたところ、上の子さんの時に何もなかったのは単に運が良かったのだろうということが分かりました。

以下はKさんが実際にされた断乳の際の乳房ケアとしてNG項目です。(順不同)
①お食事の摂取量を全く減らしていない。(もちろん水分も。)
②お風呂でしっかり肩まで浸かって温まった。
③朝食後に飲ませないカタチで終わってしまった。
④搾乳時、乳輪をモロに触っている。
⑤搾乳時、量や回数を制限していない。
⑥じゃがいも湿布をしていない。
⑦ブラジャーがきつめである。

セルフケアだけではなく、お子さんのメンタル面にも配慮がほしいですね。
断乳の際、受診する助産院や母乳外来にお子さんを連れてこないのは・・・常識的に考えれば答えの出ることですね。
これは理由を言うまでもないですね。

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乳幼児に電動歯ブラシを使うのは良いのか?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「乳幼児に電動歯ブラシを使うのは良いのか?(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

電動歯ブラシの性能はおおむね価格に比例するそうです。
高価格の電動歯ブラシを奮発して買ったとして、乳幼児に使ってもいいのでしょうか?
機種によっては直接歯にブラシを当てなくても汚れが取り除けるものもあるそうです。
しかし、乳幼児にはあの振動が気持ち悪く感じられたり、遊んだりしがちなので、差し控えられた方が無難です。

せっかくの性能を発揮させるには、正しく使用できなくてはなりませんね。
早くて小学校に上がってからにしてみてくださいね。

2009年10月18日 (日)

体重増加不良でミルクを補足しているのですが・・・(回答部分)

<SOLANINの回答>
う~ん。
1か月健診の時点でミルクをきっぱりと止め、リラクテーションしたものの、大事なポイントが抜けていたようです。
最低体重もしくは退院時体重が不明ですので、生下時から1か月時の体重増加度で計算するしかないのですが、それだと34.4g/日になります。

生後1か月時までのミルクの補足量も不明ですので、何とも言えませんが、自己判断でミルクの補足をストップするなら、どう考えてもこの体重増加度だったら補足量が100ml未満/日でないと言い方がキツいようですが、無謀に近いです。
1か月健診で、小児科のドクターや業者派遣ではない栄養士さんから1日当りのミルクの補足量を確認された上で「ミルクを止めましょう。」と指導されたのでなければ、勝手に止めてはいけない段階なのです。

百歩譲っても“眠り飲みが常態化していて哺乳そのものに不安がある段階”でミルクの補足をストップするなら、それでホントに大丈夫なのか?直母量として確保できているのか?をこまめに確認していくことが必要条件です。
ミルクの補足をストップさせたのが医療者サイドからの指導だとしたら、医療者は自分の指導に責任を持たなくてはなりません。
言いっ放しで、不都合な事態に陥っても責任を取らないのは大問題です。
毎週でもフォローをしなくてはならないと私は思います。

医療者サイドの指導ではなく、お母さんの自己判断だけで、1か月過ぎたからミルクの補足をストップ・・・ということは、本来されるべきではないのです。
1か月健診までの期間、ミルクを補足するには何か理由があった筈です。
その理由が客観的(数値的)に改善していると言い切れる場合に限り、ストップしてもいいのです。
そうではなく、見切り発車的に強行するなら、毎週でも体重増加度の計算とと哺乳量測定を自分で行い、母乳育児、それもリラクテーションの分野に明るい医療者に評価してもらうことが最低条件です。
どんなに上手くいったとしても、完母にしてから66日間も放置してはいけないのです。

O式のセンセイが「舌がちょっと短い。」と仰ったということは舌小帯短縮症が考えられます。
体重が4800g未満でしたら、大事を取って立て抱きオンリーでもいいくらいですが、正しい立て抱きはしておられなかった・・・のでしょうね。
4800gを過ぎても眠り飲みが常態化のままなのは、舌小帯短縮症のためでしょう。
それなら尚のこと、立て抱きオンリーにした方がいいです。(でも、これも自己流でやらないこと。哺乳テクニックを磨くには、助産師にその飲み方で良いのかどうか確認してもらわなくてはなりませんよ。)
どんなによく出るおっぱいであっても、肝心の赤ちゃんが飲めていなくては、いかんともし難いのです。
そう、ここが自己流でリラクテーションすることの落とし穴なんです。

単純計算ですが、順調な体重増加に必要な哺乳量は、栄養方法を問わず赤ちゃんの体重が4kg台ならば少なくとも600ml/日、5kg台ならば少なくとも700ml/日は欲しいトコロです。
この方は現在400ml/日のミルクの補足をされてますが、自宅で哺乳量測定をされたら50~60ml/回はあるようですから、これでは足し過ぎですね。
標準に追いつきたい、挽回したいのは分かります。
けど、あまり1回にたくさんの補足をすると、胃が大きくなり過ぎてミルクの要求が増えるばかりです。
そんなことをしていたら、この先収拾がつかなくなりそうです。

おっぱいに吸い付いてもすぐに離してしまうのは、哺乳瓶ですとラクラクで飲めてしまうから、赤ちゃんはおっぱいを頑張って吸うことがアホらしくなるからです。
これはリラクテーションをしていく上でヤバい兆候です。
仮に完ミに切り替えるならミルクの量を増やしたらいいでしょう。
でも、そうではなく、完母に戻したい=リラクテーションを目指したいというならば、まずミルクの補足量を適正化しましょう。

赤ちゃんの目を見て、これまでのことを授乳の度に真剣に謝って、「おっぱい頑張って吸ってね。どうしてもの分だけミルク足すけど、それ以外はもう1回おっぱいだよ。」と言い聞かせてくださいね。
母子同室の病産院で生まれた新生児にするように頻回に(最低10回/日)毎回左右2クールずつのおっぱいを立て抱きで吸わせましょう。

乳房に頻回に吸啜刺激を与えて、適切な(=眠り飲みをさせず、深く歪めずに吸い付けば量が確保出来る)哺乳をしていけば、元々おっぱいが良く出るとのことですから、完母に戻ること=リラクテーションすることは決して夢ではありませんよ。

これまでになく手厳しい記事なので、恐らく相談者さんの気分を害したかと思います。
それについては謝罪します。
でも、この記事は二度とこのようなことが起きてほしくないから、そして相談者さんと赤ちゃんがこの状況から何としてでも立ち直ってほしいから心を鬼にして書きました。
その真意だけは分かってください。

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体重増加不良でミルクを補足しているのですが・・・(相談部分)

<ご相談内容>
生後3か月の赤ちゃんがいます。
栄養方法は1か月健診までは混合その後は完母です。
先日自治体からの家庭訪問で保健師さんが来てくれて体重測定をしてもらいました。
残念なことに増え方が芳しくなく、O式に行くように指導されました。
O式のセンセイは「おっぱいの分泌はいいけれど、舌がちょっと短いから飲みにくいのかも。」と指摘されました。

生まれてからこのかた、直母すると1分間くらいで白目を剥いて眠り始めます。
なので、足をつねったり、ほっぺを突きながら起こして吸わせています。

これまで何度か乳房マッサージを受けており、そのたびに、「良く出るおっぱいです。」と言われていたのと、おしっこもよく出ているし、うんちも1回/日は出ていたので、体重増加が少ないとは思っていなかったのです。

スケールを借りて哺乳量を測定したら、30分間左右とも吸って50~60g/回です。
ミルクを再補足し始めて約2週間、今では400ml/日の補足をしています。

ミルクを再補足してから体重増加は改善しました。
頸の据わりもしっかりしてきたと小児科のドクターから言われました。
ただ、直母の時、乳首を咥えてはすぐ離し、ちゃんと吸ってくれなくなりました。
おっぱいを吸わないならミルクの補足を増やすべきですか?
でも、このままおっぱいを飲んでくれなくなったらと心配です。
眠り飲みを止めさせるのは、どうしたらいいですか?
体重が標準に戻ったら完母に戻りますか?

体重の変化は以下の通りです。
生下時3286g・・・1か月まで混合栄養。
27日目4214g・・・ここから完母に切り替えた。(1か月健診)
93日目4892g・・・1か月健診からの体重増加度10・3g/日。ミルクの再補足開始。
95日目5060g
98日目5210g
105日目5490g・・・再補足開始からの体重増加度49.8g/日。

アルコールと母乳育児

母乳育児中のお母さんの中でアルコール大好きという方、いらっしゃいますか?
聞いてみたいけど、例えばO式のセンセイや母乳外来の担当助産師に聞いたりしたらぶっ飛ばされそうで怖くて聞けませんね。

アルコールは分子量が小さいから、飲めばすぐに血漿中~母乳中に移行します。
一般的なお薬ですと、母乳中の濃度は血漿中の濃度の1/100程度とかなり少なくなりますが、アルコールの場合、母乳中の濃度は血漿中の濃度の90%以上という高レベルです。
例えば5%のアルコールが含まれる350mlの缶ビールには純アルコールとして、ほぼ17.5gのアルコールが含まれていることになります。

SOLANINの持ってる文献によりますと、お母さんの体重1kg当り1gのアルコールを摂取すると、射乳反射が阻害させると書いてあります。
おっぱいの出が悪くなるということです。

日本には明確なガイドラインがまだないようです。
ですが、アメリカの医学研究所では次のようなことが勧告されています。
「アルコールの摂取量は1日当り0.5g/kg(お母さんの体重)以下。」

お母さんがアルコールを摂取すると、赤ちゃんのおっぱいの飲みが悪くなるという報告もあります。
ガイドラインギリギリいっぱいのアルコールを摂取したら、最短でも2時間はおっぱいは避けてください。
母乳育児中にアルコールの大量摂取や、常態的摂取は止めてほしいです。
大量摂取をしたお母さんのおっぱいを飲んだ赤ちゃんが急性アルコール中毒の症状を示したという報告もあるそうです。
怖過ぎます。

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2009年10月17日 (土)

おっぱいとお薬/その27『リンデロン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その27『リンデロン®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

『リンデロン』はステロイドの一種です。
お薬の添付文書では「授乳禁止」となっています。
けれども、実際にはおっぱいへの移行は少なく、点滴などでの大量投与でなければおっぱいを続けても差し支えないと考えられています。

『リンデロン』は色々な診療科で使用されているお薬です。
結膜炎、中耳炎、皮膚炎・・・などでも処方されることがあります。

『リンデロン』には様々な形状のお薬がラインナップされています。
注射薬、内服薬だけではなく、点耳薬、点眼薬、軟膏やクリームもあります。
これらの形状ですと、内服薬よりもさらにおっぱいに移行する量は少ないです。

母乳育児に理解のあるドクターであっても、産婦人科以外の診療科のドクターは「さすがにステロイドは無理。」とお考えになられる方が大半のようです。
赤ちゃんのお母さんにしても、「ステロイドは怖いお薬。」というイメージが先行しているようで、使用すれば断乳しなくてはと思いつめたり、使用を拒否って治療が進まなかったりということが、往々にして見受けられるようです。
しかし、おっぱいが続けられるかどうかのポイントは、『リンデロン』などのステロイドの場合、投与量なのですね。

「どうしても使用するしかない。」と、受診された科のドクターに言われても、うろたえ たりしないでね。
お母さんの病状が進み、ドン詰まりになってから大量投与することのリスクを思えば、短期間のごく少量投与で治療効果が高まるならば、そちらを選ばれたほうが賢明だとSOLANINは思います。

 

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シナジスを受けたほうが望ましい赤ちゃんとは?

シナジスって聞いたことがありますか?
冬場に多い感染症であるRSウイルスから防御するための注射です。
RSウイルスというのは、赤ちゃんの細気管支炎という病気の原因ウイルスです。
症状としては呼吸困難です。

注射と言っても予防注射(=ワクチン)ではなく、B型肝炎や麻疹の際に注射するグロブリンのようなものです。
つまり、シナジスはRSウイルスの抗体が入っている注射で、冬場のシーズンに罹らないように抗体の量を増やしてておくのです。
従って、獲得した免疫ではありませんから、ある一定の時期が来たら、増えた抗体はなくなってしまいます。
通常は10月くらいから3月くらいまでの期間、毎月注射しなくてはならないのです。

保険適用での接種は、

[1].在胎期間28週以下の早産で,12ヵ月齢以下の新生児および乳児
[2].在胎期間29週〜35週の早産で,6ヵ月齢以下の新生児および乳児
[3].過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヵ月齢以下の新生児,乳児および幼児

となっています。
早産で生下時体重が小さかった赤ちゃんは、一度かかりつけの小児科のドクターに相談してくださいね。

但し、保険適用であってもビックリするくらい高価です。
お値段は1個50mgで8万円です。(体重が大きければ2個使用することもあります。)

つまり、仮に2個使用としたら16万円。健康保険適用でも3割負担だから、4万8千円。
鼻血が出そうです。
まちによっては乳幼児医療の適用になるので、そうすると個人負担額がう〜んと少なくなりますから、その辺りも事前に確認しましょうね。

注)ジャンル分け、悩みましたが、注射なので、予防接種ぢゃないけど、ここに入れました。

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2009年10月16日 (金)

小児科のドクターから混合栄養を勧められて困惑!

<ご相談内容>

里帰り先の実家から自宅に戻り、初めて健診を兼ねて近医の小児科を受診しました。
これまで自分ではおっぱいは順調で不足しているなんて微塵も感じていなかったのです。
しかし、その小児科のドクターは、次々に質問され、腑に落ちないのかこう仰いました。

「ギリギリではないけど、体重の増加が少ない。」
「授乳回数が増えていませんか?」
「1回の授乳にかかる時間が段々長くなってきていませんか?」
「もし、そういう兆候がみられたら、ミルクの補足をしてください。」とのこと。

ちなみに赤ちゃんの体重・身長の変化は次の通りです。
生下時2876g・47.5cm
1か月時4284g・52.5cm
3か月時6160g・60.5cm

授乳の様子は欲しがるたびに大体昼間は2~4時間毎。
夜は20時30分から翌朝4時30分~5時00分まで爆睡。

所要時間は左右5~7分毎で計10~14分間くらい。
飲んだ後の様子は眠るか遊ぶ。
機嫌は良く、もう少し飲んでくれないかと勧めても、要らないならば口を真一文字につむって拒否。
凄くぐずるのは、その日の最後の授乳のときだけです。

おっぱいがすっきりしない時は止むを得ず搾乳しています。
以前は授乳間隔が空けばパンパンに張っていたけど、最近はめっきり張らなくなりました。
3時間毎に起こして飲ませるべきだったのでしょうか?

動きの活発な赤ちゃんなのでおむつのテープをきつめにしていましたが、たくさん飲ませるにはもう少し緩めにしたらいいのでしょうか?
もし、おしっこが漏れても赤ちゃんがたくさん飲めるようにするためだったら、そうしようかと思っていますが、どうでしょうか

<SOLANINの回答>

一言でいえば「どこがいけないの?」ですね。
正確な日齢が記載されてないのと、頭囲の変化と運動機能の発達が未記載なので、そのあたりも書いてほしかったですが。

おおまかに言っても3カ月で赤ちゃんの体重が生下時の2倍を超えています。
どこの誰が見ても体重増加は順調としか思えません。
機嫌も良いし何よりの立派な発育状態ではないでしょうか?
母乳不足感が無くて当然でしょう。
また赤ちゃんがお口を真一文字につむるのは、満腹中枢が形成してきたからであって、月齢的に当然ですね。
おむつのテープをずらしてまで哺乳量を確保する必要は全くありませんね。
昼間の授乳間隔も、授乳所要時間も問題なし。
乳房の緊満感が減弱したのも3カ月を過ぎたら起こっても不思議ではない現象です。
今まで乳房トラブルが全くないのもラッキーでした。

強いて言うなら、夜間の授乳間隔が空き過ぎかな。
赤ちゃんが順調に育っておられるし、乳房トラブルもないから老婆心からの忠告ですが。
もちろん、ミルクの補足は全くもって不要です。
それよりも月経の再来が早まりそうでそっちが心配だったりして。
今後も順調な経過を辿ってほしいので、あと1回だけおっぱいの回数増やしてね。


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ぎっくり腰になった時の治療はどうしたらいいの?

<ご相談内容>
8か月の赤ちゃんがいます。
先日ぎっくり腰になってしまい、近医の整形外科を受診しました。
授乳中であることをドクターに伝えたら「ウチでは(授乳中のお母さんには)お薬は出せません。(内服薬も貼り薬も)」と言われてしまい、電気を当ててコルセットを巻いて様子を見るようにと言われました。
貼り薬は内服薬と比較しても、おっぱいへの影響は少ないと思ったのですが。
例えば市販薬で『トクホン®』『フェィタス®』『アンメルツヨコヨコ®』『バンテリン®』などは、使用できませんか?

<SOLANINの回答>
ぎっくり腰は辛いですね。
貼り薬は内服薬に比較して血中濃度も上がりにくいと言われています。
薬剤師さんに聞かれても、きっとそう仰ると思います。
使用することは特に問題はないと思います。
ただ、これらの貼り薬に共通するのは、単に痛みを鎮める対症療法で、原因療法にはならないということです。
長期使用にならない方が望ましいですね。

しかし、個人的な意見ではありますが、成分中に『インドメタシン®』が含まれる製品は、使用されない方がいいのではないかと思います。
妊娠中だったら内服薬としては避けるべきお薬だからです。
もちろん、乳幼児に処方されるお薬でもないですし。
つまりいわゆる、鎮痛剤でもキツいお薬の部類です。
副作用を考えると、母乳育児に理解のある産婦人科のドクターであっても(内服薬だったら)これを処方されることはまずないからです。

痛みが辛いならば、鍼灸を試されてはいかがですか?
私はぎっくり腰が鍼灸で劇的に効果があるのを何度も目の当たりにしていますから、お勧めしたいですね。

このブログの読者さんで「おのでら」様「寺石はり術院長K5君」様という鍼灸師の先生がおられますが、きっと賛成してくださるのではないかと思います。

また、今後繰り返さないためにも骨盤底筋群を鍛える腰痛予防体操を毎日の日課にされることをお勧めします。

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月経再来は人工的にするものなの?

<ご相談内容>
出産した病産院から「産後1年経っても月経が再来しなければ、人工的に月経を再来させるので、受診してください。」と言われました。
現在赤ちゃんは5カ月で、まだまだ先のことではありますが、ホントにそうしなくてはいけないのでしょうか?

<SOLANINの回答>
最近読者さんになられた方で、まだ過去の記事を読破していらっしゃらないお母さんからの質問です。

以前からの読者さんはご存じですよね?
おっぱいをあげていたら(特に完母だと)、月経の再来は遅れることが多いこと。
おっぱいをあげていて月経が再来しないのは産後1年であっても、それ以降でも異常ではないこと。
月経の再来が遅くても、子宮や卵巣が干物のように干からびたりしないこと。
エコーで見ると、確かに子宮が小さく見えるし、縮んでもいるが、それは病的所見ではないこと。
月経の再来を心配すべきは、卒乳して満3カ月を過ぎてもない場合で、その時こそ、人工的に月経を再来させなくてはいけないということ。
おっぱいをあげることで、骨密度は低下せず、かえって骨の貯金ができること。
・・・などなど。

心ある産婦人科のドクターは、無闇に患者さんを怖がらせるようなことを仰る筈がないですよ。
ただし、別件ですが子宮がん検診の受診が2年以上間隔が空くのは良くありません。
「そういえば・・・」という方、ご自分の健康管理の意味で必ず受診をしてくださいね。

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2009年10月15日 (木)

省エネも大事ですが・・・

肌寒くなってきましたね。
省エネは大事ですが、赤ちゃんのお部屋が寒いということはありませんか?
赤ちゃんと遊ぶ時、カラダを動かしたそうにしている時、「今日は肌寒いから。」と服を1枚着せるのはいいのですが、クルクル巻ききなるくらい、たくさん着せようとする方がおられます。(大抵はおばあちゃんですが。)
着せ過ぎると、赤ちゃんはカラダが自由に動かせませんから、運動になりません。
また、すぐに汗ばむのでそのまま放置するとかえってカラダが冷えてしまいます。

赤ちゃんに着せる服はせいぜい3枚程度にとどめてくださいね。
室内では靴下もミトンも要りません。
今の時期ならば、室温は20度くらいあればいいのです。
(沐浴・入浴の後、カラダを拭いて服を着せる場所の室温であってもです。)
ただ、夜間20度ですと、上の子さんと川の字で休まれる場合、布団蹴り飛ばしますから,設定温度はもう少し下げてもいいですが、赤ちゃんには湯たんぽかアンカをしてあげてください。

添い乳ならあまり寒さを感じないからいいのですが、起きて座って授乳されるなら、アフガンなどで包んだりその時だけ補助的に暖房されたほうがいいかもしれません。

室温の調整をお願いします。

 

 

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最近の助産師教育にモノ申す!

助産師教育というのはホントに手がかかるというか、座学も盛りだくさんですが、実習もハンパなく大変です。
その中で、「直接介助」という実習項目があります。
分かり易く言えば、「赤ちゃんをひとりで取り上げる」ということです。

あっ、誤解のないように申し添えますが、「ひとりで」というのは産婦さんと学生を二人きりにして、臨床指導者やドクターや助産師がいない訳ではありませんから、安心してね。

実習時間(というか、赤ちゃんを取り上げるために待機する時間も含めて)はある程度学校の裁量に任されています。
赤ちゃんはいつ生まれるか分かりませんから、まぁ、当然ですが。

で、法令的にはひとりの助産学生は10例のお産に「直接介助」することになっています。
私の出身校は、日本最古の産婆教習所が前身ですから、その辺は厳しくて何日も産直実習を続けて正味で10例に到達するまで、やり抜きました。
私の場合、10例に達するまでに実習開始(最初の1か月は日中だけの実習だったのですが。)から終了まで、6ヶ月半かかっています。
その間に講義はあるし、継続して受け持たせていただく妊婦さん2名に対する実習も込みです。
母性衛生学会への参加や、マタニティークラスの講師役の練習、国試の勉強もありますし、とにかく忙しくて暇がない状態でした。

今も出身校の実習は大筋では変わらないと思いますが、この間ある方から聞いたのですが、驚くべきことに某大学の助産学科は実習期間がたったの5週間しかないそうです。
「5週間で10例の直接介助なんてどうやってこなしていくの?」と私は尋ねました。
そうしたら、「実習は3人ひと組だから、間接介助とか、外回りとかそれなりに役割分担してるけど、3人が3例ずつ直接介助したら、(ほんとは違うけど)そこで9例直接介助したと計算してしまうわけよ。書類もそう仕上げるのね。だから、数合わせなんてどうにでもなるのよ。」という答えが返ってきたのです。

私ぶっとびました。
助産学生の教育の場でそこまで大きな不正が罷り通るなんて。
ということは、実数としてせいぜい3~4例の直接介助しかこなしていない学生が、国試受験資格をゲットして、ペーパー試験でミスらなければ、「助産師でござい0。」と就職してくることも有り得るということなんですね。

助産師として大事な「直接介助」の実習でこの有り様ですから、この某大学で行われている助産学生に対する教育内容は想像するのが怖いですね。

誤解のないように申し添えますが、これはごく一部の大学・学校だと思います。
ただ、殆どすべての助産学生は「直接介助」の座学と実習だけでで手一杯です。
そのためかどうかは知りませんが、座学・実習のカリキュラムでも母乳育児という項目が無いうえに、実習先によってはミルク至上主義の病産院もあるわけです。
母乳育児を学ぶことなく卒業して就職することは、自分が困るだけでなく赤ちゃんのお母さんにも迷惑かけちゃうんですよね。

母乳育児が教育の現場(助産学生はもちろん、医学生・看護学生はもとより、アタマの柔らかい小学生くらいから)でオプションでなく、必須となれば病産院での状況は好転するのかなと思いました。

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赤ちゃんのうんちがたくさん出たら・・・

満腹中枢が未形成な時期の赤ちゃんは、消化器系の機能がまだ未熟です。
特に新生児はおっぱいを飲むやいなや、直腸が動き出しうんちがお出ましになることもしばしばです。
もちろん、それ自体は異常ではありません。

たくさん飲んでいるからこそのリアクションでもあるのですが、赤ちゃんは要らない分だけ出してやろうなどという小細工は出来ません。

ですので、「今飲んだ分は殆ど押し出しちゃったのかな?」ということも、有り得るのです。
大人からしたら「今さっき充分におっぱいを飲んだでしょ?」とツッコミを入れたくなるかもしれませんが、赤ちゃんは決して記憶障害に陥ったのではなく、リセットボタンが作動したということなんですね。
そう、早い話がチャラになったということです。(とほほ・・・)

それを勘違いしてしまい、多くのお母さんは(その一部始終を傍で見ているおばあちゃんにしても)「今おっぱいを飲んだところだから、もうちょっとあやして様子を見た方がいいのでは?」と思いがちです。

あ~。
でもそれって違うんですよね。
おっぱいの回数に天井はないのです。
今さっき飲んだばかりだからといって待たせなくてはいけないものでもないのです。
赤ちゃんが欲しがれば「どうぞどうぞ。」とあげてくださいませ。
おっぱいのあげ方のスタンスとしては「遠慮は要りませんことよ。さぁ、欲しいだけ飲んでいいのよ。」と赤ちゃんに勧めてくださいな。
元気で丈夫に賢く育つ。
いいことばっかりですもんね。

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2009年10月14日 (水)

おっぱいとお薬/その26『タイレノールA』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その26『タイレノールA®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

乳腺炎になってお薬の処方を受ける時、熱発の程度が強かったり(私が知る範囲ではMAXで40.7℃という方がおられました。)頭痛や関節痛などを伴ない身体的な苦痛が強ければ、産婦人科のドクターは頓服で解熱鎮痛剤を処方されることもあります。

病産院にもよりますが、小児科領域でも処方がなされる『カロナール』『ペレックス』『PL顆粒』などの、いわゆる“アセトアミノフェン”などが比較的処方されることが多いようです。
服用に際しては「38.0℃(ドクターによっては38.5℃)以上の場合」「6時間(ドクターによっては8時間)以上の間隔を空けて」「1日に3回まで」などの条件がつきます。

ただ、服用条件を守っていても、次回の受診までにお薬を服用し切ってしまい、足りなくなった時(夜間であり朝まで辛抱できない時や祝祭日でどうにもならない時)などの困窮時には市販薬で代用することが出来ます。

市販薬には解熱鎮痛剤といっても、様々な成分が含まれています。
なので出来れば、ドクターから処方を受けたものと同成分のお薬の方が無難ですし、安心ですね。

となると、何がそれに該当するのか?
調べましたよSOLANINは。
大きなドラッグストアの店頭で、お薬の箱の裏側片っ端からひっくり返して成分表をチェックしてきました。
お店の薬剤師さんから、不審者と思われたみたい?で「何をお探しでしょうか?」と尋ねられましたが、「痛み止めですが、自分で探せますから大丈夫です。」と返答し、ひたすらお薬の箱の裏側の成分表をチェックすること30分、14種類以上の解熱鎮痛剤を手に取りました。(見落としが無いよう3回確認しました。)
その結果“アセトアミノフェン”単味なのは『タイレノールA』だけでした。

推奨するわけではありませんが、万一の際に備えるとしたら、これではないかと思います。

 

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妊娠中の乳頭・乳輪ケアは何としてでも行ってくださいね!

SOLANINとしましては、妊娠中の乳頭・乳輪のケアは必要だともいます。
WHO/ユニセフもラクテーションコンサルタントもラレーチェリーグもO式も妊娠中の乳頭・乳輪のケアについては“ノーコメント”だったり「必要ない。」と断言しておられますが、現場で毎日仕事している者といたしましては、フランチャイズの学習塾K式のCMではないけど「やってて良かった、妊娠中の乳頭・乳輪ケア♪」だと実感しています。

いつから始めるのがいいか?という看護研究もあまたありますが、妊娠24週位から始めてもらった方がいいですね。
1日に2回は行ってくださいね。
(妊娠16週位から始めてもらうのと効果は同等という先行研究がありますので、それならゆっくりスタートでもいいかなということです。)
切迫早産の方は妊娠37週に入れば短期強化練習のつもりで、最低1日に8回以上、理想を言わせてもらえれば、時間を問わずに授乳するかのように頻回に、これまでの出来なかった分を挽回するつもりでケアしてくださいね。
(それくらい頑張ってケアを行えば、24週から1日2回のペースでケアを行っていた妊婦さんにどうにか追いつけますから。)

乳頭・乳輪のケアの目的・メリットは三つあります。

第一としては、乳頭・乳輪が柔らかくなり、伸展性が増し、赤ちゃんが吸い付きやすくかつ乳頭損傷が劇化しにくいからです。
劇化というのは乳頭損傷には「発赤」「水疱」「血疱」「亀裂・出血」(治癒過程として「痂皮形成」という段階もある。)などの諸段階がありますが、後者の方ほど痛みが強いのですね。

第二としては、乳管が開通することで産後の乳房うっ積が軽くなります。
うっ滞もしにくいです。
つまり産後の乳房の「張るわ」「痛いわ」「そのくせあまり量にならないわ」という三重苦になりにくいし、なっても早く離脱出来ます。

第三としては、『私は私のおっぱいで私の赤ちゃんを育てるんだ。』という決意・熱意が自然に日々高まって来ることです。
~産後のこま切れ睡眠でも対応できるカラダ(お母さんモードとでもいいましょうか)に変貌するのはホルモンのなせるワザですが、これは赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことで、そうなっていきます。~
その前段階・下地作りという意味です。

前にも記事で書きましたが出産準備は赤ちゃん用品を買い揃えたり、呼吸法の練習をするだけでは不完全なんです。
妊娠のフィナーレが出産なのではなく、出産の先にある母乳・育児を見据えることが赤ちゃんのお母さんになる方には必要なんですね。
ここを忘れないでほしいのです。

カラダの準備とココロの準備が必要なんですね。

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おっぱいが足りないと母性は育たないの?

それは違います。
おっぱいが足りなくても母性は育ちます。
ミルク育児がダメなんじゃありません。

私は母乳を栄養分として捉えるのが全てではないと思います。
母乳をあげることは、お母さんと赤ちゃんの絆を育てるために欠かすことのできないスキンシップを、とても自然で効果的に行うことが出来ることを意味しています。
自然と言うのは特に意識付けをしなくてもいいし、楽しめるということですね。
ミルク育児は他人でも出来ます。
どうしてもお母さんと赤ちゃんの距離感が出来てしまいます。
母乳をあげているお母さんに負けないくらい意識しながらスキンシップを図り“ミルクと言う名のおっぱい”をあげているのだという気概を持ってほしいのです。

ただ現代ではまだまだ勉強が足りない医療者や、そんな医療者が発信するトンでも情報に踊らされるお母さんが少なからずおられます。
お母さん向け雑誌などで得られる情報のうち、母乳育児に関する正しい記事は極めて少ないし、あったとしても残念なことにそういう記事をスルーしてしまう方が多いのが現実いです。
なので、「母乳育児は特別な方しか出来ない絵空事。」のように思っておられる方が後を絶たないのですね。

そんなことないのにね。
妊娠中にこのブログに辿り着いた方、ラッキーです。
あなたが母乳育児に成功するための方法がそこいらじゅうに散りばめられていますよ。
あなたが本当に知りたかったことがザクザク出てくること請け合いです。

 

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2009年10月13日 (火)

乳腺炎になり易いのは右側?左側?

「利き手」「利き足」があるように、「利きおっぱい」があることは、このブログの読者さんは既にご存知ですよね?
「利きおっぱい」は出産の度毎に左右が入れ替わる方もおられれば、毎回同じ方もおられ、流動的なものです。
「利きおっぱい」は飲ませやすい方、乳汁の分泌が多い方のおっぱいです。

注)少人数ですが両利きの方もおられますから、特に「利きおっぱい」はなく、左右同じだと思う方がおられることは、折り込み済みです。

さて、乳腺炎は左右どっちの乳房に多いのか?
まだ統計までは取ってませんが、感触としては今のところ「利きおっぱい」側がトラブルになり易いように思います。
特におっぱいの分泌に左右差が大きいほど、「利きおっぱい」側がトラブルになり易いようです。
それだけ乳汁がうっ滞しやすいからなのでしょうか?
でも逆におっぱいの分泌に左右差が小さければ、「利きおっぱい」側でもトラブルにはなりにくいわけで。

乳腺炎になったことのある方に伺います。
①あなたの「利きおっぱい」は右側?左側?
②トラブルになり易いのは、「利きおっぱい」側?「反対」側?
③あなたの赤ちゃんが大きなお口を開けてくれるのは「利きおっぱい」側?「反対」側?(母子整体研究会の先生方の教えによると、向き癖のある方が大きなお口を開けてくれるそうです。向くのを嫌がる方はどうしても大きなお口を開けてくれ難いそうです。)
④あなたが主に赤ちゃんを抱っこする腕は右側?左側?(月齢が小さくて両腕で横抱きする場合は赤ちゃんの頭がある方の側。片腕で立て抱き・スリングも含めて抱っこする方の腕のこと。

もしも人数が揃ったら、何か傾向が掴めるかもしれませんね。
そうなればこのブログ内で報告いたします。

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姉妹で言い聞かせ卒乳中・中間報告(妹ちゃん編)

この間までお姉ちゃんとタンデム授乳中だった1歳8カ月の妹ちゃんのNちゃんです。
言い聞かせ卒乳中です。
最初の1週間はお姉ちゃんのことが気になるらしく、「お姉ちゃんも?(飲まなくなるのか?)」と確認していたとか。

次の1週間はやはりお母さんの服をめくって乳房に描かれたお花を何度も確認したり、名残惜しそうな表情だそうです。

次の1週間は家族(おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん)の乳房を触りまくっているそうです。(お母さんのはダメなんだろうなという想いがあるのか、触りに来ないそうです。)
乳房を触っていると、心が落ち着くのかもしれませんね。
きっとそうだと思います。
1歳8カ月なりに葛藤はあるのでしょう。
でも、お母さんから見て妹ちゃんの方がお姉ちゃんよりも受け入れつつあるというか、性格もあるのでしょうが、リアクションが温厚だとか。

お母さんとしては妹ちゃんにはもう少しあげてもいいとは思っていたのだそうですが、お姉ちゃんの激しい飲み方に辟易していたというか、お姉ちゃんを言い聞かせ卒乳するためには可哀想な気もするけど妹ちゃんもタンデム卒乳するしか選択肢はないということでした。
妹ちゃんだけでも自然卒乳させたかったけど、どうにもならず、苦渋の決断だったと教えてもらいました。
お母さんのおっぱいの方が落ち着いてきたら、お母さんのおっぱいを触らせてあげるといいのではないかと思いました。

妹ちゃんの健気な様子に貰い泣きしそうなSOLANINでした。

※この記事のコメントは見つかっておりません。ご了承ください。

2009年10月12日 (月)

おっぱいとお薬/その25『柴苓湯』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その25『柴苓湯®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

『柴苓湯』は“さいれいとう”と読みます。
産後に処方してもらうことがあるとしたら、助産師サイドから、褥婦さんの乳輪の浮腫みが酷く、先搾りの際に痛みがあったり、上手く搾乳出来ない時、乳頭・乳輪はもとより乳房がパンパンなのにおっぱいが湧き出すまでに時間がかかる時(冷え性や肩凝りのある方は浮腫みが増強することが経験的に分かっていますので。)つまり強度のうっ積とうっ滞が一緒くたの状態の際に産婦人科のドクターに処方の依頼をするといいでしょう。

だいたい、3包/分3×1日分で事足ります。
このお薬は短期間での効果が大きいので上記の理由からの適応としては、漫然と内服し続けることの必要性はありません。
っていうか、漫然と内服すると、おっぱいがぺしゃんこになってしまいます。
分泌自体がガーンと減少することがあります。
内服1回毎に助産師に乳房の状態をチェックしてもらった方がいいですね。(どこでストップするか見極めてもらうために。)

マッサージを受けた後のおっぱいのセルフメンテ

乳腺炎になって母乳外来や助産院を受診された後、どうされてますか?
「やった~。これでOK。」とばかりに、トラブル前と同様のライフスタイルになっていませんか?
マッサージはたしかに効果大ですが、それで完全とは言えません。
「内服してください。」という指示があれば、用法・用量を守って内服してください。
「お風呂は半身浴で。」と言われていたのに、肩までどっぷりと浸かっていませんか?
「おっぱいに良くないものはは控えてくださいね。」と具体的に良くない食べ物を言われたのに、唐揚げ食べたり、ケーキやフルーツパクパク食べてませんか?
「授乳間隔を空けずに、こまめにあげてください。」と言われたのに、3時間以上間隔を空けていませんか?
「じゃがいも湿布をしてください。」と言われたのに、面倒臭いとせずにいたりしていませんか?
「○○抱きにポジショニングを変えてください。」と言われたのに、変えずにいつものままではありませんか?

助産師はあなたがこの難局を少しでも早く乗り越えられるように、必死でケアしてお話をしています。
あなたが回復するように、心から願っています。
どうか、マッサージを受けたからそれでOKというような考え方はナシにしてくださいね。
母乳育児を支援するものとして、出来る限りのことはしますが、治そうという気持ちや繰り返さないぞという決意はあなた次第ですからね。

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母乳育児をするかどうかは誰が決める?

生まれてきた赤ちゃんに「いつまでおっぱいをあげるか?」ということについて、周囲の方と話し合いをして決めていくものでしょうか?
子育てのあれこれを旦那さんに頼っていたとしても、それは赤ちゃんのお父さんですからある意味当然のことでしょう。
どうしていいかわからないことに対して、意見を貰うことはあっても、「いつまでおっぱいをあげるか?」ということに関しては、赤ちゃんとお母さんが決めることではないでしょうか?

プチメでも、★病院の母乳外来でも、最近ちらほら耳にすることで違和感を感じるのは
「旦那さんがおっぱい止めろと言ったから。」
「旦那さんがミルクとの混合にしろと言ったから。」
「旦那さんが離乳食を進めるべきと言ったから。」
などの、“旦那さんの意見尊重し過ぎ症候群”とでもいうような、発言のオンパレードなんですね。
一見話し合いのできる、仲の良い夫婦のように見えますが、お母さんと赤ちゃんが決めてしかるべきことに、旦那さんが決定権を振りかざしているような気がしてなりません。

だってね、おっぱいをあげるのはお母さんで、飲むのは赤ちゃんなんですよ。
旦那さんの意見を聞くのは良いと思います。
でも、旦那さんの意見に同調(尊重?)し過ぎるのはおかしい。
例えば、「私はもっと長くおっぱいをあげたいのですが。」
「私はまだまだおっぱいが良く出るんです。でも旦那さんが・・・」
というような想いを抱いているならば、ご自分の想いに素直になられてはいかがでしょうか?
赤ちゃんだって、自分の一番大切なモノであるおっぱいがお父さんによって取り上げられることは望んでいないと思います。
ある日突然に貰えなくなったおっぱいの原因がお父さんというのでは、事情はどうあれ、ある意味父親不信につながりかねません。

お母さんがしっかりとしてほしいと私は想います。
旦那さんも大事ですが、我が子の声無き想いを汲み取ってあげてくださいね。

 

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2009年10月11日 (日)

おっぱいとお薬/その24『当帰芍薬散』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その24『当帰芍薬散®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

『当帰芍薬散』は“とうききしゃくやくさん”と読みます。
これは漢方の一種ですね。
婦人科領域でしばしば処方されるお薬のひとつです。

ご相談のあった方は、カンジダになられ、塗り薬・膣錠だけでは治りきらなかったとかで、このお薬を処方されたとか。
比較的体力のない、貧血気味で冷え性の方の体質改善を目的としたお薬です。
(ちなみに、比較的体力のある、冷え性の方は『桂枝ぶく苓丸』を処方されます。
ご存じのように、カンジダは抵抗力が低下している時や抗生剤を連用している時に酷くなり易いのです。
塗り薬や膣錠と併せて処方されることもあります。
それでも、授乳中に使用されても大丈夫です。
早く良くなりますように。

乳頭亀裂ではないけど、乳首が痛い時の対処法は?

乳頭亀裂や乳口炎になったら『デスパコーワ』の塗布をしてラップをすることを推奨する記事をこれまでに何本か書きました。
亀裂までは行かなくても、乳頭が発赤していたり、皮膚が薄くなってるようならば、おっぱいの後、乳頭・乳輪にラップをしてください。
次のおっぱいまで当てっぱなしでいいです。
ラップは1日くらい使いまわしても大丈夫です。
ラップでガードしてから母乳パッドやミニタオルなどを当てブラジャーを付けてくださいね。
痛みがラクになりますよ。
何かのおまじないのように思えるかもしれないけど、効果は大きいです。
必要な方はレッツチャレンジ♪

 

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2009年10月10日 (土)

うつ伏せの姿勢で遊ばせよう!

うつぶせ寝=SIDSのイメージが拡大してしまった昨今、遊びの時間にうつぶせ寝を採り入れていらっしゃるお母さんが少なくなっているのを残念に思います。

SOLANINの子どもたちが赤ちゃんだったころはうつぶせ寝が人気というか、それに関連した書籍も数多く出版されたものです。

SIDSはあくまで赤ちゃんが眠りついてから起こり得る事象です。
起きて元気にしているのに、いきなり呼吸が停止するわけではありません。

うつぶせ寝にして遊ぶことで、赤ちゃんの視界がガラッと変化します。
背筋や、大胸筋、首周りの筋肉などを鍛えます。
そう、うつぶせ寝は頸がしっかり据わるなど、赤ちゃんの運動機能の基となる発達が促されます。
抱っこもしやすくなります。

やってみたら簡単です。
また、保健センターで行われる4か月健診で、頸の据わりが遅かったら、再診を指示されたり、余計なことで、心配が増えます。
なかには、やってみようとしたら赤ちゃんが嫌がって、10秒ももたないと嘆かれるお母さんもおられます。
そういう場合は、U字型クッションにつかまるようにしましょう。
おなかがしんどくなくて、赤ちゃんは助かるし、効果は同等ですからね。

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2009年10月 9日 (金)

妊娠中に乳管の詰まりだけは取り除いておきましょう!

助産師でなくても産後のお母さんでしたら「そりゃそうだ。」なことですね。
妊娠中は出産がゴールに思えておっぱいに無関心な妊婦さんもおられます。
「ミルクだっていいじゃない?」と安易に考えておられる方に出会うたびに、母乳育児支援をライフワークにしている者としては悲しくなります。
ただ単に赤ちゃんのおなかを満たしてあげるのでしたら、ミルクでもいいのでしょう。
ミルクにすれば、おばあちゃんに預けて心おきなく遊びに行けるかもしれません。
でも、赤ちゃんのお母さんになろうとしている人がそんなスタンス(=何があっても自分優先)でいいのでしょうか?

生後間もないころから、詰まりっぱなしのおっぱいを吸わされる赤ちゃん。
おっぱいのカスが取り除けていないから、赤ちゃんはカスの吸い出し業務に従事しなくてはなりません。
妊婦さんがおっぱいのケアに無関心ですと、このような事態に陥ります。
準備さえしておけば・・・と産後悔やむことにならないようにしたいですね。

その一方、助産師の無知でお母さんを精神的に追い込んだり、適切な助言やケアの実技指導が受けられなかったばっかりに、上手くいかないということだけは、避けたいですね。

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インフルエンザワクチンについて

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「インフルエンザワクチンについて。(若干改訂版) 公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。


授乳中のお母さんは新型の方でも、ワクチン優先者になっています。
では季節性インフルエンザではどうなのか?
ワクチンを接種した方がいいのかどうか、迷っている方も少なからずおられますので、公平な目で見た情報を提供します。

 

インフルエンザのワクチンは不活化ワクチンです。
不活化というのは簡単に言えばウイルスの病原性を無くしているということです。
インフルエンザのウイルスは鼻の粘膜で増殖しますから、注射という形でのワクチンの有効性に疑問符が打たれることもあります。
しかし、このご時世ですから、何もしないで手を拱いていて、結局感染したら後悔しそうなのも、お母さんの不安としてはあると思います。
母乳育児中のお母さんがインフルエンザワクチンを接種しても、おっぱいを飲んでいる赤ちゃんにはワクチンの影響(例えば赤ちゃんに副反応が出たりしないのか?)はありません。
おっぱいの中にはワクチンの成分も免疫成分も出てきません。
おっぱいを飲ませることで、赤ちゃんのインフルエンザ罹患自体を防御することは出来ないということです。
その点については心配無用です。

 

私は赤ちゃんのお母さんがインフルエンザワクチン接種をするかどうかというよりも、赤ちゃんのお母さんがインフルエンザに罹患することの方が大きな問題だと思います。
もちろん、お母さんがインフルエンザに罹患しても、おっぱいからインフルエンザウイルスが検出されることはまずないのいで、授乳はOKです。
但し、感染したお母さんの傍にいることが感染の危険性を高めますから、手洗い・うがい・マスクの常時装着は必須条件です。
お母さんがダウンしたとしても、お家の人が搾乳をあげることは何ら差し支えはありません。
また、ワクチンの効果が出てくるまでに1か月以上を要するので、接種するならば、時期を逸しないようにしましょうね。

 

季節性は任意接種です。
新型も医療従事者の次に妊婦さんや赤ちゃんとその保護者さんは優先時順位が高いのですが、これも強制ではありません。
良く考えて接種してください。

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産後気が付きにくい乳管の詰まりとは?

産後順調におっぱいが飲めていて、何の問題もなかったのに、急におっぱいを飲む量が減ってくることもあります。
満腹中枢が形成し、頸が据わる頃ですと、『キョロちゃん』ということもありますが、そうでもないし、断食もしてないし、何だろう?ということがあります。

そういう時は乳管が詰まってないかチェックしましょう。
「えっ、乳管が詰まると、乳腺炎でしょ?痛いから気が付くのでは?」と思った画面の向こうのあなた、甘いですよ。
部分的に詰まることがあるのです。
もうちょっと分かり易く説明すると、乳管の内側にカスが溜まって、乳管の内径が狭くなっているのをイメージしてください。
完全にルートが遮断されたわけではないから、さして痛くならないし、熱発もしないから気が付きにくいんです。

これは普段からのセルフチェックが大事です。
どのようにチェックするかと申しますと、乳輪を摘まみます。
ゴリゴリしてたり、若干でも摘まんだ以上に痛い感じがしたらそれが『部分的に詰まっている』という状態です。

対処は簡単です。
おっぱいがパンパンになった時、先ほぐしをしますね?
あの要領で、乳輪に溜まったおっぱいを出してしまいます。
上手く出来たら、マシュマロか焼きたてパンのようにふんわりして痛みが無く、おっぱいがスムーズに出てくるようになります。
(ジワジワくらいしか出なかった状態だったのに、詰まりを取り除けばタラタラからビュービュー飛ぶくらいに変わります。もちろん摘まんだ時の痛みもなくなります。)
左右両方のおっぱいが詰まった方に片方の詰まりを取り除いてあげると、あまりの違いにビックリされます。
まさに劇的ビフォーアフターですよ。
目を閉じて自分の乳輪を触って貰うと、半信半疑だった方も「あ~。こういうことだったんですね!}とみなさん仰います。
それくらい違います。
浅飲みやジャンキー喰いを続けると部分詰まりになり易いです。
さぁ、チェックしてね。

 

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2009年10月 8日 (木)

歯磨き粉選びととお口のクリーニングは重要です。

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「歯磨き粉選びととお口のクリーニングは重要です。(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

いわゆる大人用の歯磨き粉ですが、家族全員お口の中の環境が同じなら1本(=1種類)で構いません。
でも、例えば「旦那さんは歯茎が弱いけど、自分は歯茎は大丈夫。その代わり、虫歯になり易い。(あるいはその逆)」と、お口の環境が異なる場合もあると思います。

お口の環境が異なれば、歯磨き粉はその人に合ったものをチョイスしてくださいね。
虫歯になり易い方はフッ素入りの歯磨き粉で。
歯茎が弱い方は歯周病予防の歯磨き粉がいいです。

それとお母さん、お父さんのお口の中に虫歯菌が多く存在すると、赤ちゃんに感染し易いことはもうご存知ですよね?
お家での毎日のケアも大事ですが、クリニックでのケアも効果大です。
「虫歯は全部治療済みです。」というお母さんも定期的にクリーニングをして、菌の数を減らしていきましょうね。

2009年10月 7日 (水)

タンデム(=同時)授乳のあれこれその4

あ~~~ん。
でも、赤ちゃんはもう生まれていて、タンデム授乳をしようにも、「どちらが先か?」で喧嘩が始まることがあるんです。(涙)・・・というお母さんがおられました。
そう、つまり、「一人ずつ飲みたい。」ってことです。
一人が飲んでいたら、もう一人が飲んでる子のアタマを掴んで引っ張って引き離そうとすることさえあります。

昔話ですが、ウチの長男はタンデム授乳ではありませんでしたが、次男がおっぱいを飲んでいると、「○○ちゃん飲み過ぎやから、(早くお母さんの膝から)降りて。」と、
いつも申しておりました。
おっぱい中にホントに次男のアタマを後ろ側に引っ張られたこともありました。
あの時は、次男は私の乳首をすっぽんのように吸い付いていて、離されまいと必死ですし、お雑煮の餅のように引っ張られた乳頭・乳輪の痛さは今でも憶えています。

こういう場合は、タイマー作戦です。
先に飲む子は短めの時間、後の子は長い時間おっぱいを飲み続けてもいいぞ!というルールを造るのです。
タイマーは確認させ、自分でスタートを押させます。
先にするか後にするか、上の子さんに自分で選ばせます。
子どもは自分のしたいことを誰かに無理やり決められたら、ゴネ易くて大変です。
でも、自分で選んだことは小さくても守るように言い聞かせること、ゴネ得は認めないことを体験させることも、躾の一環かなと思います。(もちろん守れたら褒めてあげてくださいね。)

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タンデム(=同時)授乳のあれこれその3

時々、赤ちゃんを押しのけてでも、先におっぱいを欲しがるお兄ちゃん・お姉ちゃんのお話を聞くこともあります。
赤ちゃんの受け入れ自体は決して悪くなく、お母さんが困惑してしまうというパターンですね。
これは、愛と憎しみは紙一重ということを表します。

赤ちゃんが生まれてから「どうしよう?」にならないように、予め呪文のように、毎日毎日耳にタコが出来るくらい、お兄ちゃん・お姉ちゃんに以下に書きだしたことを言い聞かせをしましょう。

「赤ちゃんには歯が生えてないから、おっぱいしか飲めないのね。」
「ご飯はまだ食べられない。」
「●●ちゃんは、ご飯が食べられるから、お母さんの仲間だね。」
「最初はみんな、おっぱいしか飲めないんだよ。」
「ジュースもお茶も飲めないんだね。」
「だから、抱っこしておっぱいをあげることになるからね。」
「赤ちゃんはカラダが小さいから、おっぱいはゆっくりしか飲めないよ。」
「●●ちゃんもゆっくり飲んでたから、同じだよ。」
「だから、赤ちゃんがおっぱい終わるまで待ってあげないとね。」
・・・とまぁ、こんな感じですかね。

そうは言っても、眠たい時は、わからんちんになってしまうことでしょう。
相手は子どもです。
仕方ないこともあります。
宥めるために、赤ちゃんを後回しにしなくてはどうにもならないことも、想定されます。
その場合は、“本来優先権は赤ちゃんにあること。”を言ってください。
“自分よりも小さい存在に先んじたことをする時は、必ず『赤ちゃんお先に、有難う。』と、譲ってくれたんだということに対する感謝の言葉を言わせてください。
この時、『赤ちゃん、ごめんね。』では授乳自体が悪いことになってしまいますから、それは言わせないでね。

お兄ちゃん・お姉ちゃんのおっぱい優先回数が2~3回/日位のだったら、赤ちゃんが発育不良になることは恐らくありません。
もちろん、赤ちゃんには10回以上/日の頻回直母をしましょう。

そうして、頑張って順番守れた時は、「頑張ったんだね、偉いね。」「お母さん、●●ちゃんが待っててくれたから、とっても助かったよ。嬉しいな。」と、ギュっと抱き締めて褒めてあげてくださいね。

抱かれることで「自分はお母さんに愛されている。」と実感できるから、お兄ちゃん・お姉ちゃんの情緒の安定が促されてきますから。

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タンデム(=同時)授乳のあれこれその2

兄弟姉妹でお母さんのおっぱいをシェアすることもありますね。
赤ちゃんと、お兄ちゃん・お姉ちゃん同時にあげる方法です。
片方の太腿だけ重たくなるのが難点ですが。

でも、この方法ですと上の子は赤ちゃんをお母さんに取られた感が少ないので、良いかもしれませんね。
注意事項としては、左右は誰のものかは決めないでくださいね。
その理由は新生児とお兄ちゃん・お姉ちゃんの吸啜力は比較にならないくらいの差があるからです。
大きな飲みムラをつくることになりますから、代わり番こが良いと思います。
お兄ちゃん・お姉ちゃんが飲んでくれると、いいこともあります。
乳房が張り過ぎて痛い時、乳腺炎になりそうなヤバい時、「こっちから、こんな風に飲んでね。」とお願いしたら「合点だ!」と効果的な飲み方をしてくれます。
あわよくば、母乳外来や助産院に行かなくても済むことだってあるのですから。
新生児だけではこうはいきません。

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タンデム(=同時)授乳のあれこれその1

さて、タンデム授乳といっても、みんなどうやってるのかな?
という素朴な疑問、ありますよね?

一番オーソドックスなのは、双子ちゃんですね。
代り番こに飲ませてあげる方もおられますが、時間がかかるし、Aちゃんのおっぱいが終わったらBちゃんのおっぱいで、Bちゃんのおっぱいが終わったらAちゃんのおっぱいという風に、エンドレスなんですね。
それでは堪らないという場合は、一気に同時に授乳するのです。

まず、どちらかがネンネして、もう一人が泣いてるならば、ネンネしている子を起こして吸いつかせ、次に泣いてる子を吸いつかせます。
立て抱きが、フットボール抱きがやり易いかな?

泣いてる子を先に吸い付かせると、ネンネしている子を起こすのが大変です。
それをさらに吸いつかせるなんて至難の業です。(お家に助産師でもいれば別ですが・・・)
吸い付かせる順番を間違えないでね。

★病院でも年間10組前後の双子ちゃんが生まれますが、産後数日して、お母さんの手が慣れてきたら、タンデム授乳が出来るように、練習します。
もちろん、赤ちゃんの生下時体重や在胎週数、病状にもにもよりますから、出来ない時もありますが。
全員ではないけれど、80%前後は双子ちゃんでも完母ですね。

双子ちゃんのタンデム授乳風景は圧巻です。
ちょっと、おっぱいが上手くいかなくて、ブルー気味のお母さんが同じ授乳室でその光景をご覧になると、「私、甘いですよね。あの方に比べたら、自分なんてもっと頑張れるんぢゃないかという気がします。」とシャキッとされます。

見ている周りの方に元気を与える貴重な存在です。(笑)

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2009年10月 6日 (火)

妊娠末期にカロナールを内服してはいけない訳って?

偏頭痛持ちの妊婦さんは結構おられると思います。
私もかつて介護の一翼を担っていた頃は、ストレスで偏頭痛が酷く、鎮痛薬が手放せない状態でしたから、その辛さは分かるつもりです。
普段ならば『アスピリン』か市販薬なら『バファリンA』を内服される方が多いかな?

この他にも、小児にも処方されるお薬で授乳中でもOKな『カロナール』を妊娠中に処方してもらっている方もおられることでしょう。

この『カロナール』、どうして妊娠末期は処方が見合わされるか、ご存知でしょうか?
動物実験でですが、おなかの仔の動脈管が収縮し、新生児遷延性肺高血圧症という怖い病気を発症する危険性があるからです。
程度としては最も危険性が高いのは、『ボルタレン』『インダシン』『ポンタール』『カピステン』『ブルフェン』など。
危険性が中程度なのは『クリノリル』『オパイリン』など。
危険性が軽度なものならば、それこそ、『アスピリン』『カロナール』など。

しかし、軽度とは言えこのお薬を内服して、過去に上記のような症例があるのです。
ですから、妊娠末期はこれらのお薬は絶対に内服しないでくださいね

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左のおっぱいだけ、厭がってギャン泣き(涙)

<ご相談内容>
左側のおっぱいだけ抱っこした瞬間にギャン泣きして厭がって飲んでくれません。
先日地域の母乳育児相談で、助産師に診てもらいましたが、「乳頭・乳輪はトラブルなし。」「マッサージもしてもらったけど、分泌良好。」「この時は横抱きで授乳し、姿勢も見てもらって大丈夫だったし、さほど嫌がらなかった。」「軽い向き癖はある。右向きを好むけど、左も向かないわけではない。」・・・とのこと。

最初のうちは混合栄養で1か月を過ぎてから徐々に完母になって嬉しいのに、2カ月を過ぎて急に嫌がり、ギャン泣きするようになったのです。
お食事も特に問題ないと思います。
なのに、右を飲んだ後、左に切り替えてもギャン泣きするのです。
せっかく楽しくなってきた授乳がこれでは悲しくて、どうしていいか分からなくなりました。


<SOLANINの回答>
う~ん。
これは難しいですね。
母乳相談でしっかりと診てもらえたのに・・・
なぜ急にそうなったかは、なんとも言えません。

ただ、おっぱい自体に問題が無ければ、向き癖が関与しているとしか、考えられません。
たまたまかもしれませんが、母乳相談の時に横抱きで授乳された時はぐずらなかったならば、それが合っているのでしょう。

抱っこの向きを変えられるのが嫌いな赤ちゃんもおられます。
となると、右のおっぱいをフットボール抱きで飲ませて、そのまま平行にスライドさせて、左側が横抱きになるように授乳してはいかがでしょうか?

お家と、母乳相談の時、条件が異なることはありませんでしたか?
例えばお家ではソファで、母乳相談の時は、畳の上だったとか。
頭が下がって苦しかったとか、その逆にクッションを使っていたけどお尻が下がっていたとか。
お母さんの手の位置が、赤ちゃんの頸を支える時、赤ちゃんの痛いトコロに当たっていたのかもしれません。

当面は寝ボケ眼(=まなこ)の時は左から飲ませて、意識が清明な時は右から飲ませるようにしてみましょう。

あとひとつ、大事なこと。
それは、赤ちゃんに語りかけることです。
「左側も泣かないで飲もうね。」(飲んだ後は)「いい子だね。」と、赤ちゃんの目を見て語りかけてくださいね。

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★病院でのタンデム授乳に対するスタンスとは?

授乳回数が少なくなったり、月齢が進むと月経が再来します。(卵巣機能が鉄壁のディフェンスですと、一向に再来しないこともありますが・・・)

月経が再来すると、排卵して次の赤ちゃんを授かる可能性が出てきます。

そうなってきたら、現在授乳中の方は、どうすればいいかという問題が出てきます。
「これは大変!」とと、断乳に踏み切る方もおられるでしょうが、そんな必要はまずもってないとお考えくださいね。
何か余程、ハイリスクな妊娠だったらば、どうしてもだめなこともあるかもしれません。
けれども、「いやぁ~。私ってフツーだと思います。」ならば、妊娠中もあげてください。

私の勤務先の★病院では平均して毎月50人以上の方が出産されますが、だいたい、経産婦さんが30人くらいなんですね。
でもって、そのなかで、10人弱の方が妊娠中も授乳を続けられています。
もちろん、言い聞かせ納得してもらっての卒乳にしていくべく・・・の方もおられます。
でも、そのまま出産までGO!GO!GO!の方もおられるのですね。
産後もタンデムでおっぱいを飲む上の子さんは3~5人です。
“究極”のというか、“筋金入り”のおっぱい星人はいるのですね。
この間なんか、陣痛室でおっぱいを吸ってる2歳4か月児に遭遇いたしました。
「赤ちゃん生まれるまでママが吸っていいって言った。」とその子は私に教えてくれました。
私が退室する時にその子はVサインしてくれました。

産婦人科のドクターも正常に経過しておられる妊婦さんには「気にしなくていいわよ。」
(里帰り前のドクターが生憎妊娠中授乳厳禁派だったら)「こっそりあげればいいぢゃない。(笑)」とお茶目なコメントを出されます。
外来の看護師さんも「妊娠中のおっぱいのお手入れは不要ね。(爆)」というスタンスです。
小児科のドクターも「新生児の上前を撥ねなければいいですよ。」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんの情緒の安定になるしね。」と鷹揚に構えています。

気にしなくたっていいのです。
それでは、タンデム授乳の実例の記事を近日中に書きますね。

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2009年10月 5日 (月)

おっぱいとお薬/その23『ラキソベロン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その23『ラキソベロン®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

ラキソベロンというお薬は、緩下剤の一種です。
そう言えば、緩下剤としては過去の記事に『マグミット』というのも書きましたね。(覚えておられますか?)
薬剤分類としては異なりますが、これも授乳中に内服しても、差し支えないお薬です。

臨床的にはどうでしょう・・・
『マグミット』では便秘が改善しにくい場合に処方されているようです。
産後便秘が続くと、痔になることがあります。
授乳中は多く水分を摂取していても、その大半はおっぱい用に供されるので、水分の摂取にも気をつけましょうね。

また、『ラキソベロン』を服用すると、赤ちゃんが下痢になるのではないか?と、心配されるお母さんがおられますが、このお薬はおっぱいの中には検出されないか、万一検出されても、0.5μg/ml以下の検出限界以下の濃度であるとの海外での調査報告がありますので、その点については、ご心配には及びませんよ。(笑)

元々、おっぱいだけを飲んでいる時期の赤ちゃんのうんちはユルいですしね。

 

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完母を目指しているけど、どうしたらいいのか?その2

<ご相談内容>
入院中は完母で、退院後もずっと完母でした。
でも、4日目退院時よりも、7日目健診時の体重が減ってしまいました。
頻回直母を勧められ12日目の健診では増えてくるようにはなりました。
生下時3096g
4日目2930g
7日目2792g↓
12日目2890g(7日目から19.6g/日増加)・・・直母1回量左右1クールで50g
31日目3260g(12日目から19.5g/日増加)・・・直母1回量片方1回で38g
35日目3330g(31日目から17.5g/日増加)
この時点でO式のセンセイに診てもらったら、「体重増加が少ない。」とびっくりされ、「毎回ミルク100ml補足しなさい。このままでは栄養失調になる。」と指導されたそうです。(涙)
O式のセンセイでしたが舌小帯短縮症についてのコメントはありませんでした。
ミルクの補足は31日目に50mlを1回、35日目以降は50mlを1回補足するようになりました。(さすがに毎回100mlは補足していません。)
乳首が痛いし、(左乳頭が扁平で)上手く吸いつけなくて、実質片乳で授乳していました。完母で頑張ってきたけど、挫けそう。
41日目3500g(35日目から24.3g/日増加)でした。

<SOLANINの回答>
O式のセンセイでこんな無茶な補足を勧められる方がおられるなんて、ちょっと驚きでした。(昔と方針が変わったのかな?ここ最近何人か、同様ないきなりの大量補足話を聞いていますので・・・)
体重増加度は小幅ですが、取り返しがつかないくらいではないです。
ユニセフの規準では18~30g/日増加ならばOKです。これが世界標準ですから。)
ただ、どんなによく出ても、片乳はしんどいでしょうね。
長く吸わせざるを得ないので右乳首がふやけて痛くなるのでしょう。
左乳首が直母出来ればいいのですが、そういう指導や上手くいくコツは教えてもらえないのでしょうかねぇ。
右乳首を少し休ませるために止むを得ずミルクを補足ということなんでしょうが、このままでは補足量がドンドン増えるばかりです。
左側の扁平乳首を歪めずに飲ませるには立て抱きがベストではないかと思います。
体重増加不良=母乳分泌不足でなく、母乳摂取不足のようですから。
O式のセンセイが無理ならば、出産施設にお願いして、やり方をマスターしましょう。(このブログの記事も活用してね。)
マスターするまでは1回に10mlでもいいから(多ければもっといいですが・・・)左乳首からは搾乳しましょう。
乳頭痛については、過去の記事にも書いているように、口内炎のお薬(デスパコーワ)を処方してもらいましょう。(ケナログは固いから合わないです。念のため。)
授乳後塗ってラップしてケアをしましょう。
飲ませる前に軽く拭き取ればノープロブレム。
赤ちゃんの直母1回量を受診のたびに測らせてもらって、数値的に伸びてきたらミルクはカットしていきましょう。
幸い頭囲は生下時33.3cm⇒35日目35.7cmと、しっかり増えています。
赤ちゃんの持てるチカラを引き出してあげましょうね。

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完母を目指しているけど、どうしたらいいのか?その1

<ご相談内容>

赤ちゃんを帝王切開で出産しました。
生後11日目に退院するまでミルクの作り方しか教えてもらえませんでした。
退院後おっぱいをどうしていけばいいのかと尋ねるも、「ミルクでやってください。」とスタッフから言われました。
出生時体重2732g

生後11日目2900g
入院中(退院前?)に直母1回量を測ったら4gだったそうです。
退院から1か月健診までのミルク補足は80ml×8回/日でした。

生後32日目3686g(1か月健診の日)
地域の開業助産師にかかっているが、「赤ちゃんは舌小帯短縮症です。」と言われました。
(一念発起して)直母12~13回/日に増やし、ミルクは40ml×5~6回/日に減らしました。

生後37日目3900g
同様に頻回直母をしてきました。しかし・・・
生後42日目3900gと体重変わらず。
ミルクの量は40ml×4回/日に減らしています。
ミルクの量を減らしてからの赤ちゃんは「怒る」「寝ない」「ベッドに降ろすと泣く」の繰り返しで、どうしたらいいのか分からず、苦しいのです。

<SOLANINの回答>

可哀想に!出産施設の選択を誤ってしまったのですね。(選択の余地がなかったのかもしれませんが・・・)
おっぱいをあげたいのに、こともあろうにミルク育児推進病院でのご出産だったのですね。
いくら帝王切開でもお母さんの体調に問題がない?のに退院まで授乳指導が無いなんてあり得ません。
そのために起こった悲劇です。

さて、どうしたものか?
まず、赤ちゃんの体重増加度については退院から1か月健診までは37.4g/日なので良好ではありますが、これはミルクを640ml/日も足しておられたからだろうかという感じです。

これはSOLANINの経験上から言うことですが、帝王切開の赤ちゃんは正常新生児であっても、最初の1か月くらいの間、充分な哺乳量を得ている筈なのに、何故かひどく体重が増えにくい赤ちゃんに遭遇することがしばしばあります。(全国の母乳育児支援をしている助産師の皆様、そんな経験ないですか?)

しかし、このお母さんの果敢なトコロは、このシビアな状況で頻回直母に踏み切られたことです。
ミルクを200~240ml/日と、それまでの1/3に減量したのに、直母回数を2倍?にされたから、赤ちゃんの体重増加度が1か月健診から37日目の間は44.8g/日に増えています。

このお母さんは「赤ちゃんは乳頭混乱もありそうだ。」と仰っていましたが、「陥没していた方の乳首が突出してきた。」とも仰っていました。
ということは、この赤ちゃんは奇跡的に乳頭混乱を起こしていないということです。
これはとても貴重なことです。

赤ちゃんの体重が37日目から42日目の間停滞しましたが、それはさらにミルクを減量されたものの、そこまでおっぱいの分泌がたまたま追いついていなかったからで、諦めずに頻回直母にされたら、きっとバージョンアップすることでしょう。

但し、回数的にはこの辺が限界かもしれませんね。(これ以上は増やせなさそうです。)
どうにもしんどければ、一旦ミルクの補足を200ml/日に増やしてみてください。
無理は禁物です。
でも、赤ちゃんの困った症状?については、ちゃんと体重が増えていれば、母乳不足によるものではないですね。
どうしても直母での哺乳量が少なくないかと心配ならば、地域の助産院を再診し、開通マッサージを受けましょう。
そうして助産院か母乳育児に理解のある小児科か、母乳外来で直母1回量を測ってもらい、目安にしましょう。
概算ですが、4000g前後の赤ちゃんが飲み始めから次の飲み始めまで2~3時間の間隔を空けて直母1回量を測定し、仮に70~80gくらい飲めていたら余裕の量です。
50~60gでも頻回直母なら充分育ちます。
ミルクの缶蓋には生後2週間までで80ml/回×8回/日との記載がありますが、SOLANINの経験上、完母の赤ちゃんならば良く育つ子でもそこまで飲んでいないことが多いです。

乳頭形態のこともあるので、哺乳量を増やしてお母さんの乳首の負担を減らすには私はポジショニングは立て抱きが良いと思います。
赤ちゃんがひっきりなしに欲しがるのは、おっぱいが足りていても、成長のスパートが掛かった時にはこういう現象は良く見受けられます。

赤ちゃんが泣いて寝ないと、本当に辛いです。
でもここは、思い切って発想を切り替えて、カンガルーになったつもりで「授乳以外はスリングに入れる。」「寝かしつけは添い乳にする。」と、赤ちゃんをおなかに戻したかのように扱うと、ひとりで寝かされることから生じる赤ちゃんの不安感が徐々に軽減します。
あまりにもぐっすりと眠ってるようならベッドに寝かせるくらいのつもりで、「いつもくっついているのが当たり前。」にしてもらえませんか?

生まれてずっとお母さんと引き離された赤ちゃんは分離不安が強いと言われます。
そのあたりも考慮され、赤ちゃんにいっぱい語りかけてあげてください。

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2009年10月 4日 (日)

妊娠中の血乳を放置すると・・・?

過去の記事にも書いたことがありますが、妊娠中に血乳が出る妊婦さんは程度の軽い場合も含めて1/20人くらいの割合でおられるようです。

当然このような場合は、産婦人科のドクターに相談してスメア検査をしてもらうと良いのではと思います。
と申しますのも、妊婦さんですから安全な線量であっても、レントゲン検査は抵抗があるでしょうし、エコーにしても、妊娠に伴い乳房の状態が変化しますからね。

今日勤務先で出会ったUさんは、申し送りで「左右どちらの乳房とも、開口部から鮮血が出続ける。」ということで、おっぱいがあげられない状態でした。
赤ちゃんは35週の早産児で体重も小さく、血糖管理をしなくてはならず、止むを得ず低体重児用のミルクを補足していました。
お母さんの乳頭は硬くて小さくて扁平で吸いつきにくいカタチでした。
しかも赤ちゃんは吸啜する力が弱く、眠りがちでした。

Uさんは妊娠中にマタニティークラスBにも参加して、乳頭・乳輪のお手入れはしておられましたが、「血乳が出るのが怖いから。」「非常にソフトな触り方で、たまにする程度のお手入れしかしなかった。」ということで、効果的な乳頭・乳輪ケアをしておられませんでした。

そう、ハッキリ言わせてもらえば何もしていないも同然でした。
妊娠中のスメア検査はクラスIIIだったので、微妙な感じでしたが、血乳を放置して問題が解決する筈もないのでした。
ただでさえしっかりとおっぱいを飲ませてあげないといけない“おちびちゃん”なのに、1滴もあげられないなんて。

どうしようもないので、授乳のたびに助産師が排乳しなくてはなりませんでした。
「退院するまでに、白いおっぱいになるかしら?」と私の方が不安になるくらいの鮮血でしたが、排乳20回弱の段階で(今日は産後1日目)乳房が緊満し出してからパタリと血乳が出なくなりました。
もしかして在庫一掃?

それなら願ってもないことです。
Uさんの場合乳頭・乳輪のケアが出来ていませんでしたたから、いきなり直母は難しくても搾乳ししたおっぱいを赤ちゃんにあげることが出来るますからね。

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さて、【正しい立て抱きの方法】とは、いかに?

思いのほか【正しい立て抱き】について、知りたいというコメントが多かったので、早速記事にします。
コメントの知りたい内容ではでは「赤ちゃんのお口と乳首の高さが合わない。」「頸の支え方が判らない。」「背筋が曲がって苦しそう・アクロバティックな姿勢になってしまう。」などに集約されていました。

それでは、注意ポイントを書きますね。
①ソファか椅子に腰かける。
②赤ちゃんはお母さんの太腿に跨らせる。
③お母さんの乳首を見上げるように赤ちゃんの後頸を支える。
④赤ちゃんの後頭部が下がるようにして、決して後頭部は支えない。
⑤後頭部を支えると赤ちゃんの口がお母さんの乳首に水平若しくは上から咥えるように俯いてしまいがち(特に頸が据わっていない月齢の赤ちゃんの場合)なので、これでは絶対に吸いつけないからしてはいけない。
⑥乳房の把持は乳房と同側の手で、親指と人差し指をC字型になるようにする。(ラクテーションコンサルタントの先センセイ方が仰るトコロのいわゆる“Cホールド”と考えてもらって差し支えありません。)
この時、乳房の先の方を把持するのでなく、乳房基底部に人差し指が添うように少しリフトアップしたようにします。
親指は、乳輪の上のほうをグッと押さえ、赤ちゃんの鼻腔が塞がらないようにしてね。
⑦例えば右の乳房を左手で字型に把持しようとすると、内側で把持することになりますね?そうすると、左手の人差し指が邪魔になり赤ちゃんが正しくラッチオン(=吸着)出来ません。右の乳房を外側から左手で把持することは不可能ですね?
⑧O式のセンセイ方歯授乳中に乳房を把持することを止めるように仰る方が多いようですが、私はC字型に把持することで、授乳介助中にいわゆる乳管洞(これは、ラクテーションコンサルタントのセンセイ方は“乳管洞というものは存在しない。”と仰いますが、説明がしにくいので、敢えてこの言葉を使用します。)が乳頭方向に前進するような感覚が得られます。
つまり、C字型に把持することで、正しくラッチオン出来るから哺乳量が増えるのですな。
⑨赤ちゃんの座高が高くなると、高さが合わなくなりますが、それは、お母さんが太腿の高さを下げればいいだけのこと。
だいたい、立て抱きにする時ってちょっとチカラ入ってるから、自然に太腿の位置が高くなりがちなんです。
脚を投げ出すように足を前に出せば太腿の位置が下がりますよね?(コロンブスの卵ですな。)
⑩赤ちゃんは逆エビに反っても多少は大丈夫なんです。太腿の位置を高くしてカラダを丸くして胃を圧迫するような姿勢をとるから嫌がるんです。
太腿の高さに注意しましょう。
⑪後頸部を支える手にチカラを入れないこと。ギュ~っと持ったら痛いから。赤ちゃんがお母さんを見上げる角度で支えればいいんです。
赤ちゃんのお口がお母さんの乳首からすっぽ抜けないようにすればいいだけです。
⑫それよりも大きくなり、つかまり立ちが出来るくらいなら、お母さんの太腿の間に赤ちゃんのカラダを挟み込み、後は同じようにして支えて飲ませます。
⑬歪めず、つぶさず、適切な吸啜が出来たなら、乳首は痛くないし傷も付きません。
外した時も、乳首のカタチは変形しません。
是非お試しくださいね。

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2009年10月 3日 (土)

セントジョーンズワートの摂取!

ハーブの一種でセントジョーンズワートというものがあります。
別名西洋オトギリ草だったかな?
気分がすぐれず、鬱っぽい時に効果のあるハーブだそうです。

授乳中のお母さんには関係ないお薬のひとつに経口避妊薬というものがあります。セントジョーンズワートと経口避妊薬と併用して摂取すると、避妊効果が減弱するので、ダメだということが以前から指摘されているものでもありますね。
(将来使用するかもしれないお母さんはこのことを忘れないでね。)

さて、このセントジョーンズワートは授乳中には使用をしないでほしいサプリメントなんですね。
何故かと申しますと、赤ちゃんに疝痛発作が起きたり、嗜眠状態になったり、無気力や昏睡に陥る危険性があるのです。
光過敏症や消化器症状(腹痛・嘔吐・下痢・便秘など)が現れるという調査報告もあるそうです。

一般的にハーブ系サプリメントはデータが少ないのです。
私自身何でも知ってる訳ではないので、この件についてあまり情報提供は出来ません。
ハーブはお薬ではないので使用に際し抵抗感が少ない方が多いようです。
しかし、例えば過去の記事にも取り上げたセージは乳汁分泌を抑制する作用があるのでおっぱいをあげているお母さんが使用するものではありませんね。
安易な摂取は差し控えた方が無難なようです。

今後も5分2クールの飲ませ方でいいのか?

おっぱいの分泌には個人差があります。
産後数か月経っても授乳と授乳の合間におっぱいが漏れ出してきたり、シャワーのお湯を乳房に当てると、ビュービュー出てくるような方ならば、量的には1クールでいいのかもしれません。

まぁ、そこまでの出方ではない(=つまり、分泌過多ではない。)方ならば、2クールすることで量的に丁度必要な分が出てくるであろうと想定されます。

かなりのスタミナ溢れるパワフル系の赤ちゃんでも、3クール以降になると、飲み方がユルくなります。
★病院の母乳外来でも様々な月齢の赤ちゃんの哺乳量を測定していますが、どの赤ちゃんも3クール目以降は量的には大して飲めてないようです。
前に記事にしましたが、5分2クール以上咥えたがっても、それはおっぱいの量が足りなくてしがみ付いているのではなく、お楽しみタイムですから、授乳時間にカウントするモノではないと思います。

つまり、3クール目以降は赤ちゃんが眠るためや気持ちを落ち着けるためにお母さんのおっぱいを拝借しているという風に解釈してもらっていいのではないかと思います。

おっぱいはカラダの成長に必要な栄養分だけを与えているく訳ではないのですから。

 

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医学的理由以外でミルクを補足することについての見解

赤ちゃんには飲みムラがあります。
あって当然です。
赤ちゃんだって人間ですからたくさん欲しい時もあれば、少々でいい時もあるのです。
眠っていたら3時間以上授乳間隔が空くこともあります。
かと思えば、30分もしないうちに、お口パクパク・舌ペロペロして“おっぱいちょうだいオーラ”を全開で表していることもあるでしょう。

満腹中枢が未形成な生後3カ月頃までは、どれくらいのおっぱいを飲むかはその時の赤ちゃんのスタミナで決まるといっても過言ではありません。
おなか一杯だから止めるとか、そういう基準ではないのです。

たたみかけるように頻回に欲しがるのは、おっぱいの分泌云々よりも精神的に落ち着きたかったり、眠たかったりするからということも結構あります。

夕方からのギャン泣きはおっぱいを造るホルモンの分泌が少なくなる時間帯ではありますが、そこで頻回直母するから夜中はわりと眠ってくれるし、頻回直母するから分泌量も増えていくのです。
それを「家事が捗らないから。」「うるさいから。」などの理由でミルクをあげると、分泌が増えなくなるし、「夜中ずっと寝たいから。」とミルクでダメ出しするから、乳腺炎になったり、月経の再来を誘発するのですね。

ご自分が何を目指しているのか、何が優先なのか、よく考えてミルクの補足をしてくださいね。

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2009年10月 2日 (金)

乳腺炎で切開しなくちゃならないの?

今のおばあちゃん世代が赤ちゃんを育てていた頃は日本の国では母乳育児が一番低調な時期だったと言えます。
そんな時代背景で母乳育児を行っていた人は“猛者”だと過去の記事に書きましたが、憶えておられますかな?

適切な情報が皆無だったその頃は乳腺炎になる方、それが重症化する方が多くいらっしゃったそうです。
重症化すると外科に回され、問答無用で切開を入れられたそうです。

現代ではどうでしょう?
トンでも情報と正しい情報が交錯していますね。
でも、一昔前に比べたら、SOLANINは酷い乳腺炎の方に出会うことが激減しています。
切開を入れなくてはならないくらい酷い方はどうかな~?3000人に1人くらいかな?
(あくまで私の経験値ですが。)
切開までしなくてはならないかどうかは、最終的に外科のドクターが決定されます。
が、私から見て切開してもらわなくてはならない方は、明らかに乳汁か膿が乳腺内に貯留しているのに、乳管開口部が全く無い状態・・・でしょうか。
現代は乳腺炎のしこり=切開ではありません。
マッサージや内服や赤ちゃんに頻回直母をすれば切開せずとも大丈夫なようですよ。

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歯医者さんの歯ブラシの¥が高いのはなぜ?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「歯医者さんの歯ブラシの¥が高いのはなぜ?(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

歯ブラシの選び方をマタニティークラスBで一緒にお仕事している歯科衛生士さんに伺いました。
歯科で売られている歯ブラシはナイロンの質が上等だそうです。
(豚毛や馬毛がNGなのは知ってますよね?)
つまり、ペン持ちで磨いて1カ月は耐久性があるということ。
(グー持ちはNGだってことも知ってますよね?)
ナイロン毛の先が1本ずつ丸く加工されていて、歯茎にもやさしいこと。
(激安なのはのはブッツリと真っ直ぐに切ってあるのだそうです。)

デザイン的にはイマイチなのもありますが、中身が大事なのですね。

因みにTVのCMで、『歯医者さんが考えた』云々という商品がありますが、歯科関係の方の間では、「あんな持ち手の曲がったのはかえって磨き残しが多くなるから、あれは有り得ないね。」というのが通説だそうです。

素材がいいから¥がお高いのですね。(300円前後/本)
でも、お口に良い素材にものが1か月持つなら・・・考えたら安いかもね。
予防が大事ですもんね。

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哺乳技術の改善方法は?

<ご相談内容>
9月26日の『乳腺炎になりやすい体質ってあるの?』の記事に質問がありました。
「自分の赤ちゃんは浅飲み・つぶし飲み・歪め飲みのようです。では、どうすれば改善出来るのか?」

<SOLANINの回答>
う~ん。
文字による説明は難しいなぁ。
でも、ポジショニングを変えたら上手くいくことは多いです。
母乳外来の助産師に【正しい立て抱きの方法】を教えてもらいましょう。
乳房が大きいお母さんでも敢えて立て抱きにしてください。
私が勤務先の母乳外来で吸啜困難な赤ちゃんの哺乳トレーニングをする際は、全て立て抱きにしています。
赤ちゃん要因で舌小帯短縮症であっても、お母さん要因で乳頭が陥没型であっても ・・・です。
【正しい立て抱き】の方法が知りたい方はコメント欄にご意見をくださいな。
経験的に一番早く、吸啜が上手になるように思いますが全国の母乳育児支援関係のみなさんはいかがですか?

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2009年10月 1日 (木)

排卵期~月経中のおっぱいは美味しくない?

<ご相談内容>
暫く前完母になったお母さんからのご相談です。
最近月経が再来し、赤ちゃんが嫌がるのでおっぱいのお味見をしたところ、明らかにいつもとはおっぱいの味が異なり(=甘味が薄い。)美味しくない。
お食事は根菜類を多く摂取して気を付けています。
しかも分泌が低下するのか、怒ってしまいミルクを補足することもあります。
不味くて出方が少ないおっぱいならば、いっそ、月経期間中はミルクをあげたらいいのでしょうか?

<SOLANINの回答>
たとえおっぱいの味が不味くて出方が少なくても、おっぱいはおっぱいです。
ミルクの補足を検討する前におっぱいでいいと思います。
月経の再来には個人差がありますが、頻回にあげていれば再来が休止することもあります。
月経が再来すると厭な方、是非頻回直母してくださいな。
また、この時期にこそ、赤ちゃんへの言い聞かせを忘れないでいただきたいです。
つまり、「月経が来るとお母さんのおっぱいが不味くなるかもしれないし、出方も少なくなるかもしれないけど、そンな状態ははいつまでも続かないよ。あなたが頑張っておっぱいに吸い付いてくれたら、また元通りの美味しいおっぱいが一杯出るように戻るから、大丈夫だよ。よろしくね。」と頼んでみましょう。

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幼児期の便秘対策

乳児期の便秘は一般的にうんちの性状がユルいことが殆どです。
が、幼児期の便秘はうんちの性状が硬いことが多く、棒状・鹿のフン状など、水分が少ないことが特徴です。

こうなってくると、嘗てのように綿棒やこよりで肛門刺激をしても効果はなく、マルツエキスを飲ませても今イチだったりします。
甚だしい場合は肛門の襞がが裂けて、切れ痔になることすらあります。

緊急避難の場合は緩下剤(浣腸薬・座薬・内服薬)を使用することも止むを得ないでしょう。
しかし、「毎日漫然と使用するのは良くないのではないか?」
「あの記事(O-157との関連性)を読んだらやはり毎日1回はうんちの出る子にしてあげたい。」
「お薬以外の方法で何か良いものはないか?」とお考えのお母さんは多いと思います。

起床時の水分摂取、発酵食品の摂取、野菜や海草などの食物繊維の摂取、おなかののの字マッサージ、温罨法など、オーソドックスなことは全てやり尽くしたと断言されるお母さん、もう2つだけ試してみませんか?

一つ目は腸管内にビフィズス菌を増やすことです。
ビフィズス菌そのものを摂取することか、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖の摂取です。
粉末・シロップ状など、様々な形のものがスーパーにも売ってあります。
乳糖と共におっぱいの中にも含まれる糖分の一種です。

二つ目はキシリトールの摂取です。
虫歯予防のキシリトールは多量摂取したらうんちがユルくなるという特徴があります。
キシリトールは天然の甘味料で安全なものです。
普通のお砂糖に比べ、カロリーも3/4と低く、おなかにもたれたりしません。
しかも虫歯予防まで出来て一石二鳥です。
キシリトールの推奨摂取量(=虫歯予防に効果的な1日に摂りたい量)は5~7gですから、それより若干多目にされたらいいと思います。
ガムが噛めないお子さんならば、タブレットがありますよね。
(画面の前で「キシリトールタブレット?知らないなぁ~。」と呟くあなた、パソコン立ち上げて、ブログテーマの歯科関係を全部読んでくださいな。でないと、このブログの記事が理解出来ないですから。)
キシリトールの摂取で、便秘に伴う切れ痔が改善した幼児(★病院の母乳外来通院中のお母さんのお子さん)をSOLANIINは何人も知っています。

幼児の便秘の治療は小児科のドクターに受けていただくのがスジですが、便秘改善のための健康増進的なアドバイスはSOLANINがしても差し支えないと判断し、記事にさせていただきました。

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1歳代で自然卒乳はあるの?

<ご相談内容>
保育園に通園中のおっぱい星人のお譲ちゃん。
これまでは保育園でも泣いていたり、お給食も食べられなかったそうですが、「語りかけ」をしていったら、保育園にも慣れていって、楽しんでいます。
苦手のお給食も少しずつ食べられるようになってきました。
お外が大好きで毎日お散歩をしています。
それとともに、自然におっぱいの回数も減ってきました。
1歳を過ぎたら『おっぱい=ココロの栄養』『欲しがらない=心が満たされているから』と、捉えていいのでしょうか?
このまま自然卒乳になるといいなと思ったりします。

<SOLANINの回答>
統計的なことを申しますと、自然卒乳の時期は1歳のお誕生日前の場合が20%程度。
1歳半で50%程度。2歳で80%。2歳以降が20%だそうです。
現実には、お母さんが強制終了するカタチでの、『断乳』がまだまだ幅を利かせていることもあり、残念なことに1歳のお誕生日前におっぱいをもらえなくなる赤ちゃんが50%前後かと思われます。
私のブログの読者さん(この場合授乳中のお母さん限定です。念のため。)や勤務先の★病院の母乳外来に通院中のお母さんは、結構長い傾向にありますが。

子どもの自然卒乳の時期は千差万別ですが、このお子さんの場合、おっぱいよりも美味しいものや楽しいものを見つけられそうな雰囲気ですからもしかしたら近い将来そうなるかもしれませんね。
子どもが納得出来ていれば、それでいいと思いますよ。
もちろん、卒乳は不退転の決意で臨むものではありませんから、流れに身を任せるようにしていてよいと思います。
行きつ戻りつのパターンもあります。
子どもさんがあっさりと卒乳してしまったら、お母さんの方が解放感以上に寂しくなる方が少なくないようですから、そちらにも目を向けてくださいね。

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