10か月断乳のリスク
(注)最強母乳外来・フェニックスにて「10ヶ月断乳のリスク。(改定増補版)」公開中です。
最新の内容は上記でご確認ください。
以下、過去記事。
ふた昔前は母乳育児をしているお母さんであっても、その殆んどの方が判で押したように《10か月》で断乳していました。
その理由はいくつかあって、伝聞と自分の経験を踏まえて当時を振り返ると、
★「10か月健診でC4(=カリエスフォー)の写真を歯科衛生士さんに見せられて、おっぱいは虫歯の元ですから、続けていると、こういう風に歯が溶けて大変なことになりますよ。と脅されたから。」
★「1歳を過ぎると、おっぱいに執着して、何日も大泣きさせないと、止められなくなるし、今ならさほど執着しないから止め時っていうか絶好のチャンスなのよね。と保健師さんに言われたから。」
★「早くおっぱいを切り上げないと、子宮や卵巣が干からびて次の子を授かりにくくなるし、次の子を希望していなくても女性ホルモンが出にくくなるから、それは問題だとおばあちゃんに忠告されたから。」
★「次の子を授かって、授乳していたら、流産の恐れがあると産婦人科のドクターに凄い剣幕で叱られたから。」・・・などなどです。
しかし昨今では、発達心理学の見地から、《10か月》の頃は再接近期といわれる時期で、母子関係にとって重要な時期だということが、分かってきたんですね。
お母さんが傍にいてくれたら、暫くは「一人遊び」が出来ますが、お母さんの姿が見えないと大声で泣き叫んだり、探しまわったり、普段接触しない人に対する警戒心(=人見知り)が激しくなる・・・といえば、思い当たるフシがあるのではないでしょうか。
赤ちゃんだって凹む時がります。
怖かった時、寂しかった時、痛かった時、眠かった時、不安だった時・・・はお母さんに抱っこされておっぱいをもらうことで、凹んだことがリセットできるのです。
また、頑張るぞ、チャレンジするぞ、というモチベーションが湧きあがるのです。
ということは、この時期に断乳をすることは、赤ちゃんのココロの拠り所を取り上げることで、本来受けなくてもよかったストレスを受けることになりますから、赤ちゃん主体に考えると、間尺に合わないことと言えます。
赤ちゃんはお母さんに守られることで、自分の力を養い、自立への意欲が高まります。
なので、『たまたま赤ちゃんが自然におっぱいを欲しがらなくなる』という、自然卒乳ということでなければ《10か月》の断乳は止めときましょうね。
《追記》
☆職業柄(臨床心理士です)放置できずに書き込みます。
再接近期が10ヶ月ごろ、と書かれていますが、この出典はどちらでしょうか?
マーラーの提唱した「再接近期」であれば、おおむね15ヶ月前後から、24ヶ月くらいまで、と考えられているかと思います。
もしそのほかの理論によるものであれば、お教えいただければ、と思います。
こちらにははじめてうかがって、大変有用な内容で素晴らしいページだと思うのですが、だからこそ、不正確な内容はふさわしくないと感じましたので、不躾ながらコメントさせていただきました。
なぜこちらにたどりついたかというと、10ヶ月での断乳予定だが、再接近期という大事な時期らしいので不安、という投稿をある掲示板で読み、その根拠がこちらのブログであるらしかったので(もちろんその旨は投稿者さんは明記しておられません。私が推測したことです)。
おっぱい関係では、ナーバスになられる方も多いですし、もちろんそういう方をナーバスにさせるためではなく、むしろ逆のことを目指して運営されていると思いますので、つい気になってしまいました。(2012年3月14日キキさんからのコメント)
☆発達心理学上で使用される「再接近期」は15ヶ月頃から24ヶ月頃まで、の意で使用されることが多いように思うので(一度検索エンジンで検索してみてください)、訂正をお願いしたく思っての書き込みでした。
ただ、私がすべての学説を知り得ているわけではないと思うので、私の知らない説で10ヶ月を再接近期という用語で定義する学説があるのだとしたら、間違いとは言えないので教えてください、という思いから、文献を挙げて下さい、と申し上げました。
再接近期という用語を使わずに展開されている内容なら別にかまわないのですが、学術用語を挙げておられるので、気になったのです。
細かいことで面倒だと感じられるかもしれませんが、やはり不正確なことが一人歩きするのは危険だと思いますので。
影響力も大きいページのようですし。
ご自分も、専門の領域に関して、不正確なことが事実のように語られていたら、訂正したいという思いにはなられませんでしょうか?(2012年3月20日キキさんからのコメント)
☆コメント有難うございます。
文献というほど大きなものではないでしょうが、日本母乳の会が発行しているブックレットの「離乳食」の初版本のP23に記載されています。
この本の著者は聖マリアンナ医科大学教授でもあられた堀内勁ドクターと、元宮城県立こども病院副院長だった堺武男ドクターですね。
お二方とも、日本の小児科のドクターとしてかなりご高名な方で、私にとっては十分信用に足り得る先生方なので、引用させていただいた次第です。
実際、マーラー先生の仰ることは学説として有名ですし、理解出来ますが、10 ヶ月の赤ちゃんであっても、臨床の場で再接近期なのか?という状況はしばしば目の当たりにします。
10ヶ月だから断乳しちゃっても、どうせ分かりゃあしないでしょうというのは、オトナの都合であり、認識不足であり、お子さんの気持ちを踏みにじるお母さんが一人でも少なくなれば…という気持ちで記事を書きました。(2012年3月20日SOLANINのコメント)
☆お書きになった意図はよく分かりますし、10ヶ月で再接近期のように見える状況というのは理解できます。「再」接近とあるのは、一度離れて再び接近する、ということですから、10ヶ月時に見られるのはむしろ、一度目の「接近」状況と捉えた方がいいのではないかと想像しますが。
重ねて申し上げますと、意図を否定したいのではありません。
このことを言うために、「再接近期」という用語を持ち出す必要はないと考えるだけです。
無用な誤解をうむ可能性があります。
一般的には「再接近期」という用語で定義されるのは15ヶ月頃から24ヶ月頃、ということが明記されていればいいな、と個人的には思います。
私も主に臨床に携わっていますので、臨床上の実感を大事にしたい、ということはよく理解できます。
ただ、そのために理論を拡大解釈して使用するのは、理論の提唱者と学問というものに対して、少々礼を失した態度ではないかな、と感じたのです。
マーラーの理論をご存じだったということで、なおさら。母乳の会のHPも見せていただきましたが、理論的なことも大事にされているようですし、こういった考えが共有できるものと思い、意見させていただいた次第です。(2012年3月20日キキさんからのコメント)
・・・というやりとりが、コメント欄上でありました。
以後、読者の皆さんの記事本文への理解を深めていただくこと、専門領域の方から誤解を招かないようにすることが必要だと思いましたので、コメントをくださったキキさんの同意を得て追記をさせていただくことになりました。(2012年3月21日9時00分)
コメント
1 ■その通りですね!!
ぅちも、もうすぐ10ヶ月☆記事と同じで、私が傍にいるときは機嫌よく一人遊びするけど、ちょっとでも離れるとすごく不安な顔で大泣きします(;^_^A
それだけママの愛情が必要なんだと思うと嬉しい反面、用事が全然進みませんが(笑)
赤ちゃんでもストレスって感じるんですね(´;ω;`)お乳大好きゆぅくんだから、取り上げてしまうことは絶対やめます!!
えーな 2009-05-17 11:59:46
2 ■Re:その通りですね!!
>えーなさん
恐らく、ゆぅクンの頭の中は「おっぱい=お母さん=自分)という公式があるのでしょう。
お母さんが見えないとか、気配が消えたと感じたら、自分の存在自体が危ういと感じてしまうのですね。
大人からしたら、「そんな大げさな。」という感覚なのですが、真面目なゆぅクンには通用しない理屈なんですね。
可愛いではありませんか!
SOLANIN 2009-05-17 13:08:23
3 ■ねんトレについて
blogの内容と関係なければ申し訳ありません。
8ケ月の娘がいるのですが夜中ちょこちょこ起きしますf^_^;以前「昼間おっぱいのお誘いしてあげて」とアドバイスいただいたのですが、歯が生えているのであまり飲みたくない時には噛まれてしまいます(>_<)
娘に任せていると朝10時の次は夕方6時まで飲まなかったりします・・・。その分夜は1~2時間おきのおっぱいです。
最近流行りのねんねトレーニング(おっぱいで寝付かせないようにする)ってやっても大丈夫でしょうか?ギャンギャン泣くし、これって夜間断乳だなあ、とも思ってかわいそうにも感じてしまいます。
らむね 2009-05-18 11:28:03
4 ■Re:ねんトレについて
>らむねさん
お昼間にあまり飲んでくれないのですね。
折角誘っても噛まれたら痛いし大変ですね。
離乳食のたべっぷりはいかがでしょうか。
確かに、夜中1~2時間毎は辛いですね。
お昼間あまり飲まないし、仮に食べてもくれないしならば、ねんトレはきついかな?と思います。
ちょっと手間ですが、コップが使えるならお昼間は搾乳をあげてはいかがですか?
SOLANIN 2009-05-18 18:50:30
5 ■初めまして。
現在10ヶ月の女の子を持つママです。
こちらの記事を読ませていただきました。
うちの子は10ヶ月になると同時に「卒乳」しました。
おっぱいに執着があまりなく、今まで完母で育ててきたものの、ミルクをあげるとすんなり飲んでくれました。
ミルクを美味しそうに飲んでくれ、すんなりと卒乳できました。
普段から本当に手のかからない子で、泣いたりぐずったりもあまりしません。夜もママとパパに挟まれて1人で寝ます。
愛情はパパといーーぱい注いでるつもりです。
でも、こちらの記事を読みとても不安な気持ちになりました。。(:_;)
普段あまり育児を相談する人もいないので、独断で(育児書は読みますが)卒乳して良かったものか・・・
赤ちゃんがぬくもりを欲しがっていたのに取り上げて良かったのか・・
なんだか卒乳がうまくできて喜んでいたのに、すごく複雑な気持ちになりました。。(:_;)
Non 2010-09-12 23:33:23
6 ■Re:初めまして。
>Nonさん
上手くいけばそれでいいのですよ。
1歳までに自然卒乳する赤ちゃんは20%居られます。
きっとそうだったのでしょう。
断乳と卒乳は違いますからね。
ところでこの記事は偶然見つけられたのかな?
このブログにはルールがあるので、詳細はブログ情報を読んでね。
(良ければこれを機会に通知型読者さんになられませんか?)
「★卒乳」には色々な記事が掲載されていますよ。
沢山読んで、理解を深めてくださいね。
SOLANIN 2010-09-12 23:44:58
7 ■Re:Re:初めまして。
>SOLANINさん
返信ありがとうございます。
うまくいけばそれで良いのですね。
自然とフェードアウトできたのでそれでよかったのだと信じております。
こちらのブログは「2009年秋冬ベビー」というコミュニティのフォロミ関連の記事で紹介されていたので飛んできました。
ルールも知らず突然書き込みをしてしまい、申し訳ありませんでした。
これから記事をゆっくり読ませていただこうと思います(^O^)
Non 2010-09-13 00:57:58
8 ■Re:Re:Re:初めまして。
>Nonさん
そうでしたか。
これからもよろしくね。
SOLANIN 2010-09-13 06:12:21
9 ■はじめまして
こういうコメントがルール違反にならないか心配なのですが、職業柄(心理士です)放置できずに書き込みます。
再接近期が10か月ごろ、と書かれていますが、この出典はどちらでしょうか? マーラーの提唱した「再接近期」であれば、おおむね15か月前後から、24か月くらいまで、と考えられているかと思います。もしそのほかの理論によるものであれば、お教えいただければ、と思います。
こちらにははじめてうかがって、大変有用な内容で素晴らしいページだと思うのですが、だからこそ、不正確な内容はふさわしくないと感じましたので、不躾ながらコメントさせていただきました。
なぜこちらにたどりついたかというと、10カ月での断乳予定だが、再接近期という大事な時期らしいので不安、という投稿をある掲示板で読み、その根拠がこちらのブログであるらしかったので(もちろんその旨は投稿者さんは明記しておられません。私が推測したことです)。
おっぱい関係では、ナーバスになられる方も多いですし、もちろんそういう方をナーバスにさせるためではなく、むしろ逆のことを目指して運営されていると思いますので、つい気になってしまいました。
キキ 2012-03-14 10:36:43
10 ■Re:はじめまして
>キキさん
今は出先なので手元に文献が無いのですが、確か母乳の会の文献だったと思います。
でも、タイトルまでは今は確認できないので、済みません。
SOLANIN 2012-03-14 20:20:09
11 ■Re:Re:はじめまして
>SOLANINさん
婉曲な書き方をしたのも悪かったのですが、本意としましては、発達心理学上で使用される「再接近期」は15カ月ごろから24カ月ごろまで、の意で使用されることが多いように思うので(一度検索エンジンで検索してみてください)、訂正をお願いしたく思っての書き込みでした。
ただ、私がすべての学説を知り得ているわけではないと思うので、私の知らない説で10カ月を再接近期という用語で定義する学説があるのだとしたら、間違いとは言えないので教えてください、という思いから、文献を挙げて下さい、と申し上げました。
再接近期という用語を使わずに展開されている内容なら別にかまわないのですが、学術用語を挙げておられるので、気になったのです。細かいことで面倒だと感じられるかもしれませんが、やはり不正確なことが一人歩きするのは危険だと思いますので。影響力も大きいページのようですし。ご自分も、専門の領域に関して、不正確なことが事実のように語られていたら、訂正したいという思いにはなられませんでしょうか?
キキ 2012-03-20 15:07:39
12 ■Re:Re:Re:はじめまして
>キキさん
見つかりました。
文献というほど大きなものではないでしょうが、日本母乳の会が発行しているブックレットの「離乳食」の初版本のP23に記載されています。
この本の著者は聖マリアンナ医科大学教授でもあられた堀内勁ドクターと、元宮城県立こども病院副院長だった堺武男ドクターですね。
私にとっては十分信用に足りる先生方なので、引用させてもらったわけです。
実際、マーラーさんの仰ることは学説として有名ですし、理解出来ますが、10 ヶ月の赤ちゃんであっても、臨床の場で再接近期なのか?という状況はしばしば目の当たりにします。
10ヶ月だから断乳しちゃっても、どうせ分かりゃあしないでしょうというのは、オトナの都合であり、認識不足であり、お子さんの気持ちを踏みにじるお母さんが一人でも少なくなれば…という気持ちで記事を書きました。
SOLANIN 2012-03-20 18:25:51
13 ■Re:Re:Re:Re:はじめまして
>SOLANINさん
出典を教えていただき、ありがとうございました。文脈がわかりませんので、購入して読んでみようと思います。そこで根拠がよりあきらかになればと願っています。
お書きになった意図はよく分かりますし、10カ月で再接近期のように見える状況というのは理解できます。「再」接近とあるのは、一度離れて再び接近する、ということですから、10カ月時に見られるのはむしろ、一度目の「接近」状況と捉えた方がいいのではないかと想像しますが。
重ねて申し上げますと、意図を否定したいのではありません。このことを言うために、「再接近期」という用語を持ち出す必要はないと考えるだけです。無用に誤解をうむ可能性があります(事実私が掲示板で見かけた方がそうでした)。検索されて、ほかに10カ月を再接近期として定義されているページは見あたらないことは、確認していただけたでしょうか。
ただ、尊敬される先生が書いておられることなのでそのまま引用した、という事情はこちらも十分理解できました
。
キキ 2012-03-20 20:32:33
14 ■Re:Re:Re:Re:Re:はじめまして
>キキさん
お返事遅くなり失礼しました。
仰るように、再接近期の記載については、かなり念入りにネットにより検索した上では、キキさんのご指摘の通りだったかと思います。
もし、差支えなければ、コメントいただいた内容について、追記というカタチで記事本文に書かせていただいた方が良いのかな?と考えますが、そうさせていただいてもよろしいでしょうか?
当ブログの読者さんの殆どの方が、コメント欄を読まれますが、中には読まれない方もいらっしゃるやもしれませぬゆえ、今後読まれた方が無用な誤解をされないためにも、それが一番いいように思いますので。
お返事お待ちしております。
SOLANIN 2012-03-20 22:30:01
15 ■Re:Re:Re:Re:Re:Re:はじめまして
>SOLANINさん
さっそくのお返事ありがとうございました。
追記をされるのは、私の方は全くかまいません。一般的には「再接近期」という用語で定義されるのは15カ月頃から24カ月頃、ということが明記されていればいいな、と個人的には思います。
私も主に臨床に携わっていますので、臨床上の実感を大事にしたい、ということはよく理解できます。ただ、そのために理論を拡大解釈して使用するのは、理論の提唱者と学問というものに対して、少々礼を失した態度ではないかな、と感じたのです。マーラーの理論をご存じだったということで、なおさら。母乳の会のHPも見せていただきましたが、理論的なことも大事にされているようですし、こういった考えが共有できるものと思い、意見させていただいた次第です。
キキ 2012-03-20 23:25:37
16 ■Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:はじめまして
>キキさん
有り難うございます。
では、そのようにさせていただきます。
SOLANIN 2012-03-21 08:09:47
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