おっぱいとお薬/その20『抗てんかん薬』
(注)最強母乳外来フェニックスにて「おっぱいとお薬その20『抗てんかん薬』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。
以下、過去記事。
ここ数年くらい前までは、「抗てんかん薬」は一律おっぱい禁止というような取り扱いをされてきたようです。
やはり、中枢神経系のお薬なので、慎重にという意識が強かったのだと思われます。
なので、てんかんの既往のあるお母さんはおっぱいをあげられないと言われた方も少なくありませんでした。
それが嫌で、お薬を拒否されておっぱいをあげたものの、睡眠時間が短いと発作が出やすいのか、結局てんかん発作が起きてしまったお母さんに遭遇したことが私にはあります。
当時は「抗てんかん薬」を内服したら断乳も止む無しという考え方でした。
でもそうではないことが分かってきたのです。
例えば『デパゲン』『セレニカ』などのバルプロ酸ナトリウムや『アレビアチン』『ヒダントール』などのフェニトインは母乳中の濃度はお母さんの血漿中の濃度の1~2%程度なので、アメリカ小児科学会などでは、“通常、授乳婦へ投与しうる薬剤”に分類しています。
これらは哺乳児への危険性が低いお薬なのですね。
反対に授乳婦には避けた方がよい「抗てんかん薬」として、『エリキシル』『フェノバール』などのフェノバルビタールや『マイソリン』のプリドミンなどは、哺乳児に中毒作用(傾眠・鎮静・哺乳量低下など)の危険性があるので、授乳中は避けるべきお薬です。
可能であれば、これらの危険性のあるお薬を産後内服しなくて済むよう、《お薬の差し替え》をしてもらったら、てんかんの持病のあるお母さんであっても、安心して赤ちゃんにおっぱいをあげることができます。
まずは、かかりつけの神経内科のドクターと産婦人科のドクターに連絡を取り合っていただくように頼んでみましょう。
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