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2009年6月

2009年6月30日 (火)

乳腺炎と赤ちゃんの体重増加度の相関性

最強母乳外来の読者さんで、乳腺炎になったことのある方は、ちょこちょこ居られると思います。
乳腺炎になった時のおっぱいを舐めたことがありますか。
濃ゆく、まったりとして、しょっぱいです。
反対に、コンディションの良い時のおっぱいは薄く、さらっとして、ふんわりと甘いのですね。
まず、この味の違いが赤ちゃんの哺乳意欲を引き出すか引っ込めるかということに関与しています。

次に乳腺炎になると、乳汁分泌が低下しているのでないかと感じたことのある、助産師やお母さんは少なくないと思います。
例えば良い時ならば、コンスタントな射乳が何本もみられるお母さんでも、悪い時の患部からだと、ジワジワと滲み出すくらいですね。

つまり、出方が悪い&不味い⇒飲み方が少ない⇒体重増加度が低下・・・ということになってくるのですね。
あくまで概算ですが、熱発するような乳腺炎になると、赤ちゃんの体重増加度は良い時の60%程度に低下します。

ここでしてはいけないのは、「おっぱいが足りないからミルク補足する。」ことです。
赤ちゃんを宥めつつ、あまりの不味さに激怒しているならば、謝りつつ、頻回に飲ませてください。
そうすれば、早く回復してきます。
回復すれば、体重増加度は改善しますから、大丈夫ですよ。

舌小帯短縮症の赤ちゃんかどうかの目星の付け方

これは統計を取っているわけではないから、あくまで私が日々の仕事の中で気が付いたことであることを先にお断りしておきます。

舌小帯短縮症(長いので以下Sとします。)の赤ちゃんは臨床的には5~6人に1人の割合で出現すると言われています。
程度の差はありますが、結構ポピュラーなんですね。
遺伝的要素も影響していると言われています。

Sの赤ちゃんは胎児期にエコーで診てもらっても、お顔をまともに見せてくれないことが、殆んどです。
手が顔の前にきて、隠している感じです。
よく、赤ちゃんはおなかの中にいる時から、おっぱいを吸う練習をするために、手を口に近づけて吸っているのだと言われます。
実際、手に吸いダコが出来て生まれてくる赤ちゃんさえおられますからあながち嘘ではないということでしょう。

生まれてからSが判明すると、直母困難になる場合もあり、見逃すことは出来ません。
直母の度に毎回べったり介助では、する方もされる方も大変です。
それでも大きなお口を開けて、舌を下顎ラインよりも前に出せば、吸啜出来ます。
それを胎児期に教えるのです。
呪文のように言い続けます。
効果あるようですよ。

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2009年6月29日 (月)

赤ちゃんにとって自然でラクな姿勢とは?

それはもう、100%決まってます。
頭からお尻までのライン(脊柱)がやんわりとカーブしていて、ちょっと見には勾玉っぽいカタチです。
スリングに入れたり、抱っこしたりの間は気持ち良さそうにウトウトねんねするのは、赤ちゃんのカラダの骨組みにマッチしているからです。
従って、お布団(またはベビーベッド)に寝かせたら「おめめぱっちり」「ぎゃ~」になるのは背中が痛いのかもしれませんね。
寝かせ方の工夫、興味ありませんか?

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高級豚毛歯ブラシって良くないんです!

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「高級獣毛歯ブラシって良くないんです!(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

久しぶりにスーパーのオーラルケアグッズ売り場をチェックしたら、売り場の片隅に豚毛の歯ブラシが置いてありました。
昔から根強い人気があるので、販売していると思われます。
天然素材だから、ナチュラルで良さげでしょう。
でもね、実はこれって良くないんです。
いや、はっきり言って悪いんです。
一般的な歯ブラシよりもヘッドが大きいから・・・という条件が改善されてもNGです。

理由ですか。
それはですね、天然素材ゆえに、乾燥が遅いんです。
朝磨いてから濯いで、水気を振り切って、歯ブラシスタンドに立てて乾燥させるべしなのですが、夕方になってもまだ乾燥しません。
「なぁんだ。そんなことか・・・」と、思ったアナタ。
乾燥しないことを甘く見てはいけないのですよ。

なぜならば、成人の大半には歯周病菌がお口の中にうようよいるのです。
歯周病菌は除菌しなくては、歯周病が進行してしまいます。
でも、歯ブラシが乾燥しないと、そこで歯周病菌の大繁殖が執り行われます。
デンタルリンスを日々使用しても、定期的に歯科でクリーニングをしてもらっても、キレイにする筈の歯ブラシが歯周病菌だらけだったら、意味がないのですね。

その点、ナイロン毛の歯ブラシは乾燥は速いですから安心して使用出来ます。
年配の男性に愛好者の多い豚毛の歯ブラシ。
実家のお父さんに(できれば、義父さんにも)教えてあげてはいかがですか。
特に舐めるように赤ちゃんを可愛がるタイプ、しょっちゅう会いに来るタイプのおじいちゃんは要注意です。

気をつけてね★立て抱き授乳の注意ポイント

立て抱き授乳の際、”お母さんが自分の手で乳房を把持する”かは、想像以上に重要です。
介助者がお母さんの背中側から手を当てる時も同じことが言えます。
但し、一般的に介助者はお母さんに対面していることが多いですね。
そうなると、利き手で赤ちゃんの後頸部を支えるので、”お母さんが自分の手で乳房を把持する”時、どちらの手で支えようがあまり意識していないことが多いようです。

でも、それぢゃ上手くいかないんですよね。
左の乳房を飲ませるならば左の手で、右の乳房を飲ませるならば右の手で乳房基底部の下縁に人差し指を添わせるように当てて、丁度乳房をリフトアップするかのようにしつつ、親指で上から押さえ、乳房を上下方向に押しつぶすように把持します。
反対に、お母さんが乳房と逆の手で自分の乳房を支えると、当然、乳房の内側を指先を下に向けて把持します。
そうすると、人差し指が邪魔になって赤ちゃんが深く咥えることが出来にくくなるからいけませんです。
また、扁平乳頭のお母さんにありがちなんですが、乳輪を指先で把持して赤ちゃんに咥えさせようとすると、その先しか咥えられませんからこれもNGですね。

そうして、赤ちゃんの下顎が乳輪の下縁に当るようにすると咥えやすくなります。
つまり、乳頭の位置よりも赤ちゃんの頭が高いと下顎が充分に乳輪の奥深くを押せ無いので上手に飲めません。
お母さんの方を見上げる感じで咥えさせます。

すると、いつもの介助&把持よりもグレードアップします。
まぁ、試してみてね。

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2009年6月28日 (日)

哺乳瓶が使えないと赤ちゃんを預けられない?

確かにおっぱい星人の赤ちゃんは哺乳瓶を嫌がったり、哺乳瓶では飲めない子が多いです。
こういう状況ですと、誰かに赤ちゃんを預けて出かけることは難しく思われます。
それを思うと、言いようのない焦燥感や緊縛感が沸き起こってきます。

でも、搾乳はコップでもスポイドでもスプーンでも飲めます。
新生児ですら搾乳をコップで飲めるのです。
どうしても誰かに預けることを前提にしたいなら、新生児のうちからコップで飲ませる練習をするという手もあります。
哺乳瓶は乳頭混乱の元凶ですから、安易に使用するのは止めましょう。

月齢が進んだおっぱい星人の赤ちゃんに、お母さんが直母以外の方法で搾乳をあげようとしてもほぼ100%飲みません。
これは、ひとえに赤ちゃんが賢いからです。
いつも通りの直母以外の方法で、何故飲まなきゃならないのか、納得できないのですね。
逆にお母さんがおられないと、哺乳瓶は嫌がっても他の方法ならば飲んでくれることは充分期待できます。
但し、いきなりはいけません。
事前に搾乳を飲まなくてはならない事情を、繰り返し赤ちゃんに言い聞かせておきますと、仕方なくですが受け入れてくれます。
それでも頑固一徹な赤ちゃんの場合、お母さんと離れている数時間は、ハンストしてでも待っています。
おっぱい星人の赤ちゃんは、お母さんと離れてはひとたまりもないことを本能的に悟っているので、直母以外を拒否するのだと思われます。
それならそれで、赤ちゃんの気持ちを尊重するしかないと思います。

ヒトの赤ちゃんは生物学的に早産であるということ

ヒトの赤ちゃんは生物学的に早産の状態で生まれてくると言われています。
1歳くらいになって、やっと歩き始め、カタコトが言えるようになってきます。
その頃には体重は7~10kgくらいにまで成長します。
身長は68~77cmくらいになります。
頭囲だって、42~48cmくらいになります。
ということは大横径(=BPD・・・胎児の推定体重を算出するのに、産婦人科のドクターがエコーで測られるアレです。)が15cmくらいになっちゃいますね。
子宮口全開は10cmですから、自然分娩は到底無理ですね。
だいたい、出生時の体重が4kgオーバーになると、巨大児というカテゴリーに振り分けられちゃいます。
っていうか、7~10kgの胎児なんて子宮内に収まりきりません。
ヒトは脳の発達と二足歩行という、他の動物にはない進化を遂げたので、早産で生まれるしか方法はないのですね。
一見、赤ちゃんはお母さんにべったりの甘えん坊に見えますが、そうではなくてイキモノとしてそれは当然なのですね。
ヒトの赤ちゃんは目には見えないけれど、おなかにあるポケットの中で生きているように私には思えます。

そう考えると、早い月齢からお母さんと離れざるを得ない(例えば育児休暇が1年間貰えない職場とか・・・)赤ちゃんは、お母さんと一緒に居られる時間だけでも、いっぱい抱っこして、ひとくちでもおっぱいをあげて、スキンシップをしてあげてくださいね。

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おっぱいは足りていると思うけど、ずっと抱っこばかりでしんどい!

あまり知られていないようなので、この辺で書きますが、赤ちゃんがおっぱいを飲んだ後からしっかりと眠るまでは平均で30分以上の時間を要します。
新生児だけではなく、スタミナが切れる前なのに、一瞬スタミナ切れに見えてしまうのが、おっぱいを飲み終えた10分後くらいの頃なんですな。
どう見ても、眠ったとしか見えないのですが、下に降ろすとすぐにむずがって泣き出します。
これは、大昔の記事で、「必殺!狸寝入りの見分け方」という記事的にいうと、まさに「たぬき」の時なんですな。
敢えて、おっぱいの後、30分くらい抱っこしていると、眠りが深くなってきます。

しかし、この30分間が長く感じられるし、確かにずっと抱っこでは腕もだるくなるし、赤ちゃんに拘束されているような気持ちになったり、家事が捗らないのでついついイライラしたり・・・という気持ちはわかります。

そういう場合は頸の据わっていない時期はスリングが大車輪の活躍をしてくれます。
宝の持ち腐れになっていませんか?
また、頸が据わった後ならば、哺乳後30分経過すれば、後ろでおんぶするのがベストです。
旦那さんが早く帰って来てくれた時や、お休みの日は旦那さんを抱っこ係に任命しましょう。
お座りの出来る赤ちゃんはお天気が良ければ、ヘルメット被って自転車でお散歩すると、風を切る感覚が爽快なので嵌る子が多いです。(ベビーカーよりも喜びます。)
こういうことも、旦那さんにしてもらったら、家事は捗ります。(旦那さんが役に立たない場合や、不在がちなどで頼みようがない場合はジイジやバアバなどに頼んでみましょう。)

1時間毎のおっぱい。飲めていないのかな?

一般的に乳児期(=生後1歳までの赤ちゃん)のうち新生児期(=生後28日目までの赤ちゃん)の体重増加度が一番大きいと言われます。
生まれて間もない時期~退院後1週間くらいの間は、おっぱいが足りているという実感が湧きにくい時期でもあります。

その理由を紐解くと、

①授乳間隔が1時間毎程度である。
②深夜帯はなかなか眠ってくれない。
③飲ませても飲ませても泣いてばかりいる。・・・という訴えに集約されます。

まず、①ですが、赤ちゃんの胃袋の体積の記事、この間書いたばかりですから、みなさん覚えてくれていますよね?
しかも、おっぱいの消化時間は粉ミルクの半分強ですから、おなかが空きやすいということも知っておられますよね?
さらに、赤ちゃんは長く眠ってくれることが期待できそうな状況の前はしつこいくらい飲みまくりますね。

次に②ですが、深夜帯は血中プロラクチン濃度が昼間の2倍くらい分泌し、起きて飲むことは成長していく上で不可欠。
要は飲んだらグズグズが短く、すんなりと眠りに入ってくれたら困らないわけで、そのためには夕方からはがっつり飲ませて寝かせようというのは止めておくことが肝心ですね。
22時くらいまでは、寝かさないのがコツです。

そして③ですが、成長のスパートがかかる時や何かが出来るようになる前はやたらと欲しがり、またそれに合わせて飲ませることで、おっぱいの分泌量がバージョンアップするための合理的な手段だということですね。

産後はお母さん自身が大きな渦に巻き込まれたような感覚で、赤ちゃんのことが制御不能に思えるかもしれませんが、傾向と対策さえ把握して対処すれば、母乳不足でないことは明白でしょうし、過ごしやすくなりますよ。

2009年6月27日 (土)

赤ちゃんを連れてのお出かけ(出生~離乳食開始以前)

私が次男を出産した頃は、生後30日くらいの赤ちゃんを連れての外出なんて1ヶ月健診でもなければ、許されざる雰囲気でした。
丁度次男が生後35日目だった日に、いつも通りに長男をスイミングのレッスンに参加させるために次男を伴い車でスクールまで行ったら、見知らぬご婦人から「まぁ、こんな小さな子を早くから連れ回すなんて、今時のお母さんは・・・」と呆れられたものです。
赤ちゃんを連れての外出というだけで、叱り付けられたことだってあります。
「赤ちゃんはお家に居て当然。連れて外出なんてもっての外。」ってことですか。
すごく理不尽な想いをしたことを今でも覚えています。

だけど、生活していくには買い物だって、上の子の通園や習い事の送迎だって、銀行の窓口にだって、行かねばならないことはあります。
用事のある度に旦那に休暇を取ってもらうことなど出来ませんからね。
お節介なご婦人たちは、一体、赤ちゃんのお母さんにどうせよと言うのでしょうか。

自宅に祖父母を呼んで、見てもらうパターンはかなりあるかもしれませんが、「泣いていないかな。」と、気になって仕方がないものです。
お母さんの希望や都合に合わせて貰えるとは限らないし。(特に義父母)

そんな想いをするくらいなら、いっそのこと、「赤ちゃんを誰かに預ける。」ということを想定外にしちゃえばいいのではありませんか。

誰に何と言われようと、「赤ちゃん一人を自宅に放置して出かける。」わけにはいかないのですから、陰口叩かれても、一緒の方がいいはずです。

気をつけるのは『交通安全』と『人混み』です。
外出先でのおっぱいだって、授乳服とスリングか大判のストールがあれば、人目を気にせずに授乳出来ます。
予めリサーチしておけば、”授乳場所がなくて右往左往すること”もないでしょう。

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育児休暇明けで保育園入園する場合のおっぱいは?

仕事を持つお母さんで、育児休暇を取得されるとして、いつから保育園にお世話になるか・・・という問題があります。
3歳未満児の保育枠はプラチナチケット並みですから、4月から預かってもらうしかない場合が殆んどでしょうか。
(途中入所は至難の業ですからねぇ。)
ただ、最近ちらほら耳にするのは、「1年は育児休暇が取得できるし、明けにはお母さんは職場復帰して、その次の4月には入園できるように手配をして、それまで(=育児休暇明け~保育園入園まで)は祖父母にみてもらう。」というパターンです。

このパターンですと、かなり余裕があります。
預かってもらっているのが、ほぼ1歳以降ですから、普段小食なお子さんであっても、お母さんが不在ならば、飲み物はお茶で御飯もそれなりに食べます。
お母さんと一緒にいる時間はおっぱいを飲みます。
待てるようになってくるのです。
預かってもらっている間はミルクは与えてもらわなくても結構です。
お母さんは仕事の合間に圧抜きや搾乳をして、トラブルにならないようにだけ気をつけたらいいのですね。
(圧抜きや搾乳については過去の記事を参照してくださいね。)

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乳首が痛くなるほどの吸啜

生まれたての赤ちゃんがカンガルーケアの最中~産褥早期の間に、お母さんの乳首が痛くなるくらいの吸啜をすることがあります。
”赤ちゃんのチカラ強さ”を感じ、”お母さんになったんだ”という実感が湧き上がってきます。
普段痛がり屋さんであっても、最初のうちは、「ナンのこれしき。」と頑張ってしまいがちです。
しかし、それは良くないのです。

赤ちゃんは上手におっぱいを吸啜している時は、確かに”チカラ強い”のです。
グイグイ奥に引っ張られるような感覚を乳首に受けます。
でも、痛いということは、浅飲みしているということ。
吸啜している赤ちゃんのお口を乳首から外した瞬間、乳首がへしゃげていたら(=歪んだり、潰れていたら)それは、「なっちゃいない吸啜」なんですな。
妊娠中にお手入れ頑張っていたのに、乳頭損傷(発赤、水泡、血泡、亀裂など)が起きていればまず間違いありません。

痛いのを我慢して耐え抜いても、「時間ばかりかかる。」「傷はドンドン酷くなる。」「なのに一向に哺乳量として増えてこず、試しに哺乳量測定しても0~ヒトケタgにとどまる。」「搾乳の方が直母よりも多い。」というチェック項目に該当したら、哺乳には不適切な吸啜です。

そういう場合は助産師に授乳の様子を見て貰い、必要であれば介助して貰って、赤ちゃんが正しく吸啜出来るように転換していきましょう。

2009年6月26日 (金)

その日最後のおっぱいの前に延々とギャン泣きする赤ちゃん(涙)

思うに、お母さんにとって、自分の赤ちゃんを”手強い”と感じるのは、どんな時でしょうか。
自分の過去を振り返ってみると、その日の最後のおっぱいの前に延々とギャン泣きしたり、なかなか寝付いてくれない時でした。
ギャン泣きの声は凄まじく、今風に表現すると、「ご近所さんから虐待を疑われ、児童相談所に通報されるんぢゃないかという勢い。」で毎晩のように泣くのでした。
私の場合、毎日ほぼ同じ時間帯に泣き始め、寝付くまでギャン泣きしつつのおっぱいでしたから、寝ぐずりだということは、おおよそ分かっていました。
それでも、とても辛かったです。
毎晩私が泣きたいくらいでした。

旦那からは何度も、「うるさいから泣かすな。」という暴言を吐かれました。
かといって旦那があやしても不慣れなので、火に油を注ぐ結果となり、かえって逆効果だったのは言わずもがなでございます。

この泣き止まないという状態、お母さんの立場からすると、非常に苦しいです。
わが子一人泣き止ませることが出来ない自分って情けなくなるし、私のように旦那から暴言を吐かれると余計に凹みます。
早く泣き止ませなくてはという焦りや赤ちゃんにイラつく自分に腹が立ったり、もしかして病気だったらどうしようという心配やこの子は母親である自分を嫌っているのかとさえ思いつめてしまう方もおられます。

でもね、どんな赤ちゃんでも1日のうち多分1~2回は、わけの分からない泣き方をするものなんです。
周囲の空気を読み過ぎ、漠然とした不安感で泣いてしまうことだってあります。
泣いたらお母さんに構ってもらえますから、安心して泣けるのかもしれません。
決してお母さんが泣かせているのではないです。
赤ちゃんは自己都合で泣いているのですね。
だから自分を責めないでね。

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おっぱいとお薬/その11 『マグミット』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その11『マグミット®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

マグミットってお薬使ったことはありませんか。
このお薬は胃酸を中和して胃粘膜を保護し、胃・十二指腸潰瘍や胃炎及び胃酸過多などの消化管異常の症状の改善を図ります。

その他、処方頻度としては少ないですが、尿管結石の発生を予防するはたらきもあるそうです。(これは私も最近まで知りませんでした。)

でも、一番メインで処方されるとしたら、便を柔らかくして出やすくするためにでしょうか。
過去の記事で何度も書いていますが、カラダ特に下半身を温かくしたり、胃腸の調子を整えることはトラブルの早期解決とおっぱい分泌には、大きく関与しています。
便秘は良くないです。
産後間もない時期ですと、鬱積とうっ滞が一緒くたになって、飲ませてもラクにならない時期が長期化します。
マグミットを内服しても赤ちゃんに差し支えありません。

新生児のうんちは、黄色い水出、ヨーグルト系のにおいがします。
「黄色い水っぽいうんち」が出てたら、普通ですから問題ありません。

 

 

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2009年6月25日 (木)

出生間もなくから、乳糖不耐症なの?

過去の記事で、「乳糖不耐症」について書きましたが、最近、私が知り得る限り最小日齢の赤ちゃんに遭遇しました。
ナンと、日齢8です。(=生後8日目ってことです。)

若い。若すぎる。
それが発覚してのは、入院中おっぱいが上手く飲めず、搾乳中心で体重増加を図っていたTさんの赤ちゃんとの出会いでした。
搾乳が延々続くのは大変ですし、かといってミルクを補足する必要はないのに、搾乳が大変だからという理由で混合栄養にするのも忍びないし、してほしくないし。
「何とか、直母をしていけないものか。」ということで、★病院の母乳外来に退院後2日目に来院していただいたことから発覚しました。

退院後お母さんは乳頭保護器を使用した直母を12回/日の他に、搾乳5回(135ml)/日をしておられました。
来院時の直母1回量も2クールで44g。
入院中は10gあるかどうかだったので、格段の進歩です。
おしっこの回数も8回/日。うんちの回数が11回/日も出ていました。

なのに・・・-20g/日のペースで減少しています。
気になったのは、「昨夜から、うんちが出すぎのようです。」というお母さんの言葉と、来院前に交換したオムツにもうんちが出ていたのに、来院時(その15分後)には大量うんちが出ていること。
しかも、哺乳最中にブリブリ出るし、哺乳後オムツ交換して5分後にまたもうんちが出ました。
1時間半足らずに4回も出ています。
しかも、オムツからはみ出しそうな勢いというか量がハンパなく多い。
そして、体重が減っている。
飲めている筈なのに・・・

で、「もしや。」と思ったのです。
小児科外来に事情を説明し、診察が受けられるよう手配しました。
うんちの付いたオムツを小児科外来に持参し、検体採取してもらいました。
小児科ドクターへお手紙を書いて、Tさんに小児科受診の必要性を説明しました。

そして・・・便クリニテストの結果は2+でした。
やっぱり。
速攻、「ミルラクト」の処方がされました。
そして翌日。
体重は前日より26g増加。
うんちは深夜から9時間も出ていないとのこと。
こんなに早く検査結果が良くなるとは思えないけど・・・
念のためということで、小児科のドクターが9日目も検査の指示を出されていました。私が検体を採取しなくてはならず、Tさんの赤ちゃんに肛門刺激して採取しました。
結果は3+でした。
う~ん。
+に出ていても体重が増加すればいいのでしょうが、増え方が不安定なことが想定されます。
当然、内服は続行に決定のようでした。

立て抱きしか出来ないのに、急に立て抱きを嫌がる!

早産児や低出生体重児で、元々吸着自体が不器用で、やっとこさで保護器を使って直母が出来る段階の赤ちゃんには立て抱きが効果的です。

ところが、立て抱きで保護器直母していて(或いは保護器無しで直母していて)ある日突然に身を捩ったり、手足をバタつかせて拒否ることがあります。
お母さんにしてみたら、「すわ、哺乳ストライキか。」と、恐怖のどん底かもしれません。

でも、そんな大層なものぢゃないことだってあるのです。
お母さんの太腿から乳頭までの高さと赤ちゃんの座高が合わなくなったということが多いのです。
ソファに座って授乳する時、足を前方に伸ばします。
そうしたら、太腿から乳頭の高さが伸びるでしょ。
あと、赤ちゃんの後頸部の支えに力が入り過ぎて痛い時。
「さすまた」で支えるようにしてみましょう。
太腿の位置が高過ぎてると、赤ちゃんは背中を丸くするにも反らすにも、苦しくなるのですね。
注意してください。

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助産院で出産されたお母さんとの出会い

いいお産がしたいという強い意思を持ち、助産院で出産された10ヶ月児のお母さんがひょんなことから★病院の母乳外来を受診されました。
「おっぱいトラブルなら、かかりつけの助産院に行かれたら良いのに、何でだろう。」と思いながら私はドアを開けました。

そのKさんというお母さんは「乳輪がかぶれて、汁が出てきてるんです。」とのこと。
「そんなんだったら、産婦人科外来を受診すればいいのに・・・」と思いました。

患部を診せてもらうと、何箇所か噛み傷があります。
浸出液が母乳パッドに付着しています。
潰瘍化しているトコロがあります。
「何だろう。何かに感染しているような・・・」という印象を受けました。

「10日前に子供が口唇ヘルペスになって、小児科でアラセナ軟膏を貰ったんです。」
とKさん。
「あぁ、これってヘルペスなのかなぁ。Kさんの口角にもヘルペスの痕があるし・・・」と思い、
「だったら、皮膚科か産婦人科に受診され、早く治したほうがいいですよ。」と言いました。
そしたら、Kさんは「私、今更おっぱいを止めたくないんです。そりゃ今まで乳腺炎になったり、子供の離乳食が進まないことや、アレルギーのこととか、心配なことは色々ありました。でも、お薬を使うと・・・」と、とても悲しそうな表情で一気に喋られました。
私は「お薬を使ったら、おっぱいは飲ませられないと思っておられるのですね。それが心配で、何処にも受診出来ずにおられたのですね。でも、痛くて痒くてどうにもならなくて、思い切ってここに来られたのですね。」と尋ねました。

そこから1時間以上(Kさんは最終枠なので、時間に余裕がある。)かけてお話を伺い、アドバイスしました。
最後にKさんはとても晴れやかなお顔になられました。

思うに、助産院といえばほぼ例外なく母乳育児に熱心ではありますが、エビデンスに基づいた詳しい説明をしておられないトコロもあるのかなぁと感じました。
★病院の母乳外来やこの《最強母乳外来》の読者さんならば、「知ってるよ♪」ということを、殆んどご存知ないことがお話を通して分かったからです。

最後に産婦人科外来で、乳輪の病変の診断をしてもらい、処方をしていただけるよう、ドクターに連絡しました。

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2009年6月24日 (水)

産後9か月にして血乳が!

出勤するなり深夜勤務の助産師から、「R市から里帰り出産されてたKさんから電話があって、おっぱいが痛くてどうにもならない。近くの国立病院系の母乳外来は今日は休診らしく、診て貰えない。受け入れてくれますかという電話がありました。でも、午前中の規定予約枠はいっぱいです。」とのこと。

そうこうしていると、Kさんから電話があり、「今、高速で実家に帰って来ました。いつ診て貰えますか。」とのこと。
止むを得ないので、イレギュラーな時間に対応することになりました。

早速マッサージを始めました。
しこりはあるけど、一見触診的には酷くはなさそうです。
でも、異様な熱感があるので検温すると、患側だと39℃を超えています。
患部を押さえると痛みがキツクなります。
もしかして・・・
マッサージを始めると、黄色のマッサージ用タオルに薄茶色の乳汁がシミのように付きました。
白色の紙ガーゼに薄茶色に見えていた乳汁を吸い取らせると、何と赤味がかったピンク色ではありませんか。
丁度、イチジクの果肉の真ん中の色に近い色なんです。
おっぱいに血液が混入しているのですね。
そう、俗にいうところの「血乳」です。

もちろん、外傷性でないことは言うまでもありません。
今回の場合は、炎症症状に陥ったことに伴い、乳管が拡張して毛細血管から血液が漏出したのです。
約1時間マッサージをして、ようやく乳汁色はノーマルとなりました。

因みにKさんの授乳パターンは5回/日で、離乳食は2回/日。
ここのところ、21時がその日最後のおっぱいで、ノンストップで眠り続け、翌朝6時起床もすぐには飲まず、7時過ぎてから飲ませるとか。(授乳間隔空け過ぎ)

しかも、昨夜のお食事がコロッケ4個(油もの)、胡瓜の漬物3本(夏野菜・・・カラダが冷える)、お茶代わりにコーラを飲み(糖分の取り過ぎ)、ご飯を食べたそうです。

お食事でトドメを刺してしまいましたね。
今までトラブルにならなかったのが不思議というか、運が良かったというか。
実母さんも一緒に来院されたので、授乳の基本をお話しました。
あああ・・・

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夜だけおっぱいを欲しがる1歳児

昼間は御飯も良く食べて、おっぱいを欲しがらず、昼寝もおっぱいを飲まずに出来るのに、夜中は毎時間おっぱいをほしがることがあります。
そのペースで構わなければいいのですが、それでは困るなら、昼間誘って飲ませてあげましょう。
夜中のおっぱいが減ってくるはずです。

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重湯を飲んでくれない!

離乳食の開始時は何となく重湯からということが多いかと思います。
ですが、赤ちゃんはお母さんの乳頭・乳輪を歯茎でしごいて、舌を巻きつけておっぱいを飲みます。
ということは、その程度の硬さの食べ物は受け入れ可能ということですから、必ずしも重湯に拘らなくてもいいのではないかと考えられます。
美味しいおっぱいが欲しいだけ出てくるならば、離乳食にそっぽを向いていても異常ではないのです。

食べさせ方のテクニックは過去の記事を参考にしてほしいので、ここでは割愛しますが、たまに滑らかなものでないと口にしてくれない赤ちゃんもおられます。
そういう赤ちゃんにはやはり重湯を・・・ということになりますが、白米で作った重湯が苦手な赤ちゃんでしたら、玄米で作った重湯ならば食べる確率が高いのでお試しください。
簡単な調理法を書きますね。
《玄米の重湯》
①玄米は軽く洗い、油を引かずにフライパンで中火で10分間くらい炒ります。
②狐色になったら、玄米の6~7倍の水を加えて、とろ火で玄米粥を炊きます。
③これを裏ごしして、さらに粥の量の2~3倍の水で薄めてから2時間くらい炊きます。
・・・おっぱいの後にあげてください。

2009年6月23日 (火)

おっぱいが出すぎて困る!(過分泌)

病産院によっては、”乳腺炎の予防”と称して、直母の後、毎回「乳房がカラになるまで搾りましょう。」と、指導されます。
おっぱいのコンディションは十人十色なのに、個別性全く無視で、十把一からげに半強制的にさせられるようです。
「おっぱいが出過ぎて困ります!」という訴えの裏側には、不必要な搾乳が潜んでいることが多いです。

でも、考えてもみてください。
乳房がカラになることって、あるのでしょうか。
滲みもしないくらい、徹底的に搾ろうと思ったら、1時間以上かかります。
そんなことを毎回していたら、カラダを休める時間がなきなってしまいます。
とは言うものの、1時間以上搾ればホントにカラになるのかって言えばそれは違うのですね。
だいたい、乳房がスケルトンというか、皮膚が透明だったら、肉眼的に確認出来ますから、はっきりと分かりますが、人類の乳房は生憎違いますから、確認不可能なんですね。

おっぱいはお母さんの血液から造られます。
本来搾って捨てるものではありません。
「それでも、乳房がお化けみたいにパンパンニンになって、搾らずにはおられない。」ならば赤ちゃんに飲ませてあげてください。

分泌を抑制するマッサージというのもありますが、出来ないと言われるかもしれません。
自分なりにコントロールするならば、『ジャガイモ湿布』『甘いもの、アブラものを控えて』『水分はノンカロリーのもの1000ml/日以下に限定』『肉・魚は摂取カロリーの10%くらいにとどめる』のは必須です。
本来乳房を冷やすのは良くないのですが、状況にもよります。
冷罨法が気持ちよければ、少しは冷やしても結構です。

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妊娠中の食生活で、羊水のにおいは変化する!

赤ちゃんは、お母さんが妊娠中好んで食べたり飲んだりした食品・飲料については、子宮内で、羊水を通してそのにおいや味を体験しているので、記憶として残っているそうです。
お母さんのにおいや味として、馴染みがあって、好きになるのですね。

カンガルーケアをする時に、羊水を塗った乳頭・乳房と、石鹸で洗ってしまった乳頭・乳房の比較対照実験をしたら、赤ちゃんは羊水のにおいのする方のおっぱいに近づくことが分かっています。

そこで注意したいのは、妊娠中と産後に、お母さんの食生活を極端に変化させると、赤ちゃんがおっぱいを飲むのをむずがったり嫌がったりすることがあるということです。

特に、日本人には馴染みにくい大量の香辛料はおっぱいのにおいや味を変化させますから、飲まなくなる傾向が大です。

特に赤ちゃんのおっぱいの飲み方に変化がなければいいのですが、「おやおや、どうしたのかなぁ。」という変化が感じられたら、お食事大丈夫だったかなって見直してくださいね。

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授乳中に摂取しない方がいいハーブ「セージ」

最近はハーブを使ったお料理を作られるお母さんは少なくないでしょう。
食欲を増進させたり、食材の臭みを消したり、ハーブを上手に使うと食生活が豊かになりそうですね。

ただし、「セージ」の大量摂取は良くないってご存知でしたか。
その理由は、「おっぱいの分泌を低下させる。」からです。
あっ、パラパラと振り掛けるくらいはいいのですよ。
「セージ」をばっかり&どっさりで使用するのは避けた方がいいということです。

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2009年6月22日 (月)

赤ちゃんが美味しいと感じる適温とは?

赤ちゃんは猫舌ですから、熱いものは食べられません。
今はシーズン外ですが、鍋料理やグラタンなどは、そのまま食べさせてはなりません。
赤ちゃんはレモンを舐めた時よりも大きなリアクションになります。

実は暫く前なのですが、家庭用ポット96℃で調乳したミルクを、赤ちゃんのお姉ちゃんが冷まさないうちにお手伝いとして飲ませて、口腔内が酷い熱傷になった事例がありました。(退院後間もなくの頃でした。
赤ちゃんは哺乳瓶が近づいてきただけで号泣します。
きっと、トラウマなんでしょうね。
この赤ちゃんは哺乳ストライキが1週間以上続きました。

かといって、「今日は蒸し暑いから、冷(ひや)にしましょうか。」
な~んて会話は成り立ちません。
直母はそのままで良いのですが、冷蔵した搾乳をあげる時は湯煎してくださいね。

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気をつけてね★サカザキ菌は、日本国内にも居ますから。

昨秋話題になりましたが、もしかしてご存知ない方がいらっしゃるかもしれないので、記事にします。
エンテロバクター・サカザキ菌という細菌は、日本では死亡例などの恐ろしい症例は出ていませんが、国内でも粉ミルク製品の7%はサカザキ菌混入の危険性があるとか。
かつ、現段階では、粉ミルクを無菌化することは難しいようです。

そういえば、厚生労働省も『粉ミルクの調乳温度を従来の50℃から、サカザキ菌が死滅する、70℃に湯温を高くするようにとの、通達を出してます。
ということは、従来から市販されている調乳ポットは確か50℃だったから、使わないほうが安全なのかなぁ。
70℃ってかなり熱いです。熱傷に注意ですね。
そのまま飲ませたら赤ちゃんは確実に口腔内熱傷となります。冷ます手間がかかりますが安全第一ですから、混合栄養の赤ちゃんのお母さんは気をつけてね。

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2009年6月21日 (日)

乳房に赤い湿疹が出来て痒い!

妊娠前から皮膚がデリケートなお母さんで、産後は漏乳(・・・「ろうにゅう」と読みます。)がある場合、瞬く間に乳房に赤い湿疹がバラバラと出ることがあります。
漏乳があると、すぐにパジャマや洋服がビショビショになりますから、漏乳による汚れを予防するのに、大抵は母乳パッドを当てます。
通常レベルの漏乳ならば、母乳パッドを3回/日も交換すれば、こと足りるのですが、甚だしく多い方になると、おっぱいの度に頻回に交換しないと、蒸れてかぶれてしまいます。

これが赤い湿疹の正体です。
しかもこれが痒いのですね。
こういう場合はまず産婦人科受診して、痒みや湿疹を治すお薬を処方してもらいますが、毎回おっぱいの後は、お湯で搾ったタオルで肌に付着したおっぱいを拭きとります。
それから、お薬を塗ってください。
また、暫く軽快するまでは、ハンドタオルを折ったものなど、通気性の良い素材で、漏乳をキャッチしてください。
母乳パッドを使用されるなら、必ずおっぱいの度にというように、こまめに交換してくださいね。

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低栄養による、体重増加不良の赤ちゃん

先に『体重増加がゆっくりな赤ちゃん』の記事を書きましたが「では、ホントにおっぱいが足りなくてミルクの補足を検討しなければならないとしたら、どのような条件が考えられるのか?」というギモンが出てくるかと思われますので、それについて書きますね。
まず、月齢相当の体重増加よりも極端に体重増加が少ないか、甚だしいと体重減少し、その理由が赤ちゃんの病気であるとは考えられない場合。(あらゆる検査をしてみたが、病気ではないことが判明した)
もちろん、『おっぱいの分泌にはなんら問題はないが、飲み方が下手っぴだったり、眠ってばかりで直母回数が少ない。』ならば、まず、その改善を図ればいいのですから、勘違いしないでくださいね。
そうそう、それから『キョロちゃん』(←懐かしいね。)であるならば、おっぱいが落ち着いて飲める環境つくりの取り組むことが不可欠ですが。

①ぼ~っとしていて、反応が鈍い。または常にギャン泣きをしている。
②筋緊張に欠け、だらりとしている。
③おしっこの回数が少ない。6回未満/日である。
④しかも、そのおしっこがかなりの濃縮尿(色がこゆくて、量がちょっぴり。)
⑤うんちの回数が少なくて、たまにしか出ない割に出てくる量が少ない(もしくは量が減った)
(⑥おっぱいの回数が8回/日未満または8回/日はあっても、片方1回とか、短い時間でのワンクール程度で終わってしまう。)
⑦片方を飲ませていても、反対側にチャージされた感じがしない。
⑧早産児でもないのに、月齢相当の運動機能の発達が大幅におくれている。
⑨頭囲すら増えなくなった。(いきなり、パーセンタイルグラフの下限を割り込んできたら要注意・・・そうではなく元々小さくて割り込んでいたが、グラフのラインに添って大きくなっているなら大丈夫です。読み違えないでくださいね。)

私は基本的に体重計をリース・購入して哺乳量はかるのは、神経質になるから、お勧めしません。
けれど、どうしてもミルクを補足することに納得出来ないならば、思い切って1週間くらいリースして、24時間毎回欠かさず計りまくってデータ化して、それまでとの体重増加度との対比をしてみたり、”どういうのみ方ならどのくらい飲めるのか”とか”時間帯や間隔で哺乳量は異なるのか”をチェックするのは決して悪くはないと思います。
「ウチの赤ちゃんの傾向」というのが見えてきますから。

新生児の胃の容積ってどれくらいかな?

日令により変化します。
段々と大きくはなりますが、体重3000gくらいの赤ちゃんですと、日令0~1ならば、おおむね5(~6)mlなんです。

「えっ、ええ~マジでぇ~。」というプチサイズでございます。
普通サイズのビー玉か料理用のスプーン小さじ1杯くらいってことなんです。
(ちなみに成人の胃の容積はおおむね900ml前後だそうです。)
日令3で、22(~24)mlくらい、日令7で60(~66)ml程度です。
本人の意思とは無関係に、病産院の都合で胃の容積を越えた量を毎回飲まされている新生児って、可哀相ではありませんか。

母子異室の病産院ですと、未だに「初回授乳は直母の他に5%ブドウ糖液を10ml投与」とか「日令毎の1回哺乳量は日令プラス1×10ml」とか、ごっつい設定のトコロがあると聞きます。(ってことは、日令3ならば、40ml/回の哺乳を毎回させねばならないってことですな。では、飲めなかったらどうなるのですか・・・。)

日令3ならば、まだ生理的体重減少があってもおかしくはない頃です。
故・山内逸郎先生の仰るところの「お弁当と水筒」を飲みかつ食べている時期です。
この日令の赤ちゃんのお母さんで、毎回コンスタントに40mlのおっぱいが出る方を探してもまずもっておられません。
だいたい、出たとしても赤ちゃんが飲んでくれるとは限らないですよね。
哺乳瓶ならラクなので飲めちゃうかもしれませんが、直母でそれはないですな。
赤ちゃんは哺乳マシーンぢゃないんですから。

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おっぱいとお薬/その10『抗甲状腺薬』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その10『抗甲状腺薬』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

抗甲状腺薬といっても、様々なお薬があります。
持病のある方は妊娠中から主治医の先生に聞いておられるかと思いますが、産後に甲状腺機能に異常をきたすお母さんもおられますから、「もしか・・・」に備えてこの記事、読んでくださいね。

抗甲状腺先約薬といっても様々ですが、恐らく最も安全なたぐいになるのが、薬剤名
で言えば「チウラジール」と「プロパジール」です。
どのように安全なのかと言いますと、これらのお薬の75%はお母さんの血漿タンパクにくっついてしまいます。
これはどういう意味かと説明しますと、通常おっぱいに分泌されるお薬の濃度は内服mgの1%程度なのですが、さらに低レベルの濃度になることを意味します。
もっと言わせてもらうと、病状により、小児科のドクターが赤ちゃんにでも抗甲状腺薬を処方しなくてはいけないことがありますが、赤ちゃんに処方される量の1%未満の微量しか、おっぱいには出てこないのです。

この他抗甲状腺薬には薬剤名「メルカゾール」というものがあります。
一昔前は「4日に1日はミルクにしてください。」などと、変則的な指示がだされたことがあるお薬ですが、最近では、おおぜいのお母さんがこのお薬を内服しながら母乳育児を継続しているそうです。

ただ、「どちらがより安全なのか?」ということで、選択の余地があるのならば、「チウラジール」か「プロパジール」の方が安全であるとのことです。
知識として持っておいてくださってソンはないと思います。
悩んでいる妊婦のお友達がおられたら、この記事を紹介してあげてくださいね。

 

 

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2009年6月20日 (土)

ゆっくり体重が増える赤ちゃんと体重増加不良の赤ちゃんの違いとは?

赤ちゃんの体重増加が月齢相当よりも少ないと、「おっぱいの分泌自体が足りない。」と、思い込んでいらっしゃる小児科のドクターは日本全国、至るトコロにいらっしゃいますが、大抵は「赤ちゃんが上手く飲めない/体力的に哺乳しきれない。」ということの方が多いのです。
また、赤ちゃんに何らかの病気があれば、教科書通りに哺乳(それこそ、完ミにするか、毎回体重計で哺乳量をきっかり測って、指示された量を飲ませても)予測(期待?)したほどには増えてくれないものです。

ゆっくり増えるというのはどういうことを指すのかといいますと(順不同)
1.「カラダの動きが活発」・・・仰向けに寝かせていても、起きていればエアロビクスをやってるみたいに動いている。
2.「筋肉に緊張感がある」・・・例えば抱っこされるにも、7ヶ月くらいになれば、だらりとした抱き心地でなく、抱っこちゃんのように腕と脚の力でピタッと吸い付くようになるので抱きやすくなります。
3.「おしっこの回数が6回/日以上ある」・・・オムツ交換をズボラしていたら、見かけ上、少なくなりますが。(汗)
4.おっぱいの回数は8回/日はあげている。
5.正味、真面目におっぱいを飲んでいる時間は15~20分くらい。・・・眠たい時は、休みながら、クチュクチュしてるので、若干長くなる。
6.片方のおっぱいを飲ませていたら、反対側の、チャージされた感じがする。・・・漏れてこなくてもいいです。
7.病気(例えば溶連菌感染とかアデノウイルス感染とか)をしない限り、体重は減ることはなく、少ずつでも曲がりなりにも増えている。
8.運動機能の発達は月齢相当かそれ以上のペースである。
9.頭囲の大きさは順調に増えている。

・・・という項目に一致したら、それは『家族性』とか『遺伝性』の条件が影響している可能性が大きいということです。
万一、低栄養状態であれば、体重⇒身長⇒頭囲の順に伸びが悪くなってきます。

それから、体重の増え方は右肩上がりではありますが、パーセンタイルグラフの曲線に沿っていればグラフの下であってもおかしくはないですし、階段状に増えていくパターンもありです。
因みに
私の長男はゼロ歳時代は三次関数のグラフのような増え方でした。(笑)

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おっぱいとお薬/その9『葛根湯』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その9『葛根湯®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

葛根湯・・・●●あおいちゃんがCMに出ていましたから、風邪薬ってことは、みなさんご存知ですよね。
妊婦さんでも赤ちゃんのお母さんで授乳中の方でも風j邪をひいた時に安全に内服できるお薬ですね。
で、この、葛根湯ですが、うっ滞性乳腺炎の際、安全性が高く、著明な効果があるのをご存知でしたか。
そうなんです。意外でしょう。
知らない方もおられると思います。
薬剤師さんや助産師や乳腺炎になって、処方を受けたお母さんでなければ・・・当然ですね。

まぁ、それは置いといて。風邪の話に戻りますが、お母さんが風邪をひくと、赤ちゃんも鼻水が出たり・・・と風邪の初期症状がみられることが、多いです。
小児科を受診するほどでもないけど・・・の場合、お母さんが葛根湯を内服することで、葛根湯の薬効成分がおっぱいに分泌されます。
つまり、赤ちゃんにお薬を飲ませなくても、ウイルスの抗体だけではなく、お薬入りのおっぱいが出てきてくれるということなんですね。
一石二鳥だと思いませんか。

このお話は2年前の母乳育児シンポジウム(富山)で教育講演をされた富山医科薬科大学の先生が講演された中で聞いたことです。
確かな情報ですので、みなさんにお知らせしますね。

 

 

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反復性乳腺炎(涙)

O式のセンセイはお食事と3時間授乳について、かなり厳格な指導をなさいます。
もちろん、それは乳腺炎の治療の一環ですし、乳腺炎の予防の大きな柱でもあります。
しかし・・・乳腺炎を繰り返し、悩んでおられるお母さんはおられるわけで。
赤ちゃんの哺乳稚拙(つぶし飲み・ゆがめ飲みなど)や乳管及び開口部が細いこと、ポジショニングの偏りなど、トラブルの誘因となるものは他にもありますね。

出来うる限りのことをしていても、乳腺炎を繰り返すとおっぱいをあげることが、辛くなることもあります。
こういう事態に陥るにあたり、細菌感染によることが想定されることがあります。
安易な使用は避けるべきですが、抗生剤を内服することや薬剤感受性を調べることも必要になることがあります。(乳汁と赤ちゃんの鼻腔培養)
また、当り前過ぎて見過ごされがちですが、授乳前の手洗いは念いりにしてくださいね。(乳頭・乳輪の消毒は不要ですが。)

乳輪が浮腫んで痛くて飲ませられない!

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「乳輪が浮腫んで痛くて飲ませられない!(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

産後間もなくのうちで、乳房鬱積がキツい段階で、直母が軌道に乗っていない時期、乳輪が浮腫んで、痛い時があります。

この時にしない方がいいのは、乳頭保護器の使用です。
確かに量的には飲めるのですが、浮腫みが余計に酷くなるからです。
多少の痛みはありますが、毎回おっぱいの前に先搾りして、乳輪の浮腫みを取り除いてから直母しましょう。
長いと丸3日間くらい、この状態は続きます。
地道に先搾りをするしかないのですが、SOLANINの勤務先では、暫く前から、産婦人科のドクターにお願いして、『柴令湯(=さいれいとう)』という漢方薬を処方してもらいます。
医療者ならばご存知でしょうが、このお薬は浮腫(=むくみ)を改善します。
乳輪という局所ではありますが、効果はあります。

但し、処方に際しては、MAXで3包/分3×1日分としてください。
何故かと言うと、極短期間で効果が著明に顕れるのと、お薬の単価が少しお高い(といっても、150円/包くらいだったかと思いますが・・・)のと、1日間以上連続投与すると、乳房がペシャンコになって、活気が無くなってしまうからです。
(1日間以上連続投与すると、引かなくてもいい水を引いてしまうということです。)

★病院でも、だいたい、1~2包内服した時点で、充分な効果が顕れるので、乳輪のコンディションを細かにチェックしながら、「いつ、中止するか。」ということを決めています。
『柴令湯』の導入、ご検討に値すると、思います。

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2009年6月19日 (金)

乳頭のレイノー現象

おっぱいをあげて、乳頭・乳輪を外した瞬間に乳頭を見ると、乳頭全体が真っ白になり、ズキズキした痛みを感じることがあります。
赤ちゃんの吸い方のクセで、歯茎でしごくのが普通ですが、ガジガジと噛みしだかれると、乳頭への血流が一時的に遮断された時に起こります。

対策としては、少しでも深く吸着させることに尽きます。
不器用な赤ちゃんの場合、トレーニングが必要ですが、この場合も赤ちゃんの体重が4800gを超えると想像以上に上達してきます。

 

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おっぱいの製造工場フル稼働となります!

この前にアップした記事は産後3~8日の間のことを指します。
それでは、産後9日目以降はどうなるのか。
★病院の産婦人科・小児科のドクターや助産師は耳にタコができるくらい、『頻回直母』と言います。
退院診察の際も『おっぱいは1日10回以上。』と明言しています。

おっぱいの製造工場はシャッター全開になります。
24時間フル稼働体制になります。
これは、乳房の外におっぱいを出せば出すほど、生産・出荷がスムーズになり、生産量が増えてくることを意味します。

乳房が張らなくなったとか言ってる場合じゃないんです。
規模は拡張しているから、張らなくなったのです。
枯れることのない泉に変貌したも同然なのです。
張らないことは恐れることではないのですよ。

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おっぱいの製造工場はいよいよ立ち上げ段階です!

赤ちゃんが産まれると、次に胎盤が娩出されます。
胎盤から分泌される2種類のホルモン『エストロゲン』と『プロゲステロン』の血中濃度は急激に低下します。
そして、妊娠中は制御されていた、下垂体前葉から分泌される『プロラクチン』が表舞台に登場するのです。

赤ちゃんが乳頭・乳輪に吸い付くたびに、脊髄神経を介してその刺激が脳に送られます。
それはおっぱい製造工場の生産ラインにスイッチが入り、おっぱいが造られるようになることを意味します。

また、それに伴いおっぱい製造工場は規模を拡大しようとします。
なのに、製造工場のシャッターは殆んど閉まったままで、出荷よりも生産が優先されるような状況になりがちです。
これが、乳房がパンパンに張って痛くなるということに当てはまります。

赤ちゃんに頻回におっぱいを吸わせること(もしくは搾乳すること)で、『プロラクチン』の分泌は高まります。
授乳中(搾乳中)はそうでない時の2倍の血中濃度にまで上昇します。
そうして授乳後(搾乳後)45分で、元のレベルに低下していきます。

気をつけなくてはならないのは、『プロラクチン』は、全く乳頭・乳輪への刺激が無いと、産後2週間で妊娠前の血中濃度まで低下するということです。
これはおっぱい製造工場の閉鎖作業に入ることを意味します。
おっぱいが張るまで赤ちゃんに吸わせないとか、搾らないというのは、『おっぱい造るのや~めた。』と宣言したことになります。
赤ちゃんにおっぱいをあげようとするお母さんのすることじゃないってことです。

量は少なくたっていいんです。
溜まるまで待たなくてもいいんです。
とにかく吸わせるか、搾るか出来るだけのことをやってくださいね。

乳房はおっぱいの製造工場です!

妊娠すると、分かりやすい例えをあげると、出産後おっぱいの製造工場が稼動するように、更地の敷地に地盤改良・基礎・土台・棟上・壁作り・設備の搬入・ライフライン接続工事が始まります。
・・・これは、妊娠4ヶ月末頃になれば、胎盤が出来ますが、この胎盤から分泌される2種類のホルモン『エストロゲン』と『プロゲステロン』によって、おっぱいを造るために必要な乳腺組織(乳管や乳腺房)の発達が始まるということです。
また、この2種類のホルモンは妊娠の継続に欠かせないホルモンでもあります。・・・

早い方は、妊娠5ヶ月に入る頃には初乳が分泌し始めます。
しかし、初乳の分泌はホントに少量です。
なぜなら、胎盤から分泌するホルモンがおっぱいを造るホルモンである『プロラクチン』の分泌を制御しているからです。
妊娠中は赤ちゃんの発育に大きな関与をしているのは胎盤ですからね。
お分かりいただけましたかな。

2009年6月18日 (木)

おっぱいとお薬/その8『ガスター』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その8『ガスター®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

『ガスター』というお薬、CMで見たことありますよね。
俳優のNさんが発売当初からイメージキャラクターをされている、あのお薬です。
H2ブロッカーと呼ばれるお薬の一種です。
胃痛・胃炎・胃潰瘍などに処方されるお薬です。

授乳中にはどうなのか。
実はこのお薬、乳児の胃食道逆流の治療に使用されることがあるのです。
そう、直接赤ちゃんに投与されることがあるということです。
なので、おっぱいをあげているお母さんが内服をされても心配ないものと考えられています。
胃腸の調子が悪いとおっぱいにも影響がありますから、内服が必要になったら少しでも早く治療を開始された方がいいと思います。
というのも、効果が出るまでに4週間以上かかると言われるからです。
症状が悪化すれば内服期間がこれよりも長くなる可能性大ですので、早期治療に努めてください。

 

 

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哺乳ストライキ6

昨年12月に他院で出産されたお母さんのDさんがおよそ5ヶ月振りに★病院の母乳外来を再診されました。
前回は、マタニティーブルーで、殆ど育児放棄状態だった方です。

その後は母乳育児を頑張っておられましたが、身内の方の不幸や、お母さん自身がぎっくり腰、腱鞘炎になられ、現在も治療中とのこと。
旦那さんは帰宅が遅く、そのため赤ちゃんがお父さんに全く懐かず、抱っこもしてもらえないそうです。(抱っこしても号泣するので、結局お母さんが抱っこせざるを得ないのですね。)そのことを、保健センターの4か月健診でドクターに相談したら、「母子密着し過ぎだから、もっと赤ちゃんから離れなさい。」と言われるも、ご実家のおばあちゃんはお仕事をしておられるので、平日は連れていけない。
自分のこれまでの育児全般を全否定されたようで気分が落ち込み、どうにか毎日をやり過ごすので精いっぱいだったそうです。
それだけでも大変なのに、今度は赤ちゃんが尿路感染症になり、2週間近く入院となって、点滴の影響かおっぱいの飲み方が少なくなり乳腺炎になり、やっと治ったかと思ったら、ドクターから『赤ちゃんに心雑音が聞こえるから、退院後時期を見て検査が必要です。』と言われてまたまたショック。
それでも頑張らなくてはと思っていたが、とうとう赤ちゃんが哺乳ストライキになってしまったということでした。この他、うんちの性状、離乳食の勧め方についても相談したいとのことで受診されました。

ひとりで抱えるにはしんどすぎますね。
ここまで問題が山積しては・・・心が折れても仕方ない。
とにかくDさんのお話を聞き、ひとつづつ、どうしていくかを一緒に考えていかねばなりませんでした。
哺乳ストライキは内服薬(セフゾンドライシロップ細粒®という抗生物質)を全く飲み込んでくれないため、搾乳に混ぜて飲ませようとしたら、おっぱいそのものを飲んでくれなくなって焦っているとのことでした。

あ~これやっちゃ、ダメなんですよね。
ミルクだけ飲んでいる赤ちゃんでも、してはいけませんです。
まずは、赤ちゃんに謝って、赤ちゃんが寝ぼけている時におっぱいをあげることからはじめることに決めました。

保健センターでの赤ちゃんの集団健診ってどうなってるの?

集団健診の良さは、同窓会のような雰囲気で、同月齢の赤ちゃんに会えることですね。
お互いに情報交換したり、そこで出会ったお母さんと、サークル活動を始められる方も少なくないようです。
健診の大きな目的は「異常の早期発見をすること」や「成長の現状を認識し、これまでの日々の生活を振り返ってもらうこと」だと思います。

頑張ってるお母さんをねぎらい、不安に耳を傾け、問題解決に向けて一緒に考えること、方向性の提示など、医療者側には必要とされているのではないでしょうか。

しかしながら、ひところほどではありませんが、集団健診ブルーというか、医療者の言動に思いっきり凹まされて帰宅するお母さんが後を絶ちません。
どうなっているんでしょうか。
我が子の成長ぶりを再確認し、喜んで帰宅できるように(もし、不首尾だったとしても、『ここで悪いトコロを見つけてもらって良かった。』とお母さんに実感してもらえるような。)対応してしかるべきなんぢゃないのですかね。

私も集団健診では3人の子供たちがお世話になりましたが、健診アレルギーというか、医療者アレルギー(自分自身が医療者のはしくれですが・・・)というか、とにかく集団健診が大嫌いでした。
ろくでもないことばかりだったからです。
「集団健診事件簿」という本が書けるくらい色々なことがありました。

もしかしたら、この記事、集団健診の保健師さんや、栄養士さんが読んでくださってるかもしれませんから、気を悪くなさるかもしれませんが・・・
きっと、ごく一部の方だと思いますが、指導という名目を隠れ蓑にお母さんを泣かせるようなことをバンバン言う方が日本のあちこちに居るようで許せないんです。
読者のみなさんはいかがですか。
ご自分と赤ちゃんが受けられた集団健診、満足できましたか。
ご意見をお聞かせください。
私も実例をあげていきたいと思います。

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2009年6月17日 (水)

風邪薬を内服したからおっぱいは飲ませられない?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「風邪薬を内服したら、授乳禁止なの?(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事

以前からの読者さんには、「何言ってるの。そんなわけないでしょう。」というようなタイトルで済みません。
でも、昨日★病院の母乳外来に「近くにある内科の先生を受診して、風邪薬の処方を受けたのです。授乳中だと伝えたら『3ヶ月も母乳をあげたのだから、もういいのでは。赤ちゃんのお世話は大変だから、このお薬内服して、早く治すといいですよ。』と、断乳まがいのことを勧められたがどうしたものか・・・」という電話相談があったのでした。
他院で出産されたお母さんではないかと思います。
★病院で出産されたお母さんには、『授乳中は産婦人科を受診すること』が耳にタコが出来るくらい繰り返しアナウンスされるので、こんな質問をぶつけてくること自体ありえないです。

妊娠中に産婦人科以外の科を自己判断で受診して、処方を受けることはまずないですよね。産婦人科だけでは対応しきれない病気だったら、産婦人科のドクターに他科受診依頼書か、紹介状を書いてもらい受診するのが真っ当な運びです。
産後だって、授乳中なんですから、おっぱいのことを念頭に入れて、赤ちゃんに障りのないお薬を処方してもらって当然です。

誤解しないでほしいのは、全ての内科のドクターがどうのこうのと批判するのではありません。
開業医さんに罹るなと言っているのではありません。
授乳中のお母さんは、体調を崩したら産婦人科を受診してねと言っているだけです。
なぜなら、ご専門が違うからです。
考えてみてください。
授乳中ではない時、仮に結膜炎になったとして、心療内科を受診しますか。
月経周期に異常がある時、耳鼻咽喉科を受診しますか。
違いますよね。
もちろん、産婦人科ではどうにもならないことだってあるでしょう。
親知らずが疼くなら歯科を受診するしかありません。
ケースバイケースで判断が必要でしょう。
けれど、おっぱいをあげることを大切に考えておられるなら、産婦人科を受診しましょう。(判断に苦しむならば、まず産婦人科に問い合わせてみればいいのです。)
現在の医学部の教育課程に『母乳育児』の項目はありません。
ご存知ないから、(悪気はなかったとしても)たった3ヶ月なのに風邪薬の内服と引き換えに『断乳』を勧められたりするのです。
そうそう、別のお母さんから、「他科のドクターに、『内服中はおっぱいを搾って捨ててミルクをあげなさい。』と指示されたんですが・・・」という相談もありましたっけ。
そのドクターがお家まで毎回おっぱい搾りに往診してくださるのですかね。
そんなわけないでしょう。
搾って捨てるなんて余程の事態に直面した時ですよ。
母乳育児を推進する立場の者からしたら、軽々しく言ってもらいたくないです。
ご自分と赤ちゃんのために、よく考えてみてね。

 

 

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おっぱいに含まれる糖類=乳糖(ラクトース)の特徴について3

おっぱいの中の乳糖は腸管内で、ビフィズス菌のエサになってくれるので、下痢の原因菌である大腸菌などの繁殖をブロックします。

おっぱいだけを飲んでいる赤ちゃんのうんちは、酸っぱい臭いがします。
粉ミルクだけとか混合栄養の赤ちゃんのうんちとは臭いが異なりますね。
もちろん、大人のとも違いますね。
つまり、赤ちゃんの腸管内は善玉菌のビフィズス菌でいっぱいなのです。

正常新生児だけではありません。
2001年の母乳育児シンポジウムに参加した私は、その時の教育講演で、大阪府立母子センターの北島博之先生に、「未熟児にビフィズス菌を投与すると、壊死性腸炎(=腸管内の細菌叢が好気性菌優位になり、ガスが大量に発生し、腸が腐ってしまい、最悪の場合、死に至る恐ろしい病気です。)の進行を食い止められるし、ビフィズス菌が十分におなかに定着すれば、未熟児の体重増加が多い。」ということを教えていただきました。
1990年以降、未熟児にビフィズス菌を投与することで、腸管原性の敗血症や壊死性腸炎が激減しているそうです。
おっぱいには粉ミルクよりも乳糖が多く含まれていますから、おっぱいをひとしずくでも多く飲ませてあげることは、生命を繋ぐのに、とても大きな意味があるのですね。

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アレルギー用粉ミルクってどんなもの?

ドラッグストアの粉ミルクコーナーに『アレルギー用粉ミルク』ってあるのを見たことがありませんか。
食物アレルギーのある赤ちゃんのお母さんなら、予防や治療にいいのかなと、ピピッとくるフレーズですね。
この粉ミルクはたんぱく質をアレルギーの起こりにくいカタチに変えていますが、その加工のせいでビタミンが少なくなっていることをご存知でしたか。
栄養障害になった事例もメーカーに報告されています。
もちろん、この粉ミルクしか飲めない赤ちゃんはおられます。
でも、そういう場合は小児科のドクターからきっちりと説明を受けておられる筈です。
何となく、普通の粉ミルクよりもいいんぢゃないかという印象で購入・使用をするものではありません。
おっぱいが一番であることに変わりありません。
間違えないでくださいね。

2009年6月16日 (火)

読者さんから教えていただいたグッドアイデア

1歳のお子さんを母乳育児中のてんとーむしさんから、とても素敵なグッドアイデアを教えていただきました。
私が知ってるだけでは勿体無いので、是非ともみなさんに、お知らせしたいと思います。(事後承諾でゴメンなさいね。)
母乳育児は山あり谷ありです。
お子さんがおっぱいちょうだいのサインを出すにも、「ここではちょっと・・・」の場面や、お母さんの気分がすぐれない時は、嬉しい気持ちであげられないこともあるかもしれませんね。
そんな時に「おっぱいちょうだいの時、チュッてするのよ。」と、お子さんに憶えておいてもらうと、お子さんがおっぱい欲しい時、お母さんの機嫌をとりたい時(空気を読んだ時?)はチュッてしてくれるので、和むそうです。

お子さんにチュッされるのって、きっとほんわか気分になるんぢゃないかしら。
大きくなったらチュッなんてしてくれない(多分・・・経験上・・・)でしょうから、赤ちゃんや授乳中の幼児期ならそういうお約束も自然に憶えてくれるでしょう。
毎日のおっぱいタイムに導入されてはいかがでしょうか。
ほんわかしたいお母さん、今なら間に合いますぞ。

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お気に入りの何かを持たないとネンネが出来ない子

おっぱいを飲んでいる時期は特に、赤ちゃんでも1歳以上のお子さんでも、添い寝をしないとなかなか眠れないことが多いですね。
私もかつて、「この、グズグズ泣いている間にいくらでも眠れるだろうに、なんでこんなに粘るのかな。まるで、眠りにつくことに抗っているような感じがする。睡眠時間が短くなるではないか。」などと、ギモンに思ったものです。

おっぱいを卒乳後しても、暫くのうちは寝付きが悪いというか、自分一人の力では寝付けないのが子供です。
一人で寝付けるようになったかに見えても、寝付くために毛布の端やタオルをかじったり、ぬいぐるみなどを持たないとダメというのはしばしば耳にすることですね。
もしかしたら、お父さんやお母さんが子供時代に、そういう癖があった方は少なからずおられるかと思います。
お子さん本人は、”こうすれば寝付ける”ということが体験的に分かっていますから、何も困りません。
困るのは大人の方で、「異臭を放つタオルを洗ったら、違うタオルになったと半狂乱になった。」とか、「実家にお泊りする日、いつもの毛布をうっかり忘れたら、寝付くのに2時間半もかかって大変だった。」とか、「ボロボロになったぬいぐるみを夫の実家に持参したら、義母に厭味を言われた。」というお話をよく聞きます。
でも、癖はやがて離脱できますから、無理に止めさせる必要はありません。

強いて言うなら衛生面に難点があるわけですが、「もしかして、この子は何かに依存(執着)しないと寝付けない子かも。」ということを察したら、気づいた時点で同じものをいくつか準備してください。
よだれや手垢で汚くなっても、予め洗い替えがあれば、ボロボロになるのもある程度防げるし、見た目の汚さにうんざりすることもなくなります。
例えば同じタオルをいくつか準備して、回転して使用するようにしておけば、「色」「におい」「肌触り」「形」などが均一になるから、お子さんは安心して過ごせるのですね。
但し、お子さんを混乱させないために、”ひとつしかない”ことにしておくことは、良い配慮だと思います。

それから、個人差がありますが、本当の意味での「ひとり寝」が出来るようになるには、4~5年はかかると思われます。
だから、今は出来なくてもいいのだと解釈してくださいね。

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おっぱいに含まれる糖類=乳糖(ラクトース)の特徴について2

昨日の記事で、乳糖についての知見を書きましたが、他にもお伝えしたいことがあるので、続きます。

おっぱいには乳糖が多く含まれる代わりにミネラルや塩分が少ないのが特徴です。(初乳は胎便の排出のため、塩分が成乳より多いですが。)
ミネラルや塩分が少ないということは、赤ちゃんの内臓にかかる負担が少ないということです。
そして、乳糖にはカルシウムの吸収をアシストする働きがあるのをご存じでしたか。

赤ちゃんの成長に重要な役割を担う、骨や歯を丈夫にするのがカルシウムですね。
私もこの間、勉強するまでは乳糖にそんな働きがあるなんて知りませんでした。

以前にも成分として含有率も大事だけど、吸収率にも注目しないと、栄養学的にフェアな判断は出来ないことをお話したのを覚えておられますかな。

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2009年6月15日 (月)

おっぱいに含まれる糖類=乳糖(ラクトース)の特徴について1

おっぱいに含まれる糖類の名前は乳糖(ラクトース)です。
乳糖は哺乳類の乳汁にのみ含まれます。
糖類はエネルギー源ですね。
それと同時に、赤ちゃんの脳つまり中枢神経系の発達に関与すると考えられています。
哺乳類の中でも、脳の体積が大きく、発達している動物ほど、乳汁中の乳糖は多く含まれる傾向があります。
例えば牛乳に含まれる乳糖の1.5倍の量の乳糖がおっぱいには含まれます。
粉ミルクに含まれる糖は、乳糖以外にもしょ糖などの他の糖類も含まれます。
正常新生児とは異なり、低出生体重児や早産児は血糖コントロールが上手くいかない時があります。
特に低血糖は怖い兆候ですので、緊急避難としてブドウ糖や粉ミルクを与えることがあります。
それらを投与すれば、血糖値は急上昇します。
しかし、分解されてエネルギーになるのが早いということは、下がるのも早いわけで、補足の仕方をよく考えなくてはなりません。
それに対し、乳糖は分解されてエネルギーになるのがゆっくりです。
血糖値を維持できる時間が長いのですね。
乳糖って凄いんですね。

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基本に忠実にしていけば・・・頻回授乳

頻回授乳により、乳頭に刺激を受けるとおっぱいの製造ラインにスイッチが入ります。
出産直後はお産に時間がかかったり(=初産婦さんで、安産と言われるのは、分娩所要時間が12~16時間以内の場合を指します)、出血が多いと産後の体調の回復に通常よりも時間がかかりますから、(安産で出血量の少ない方よりも)おっぱいの立ち上がりが遅くなりますが、こういう場合は止むを得ないことです。
喩えて言えば、光ファイバーとADSLの違いみたいなものでしょうか。(ニュアンスは伝わりましたかな。)

立ち上がりが遅れても、取り返しのつかないくらいとかではなく、充分追いつくことは可能です。
焦らなくても大丈夫ですよ。
出産による体力的消耗は、時間の変化とともに必ず回復します。
赤ちゃんが哺乳意欲旺盛でがっつり型ならば、「製造が追いつくかしら。」と悲観的に考えるのではなく、「やったぁ。これで、おっぱい工場の製造ラインのスイッチが入るから、もう大丈夫だな。」と、プラス思考になりましょう。

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哺乳ストライキ5

いよいよ梅雨の季節になってきたようですが、この頃から、じわじわと発生するのが、「ヘルパンギーナ」や「プール熱」「手足口病」などの、喉が腫れたり、喉にブツブツや潰瘍ができたりする病気です。

集団生活をしている上の子さんがおられると、かなりの確率で園から”仕入れて”しまわれるので、赤ちゃんも、もらってしまいがちです。

これらの病気に共通するのは、喉の痛みがハンパなく強いのです。
オレンジジュースなんて、絶対に飲めません。

離乳食の内容も、喉にしみないような、つるんと入るものでないと食べてくれません。
例えば、「ポタージュ」「バナナプリン」「さつまいものクリーム煮」「ところてん」(三杯酢はNGですぞ)「煮やっこ」などがいいでしょう。

おっぱいは本来喉にしみにくいはずですが、どうにもならなくて、ストライキに」なることもまれではありません。
1歳以上のお子さんですと、それを機会に卒乳しちゃうお母さんもおられますが・・・あまりにあっけなく、如何なものかという気もします。
続ける意思があるならば、搾乳して、お食事に混ぜて「食材」にしてしまうのがいいです。
症状自体は数日で軽快しますから、まだおっぱいを手放したくないなら、そうやって乗り越えましょうね。
きっと、戻ってきますから。

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双子ちゃんのお母さんとの交流

★病院では平均10件/年の双子ちゃんが生まれています。
現在のところ、おっぱい星人最年長ツインズは2歳3か月の二卵性女児のHちゃんとMちゃんです。
生後1か月からは一時混合栄養でしたし、離乳食が始まってしばらくはあまり食べてくれず、お母さんも悩んでおられましたが、8か月頃からはおっぱいと離乳食のみで、ミルクは止められるようになりました。
お母さん自身は、上のお兄ちゃんを1歳半まで完母だったものの、事情があって断乳せざるを得ない状況だったそうです。(上のお兄ちゃんは他院出産)
なので、双子ちゃんたちには、短くても2歳まではおっぱいをあげたいし、出なくならないようにメンテを希望され、102か月毎に母乳外来を受診してこられました。

おっぱいの分泌はまださほど衰えてはいません。
双子ちゃんは甲斐性があるので、勝手に服をめくっておっぱいに吸いつきます。
ひとりが飲み始めたら、もうひとりも負けじと飲みにくるそうです。

「毎日が大変だろうな、何か癒しになるようなことはしてあげられないかなぁ。」と考えてみました。
実は、昨年私は英国式のリフレクソロジーの初級の資格を取りました。
これでお金をいただくことは出来ませんが、日々の研鑽で子供たちやスタッフに施術したら、かなりの好評をいただけるレベルになってきました。
そこで、このお母さん(=Kさん)にしてさしあげました。

そうしたらその日1日は、うっとりと優雅な気持ちになれたそうです。
「魔法の手ですね。」と、お褒めのお言葉をいただきました。

2009年6月14日 (日)

片方からしか飲んでくれなくなった!

果して人間は片方のおっぱいだけで赤ちゃんを育てられるのか。
全員かどうかは何とも言えませんが、双子ちゃんでも、乳がんの手術で、片方の乳房が授乳出来ない方であっても、完母のお母さんはおられますから、恐らく量的には足りると言ってもいいのでしょう。

しかし、実際問題、片方からしか飲んでくれないと、乳房のサイズが左右で極端に違うようになります。
見た目も、下着のサイズ決めも、肩凝りの度合も、色々と不都合を来たしがちですから、何とかして、両方のおっぱいを飲んでほしいですよね。

過去の記事で、《利きおっぱい》のお話をしました。
あの記事の補足も兼ねて記事を続けますね。
まず、原因として考えられるのは、乳頭形態の違いで、赤ちゃんが飲みやすい方と飲みにくい方がある場合。
ポジショニングが合わなくて、窮屈な姿勢で飲まされている場合。
たくさん分泌する方ががっつり飲めるから好きな場合。
逆にたくさん分泌すると、むせて苦しいから嫌いな場合。
乳腺炎などのため、味に左右差があり、不味い方が飲みたくない場合。
・・・などが考えられます。

対策としては、難しい乳頭の方を先に飲ませる癖をつける。
但し、仰け反るくらい嫌がるならば、ぐずりが酷くない時、寝ぼけているか、ウトウトしている時にだけでも飲ませる。
ポジショニングを変更する。
たくさん分泌する方を1~2分間だけ吸わせ、即反対側に切り替える。(たくさん出る方を好む赤ちゃんならば、吸啜刺激で反対側が湧き出せば、イラッとしなくて済むから。)たくさん分泌する方を嫌がるならば、出方の少ない方からあげて、たくさんの方は予め、先搾りして噴出さないようにしてから飲ませます。
味が不味いのならば、まず赤ちゃんに謝ってください。
少しでも不味い方を飲んでくれたら、有難うと、褒め言葉を忘れずにね。
それでもどうしても飲んでくれなかったら、搾乳して分泌を維持します。
月齢の小さい赤ちゃん(新生児とか)でも、赤ちゃんはコップでグイッと飲めますから、ひと手間かけてやってくださいな。
そのうち、何がきっかけかは分かりませんが、ある日突然に飲み始めることもあるのですから。

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2009年6月13日 (土)

お母さんが手術などで入院した時のおっぱいは?

赤ちゃんのお母さんが手術などで入院しなくてはならない場合、出来るだけ個室で、母子同室になるようにお願いしてみましょう。
BFHでもなければ無理かもって頭から考えず、まず、お願いしましょう。
「前例がない。」なら「私が第一号になります。」
「スタッフが反対する。」なら「私が師長さんにお話します。」
「婦人科病棟だから。」なら「産科病棟に入れてください。」
「赤ちゃんのお風呂はどうするの。」なら「お風呂は家人に入れてもらいます。」
「身動き出来ない時、泣いたらどうするの。」なら「家人にあやしてもらいます。」
・・・くらいの切り返しは必要です。

赤ちゃんのお母さんに、産後しばしば見られるのは、「卵巣脳腫」「急性虫垂炎」「腎結石」などが多いです。
この他に「頸管に癌かもという時にする円錐切除術」のお母さんたちです。
なるべく母子分離にならないよう、気をつけなくては・・・

搾り方や回数などは、担当者にご相談くださいね。

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お母さんと赤ちゃんの組み合わせ(相性の良し悪し)

舌小帯短縮症(長いので以下Sとします。)の赤ちゃんであっても、お母さんの乳頭が正常型だったら、おっぱいの分泌が増えてきたら、さほど苦労することなく、直母で哺乳できます。
また、赤ちゃんの吸啜が超絶技巧であれば、お母さんの乳頭は陥没型であっても、保護器ナシで、直母がOKということも可能です。
(但し、胎教と妊娠中からの気合の入った乳頭・乳輪ケアが必要ですが・・・)

しかし、Sの赤ちゃんで、お母さんの乳頭が正常型以外になりますと、吸啜はおろか吸着すら出来ないことも稀ではありません。
吸啜出来ても、浅くなりがちなので、乳頭が傷だらけになって痛みのあまり、赤ちゃんのお口が凶器に見えることすらあります。
どうしても、の場合は搾乳をしますが、効果的な吸啜が出来ないということは、おっぱいの分泌に 必要な吸啜刺激を受けにくいので、立ち上がりが遅れます。

昨日、今日と対応したMさんと赤ちゃんは正にこの組み合わせで、相性が今ひとつという感じでした。
昨日(3日目)は搾乳は介助しても、2ml/回が精一杯でした。
朝の体重測定は32gのマイナスでした。
今日(4日目)の体重測定も38gのマイナスでした。
体重減少率は8%台でしたが、ジリジリと減り続けるのは直母が上手く出来ない赤ちゃんの特徴です。

★病院はメ○ラのハー○ニーという手動搾乳器を使用しています。
それのスティミュレーションモードの方で、乳頭刺激を昨日夕方から与え続けたら、今日の深夜帯には、搾乳は10ml/回は出来るようになりました。
日勤帯には、それまでゼロ行進だった直母も量になり、10gは出来るようになり、搾乳も15~20ml/回は可能になり、量の確保に目処が立つようになりました。

また、丸2日間保護器でしか無理だった直母も、介助したら立て抱きで、保護器ナシでも痛み自制内で可能となりました。

相性の良し悪しを見極めて、必要な介助をすれば、明後日の退院までに直母の確立が出来そうです。
やったぁ。

5年振りの出産をされたお母さん

カンの強い赤ちゃんというのはある一定の割合で出現されるようです。
正確に計算はしていませんが、203割くらいは抱っこしなくては眠ってくれない赤ちゃんはおられます。
特に重症になると、お母さんが育児ノイローゼになってしまうくらいです。
5年前にも一人、そういう赤ちゃんがおられました。
僅か1か月で、おっぱいを止めてしまわれたお母さんがおられました。

その方が数日前に出産されました。
今度の赤ちゃんのキャラが気になりましたが、生憎母乳外来が忙しく、授乳室に行く時間が持てません。
昨日午後、ようやく授乳室に行けたので、暫く待っていたら、その方がコットを押して来られました。
「お久しぶりですね。赤ちゃんの飲みっぷりはいかがですか。」と私。
「わあ。覚えてくれていたんですか。あの時は大変でしたけど、今回は大丈夫なんです。」と表情も明るく答えてくれました。

どうも別キャラのようで、お母さんは育児ノイローゼとは一番遠いトコロにおられるようでした。良かったです。

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気の毒なお母さん

里帰りで他院出産のお母さんが来院されました。
赤ちゃんは3か月でした。
赤ちゃんは増え過ぎるくらいの勢いで体重が増えていました。
夜中も2~3時間毎ですが、おっぱいを飲んだらほどなく眠ってくれるそうです。
客観的に見ると、大きな問題はなさそうです。
もちろん、乳腺炎にもなっていません。
でも、お母さんは、泣きそうな表情です。

「何を困っておられるのだろうか。」とちょっと想像がつきませんでした。
「どうされたのですか。お話いただけますか。」と尋ねましたら・・・

「夫が赤ちゃんにミルクを足せと怒鳴りながら言うんです。私が違うと言っても無理やり作って飲ませます。すると赤ちゃんは飲みますから、「ほらやっぱり言った通りぢゃないか。」と勝ち誇ったように言うんです。一事が万事この調子で、ふた言目には「お前は赤ちゃんの気持ちが分かっていないから、俺の言った通りにすりゃいいんだ。」と言われます。私はおっぱいで育てたいし、産院は母乳育児に熱心なトコロでしたから、おっぱいの出方も十分だと言われてきたし、心配ないのです。でも・・・」と一気に仰いました。

困った旦那さんです。
赤ちゃんはその日の最後の授乳の時にグズるので、その時ミルク100ml飲ませているとか・・・
赤ちゃんの泣き声に平気な人はあまりおられないでしょうが、それにしても・・・
もう少し探ると、どうも義母さんのアドバイスを鵜呑みにしておられるようでした。
あぁ、マザコン息子と母に翻弄されちゃってるのね。

旦那さんが平日御休みの日を狙って親子3人で再診してもらい、私からお話した方がよさそうですな。
いつぞやもこのような方がおられましたが、実力行使をしておられるので、さらに厄介です。

これってDVに近いパワハラかなぁ。

精神的に限界に近い口ぶりでしたから、強行突破でもう1回ご実家に帰られ、お灸を据えてみてもいいのではないかなという気もいたしました。

現在再診待ちです。

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気をつけてね★結婚式シーズン到来!

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「結婚式シーズン到来!(若干改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。


以下、過去記事。

ジューンブライドの季節たけなわですね。
今年は14日と20日はお日柄が宜しいようで、挙式・披露宴にお招きを受けたり、親族として出席するお母さんもおられるでしょう。

おっぱいをあげておられるので、まさか、和服(留袖とか訪問着、色無地一つ紋とかのあらたまったもの。)を着なさいとは言われないと思いますが・・・
格式を重んじる場合は挙式だけでも和服を着るようにというパターンもアリかもしれませんね。

母乳育児中は和服は出来るだけ避けた方がいいです。
どんなに上手に着付けてもらっても、締め付けることに変わりはないですからね。
特に、乳腺炎を繰り返している方、おっぱいの分泌が半端なく多い方、止めた方が明らかに無難です。

もし、どうしても短時間でも和服を着ざるを得ない場合、母乳パッドでは吸収に無理があるので、新生児用でいいので、紙オムツを左右1枚づつ、乳房に当ててください。

赤ちゃんを含む家族ぐるみで出席するなら、グズッたら会場を退出し控え室などでおっぱいをあげてください。
お母さんだけの出席でも、出来るだけ赤ちゃんとご身内の方にも帯同していただき、予め赤ちゃんが泣いたら、お給仕の方にメモや耳打ちなどで知らせてもらうように打ち合わせしておき、さりげなく退出し、控え室などで授乳しましょう。

赤ちゃんは預けるよりも、一緒に連れて行った方が安心です。
私もかつて、授乳中友人の披露宴に招かれた時、実母に頼んで会場まで一緒に来てもらい、控え室や花嫁着付け室で授乳したことがあります。
預けて行ったら、赤ちゃんが泣いていないかとか、帰る時間ばかり気になってしまいがちです。
久しぶりに出会えた友人と、歓談すらままなりません。

さらに、披露宴はご馳走のオンパレードです。
ゴージャスなものを食べてしまった時は・・・そうです。
速攻、おっぱいをあげると良いのですね。
でも、会場に連れて来ていなかったら、それは不可能です。

是非とも赤ちゃんと離れずに、お出かけする方法を優先してご検討くださいね。

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2009年6月12日 (金)

特に退院後10日前後迄の赤ちゃんが眠りがちなら注意してね!

先の記事で、赤ちゃんが眠りがちなのは必ずしも良いことではないと書きました。
特に退院後10日前後迄の時期、昏々と眠り、授乳回数が8回/日を割ると、退院後からの体重増加が良くても18g/日未満になりやすく、最悪な場合ゼロもしくはマイナスという結果になることも決して稀ではありません。
★病院の母乳外来では出生したほぼ全ての新生児が2週間健診のカタチで受診しています。
お母さんは耳にタコができるくらい、頻回授乳の重要性を聞いている筈なのに、正常新生児の10人に1人はそういう状況に陥り、哺乳不全や乳糖不耐症でないかなどの鑑別のため、再診が必要となります。

「眠ってるのを起こす必要はない。そっとしておきなさい。」と、余計な一言をご実家のお母さん(=赤ちゃんのおばあちゃんですね。)に言われて、それを真に受けて放置した結果、涙が止まらないくらいのショックを受けられるお母さんが10人に1人は出現しているということです。
大袈裟でなく、家族間の責任問題に発展した事例もあります。

子育ての先輩であっても、何しろウン十年も昔のことですから、克明な育児日記でも残っているならともかく、うろ覚えの記憶を頼りに間違ったアドバイスをされると、困ったことになります。
それでも、2週間健診を受診されていればこそ、その時点で改善を図ることが出来ます。
1ヶ月健診までに何とかキャッチアップ出来ますから、心配ないのですが、2週間健診のない病産院では、どうしているのかなと、ふと思います。

赤ちゃんの体重が増えていないだけでも、お母さんにはかなりの精神的ダメージですが、年に数人は黄疸値が異常に上昇し、光線療法が必要になり、入院加療をせざるを得ない《ダブルパンチ》な赤ちゃんもおられます。
赤ちゃんが眠り過ぎではないかという場合はためらわず、起こしておっぱいをしっかりと飲ませてあげましょうね。

寝過ごしたら気が付いた時点で起こして飲ませましょう。

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かつてSOLANINが魔法をかけたお母さんのその後

私がそのお母さんと出会ったのは3月3日のことでした。
過去の記事を読んでおられる読者さんは覚えておられますかな。
出産された産院で、母乳育児のスタートで躓いて転んだ方です。
家庭訪問の保健師さんに翻弄され、翌日の1か月健診で産院のドクターに酷いことを言われ、ウツになりそうだったあのお母さんです。
あれから、さらに2回受診されました。

現在はもちろんというか、完母です。
私が助言したことを続けてくれていました。
おっぱいの回数は10回前後/日くらいのペースで、左右1クールは確実に飲んでくれています。
うんちは出にくいのは相変わらずですが、肛門刺激して、1回/日は出るようにコントロールしているそうです。
添い乳も上手に咥えてくれるようになって、乳頭痛もなく、お昼間はフットボール抱きにしているから、添い乳しても飲み残しのできないようで、乳房にしこりもありませんでした。
もちろん、赤ちゃんの体重増加に不都合はありませんでした。

でも、私が一番嬉しく思ったのは、そのお母さんが大変ながらも自信を持って子育てし、おっぱいをあげることを楽しむ気持になってくれていることでした。
何か心配なことがあれば、いつでも再診してくださいと伝え、その日はにこにこ笑顔でお帰りになりました。

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眠ってばかりで手のかからない赤ちゃん

割合としては、少数派なのですが、(恐らく私が見たところ・・・ですが、正常新生児の10%くらいでしょうか。)ホントによく眠ろ赤ちゃんが存在します。
お母さんが呆れるやら、ラク過ぎて拍子ぬけするくらい昏々と眠ります。
授乳はまさに、「起きていただいて。」「常に刺激を与えつつ。」「やっとこさで飲んでいただく。」という有様です。

経産婦さんで、上のお子さんが「カンが強くて。」「抱っこしたらウトウトしているが置いたらギャ~。」「のべつまくなしに飲みまくる。」「赤ちゃんとして睡眠時間が少ないのではないか。」というキャラだった場合、余りの違いについ嬉しくなって放置していることが、しばしば見受けられます。
そして、日令が進み、2週間を過ぎてもまだなかなか起きてくれず・・・となると、体重増加が極端に少なくなります。
小児科のドクターの多くはどうしても《体重増加不良=母乳不足または病気》と捉えられがちです。
そんな診立てをされ、ミルクの補足を勧められて納得できますか。

つまり、こういうキャラの赤ちゃんは哺乳欲(=おなかが空いたらおっぱいが飲みたい)よりも睡眠欲の方が勝っているのですね。

昔の人は『寝る子は育つ』と言いましたが、こと母乳育児については『寝る子は育たない』ということが、殆んどです。
百歩譲って最初のうちはそれで標準以上に育っていても、吸啜刺激が少ないため、ある時期から乳汁分泌が低下したり、月経の再来がメチャ早くなります。
長く母乳育児を楽しみたいお母さんや、おっぱいで、しっかりと体重の増える赤ちゃんにしたいお母さん、月経の再来は出来るだけ遅くしたいお母さんには不向きです。

ウチの赤ちゃんは「眠りキャラかも・・・」と感じたら、多分それは当たっていますから、喜んでる場合でなく、「頑張って起こさなくては育たないキャラ」なんだと自覚していただき、おっぱいのセールスレディーになりきってくださいね。

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2009年6月11日 (木)

おっぱいの後に乳房がカラになるまで搾れと指導されて・・・

何とか少しでも、おっぱいの分泌を増やしたい時、敢えて直母の後に少しだけ搾乳(後搾り)をするのは聞いたことのある話です。
が、そうではなく、赤ちゃんが溺れるくらい出過ぎるおっぱいのお母さんがタイトルのような指導をされたらどうなるのか、分かりますか。

そうです。
超過分泌状態になってしまいます。
おっぱいの後に乳房がカラになるまで搾れというのは、一時期流行した、『乳腺炎予防と新しい乳汁分泌のため。』という考え方に基づいているようです。
全てのお母さんがやっちゃいけないとは申しません。
ただ、おっぱいの後に乳房がカラになるまで搾るということは、一律にマニュアル的に勧めることではありません。
ケースバイケースですね。
先日、★病院の母乳外来を受診の他院出産のお母さんは、1時間の授乳後、左右合わせて1時間がかりで200ml搾り捨てているそうです。
横になる時間もないし、疲れ果てている様子でした。

他院出産のお母さんで、このような指導を受け、困っておられるお母さんに接する度に、十把一絡げの指導の強要は止めてほしいなと感じます。
取り敢えず、分泌を抑えるマッサージをしておき、うっ滞が酷過ぎて、パンパンの度合いが尋常ではなかったので、糾励根湿布を貼りました。

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泣き止まない赤ちゃんのお母さんは母親失格?

ギャン泣きという状態、どのお母さんでも一度ならず、経験があるのではないでしょうか。
私の3人の子供たちもカンの強い赤ちゃんで、手を焼くことがしばしばありました。
旦那は「泣かすな。」と怒鳴るくらいで、泣き叫ぶ時にあやしてもらったことは多分ないです。
シェイカーみたいに振り回そうとしたことがあってから怖くてね。(そう、今で言うゆさぶられっこになりそうだったので、赤ちゃんを引っ手繰って取り上げたことがあるくらいで・・・任せられないと思いましてね。)
あっ、それでも車を走らせてくれたことはありますが。

でも、赤ちゃんが泣き止まないのはお母さんとしては辛いですよ。
精神的に追い詰められるっていうか。
赤ちゃんに嫌われているように感じたり、切羽詰まっているんですね。
虐待の始まりがギャン泣きだったという話もありますし。

「おっぱいかな。おむつかな。眠いのかな。寂しいのかな。暑いのかな。寒いのかな。苦しいのかな。痛いのかな・・・」
色々考えても分からないことはあってもおかしくはないのです。

そういう時は「赤ちゃんだって訳もなく泣きたい時があるんだな。私だから安心して泣き続けられるのだな。多分これはスタミナが切れるまで泣くかもしれないな。だから、今日はそれを受け止めるのが私の役目かな。」と思っちゃってくださいな。

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哺乳ストライキ4

お母さんが断乳しようとした時になることがあります。
例えば職場復帰の前で、言いようのない焦燥感や気分の落ち込みがあって、断乳しないと、職場復帰が上手くいかないと思いこんでいる場合。
赤ちゃんの夜泣きが激しく、添い乳をしているものの、おっぱいをあげようという気持ちよりも、いいかげんうんざりした気持ちが勝ってしまっている場合。

とは言っても、大抵はこのようにお母さんが無理やりおっぱいから赤ちゃんを引き離そうとしたら、赤ちゃんは抵抗して必死にしがみついてくるのですけど。
でも中には、お母さんに気を遣っているとしか思えないような赤ちゃんもおられます。
お母さんに嫌われたくないから止めなくてはと思っているなんて・・・大人びているのか、いじらしすぎます。
もちろん、赤ちゃんには辛いことなので、泣くのはいつも通りに見えますがね。

カラダがしんどいのも、焦るのも私も通ってきた道だからよく分かります。
しかし、赤ちゃんにはおっぱいを飲む権利があると思いますが・・・
こんな状況に陥ったら、断乳、思いとどまってほしいです。
これ以上、赤ちゃんを追い詰めないでやってくださいね。

2009年6月10日 (水)

哺乳ストライキ3

赤ちゃんの耳管は大人よりも太短いため、風邪をひいたりしたら、すぐに中耳炎になることも決して稀ではありません。
中耳炎になると、耳痛や熱発、出血、耳漏、聴力低下など様々な症状がみられます。

特におっぱいを飲む時は、顎をしっかりと動かすので、耳痛が酷くなります。
かといって全くおっぱいを飲まないと、おなかが空いてしまい機嫌も悪くなります。

そういう場合は搾乳して飲ませてもいいですよ。(直母が出来ない時は搾乳をコップやストローなどで与えてもいいのです。)

注意すべきは、赤ちゃんは耳痛ということが、理解出来ません。
アタマが痛いと泣くこともありますが、赤ちゃんや幼児は表現が上手く出来ないためそのようになります。
気を付けてみてあげてくださいね。

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おっぱいとお薬/その7『アゼプチン』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その7『アゼプチン®』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。

以下、過去記事。

アゼプチンは抗アレルギー薬とか抗ヒスタミンというお薬の仲間です。
鼻水ズルズル、涙ボロボロな時に処方されます。
赤ちゃんには安全なお薬です。
症状がキツい時は、お薬無しでは過ごせないこともあるかと思います。
そういう時はホントに使ってOKです。

しかし、用法・用量を守らず大量摂取したり、長期連用状態になると、全員ではありませんが、おっぱいの分泌が低下傾向となることもあるそうです。

そこだけ注意してくださいね。

食物アレルギー予防とお食事7

全部が全部というのは無理ですが、出来るだけ旬(出盛り期)の食品を選んだ方が、望ましいのですが、それも買ってから日にちを置くのではなく、買ったらなるべく早く食べる方が栄養面からもいいですね。

調理時間との兼ね合いもありますが、出来るだけインスタントやレトルト食品も控えた方がいいですね。

なぜかというと、旬ではない食品は、生育過程で余計に農薬を使うことになったりしがちです。
また、インスタントやレトルト食品は自宅での手作りとは異なり、食品添加物が多く含まれています。
農薬や食品添加物は活性酸素を発生させる作用があることが判明してきたそうです。
以上のことから、授乳中のお母さんのお食事は、自分のカラダの調子を整えるだけではなく、赤ちゃんのアレルギーにも影響しますから、出来る限りの配慮をされるのがいいかと思います。
大変ではありますが、無理せず続けられる範囲でもいいから、工夫する価値はあります。
もしどうしても難しい場合でも、せめてジャンキーなものを食べてしまったら、次のお食事で中和するくらいのつもりで、食べるものを選んでくださいね。

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乳頭亀裂の原因と対策

生来の皮膚の強さや乳頭形態も関与しているのでしょうが、妊娠中から乳頭・乳輪のマッサージをして、柔らかく、開通を良くしておくと、産科入院中に出来易い乳頭亀裂は起こりにくいものです。

また、その一方、カンガルーケア中に浅めの添い乳を長時間してしまうと、一発で乳頭亀裂が起こることさえあります。
最初から溢れるほどおっぱいの出るお母さんはおられませんから、せいぜい片方につき、3~5分間程度の吸啜にとどめ、左右交互に切り替えながら赤ちゃんのおっぱいをあげてください。

乳頭亀裂には大きく分けて2つのパターンがあります。
ひとつめは、乳頭頂が切れてしまう場合です。
乳頭頂とは、乳頭の先っちょというか、てっぺんのことです。
これは、ポジショニングつまり抱っこの仕方が同じで、含ませる時の乳頭に圧がかかる部位が一定であるために起こります。
赤ちゃんの口唇の中央部分に一番大きなチカラがかかるのはもうご存知ですよね。
なので、色々な方向から赤ちゃんに吸わせればある程度予防出来ます。

ふたつめは、乳頸部の付け根が切れてしまう場合です。
これは、赤ちゃんの吸啜が浅いために起こります。
例えば経産婦さんでは、クッションを使わずに赤ちゃんがぶら下がるようにして吸いついた時、初産婦さんなら、深い吸着が分らないままになんとなく自己流で吸ぃ付いた時、乳頸部付け根の皮膚に過剰な負担がかかるために起こります。
基本に忠実に深い吸着をさせることが大切ですね。

乳房が緊満したら、毎回おっぱいの前に先搾りして、赤ちゃんが咥えやすくなるように準備することも必要ですね。

 

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2009年6月 9日 (火)

哺乳ストライキ2

先の記事で、赤ちゃんは身体的・精神的に辛い時、いつもよりおっぱいを欲しがるが、辛過ぎると、おっぱいを拒んでしまうと書きました。
赤ちゃんだって、何とかこの状態を脱出したいのですが、辛過ぎるとどうして良いのか判らなくなるのですね。

では、何が辛いのか・・・順不同ですが、理由となるものを挙げたいと思います。
★赤ちゃんが風邪をひいて咽頭痛・鼻閉・などが酷い状態である時。
おっぱいを飲もうにも、喉が痛かったり鼻が苦し過ぎたりしたら、おっぱいを飲むことを放棄してしまいます。
適切な時期に小児科に受診し、治療を受けられるのがいいと思います。
赤ちゃんの病状が落ち着けば、ストライキはほどなく解除されることでしょう。

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おっぱいとお薬/その6『抗生物質』

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「おっぱいとお薬その6『抗生物質』(改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記にてご確認ください。

以下、過去記事。

授乳中に風邪をひくことは、可能性としてどのお母さんにもあります。
風邪の原因はウィルスですが、便宜上、抗生物質を処方されるドクターもおられます。
(また逆に、抗生物質を希望されるお母さんもおられますが・・・)
商品名としてはあまたあるので、全部はとても挙げられませんが、、ケフラール、サワシリン、フロモックス、ビクシリン、ジスロマックなど、そのあたりがよく聞かれる名前でしょうか。
これらは、授乳中のお母さんが内服可能なお薬です。

安易に使用すると、内服と言えど耐性が出てきますから、内服が必要と言われて処方がされたら、用法・用量は必ず守ってくださいね。
但し、産後はカラダがデリケートになっていますから、アレルギー反応が出ることもあります。
つまり、いつもは大丈夫なお薬であっても、蕁麻疹が出たりすることがある方もおられますから、「副作用かもしれない。」という場合は即刻内服は中止して、処方箋を書いてくれたドクターもしくは、調剤薬局の薬剤師さんに相談してくださいね。

 

 

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食物アレルギー予防とお食事6

同じ食材ばかり使って、いわゆる「ばっかり・どっさり喰い」をするのは避けた方が無難です。
特に動物性蛋白質を多く含む食材を”連チャン”で摂取すると、食物アレルギーを発症しやすくなることが判明しています。

例えば、主菜を鶏肉料理にしたら、それを3日間続けて食べるのではなく、鶏肉料理の次の日は主菜を魚料理にする・・・といった具合にすればいいのです。
魚も鰺を使ったら、次は鰈にするとか・・・ちょっとした工夫が効果的ですよ。
過去の記事にも書きましたが、αーリノレン酸を多く含む食材の宝庫は魚貝類に特に多く含まれます。
高級魚でなくても、庶民的な鰯、ハタハタ、カツオなどにも多く含まれますから、助かりますね。
海草やお野菜にも多く含まれます。

洋風料理にも使えなくはないですが、どちらかというと和風料理に使いやすい食材でしょうか。
乳腺炎の予防にもなり、一石二鳥です。

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2009年6月 8日 (月)

哺乳ストライキ1

それまでおっぱい星人だったのに、一夜にして大好きなおっぱいを仰け反って嫌がり、起きている間はまったく飲んでくれなくなることがあります。

それが『哺乳ストライキ』です。
この件についてはラ・レーチェ・リーグの会員さんの方がお詳しいかと思いますが、私の知っている限りのことを書きますね。

赤ちゃんは身体的もしくは精神的に不調をきたすと、いつもよりもおっぱいを欲しがるのが一般的なリアクションなのですが、突き抜けて不調となると、おっぱいを飲むこと自体を、拒否してしまいます。

自然卒乳であれば、離乳食をがっつりと食べます。
コップやストローで、お茶などの水分を摂取できます。
おっぱいはバイバイしても、仰け反って嫌がることはありません。
そのあたりが『哺乳ストライキ』なのか『自然卒乳』なのかの鑑別ポイントとなります。

機嫌も悪くぐずりが酷いことも特徴です。

ではこの続きはまた後で。

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乳房にしこりができた3

乳房のしこりの原因は色々ですが、下着の選び方もそれなりの比重があります。
過去の記事でも締め付けるタイプやワイヤー入りは良くないと書きましたが、そういう圧迫で乳管の詰まりを来たし、乳汁がうっ滞することがあります。

何も付けないわけにはいきませんが、ソフトブラ(スポーツブラとか、カシュクールタイプのブラとか、乳帯とか)がいいです。
産前産後用ブラは大抵の方が産後乳腺組織が拡張するとサイズが合わなくなりますし、ワイヤー入りですから、お買い求めにならない方がベターです。

食物アレルギー予防とお食事5

「よく噛んで食べること。」は乳腺炎の予防になることは過去の記事で書いておりますので、読者のみなさんはすっかりご存知かと思います。

が、食物アレルギーの予防にも効果があることをご存知でしょうか。
よく噛むことは、唾液の分泌を促しますね。
唾液には活性酸素の毒性を抑制するはたらきがあります。
また、よく噛むことは、消化酵素の分泌をより一層高めます。

あっ、活性酸素って聞いたことありますよね。
平たく言えばガンや生活習慣病やアレルギーを誘発する物質です。
アレルギー反応が起きにくくするということです。

2009年6月 7日 (日)

ミルクの場合、授乳回数が月齢とともに減る訳は?

スーパーやドラッグストアに育児用粉ミルクが、販売されてますね。
缶蓋に書いてある「数字」を見たことがありあますか。
1回あたりの哺乳量と授乳回数が書いてありますね。
完母のお母さんからすれば、驚くべき大量を意味する「数字」です。
あの数字を見て、「到底こんなにもおっぱいは出ない。やっぱり母乳不足なんだわ。」と凹んでしまうお母さんは世間にゴマンとおられます。
あっ、もちろん、最強母乳外来を読みこなしている読者さんやアメンバーさんはそんなことはないでしょうが・・・

大抵のメーカーは、2週間までの赤ちゃんは「~80ml/回」で、「7~8回/日」と書いてあるはずです。
その後が「120~150ml/回」で、「5~6回/日」と書いてあったかな。
月齢が進めば、どんどん1回あたりの哺乳量が増え、授乳回数は減りますが、それって何故だと思いますか。

それはですね、ミルクの哺乳はは哺乳瓶にゴムの乳首を付けて咥えさせますが、顎の動きというか、顎の運動量が直母よりもかなり少ないので、ラクに飲めてしまうことは、みなさんご存知ですよね。
月齢とともに、赤ちゃんの体重は増加しますし、胃の体積も大きくなります。
また、元来ミルクの消化時間歯3時間ですから、赤ちゃんが泣いて欲しがるからといって、授乳間隔を詰めるわけにはいかないものですね。

それやこれやがあるので、タイトルのようなことになっていくのです。

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味覚はいつまでに決まる?

元々赤ちゃんは甘党です。
古い実験で、塩水と砂糖水では、明らかに飲みっぷりが違うことが結果として出ています。
離乳食も基本的に薄味ですし、色々な味を体験して、最後に甘い味(=砂糖)くらいでちょうど良いのです。
それも出来るだけ遅く。
赤ちゃんのうちから甘い味(=砂糖)に慣れてしまうと、どんどん甘味の強いものを求めるようになります。
甘い味(=砂糖)をより一層好むようになると、虫歯リスクも高まります。
それは危険ですよね。

で、味覚はいつまでに決まるのかというと、70%は3歳までに決まるそうです。

甘い味(=砂糖)を体験させてから「やっぱり駄目だから止めようね。」というのは、かえって殺生ではないでしょうか。
そんなんだっだら、最初から甘い味(=砂糖)を覚えさせない方が、お子さんの苦痛・我慢が少なくなります。

甘い味(=砂糖)デビューは、旦那さんともよく相談してくださいね。

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2009年6月 6日 (土)

生後1~2ヶ月の赤ちゃんの湿疹

赤ちゃんは新陳代謝が活発で、汗だけでなく、アブラも出ます。
特にお顔に赤にきびや頭(地肌)にかさぶたの様のモノができることもあります。

簡単に言えば、自分のカラダから出てくるアブラに自分の皮膚が負けているってことですね。
生後1~2ヶ月の赤ちゃんは、期間限定でオイリースキンになっているのです。

毎日お顔をお湯で拭いてあげていると思いますが、赤にきび対策はそれでは追っつかないので、お顔も石鹸洗顔をしてあげてくださいな。
2~3回/日はしてみてください。

頭(地肌)のかさぶた様のモノはマッサージ用のオイルパックをして、蒸しタオルでふやかしてから、石鹸で洗います。
爪を立てずに指の腹に少し力をいれて、頭皮マッサージをすると、かさぶた様のモノがボロボロ取れてきます。

塗り薬が処方されても、石鹸洗顔等は必要です。
赤ちゃんのスキンケアには、『沐浴剤』と『ベビーオイル』は不向きであると思います。
(私は自分の子供には絶対に使用しませんでした。)
別嬪さんや男前が台無しにならないようにね。

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2009年6月 5日 (金)

赤ちゃんのくしゃみ

産まれて間もなくから、赤ちゃんはよくくしゃみをします。
今でも鮮明に憶えていますが、私の次男は、産声をあげて、すぐ抱っこさせてもらった時、くしゃみをしました。
羊水を咳き込んだんぢゃないかと言われますが、あれは確かにくしゃみでした。
だって、「ふぇっくしょい」なんて咳き込みはありませんからね。
なんだか、発声がおっちゃん臭いなという印象がありました。

赤ちゃんは鼻のフィルターが敏感です。
毎日キレイにお掃除していても、ホコリは立ちます。
気温の変化にも、すぐに反応します。
ちょっとしたことが刺激になり、くしゃみが出ます。

ハナクソも溜まり易いです。
過去の記事で、「こぶたちゃんに気をつけて」というものがあります。
まだお読みでない方は是非、ご参照ください。
熱発しておらず、ご機嫌で、おっぱいもいつも通りに飲んでいるなら風邪ではないはずですから、様子を見てくださいね。

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牛乳はいつから飲ませていい?

過去に記事で、フォローアップミルクは不要と書きました。
憶えておられますかな。
では、牛乳は・・・というと、”おっぱいを止めてまで飲ませなくてはならないもの”ではないとだけは言えます。

個人差があるものの、”離乳食を完了する”時期が、およそ1歳半ですから、その頃からぼちぼちと考えてもらったら良いのではないかと思います。
”離乳食を完了する”という意味は、栄養分の摂取の殆んどが食事から賄えるということです。
なので、まだおっぱいから栄養分を摂取することが、相当な割合である時期は早まらない方が良いということです。

なぜならば、あまり早い時期から牛乳を与えることは、牛乳アレルギーを誘発することになりやすいので、注意が必要だからです。

また、牛乳はお茶代わりに飲ませるものではありません。

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2009年6月 4日 (木)

張り切りおばあちゃん

陣痛が長引くと、家族交代で、産婦さんの腰を擦るファミリーがおられます。
助け合うのは良いことなんですが、ちょっとこれはいかがなものかということがありました。

その事例は・・・義母さんが産婦さんの腰を擦っておられました。
最初のうち私は、息子の嫁にはなかなか出来ないことをされているので、「なんて立派な義母さんだろう。」と感心していました。
普段はそんなことはないのでしょうが、産婦さんも強い陣痛が来たら非常事態であるためか、義母さんに遠慮する余裕などないようでした。

丁度実母さんと交代される頃でした。
旦那さんは、ソファで横たわっていました。
お疲れモードでした。
そんな息子さんが可哀相に思えたのか、義母さんはこう仰いました。
「○○(=息子である産婦さんの旦那さんの名前)は昨日からまともに眠っていないんです。ずっと◎◎さん(=嫁である産婦さんのこと)に付き添っていますからね。疲れてますからね。寝かせてやりたいんです。」との発言を耳にしました。

息子を想う母心なんですかね。
でも、何か違う気がするのは私だけでしょうか。
旦那さん、寝ている場合ぢゃないと思うんですけど。(怒)
あなたがたの赤ちゃんが生まれるんですよ。
あなたの疲れなんかよりも、奥さんはもっと大変な陣痛に耐えておられるのですよ。
そして、義母さん。
あなたの発言は息子夫婦の関係を破綻させる引き金になりますよ。

出産の時は、旦那さんの優しさがどの程度か明らかになる時間なんです。
残念なことに、私には経験ありませんが、その時の旦那さんの優しさは奥さんは決して忘れないと思うんです。
なのに、ソファで寝ていたなんて・・・絶対に奥さんとバトルになったら、言われちゃいますよ。
みなさんは、出産の際いかがお過ごしでしたか。

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月経再来でおっぱいの分泌が低下!?

心配なプチメをいただきました。
月経が再来し、完母だったのに、おっぱいの分泌が減ってしまってミルクを補足せざるを得ないようになってしまったという4ヶ月の赤ちゃんのお母さんからです。

月経の再来は個人差が大きく、早ければ、完母のお母さんでも、産後2ヶ月(私の知る範囲で最短例は産後46日目です。)信じられないくらい早いことがあります。

完母で、たっぷりのおっぱいが出ておられたということは、授乳回数が少なかったのではないかしら・・・と想像します。
新生児期からおっぱいの回数が、たびたび8回/日以下とか、そんなペースではなかったのかなぁ。
もしくは、回数はそこそこあっても、1回の授乳で、ほぼ片方で終了していることが多かったとか。

赤ちゃんが比較的よく眠るタイプですと、当然、授乳間隔が空きますから、吸啜刺激が少なくなり、卵巣から出るホルモンで、授乳中はブロックされているはずのホルモンが、ブロック解除になりやすくなるのです。

この連鎖を断ち切るには、ベーシックですが、授乳回数を増やす必要があります。
夜中も2回/日はあげてほしいです。
新生児相手の授乳だと思って、10回以上/日(1回の授乳は2クールと数えてください。)は吸わせます。
ミルクは足しすぎたらブーなので、例えばミルク缶蓋に書いてある通りに飲ませるのだけは、止めておきましょう。
1回にあげるとしても、多くても記載の半分くらいにとどめてください。
ミルクの補足は、あくまでも毎回直母の後にしましょう。
また間違っても、乳房が緊満するまで授乳間隔を空けることはしないでください。

どうしてもの喫緊の場合は産婦人科のドクターにプリンペランを処方してもらうのも一手です。

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フッ素塗布はいつしたらいいの?

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「フッ素塗布はいつ頃から出来るの?(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事。

歯科医師や歯科衛生士に聞いたのですが、フッ素塗布は1歳代でも充分出来るとのことです。
思い返せば、SOLANINも、3人の子供達にフッ素塗布を初めてしてもらったのは、1歳半過ぎでした。
初回は暴れましたが、2回目からは、言い聞かせをしていたのでギャーギャーと騒ぐこともなかったです。
1歳代になれば、恐らく上下4本づつは生え揃っているかと思います。
早ければ臼歯(奥歯)が生えてくるお子さんもおられることでしょう。

1歳代になれば、食べられる食物の種類も増えてきますから、虫歯予防のためにも、フッ素塗布は、されたほうがいいと思います。
WHOもフッ素塗布の安全性と有効性について、検証のうえ提唱しています。

(ただ、一部の小児科のドクターは反対しておられる方もおられるようですが。また、新聞・雑誌などのメディアによく登場される、A保育園の有名な園長先生は、「もし子供が歯磨きを嫌がるなら、何もしゃかりきになって、歯磨きさせなくてもいいじゃない。少々虫歯になったっていいじゃないの。」という、到底、保育士さんとは思えないぶっ飛び発言をされていますが・・・でも、私には、そんな達観したような発言は出来ませんです。)

クリニックでのフッ素塗布の後や、ホームケアによるフッ素塗布の後も、30分間は飲食禁止をしてくださいね。
折角フッ素塗布しても、効果が減弱してしまいますからねっ。

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離乳食を食べるとうんちが緩い・・・下痢?

6ヶ月になり離乳食をスタートしたものの、うんちの性状が緩く、下痢なのかな・・・ということがあります。
しかし、赤ちゃんが離乳食を食べて下痢することは、実は稀なことなのです。
(古いモノを食べてしまったというのは、離乳食には、まずないことですからね。)
赤ちゃんの下痢はウイルス感染によるものが、殆んどなんですね。

赤ちゃんのうんちが緩くても、熱発もせず、機嫌も良く、回数がいつもよりも極端に増えなければ、まずもって心配ありません。
おっぱいを飲んでいれば、自然に回復してくると思われます。
離乳食を中止しなくても大丈夫ですよ。
食べる意欲があるのならば、いつも通りに食べさせてあげてくださいね。

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2009年6月 3日 (水)

赤ちゃんが血の混じったおっぱいを吐く

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「赤ちゃんが血の混じったおっぱいを吐く。(若干改訂版)」公開中です。
最新の内容は、上記でご確認ください。


以下、過去記事。

どう考えてもビタミンK欠乏症ではないし、妊娠中からの血乳の残存が後を引いているわけでもないのに、赤ちゃんがちの混じったおっぱいを吐くことがあります。

考えられることは、二つ。
ひとつはお母さんのおっぱいを噛んでしまい、乳首から血が出た時。
ふたつめは赤ちゃんの鼻の粘膜が切れて、鼻血が出た後、飲み込んでしまい、気持ち悪くなった拍子に吐いてしまった時。

出血はほんの一時的なものですから、様子を見てやってくださいね。

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心配のない吐乳

風邪をひいて、咳が激しいと、ガバっと吐乳することがあります。
咳の勢いで、出してしまうだけなので、吐乳自体は心配ありません。
ただし、万一、吐いたおっぱいが気道に入ってしまったら、窒息や肺炎を起こす危険性がありますから、よ~く注意して見てあげてくださいね。

吐乳の際に気をつけるべき症状としたら、熱発・重症の下痢・けいれんなどです。
ぐったりしている時、続けざまに苦しそうに吐くかなど、チェックポイントをクリアーしていれば心配ご無用です。

でも、例えば風邪症状が続くならば、慌てなくても大丈夫ですから、是非とも1度は小児科へ受診してください。。

お昼寝をしてくれません(涙)

比較的夜はおっぱいを飲んだら眠ってくれるけど、寝かしつけても、すぐに目が覚めて、せいぜい15~30分しか眠ってくれません。という電話相談がありました。

9ヶ月に赤ちゃんです。
かつて私の長女は、昼も夜もコマキレしか眠ってくれないタイプだったので、「夜眠ってくれるなら、いいなぁ・・・」とも思ったのですが、それでは身も蓋もないですね。

一番良いのはお母さんが赤ちゃんに添い寝をしてあげることです。
カーテンを引いて、静かにして、TVはもっての外ですし、ケータイも切って、出来る限り、眠れる環境つくりをしてください。
リラックス系のアロマオイルをほんの少し、使うのもいいです。
とにかく、条件を整えて、理屈ぢゃなく、こういう時、自分は眠るのだな・・・というふうに仕向けていくのです。

可能であれば、7時台に早起きさせ、朝のうちはお散歩や外遊びをさせてみるのもいいですね。
遅起きで、お部屋でグダグダして過ごしていて、お昼寝はまず無理でしょう。

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2009年6月 2日 (火)

乳房にしこりができた2

一般に、乳栓とか白栓とか呼ばれるものが出来ると、乳房の一部にしこりが出来ます。
これは、乳汁が変化して固形化したものと考えてもらっていいです。
(正確には、皮脂なども混じっていますが・・・)
ちょうど、シャンパンのコルク栓のように、出口を塞いでしまいます。

乳管が詰まってしまいますから、飲ませてもラクにならないし、しこりもどんどん大きくなります。
必死に飲ませていたら、栓が抜けて噴水のようにおっぱいが噴き出してきます。
自動で、噴出するさまは圧巻です。
でも、自力ではどうにもならないこともあります。
その場合は助産院か母乳外来で、乳房マッサージを受けてください。

開通部位は放置すると、乳口炎になることがありますから、過去の記事を参照して、ケアをしてくださいね。

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食物アレルギー予防とお食事4

(注)最強母乳外来・フェニックスにて「食物アレルギー予防とお食事4(改訂版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。

以下、過去記事

一見全く関係なさそうですが、お砂糖の取り過ぎはよくありません。
産前・産後のお砂糖の食事摂取基準は20gですから、全く摂取してはいけないというのではありません。
お料理にたんまりとお砂糖を使用する地域にお住まいでなければ、まず大丈夫だと思います。
ただし、清涼飲料水と呼ばれる、ソフトドリンクの類には、結構多くのお砂糖が含まれます。
スーパーには、袋入りの角砂糖が売ってありますが、ちょっと大きいかなというのが、1個当たり3.5gはあります。
カロリーオフタイプでないと、500mlのペットボトルには角砂糖15個分くらいのお砂糖が入っています。
計算すると、52.5gです。

因みに100%果汁の平均糖度は11%です。
果汁の糖分は果糖ですが、お砂糖に近いものと考えてもらって差し支えないものですから、200mlのコップに1杯の100%果汁を飲むと、それだけで、22gの果糖を摂取することになりますから、それ以上飲んでしまったら過剰摂取ということになりますね。

さて、お砂糖を取り過ぎると腸管内のカンジダという真菌を増殖させる働きがあります。
そうすると、大抵の食物アレルギーは悪化するのですね。
なので、お砂糖の過剰摂取には要注意で、調味料以外のところにもお砂糖同様のものが多く含まれているから、そのことは、心に留め置いてくださいね。

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2009年6月 1日 (月)

食物アレルギー予防とお食事3

お母さんのお食事の食材・調理形態で、油を控えてください。
特に注意すべきは、大豆油であることは間違いありません。
これは、言わずもがなですが、大豆アレルギーを誘発しないためです。

おっぱいをあげているお母さんは揚げ物をバクバク食べてる方はいらしゃらないと思いますが、炒め物やドレッシングなどには、油を使うことになりますね。
その油を吟味してもらえばいいのですね。

では、どんな油がいいのでしょうか。
コーン油、べに花油なんかはどうでしょうか。
これらはリノール酸を多く含み、食感も軽く、健康志向のマーガリンなどの原料だったりします。
が、このリノール酸というものが、アレルギー反応を促進するので、実は良くないのです。

逆に、αーリノレン酸を多く含む、シソ油やえごま油は、アレルギー反応を抑制するはたらきがあります。
ただし、お値段がハンパなく高いのがネックですな。
しかし、食材の中にもαーリノレン酸を多く含むものがあるので、それらを食べることは、理にかなっていますから、紹介します。
「いわし」「あなご」「ハタハタ」「カツオ」などの魚貝類に多く含まれます。
海藻類や野菜にも含まれます。

そうそう、油って古くなると、脂肪酸の酸化が進みます。
油が焼けるとかって言いませんか。
油は出来るだけ新しいものが良いので、買い置きは控えた方がよさそうです。

乳房にしこりができた1

おっぱいが張り易いお母さんであっても、赤ちゃんにおっぱいを飲ませた後は、乳房がフワフワになりますよね。
それが、ある日突然にしこりが出来たら、それだけでブルーになってしまいがちですね。

しこりが出来るには理由がありますが、どのような場合に起きるのか、知っておくことは大事だと思います。

一番多いのは、おっぱいの飲み残しです。
毎回のおっぱいで、抱っこの仕方が同じですと、同じ乳腺の部位に飲み残しが出来易くなり、積もり積もってしこりになります。
これは、乳管が詰まってしまったわけではないので、抱っこの仕方を色々変えてみることや、押さえ飲みをすることで、大抵は解消します。

いつもより、授乳間隔を詰めて飲ませると、早くラクになります。

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食物アレルギー予防とお食事2

妊娠中からお母さんのお食事内容に気を配ることは良いことです。
例えば一般的にアレルゲンになりやすい食物として、よく知られているのが、「鶏卵」「牛乳」「小麦」の3大アレルゲンですね。
昔は「小麦」ぢゃなくて「大豆」でしたが。

これらの食物を完全除去というのは困難ですが、控えめにするならば出来なくはないかなと思います。
頻回かつ多量に摂取するのが、アレルギーの誘発に関与しているのは間違いないので・・・

たんぱく質は魚貝類がいいですね。
種類が多いから、旬によって変化もあるしね。
あっ、でも、魚卵系は避けてくださいね。
理由は、これらもまたアレルゲンになりやすいからです。

それから、調理形態の選択も大事です。
ナマは危ないです。
完全に加熱したら、反応は起きにくいことは確かです。
煮る・蒸す・茹でる・炊くなどはOK。
焼くは中が半生になってたら、アレルギー警報が鳴っている状態です。

最後にもうひとつ。
特に普段は大丈夫でも、妊娠中や産後はカラダがデリケートになっているから、どうしてもナマで食べる時は新鮮なものを選んでくださいね。

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